睡眠時間を減らすことができたなら、もっと多くのことができるに違いないと誰しも考えます。せっかくの人生を謳歌するために、仕事や勉強、趣味や家庭のことなどにもっと時間を割くことができれば…。
1日の睡眠時間が4時間未満で平気な人のことを「ショートスリーパー」といいます。過去の偉人であれば、ナポレオンやエジソン。現代ならば、日野原重明さん、武井壮さん、明石家さんまさん、伊集院光さん、中居正広さん、上戸彩さんなどが有名ですね。各界のトップで活躍する彼らは、いつも若々しく元気に見えます。
このようなショートスリーパーの方には、体質的に睡眠時間が短い人もいれば、努力で短眠法を獲得した方もいます。この記事では、実際にショートスリープ法を獲得した方にインタビューをして、私たちも可能かどうか検討してみました。実現したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1.ショートスリーパーの実例
まず、実際にショートスリープ法を実践している方の人となりと、彼が語る短眠のメリットをお伝えします。
1−1.真のショートスリープ人の特徴
私どものスタッフの一人・石川は正真正銘のショートスリーパーです。毎日0時頃に就寝し、朝3時、遅くとも4時には起きると言いますので、3〜4時間睡眠を長年実践しています。『過度な無理をしているわけではなく、この生活リズムでイケる』『大きなメリットを感じている』とのことで、変更する気もなさそうです。そのような彼は以下のような人物です。
・職業:マーケティングなどのコンサルティングをする頭脳労働者
・年齢:45歳。家族は妻、小学生2人と保育園児のお子さん1人
以下は、私どもが見る彼の特徴です。
・スリムで健康そうであり、実年齢より若く見える
・頭脳明晰で仕事も良くできる。時間厳守を徹底している
・礼儀正しく、感情がおだやかで人徳もある
・映画鑑賞や読書にも時間をとり、運動も定期的に行っている
・積極的に家事に参加し、家族サービスも行う善き家庭人である
このような理想的な社会人である彼。仮に慢性的な睡眠不足であるならば、常にイライラしたり、仕事の能率が悪かったり、仕事時間中に居眠りをしたりということがあるはずですが、いっさいそのような気配がありません。彼が述べる通り、無理なく短眠を実行しているようです。
1−2.ショートスリーパーの生活パターン
彼の生活パターンは下記のようなものです。
【ある一日の例】
・朝3〜6時 仕事
・朝6〜7時 散歩〜ジョギング
・朝7時〜8時半 子どもの支度や保育園への送り
・朝8時半〜9時半 仕事
・昼9時半〜12時半 フィットネスジム
・昼12時半〜16時半 仕事
それ以後は、子どもの送迎、夕食、読書等。24時近くまで何かしているそうです。
1−3.ショートスリーパーのメリット
彼が述べる短眠によるメリットは下記のようなものです。
・一日が24時間以上あるように感じられる。いろいろなことができ可能であり、得した気分でいる
→これはショートスリーパーに憧れる人なら誰でもメリットとして想像するものですね。実際にそのような気分で生活しているそうです。
・イレギュラーな仕事やトラブル発生時に対応ができる&余裕がもてる
→仕事にあてられる時間が多くできるということでもありますし、朝、まだ世間が動き始める前からいろいろな手だてが取れるということも言えます。後者だけなら、朝がたタイプの方なら可能ですね。
・朝がたの意志力満タンな状態でクリエイティブな仕事に集中できる
