出産という大きなイベントを終え、育児に入っていくママに朗報です。
芸能人やモデルさんが、出産後数ヶ月でテレビ復帰。この時に「え?出産したの?全然そう見えない!むしろ若くなってるんじゃない!?」というプロポーションになっていることが少なくありません。
実は産後の骨盤矯正(調整)に成功しているからと言えるのです。特に産後8週間(産じょく期)は、急速にカラダがあなた本来の状態に戻ろうとする時期。あなたも自分でできる取り組みで、産前よりもステキなカラダに生まれ変わるチャンスです。芸能人同様、あなたもこのタイミングを有効活用しようではありませんか。
そこで、いつまでもキレイでお子さん自慢のママでいるために産後6か月までにやっておきたい最善の方法をご紹介します。お話しをうかがったのは、マタニティの骨盤矯正(調整)について、母性看護学の講師を長年勤められ、骨盤に関する著書も出している日本トップクラスの先生です。
ここでは産じょく期の間と、その後半年までの2つの期間に分けてお伝えします。人に自慢したいようなキレイで健康的なカラダを手に入れましょう。
この記事は、岡橋優子先生の監修を頂きました。
特定非営利活動法人スマイルボディネットワーク代表理事。日本コアコンディショニング協会スーパーバイザー。早稲田大学スポーツ科学科非常勤講師。東京都立広尾看護専門学校、府中看護専門学校他、「母性看護学」非常勤講師。骨盤底筋など体幹のエキスパート。
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今回のエクササイズモデルも務めていただきました。衣装協力:RealStone
目次
1.産後の骨盤矯正(調整)とは
出産の準備で変化してしまったり、出産でダメージを受けてしまった骨盤。この骨盤を整えること=「骨盤矯正」は、出産前後の女性なら誰でも聞いたことがあるでしょう。それとよく似た言葉に「骨盤調整」というものがあります。実はこの言葉の意味は大きく違います。
骨盤矯正とは骨盤の骨組み(骨格)を正しくすることで、出産後にカラダが本来持っている力でひとりでに行われていくものです。骨盤調整は、その矯正の効果を最大限にあげるために骨盤まわりの筋肉や靭帯、カラダの状態を整えることを言います。
ママがセルフで行うのが骨盤調整
出産までの間でカラダに起こった変化は、出産と同時に半年の期間をかけて出産前の状態に戻ろうとします。特に出産後から8週間まではカラダの変化がいちじるしく、大きくなったお腹も急速に戻っていきます。
つまり産後8週間にエクササイズを行うことで、より矯正の効果は高くなります。つまり、キレイなカラダを手に入れるための大きなチャンスの時期でもあるのです。
「どうせ戻らない」「元が悪いから何をやってもダメだ」とあきらめている人にも、ぜひ正しい骨盤調整に取り組んでいただきたいと思います。ここでは、ほとんど何もしないまま8週間経ってしまった方にも必ずや効果上がる方法もご紹介しますので、どうぞがんばって試してみてください。
行うべきことは、
・お腹や骨盤まわりの筋肉をゆるめる →出産でダメージを受け、こわばってしまった骨盤やお腹まわりの筋肉をゆるめます。
・お腹や骨盤まわりの筋肉を鍛える(強化) →キレイに引き締まったウエストラインを作ります。腹筋がないと背骨や腰骨も曲がってしまいます。腹筋力を高めることで、元の姿勢に戻るだけではなく、よりキレイな姿勢を作ります。
・ストレッチを行う →柔軟性を高めることでよりトレーニング効果を高めます。
この3ポイントと時期を考慮したエクササイズを行っていきましょう。
2.骨盤調整で整える部分
出産後に調整すべき部位は、赤ちゃんが出たときに損傷した骨盤底と赤ちゃんが今まで入っていたお腹を引き締める腹壁の筋肉です。ここでは、その役割について掘り下げます。
2−1.骨盤底筋
骨盤底筋は、骨盤のもっとも底部にあってハンモックのような役割をしている筋肉です。排泄や月経はもちろん、呼吸や姿勢に関係する筋肉にも大きく作用している大事な筋肉です。
もちろん、出産後も重要な役割を担います。骨盤底筋がダメージを受けたまま放置されると尿漏れなどのデリケートゾーンのトラブルを招くなど様々な問題の原因になります。
また、産後、子宮や他の臓器は、元の位置に戻ろうとします。その時に骨盤周りを締めても、底部の筋肉が衰えていると、内臓が正しい位置に戻りません。ですので、骨盤引き締めと同等またはそれ以上に骨盤底筋を鍛えることが重要です。
