坐骨神経痛ストレッチ・しびれや痛みの原因と今できる対処法

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突然、お尻から足にかけてのビリビリしたしびれ感…。または座っているとお尻に起きるジンジンとした痛み…。

人によってはふくらはぎや足底にまで痛みやしびれを感じる場合があります。「これが『坐骨神経痛』かもしれない」とお考えでしょうか。

坐骨神経とは、トップ画像にある、お尻から足先にかけてはしる太くて長い神経です。なんらかの原因でここに痛みやしびれが生じることを一般的に「坐骨神経痛」と称しています。

坐骨神経痛を解消するには、まずは何が原因で痛みが起きているのかを知ることが大切です。その結果、ストレッチで再発が防げる場合(梨状筋症候群仙腸関節障害・筋肉の緊張など)もありますし、医療機関に治療を委ねなければならないケースもあります。最悪の場合は手術の必要もあります。

そこで当ブログでは、坐骨神経痛を起こしている原因についての解説と、さほど深刻ではない場合に活用できるストレッチをご紹介します。「坐骨神経痛では」とお考えの方はぜひ一度参考になさってください。

この記事は石塚利光が監修しました。

日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著)


1.坐骨神経痛の代表的症状

sciatic-nerve-pain

・おしりや脚の片側だけに一定の(強くなったり弱くなったりの波がない)痛みが起きる(まれに両足で発生することがあります)

・上記部位にジリジリした痛みやしびれを感じる

・座ったときに痛みが悪化する

・座った状態から、立ち上がる時に痛みを感じる

・お尻から足にかけての部位(または広範囲にわたっての)で脱力感やしびれがあり、脚や足を動かすことが難しいと感じる

・歩くことが難しいと感じたり、鋭い痛みを覚える

このような症状が「坐骨神経痛」とされるものです。

坐骨神経痛のよくある症状については、別記事「 坐骨神経痛の症状10と5大原因・治療法&ケアなどの全知識」にてまとめましたので、お知りになりたい方はそちらも併せて参考になさってください。


2.坐骨神経痛の原因を知る

坐骨神経痛とは、何らかの疾患が原因で引き起こされている痛み(症状)です。例えば「せきが出る」は何らかの病気の一症状であり、その原因は「風邪」「アレルギー」「気管支炎」「肺炎」「肺がん」など様々です。このように坐骨神経痛の場合もその原因を知ることが、根本解決につながります。

診療の結果、原因がハッキリしない腰痛や坐骨神経痛であれば「慢性腰痛(腰痛症)」であり、体幹トレーニングで予防改善することが期待できます。(詳しくは、腰痛ストレッチ・7つの筋肉を活用して慢性腰痛にサヨナラ! をご覧ください)

坐骨神経痛が出ている場合は、診察によって原因がはっきりしやすいものが多いです。坐骨神経痛かも、と言われたり、可能性をお考えの場合は、まず病院での診察を受けて原因を確定させて、治療を行ってください。

3.坐骨神経痛を引き起こす原因

以下のような疾患が坐骨神経痛を引き起こす代表例です。

腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんへるにあ)

椎間板の内側にある髄核が繊維輪を飛び出して、神経を刺激する疾患です。繊維輪を突き破る痛みと、神経を刺激することによる痛みの2つの痛みが発生します。

20〜30代の比較的若い男性に多く、重い荷物をもったりする肉体労働者の方、同じ姿勢が続く仕事の方にも可能性があります。

二ヶ月程度で痛みがひく場合がありますが、重症だと根本治療が必要になります。

椎間板ヘルニア

前屈をすると痛みが出るときは椎間板ヘルニアを疑います

 


腰椎すべり症

椎間板が腰を支持できずに、腰骨が前に(まれに後ろに)すべりズレを引き起こす疾患です。

神経が入っている脊柱管を圧迫し、痛みやしびれを発生させます。ぎっくり腰のような強い痛みを発生する場合もありますが、軽い違和感のみに留まり、徐々に進行していくケースがあります。これも椎間板の衰えや変形で起きるものです。