→意志力とは、思考や感情をコントロールして、重大な選択をしたり決断をする力ということです。早朝はこの力が大いに働いていると感じられ、仕事にメリットがあるとのことです。
・夜間は絶対に子供が寝ているので仕事に集中できる
→お子様をお持ちの方ならよくおわかり頂けると思います。また突然の電話によって邪魔されることもありません。
やはり良いことだらけのように感じられます。
2.ショートスリーパーとなるための方法
いったい彼は理想的な短眠法をどのようにして獲得したのでしょうか。
医学や脳科学の研究において、睡眠についてはまだまだわかっていないことが多いです。根拠はないかもしれませんが、やってみる価値がありそうなものとして、経験者の語るショートスリープ獲得法をお伝えします。
2−1.実現するための強い意思を持つ
彼は、実際に取りいれるにはその気持ちが非常に重要だったとのことです。「睡眠時間を削ってでも、得られるもっと大事なことがあると考えました。そのように激しくモチベーションが上がる強烈な自己実現ビジョンを持つことですね」(石川)。
当初、個人事業主として出発した彼は、なんとか事業を軌道に乗せるために、時間を作る必要があったそうです。しかし現在では、豊富な時間があることに心地よさを感じているそうで、短眠が苦になっていないと語っています。
2−2.睡眠の質を上げる
すみやかに眠りにつけるような生活パターンを作りましょう。ショートスリープの人は、入眠直後深い眠りまで一気に落ちていくと考えられています。
このような環境づくりのために、夕食は就寝の3時間前までに。入浴は2時間前、ストレッチは1時間前までを目安にしてください。就寝間際は、間接照明を活用するのもOKで、就寝中はいっさいの照明を落として真っ暗な環境で眠ります。
睡眠の質改善については、別記事『睡眠の質改善で目覚めスッキリ!最も効果的な5つの方法』でも取り上げていますので、ご参照ください。
2−3.朝食・昼食は水分中心。夕食も少量で低糖質。
彼の場合、食事の量も極めて少ないです。朝食は炭酸水にカフェラテ。昼は運動中に水1リットル、さらに炭酸水やゼリー飲料(プロテイン入りなど)をご飯のかわりに。本格的な食事は夕食のみで、それも腹八分目だそうです。
また、いっさい炭水化物を摂らない日もあります。朝食をしっかり摂ってしまうと、胃腸が動き出してさらに食欲が刺激される感じがあるとのこと。また、昼食をとると猛烈な眠気に襲われることがあるそうです。『ショートスリープと小食はセットにすると実現しやすいと思います』(石川)
この生活パターンは、長く医師として活躍している日野原重明先生(103歳)が実践して勧めておられた方法だそうです。『長寿で、頭もしっかりしているお医者様が言うことだから間違いない、と思いました』と石川は語っています。日野原先生の食事パターンは次のようなものだそうです。
(朝)液体4〜5杯(水、コーヒー、オレンジジュース+オリーブオイルスプーン5杯、牛乳)
(昼)液体2〜3杯(水、オレンジジュース)+クッキー3枚
(夜)通常の食事を腹八分目
2−4.一日の生活時間帯で、メリハリのあるリズムをつくる
生活パターンを見ればわかりますが、彼はデスクでの仕事時間とフィットネスジムでカラダを動かす時間などを明確に区別しています。このように「静」と「動」の時間を設けてライフスサイクルにメリハリをつけることが大事です。
また、17時以降は意志力が弱まるそうで、決定が必要な重要な商談は夕方には行わないことにしているそうです。このように業務内容に向いている時間帯を意識し分析することも大事です。
3.機械でショートスリーパーになれるか?