この後にご紹介する方法では骨盤底筋のためのエクササイズもご紹介します。
2−2.腹壁の筋肉
腹壁の筋肉とは、一般に言う腹筋のことで、刺激して働かせることで内臓の位置を整えたり、腸を刺激して排便を助ける役割があります。この筋肉をエクササイズで鍛えていくと筋力が高まり、産後のウエスト引き締めにも効果的です。
出産後8週間のカラダは、自然と元に戻ろうとするため、この時期にお腹を鍛えることで出産前よりもキレイで健康的なカラダづくりへと導いていきます。
腰痛があったり、帝王切開の術後など、この部分を鍛えることが心配な方は、下記のエクササイズ内容を担当医に伝えて、相談なさってください。
3.産後の期別・セルフでできるもっとも効果の高い方法
出産後のエクササイズを行うことで、一年後にキレイな健康的なカラダを作り出します。
ご紹介するエクササイズは・お腹や骨盤まわりの筋肉をゆるめる ・強化する ・ストレッチする の3つの要素を取り入れたものです。決してキツいトレーニングではないので、時間を見つけて毎日2〜3回は行うようにしてください。
1)分娩が正常だったこと.(自然分娩、無痛分娩、帝王切開を含む)
2)産後に脱臼、靭帯損傷、その他手術などの処置をしていないこと.
3)原則として出産経過に異常がないこと.
4)適温(16~24度前後)の室内で、周囲の安全を十分に確保して行うこと.
5)産後8週間までは激しい運動は避ける.
6)産後エクササイズを行っていることを産科主治医に伝えること.
7)出血が増えたり、発熱が起きたり、腹部や会陰部の痛みがある場合は行わないこと.
8)体調に十分に注意し,無理をしないこと.
9)偶発合併症の予防と治療を目的とする運動療法は,専門医と相談の上で,十分に注意して実施すること.
以下のエクササイズは、必ず上記を守り配慮した上で実施してください。
3−1.産褥期(出産後8週間)までに行ってほしい骨盤調整方法
出産後8週間は、カラダをもとに戻しさらにキレイにするためのゴールデンタイムです。この期間の取り組みが、美しいスタイルづくりに大きく貢献してきます。簡単で毎日できるエクササイズなのでぜひお試しください。
■ゆるめ編
骨盤スイング
妊娠中、多くの人はもう一度うつ伏せで寝られる日が待ち遠しかったことでしょう。このエクササイズをすることで股関節がゆるみ、子宮が正常な位置にもどります。出産で緊張しきった筋肉をほぐしましょう。
エクササイズ方法:
うつ伏せで横になります。この時に腰の下に枕やクッションを敷き、全身をリラックスしていきます。(顔はリラックスできるように両手を組んで隙間を作るといいでしょう。)
クッションで可動性を出した骨盤を動かし、おしりを左右に振るイメージで倒していきましょう。
自然な呼吸で全身を脱力させて左右10回ずつ行いましょう。
■強化編
タオル腹筋
出産でダメージを受けてしまった腹部の筋肉を鍛え、さらに引き締めるエクササイズです。骨盤を安定させて行うことで、骨盤を保護しながらお腹を鍛えることができます。
エクササイズ方法:
膝を曲げて仰向けで横になります。大転子をタオルが覆うように巻きお腹の前でクロスさせます。(妊娠前よりも覆う範囲を広げて骨盤を保護します。)
この後、外側にタオルを引くので、クロスさせたときに反対側を持ちましょう。
タオルを外側に引っ張り、骨盤の底をカラダの中に引き込むようにして骨盤底筋を締め、おへそをのぞき込むようなイメージで上半身を床面から持ち上げていきます。この時、肩甲骨が床から離れるくらいを目安に持ち上げるといいでしょう。
首が疲れたり、腹筋に十分な力が入らない場合は、頭の下に枕やクッションを置いて行ってください。自然な呼吸で10回を目標に始めましょう。(目安反復回数10~20回)
■ストレッチ編
ゆみなり(産後は骨盤の左右差が起きてしまいがち。それを解消・改善していくエクササイズです)
カラダの力を抜いた状態で弓なりになることで、体側部を広くストレッチすることができます。自身の出来るところまでストレッチして行くので、カラダに大きな負担がかからず、どんな人でも行うことができます。
エクササイズ方法:
仰向けで横になり、両手を頭の方へと広げていきます。片脚を横に開き、ひらいた脚にもう片方の足を近づけていきます。両足がくっつかなくてもいいのでギリギリまで近づけていきましょう。両方のお尻を床に付けるようにして、骨盤を安定させます。
上半身が引っ張られていきますが、つられないように初めの位置を崩さず、体側を伸ばしていきましょう。
左右30秒ずつ目安に伸ばしていきます。自然な呼吸で行ってください。
3−2.産褥期終了から半年までに(9週目~24週目)行いたい骨盤調整方法
産褥期終了から半年までの骨盤調整は美しくキレイなカラダを保持していくためにとても大切です。産褥期までの期間は自然とカラダは戻っていきますが、その後半年までの期間、骨盤調整を続けることで、産褥期までに獲得したカラダにより磨きをかけていきます。この期間、調整をやめてしまうとカラダは元に戻ってしまいやすくなるので、キレイなママになることを楽しみながら取り組みましょう。
■ゆるめ編
坐骨ウォーク
日常生活の中でゆがみやすい骨盤の正しい位置と動かし方をカラダにインプットしていきます。坐骨で座ることで正しい座り方をマスターすることができます。背中を上へ引き上げ骨盤を軽く揺らして軽やかに進む(ウォークする)のがポイントです。
エクササイズ方法:
頭は常におへその真上にあります。上体ごと左右に揺れないように行ってください。
床の上に両足を伸ばして座ります。(カラダが硬くて坐骨で座れない時はヒザを曲げてOKです)。この時に坐骨で床面をとらえて座るようにしましょう。膝は軽く曲げて、手は脚の付け根におきます。息を吐きながら片方の坐骨を床から持ち上げます。骨盤を前傾させて少し前に坐骨を落とし、上半身を回旋させて歩いていきます。
姿勢が崩れないように意識しながら1回で1~2㎝前に進むようにするとうまくいきます。前に行こうとし過ぎると上半身が倒れてしまうので注意しましょう。左右3歩ずつ前に出て後ろに戻るのを1往復しましょう。
■強化編
バックプッシュオンひめトレ
骨盤底筋を引き上げ、腹圧がかかりやすい状態を作った中でおなか周りを強化するエクササイズです。坐骨(お尻の)で座ることを意識して行ってください。ひめトレを活用することで骨盤底筋をより意識しやすく、強化することが見込めます。
エクササイズ方法:
椅子の上にひめトレを置き、その上に座ります。坐骨で座面を捕らえながら、前後左右に骨盤を倒し、すべての圧が均等になるように中心を探しましょう。背筋を伸ばして座り、背もたれと背中の間にクッションを挟みます。
息を吸いながらお腹を膨らませ、細くゆっくり吐きながらお腹を締めていきます。この時同時に背もたれに向かってクッションを押していきます。頭が前に倒れたり背中が丸まらないような小さな動きです。
ゆっくりリラックスした呼吸で、5〜10回行いましょう。
※ひめトレに乗って痛みがある時はこのエクササイズは控えてください。
■ストレッチ編
膝倒し(妊娠中にゆがんだ骨盤を正しい位置に戻すエクササイズです)
膝を倒すことで、その重みを利用してストレッチして行きます。左右で脚の柔軟性が違っていても、この方法なら左右差が関係なくストレッチすることができます。
エクササイズ方法:
足の裏を合わせて膝を外側へ倒し、膝をひらきます。開いた膝の位置をそのままに保ち、一方の膝を動かして反対側の膝に近づけていきます。膝を近づけてくるときに、固定している膝が下に落ちやすくなるので、注意して膝を合わせていきましょう。
左右交互に5回ずつ行いましょう。
どうしても床についている肩が上がってしまったり、この姿勢をとるのが難しい場合はクッションを敷くことで同じようにエクササイズをすることが可能です。
4.まとめ
産後の骨盤矯正のための調整方法をお伝えしました。産後に骨盤を矯正するためのベルトを使用することは今や一般的ですが、ご紹介した方法では、ベルトを買わずとも行えるやり方です。(骨盤ベルトを既にお持ちの方は、一日中着用するのではなく、なるべくエクササイズ中などのみの使用にとどめることをおすすめします)。
産後のエクササイズは次の出産のためではなく、出産前よりもキレイで美しくいたい自分のために行うものです。その取り組みによってより充実した今後の生活を送れると思います。ご紹介したエクササイズでぜひ素敵なカラダづくりを実践なさってください。
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