40〜50代の方に多い症状です。長い距離を歩くことが困難となりますが、休憩するとラクになり、再度歩けるようになる方は、この症状の疑いがあります。

腰椎すべり症

軽い違和感のまま痛みが出ずに進行して、脊柱管狭窄症につながるケースもあります

 


変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)

腰骨に押しつぶされて椎間板の形が変わり、骨が増殖してトゲのような形(骨棘)になります。これも神経を刺激して痛みやしびれを引き起こす場合があります。

50〜60代の方に多く、動きによって痛みが発生するので、動くことを避けるようになります。その結果、筋肉が衰えて骨棘がさらに肥大していくという悪循環に陥ります。

腰痛ストレッチ・7つの筋肉を活用して慢性腰痛にサヨナラ!で取り上げた体幹トレーニングを行うことで、進行を遅らせる可能性があります。重症化すると手術などの治療を行います。

変形性腰椎症

骨が変形肥大して、骨棘ができ、神経を刺激します

 


脊柱管狭窄症(せきちゅうかん きょうさくしょう)

上記3つのすべて(または組み合わせ)が進行して起きる疾患です。

飛び出たり変形したり滑った椎間板の組織が、神経が通っている脊柱管を圧迫します。痛みが起きる場合もありますが、原因が起きている腰には痛みが起きずに、太ももの外側やヒザから下の部位にしびれを起こす場合があります。この場合、しびれが起きている箇所のみに対処しようとしても、全く解消しません。

前述した3つの症状が進行して発生するので60代以上の高齢の方に多い症状です。

しびれを発生させるだけでなく、脳からの伝達が阻害されるので、動きがスムーズにいかなくなったり、最悪の場合は、体の一部にマヒが出たりします。

脊柱管狭窄症


梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)

梨状筋は、仙骨と太ももの外側の付け根の大転子とをつなぐ筋です。この梨状筋が、姿勢の不良や疲労などによりコリ固まり、神経を刺激する状態です。お尻のやや上から、外側のくぼみ周辺にしびれを起こします。

椎間板ヘルニアとの区別が診療によってハッキリします。また、椎間板ヘルニアだと思い込んでいたら、梨状筋症候群だったというケースもあります。

年齢層は若年層から高齢層まで可能性があります。スポーツで発生することが多い症状です。

また、梨状筋の中を坐骨神経が貫いている人が数パーセントいます。このような人は梨状筋症候群に陥りやすいです。そのような方は、手術によって完治することが可能です。

梨状筋症候群

 


仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)

骨盤を構成する仙骨と腸骨を繋ぐ関節が仙腸関節です。運動不足や不良姿勢を続けることで正常な機能が働かなくなり、腰やお尻の痛みを発生させます。急に立ち上がったり、歩き出そうとしたりする時に痛みが出る場合もあります。これも年齢性別に関係なく発生します。

仙腸関節障害

不良姿勢などが原因で、仙腸関節の機能が働かなくなり、痛みを発生させます

 


筋肉の緊張

お尻や太ももの筋肉のコリが痛みやしびれを発生させています。まずは腰回りやお尻の筋肉を揉んで、コリがないか確認します。それ以外にも、離れた部位のコリが痛みを発生させているケースがあります(トリガーポイント)。どこにコリがあるかをよく確認して、ほぐすことが重要です。

原因がよくわからない坐骨神経痛

病院の診察を受けながらも、整形外科の先生に「原因がよくわからない」と言われることがあります。慢性腰痛と同種の痛みであり、ストレッチや体幹トレーニングで改善する可能性があります。

さらに以下の状況や疾患等も坐骨神経痛の原因となる場合があります。

妊娠

体重が増加し、体の重心位置が前方になることで、腰に負担をかけて坐骨神経痛を引き起こす場合があります。ホルモンの変化も関係すると考えられています。

瘢痕組織(はんこんそしき)