睡眠時間も削って、食事も減らして…。そこまでストイックにならずとも、カラダにストレスなく、もっと手軽にショートスリーパーになれないか、と思います。
実は、2014年アメリカでneuro:onという睡眠コントロールできるアイマスクが発売されました。当初、『2時間睡眠が可能になる夢のアイマスク』という触れ込みでしたが、日本上陸を前にこのキャッチコピーが削除されてしまいました。まだまだ機械によって人体に無理なく短期的にショートスリープを獲得するのは難しいようです。
4.ショートスリープに失敗した時のデメリット
石川は、血液検査の結果も良好で、極めて健康的な生活を送っています。しかし、このことが誰にも当てはまるとは言い切れませんし、石川も『本人が自覚しないまま、なんらかの疾病や老化が進んでいるかもしれません』と行っています。ここでは健康的なショートスリープを獲得できずに、慢性的な睡眠不足になってしまった場合のデメリットをお伝えします。
4−1.脳の老化が早まる
シンガポールにあるDuke-NUSメディカルスクールの行った実験結果があります。これは、睡眠時間が脳にどう影響するかを調べるために、同じ調査を2年ごとに行ったもの。55歳以上の中国人被験者66人を対象にし、血液検査や、認知力を試す神経心理学的検査を行いました。加えて、脳の容積もMRIで測定しました。
その結果、睡眠時間が短いグループの方が、脳の容積が小さくなるスピードが早く、認知能力にも低下がみられたとのことです。(参照元:wired.jp 睡眠時間が短い人の脳は老化が早い:研究結果)
また、睡眠不足は、一般的に集中力や注意力、判断力、記憶力の欠如を引き起こすと考えられています。
4−2.精神的に不健康となる可能性がある
睡眠が足りていないと、メンタル面にも悪影響が多く、分かりやすく言うと、イライラしがちです。
特に若年層ではその傾向は顕著です。2006年に発表された中高生2,000人以上を対象にした調査では、6時間未満の短民群は、それ以上のグループと比べて、抑うつ気分が高く、登校意欲や心身が健康的と感じる割合が低かったという結果が出ています。(参考:中高生における短眠群、中間群、長眠群の精神保健指標の比較)
大学生の場合も、同様に短眠群のほうが心理的健康の度合いが低かったという調査結果があります。(参考:大学生の短眠群,中間群,長眠群の自己複雑性と心理的健康の関係)
4−3.病気が発生しやすくなる
これまでの研究結果で、風邪をひきやすくなったり、糖尿病、慢性腎臓病、乳がんなどの病気のリスクも高まることが分かっています。疲労回復できなかったり、新陳代謝が悪くなったり、ストレスホルモンが過剰に分泌され、免疫力が低下することなどが原因として考えられています。
4−4.ダイエットに失敗し肥満となる恐れがある
脂質代謝が悪くなると、カラダが脂肪を溜め込みます。寝不足の人は、ストレスのせいで夜中によく食べる傾向があり、それも肥満の要因となります。
これ以外にも、肌のトラブルや便秘など慢性的睡眠不足のデメリットはありますので、そのリスクを知った上で、短眠法獲得に挑んでください。
5.ショートスリーパーの生き方を自分に活かす
彼の場合は1日のスケジュールを自分で決められる立場にある、ということが大きかったようです。しかし、ほとんどの日本の労働者の場合は、数時間ごとに行動パターンを変える生活や、極めて少ない食事量で生活を送るのはなかなか難しいと思います。まずは考え方を参考にして、日頃の生活に取り入れることから始めてみてはどうでしょうか。
5−1.時間についての考え方を確立する
・起きている時間を分解し、それぞれの時間に明確な目的を設定する
→彼の場合、朝に決断を要する仕事をし、夕方以降は知識の集積などをしています。このように、脳の機能としてどの時間帯にどの部分を使うのが向いているのかを理解して使うことで、業務効率がアップするようです。
・設定した目的に対して、ベストを尽くす
→仕事時間中は、その仕事に集中します。家庭のことであれば家庭のことに、自分のための時間は自分のために集中して使います。境界線なくダラダラ過ごすと、どれも中途半端になってしまいます。
5−2.何ごとも犠牲にしない
ショートスリーパーは、『睡眠時間が足りないから、●●できない』という言い訳をしません。彼の場合はストイックな姿勢で短眠法を獲得し、多くの時間を得たことに喜びを見いだし、実践しています。結果的に生活の質が向上しました。
しかし、適切な睡眠時間には本質的な向き不向きがあります。短期間で無理してショートスリーパーになろうとして失敗し、イライラしたり心や体に変調を来たし、周囲にも迷惑をかけるようでは不幸な人生となってしまいます。
まとめ
実際のショートスリーパーの方の生き方、いかがでしたか? ショートスリーパーになってみたい方が、急に生活リズムを変えることは難しいかもしれませんが、これを読んで豊富な時間獲得が実現できそうだ、と思った方は一度試してみてもいいかもしれません。
※当ブログでは最新の知見に基づき、人間に最適な睡眠時間は7時間半としています。(別記事:何時間寝れば良いの?最適な睡眠時間と今日からできる対策)
また、皆様の睡眠の質を改善するために、多くの記事をご用意しております。当ブログ「快適な睡眠を送るための全知識」をぜひご覧ください。
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