筋肉の損傷部分が、元に戻ろうとする過程で、芽のように発達するものです。この瘢痕組織が神経根を圧迫し、しびれや痛みを引き起こす場合があります。

脊髄腫瘍

脊髄内にできた腫瘍が、腰の神経根を圧迫して坐骨神経痛を引き起こしていることがあります。

感染症

腰の付近に病原体が入り込んで感染症を引き起こした場合に、まれに坐骨神経痛となるケースがあります。

精神的要因

近年の腰痛研究では、精神的要因によって腰痛や坐骨神経痛のような痛みを引き起こす割合が少なくないことが報告されています。

ストレスを取り去ったり、日頃の考え方や取り組み方を変えたり、程度によっては心療内科や精神科の治療を受けることで、腰痛や坐骨神経痛が解消するケースが少なくありません。

このほかにも、尿路結石や膵臓・子宮・卵巣の病気、骨髄腫などいろいろな可能性があるので、腰痛や坐骨神経痛に似た症状が一週間以上長引いたり、まだ一度も診療を受けていない場合は、医療機関を受診することを強くお勧めします。

4.ストレッチで改善する可能性のある坐骨神経痛

診察の結果、日頃の取り組みで改善する可能性のあるものがあります。前項でオレンジ色の4つの原因がそれです。すなわち、梨状筋症候群 仙腸関節障害 ・筋肉の緊張 ・原因がよくわからない坐骨神経痛 です。

・原因がよくわからない坐骨神経痛 については、痛みが治まっているかストレッチが軽くできる状況でしたら、下記のストレッチを行ってください。その上で、別記事「腰痛ストレッチ・7つの筋肉を活用して慢性腰痛にサヨナラ!」にある方法を日々取り入れてください。

さて、ここではそれぞれに活用できるストレッチをご紹介します。また、日頃からの姿勢改善の取り組みも重要ですので併せて行うようにしてください。※痛みがひどい場合は無理せずにできる範囲で行ってください。また、ストレッチをしようとすると痛みが強くなる場合は即座に中止してください。

4−1.梨状筋症候群のためのストレッチ

梨状筋はお尻の最上部かつ奥深くにある筋肉です。実際に触ってストレッチすることは難しいのですが、写真ではブルーの丸で示しました。この位置の奥深くにストレッチがかかるようにイメージして行います

梨状筋ストレッチ1

①仰向けで床に横になります。右膝を右手で持ち、左手は右足首を待ちましょう。ヒザを右肩の方へ引き上げていきましょう。

この時左のおしりが床から浮かないこと・肩に力を入れないことがポイントです。20~40秒を目安に左右とも行いましょう。

梨状筋ストレッチ2

②仰向けで横になり、右足のかかとを左ヒザの上へ置きます。

左手で右ももの外側を持ち、左肩の方へ引きます。この時右のおしりが床から離れないように気を付けてください。20~40秒を目安に左右行いましょう

梨状筋ストレッチ3

右足を組むようにして左足にかけ、左ヒザの裏で手を組みます。背中が浮いたり、カラダに力が入らないように注意しながら軽く手を引きましょう。気持ちよく自然な呼吸で20~40秒を目安に左右行います

梨状筋ストレッチ4

③左ヒザを外側90度に曲げて倒し、右足を後ろに下げ座ります。

両ヒジをカラダの前で床につき上半身を前へ倒します。この時に右足に力が入らないように注意して左のおしりを伸ばしていきましょう。

左右20~40秒を目安に行いましょう

4−2.仙腸関節障害のためのストレッチ

仙腸関節

尾骨から45度外側上方にあります

仙腸関節は、梨状筋の付近で、最も背骨に近い場所に位置する関節です。この部分にアプローチするイメージで行ってください。(仙腸関節の可動域は極めてわずかなので、動きを感じるほどではありません)

仙腸関節ストレッチ1

両膝をまげ、仰向けで横になります。肩膝の裏で手を抱え、上半身が床から離れないように注意しながら、上半身へ近づけましょう。

小刻みに膝を胸に近づけるように弾ませて左右10回ずつ繰り返し行いましょう

仙腸関節ストレッチ2

うつぶせで横になります。肩の横に手をつき、おへその下が床から離れるくらいまで上半身を起こしましょう。

ポイントは少し、床を両手で押すことです。肩に力が入らないように注意して20~40秒を目安に行いましょう

仙腸関節ストレッチ3

両膝を立てて仰向けになります。膝の頭をそろえて、左右交互に倒します。この時、おしりや腰が浮かない範囲で横に倒しましょう。ゆっくり左右10回ずつ行います

※ストレッチとは別に、仙腸関節周辺を強く揉むことで解消されるケースがありますので、試してみてください。

4−3.原因となっている筋肉の緊張をほぐすストレッチ

坐骨神経痛を引き起こす筋肉は様々ですが、ここでは代表的な3つの筋肉に絞ってご紹介します。

ハムストリングのストレッチ

ハムストリングストレッチ1ハムストリングストレッチ2 ハムストリングストレッチ3 ハムストリングストレッチ4

太もも後ろの筋肉をストレッチします。仰向けで横になり、右ひざを曲げ、右足のかかとにタオルをかけ、両手で持ちます。肩に力が入らないように注意して、膝を伸ばしながら上半身を床へつけましょう。

この時左膝が曲がらないように注意しましょう。無理にカラダに引っ張らないのがポイントです。左右20~40秒を目安に行いましょう

内転筋のストレッチ

内転筋ストレッチ

イチロー選手が行っている有名なストレッチです。ももの内側を伸ばします。がに股の状態で中腰になり、ヒザに両手を置きます。

相撲の四股をイメージすると姿勢がとりやすくなります。その状態から、左右の方を内側に入れながら上半身を捻っていきます。左右20~40秒を目安に行いましょう

腰方形筋のストレッチ

腰方形筋のストレッチ1 腰方形筋のストレッチ2 腰方形筋のストレッチ3

お尻の中の筋肉をストレッチします。開脚してすわり、右ひざを曲げ、右足の裏が左内ももに触れるようにします。

左手で右ひざをつかみ、右手は頭の後ろへ。右のおしりが浮かないように注意して左側へ上半身を倒しましょう。

姿勢に気を付けて左右20~40秒を目安に行いましょう

4−4.ツールを使って筋肉のコリ部分を発見しほぐすストレッチ

坐骨神経痛を引き起こしている筋肉は、腰やお尻まわりはもちろん、足のほうまでも可能性が考えられます。炎症が起きている部位と離れた位置にある原因の部位を「トリガーポイント」といいます。

このトリガーポイントは、坐骨神経痛の場合は、広範囲に起きている可能性があります。

ストレッチポールを使って、トリガーポイントを探し当てて、ほぐすことができますので、お持ちの方はぜひ試してみてください。

セルフ筋膜1

腰/お尻の下の例。小刻みにコロコロ転がします

セルフ筋膜2

大臀筋やハムストリングの例。広範囲にコリを探してほぐします

セルフ筋膜3

ももの外側と内側もしっかりほぐします。写真にはありませんがヒザの下、ふくらはぎ周辺も同様に行えます

上記の運動を行う際には、反り腰にならないようにご注意ください。

さて、ストレッチポールは、当ブログを運営する㈱LPNが製造販売するツールです。

上記のエクササイズとは別に、仰向けで縦乗りをすることで、坐骨神経痛や腰痛予防に効果的な、骨盤を調整する運動ができます

ワイパー運動

なぜならば、そのような運動は腰や背骨回りの筋肉を深層部までゆるめほぐし、骨盤や股関節の状態を正しい位置に整える効果があるからです。(研究論文例:ストレッチポールを用いた骨盤対称化エクササイズ(PelCon)は健常者の骨盤アライメントを対称化する 増田 他/日本理学療法学術大会 )

このようなエクササイズが骨盤や股関節に好影響をもたらし、骨盤調整ができる理由については、別記事「ストレッチポールで簡単骨盤調整!2つのポイントとその方法」に詳しくまとめました。興味のある方はそちらも併せてご覧ください。

ストレッチポールストレッチポール®をお求めの方へ
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon楽天市場Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。

まとめ

坐骨神経痛の改善には、

・まず病院の診察を受ける

・ストレッチで改善する原因であれば、この記事の方法などを活用する

・片座りなど日頃の姿勢を改善する

の3点が重要です。ぜひ自分のカラダを大切にしていただき、坐骨神経痛の解消に取り組んでいただきたいと思います。

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