バドミントンをプレイしている方の多くは、楽しくラリーを続けたい、もしくは競技力向上を目指して練習をしているとおもいます。
その努力を無駄にしないためにも、練習前後でストレッチを行うことはとても大切です。ストレッチをすることでケガの予防になり、またカラダを柔軟に動かせるようになることで、パフォーマンス向上につながります。
でも実際には、体育館へ行くと時間がなかったり、早くシャトルを打ちたいからという理由でおろそかになりがちですよね。
しかし、世界のトッププレイヤーやシニアになってもコートで結果を出し続ける人のほとんどが、練習前後で欠かさずストレッチを行っています。
ストレッチはそれだけ効果があり、重要な役割があるのです。
この記事では、バドミントンの競技で使う部位を中心に、ケガせず安心して練習に向き合えるストレッチメニューを12種目ご紹介します。
ぜひ今日から実践してみてくださいね。
目次
1.競技力向上とケガ予防へ!ストレッチの種類と効果について
練習中にケガをせずにプレイするためだったり、競技力向上を目指すためには、ストレッチでカラダを整えることが大切です。ストレッチにはウォーミングアップに有効な動的ストレッチとクールダウンに行う静的ストレッチの二種類があり、練習前と練習後で行うエクササイズは異なります。
ここでは、各ストレッチの効果と役割についてお伝えします。
1−1.ウォーミングアップでプレイ前の準備をする動的ストレッチ
運動前に行われるストレッチのほとんどが、動的ストレッチです。ウォーミングアップに動的ストレッチを行うことで、以下の効果が期待できます。
- 心拍数を上げる
- 体温を上昇させる
- 筋肉の可動範囲を広げる
- ケガの予防
- 交感神経を優位にする
- 血行促進
動的ストレッチは練習でかかるカラダへの負荷を耐えられるようにするための準備運動です。高強度な練習を行ってもケガをしないように、動きながら筋肉をストレッチしていくのが特徴です。
1−2.クールダウンで疲労を残さないための静的ストレッチ
練習後、クールダウンに静的ストレッチを行うことで、以下の効果が期待できます。
- 呼吸を整え心拍数を下げることでリラックス状態を作る
- 筋膜の癒着&結合を防ぐことで疲労やケガを防ぐ
- 柔軟性を高め、可動範囲を高める
- 筋肉のすみずみまで酸素を供給し回復を早める
目的は「損傷した筋肉の回復を早め、成長を促し、翌日も最善のパフォーマンスができるようにする」ことです。そのために、呼吸と組み合わせ一定時間同じ姿勢で行うのが特徴です。
2.練習前のウォーミングアップ|ケガ予防に行いたいストレッチ5選
ストレッチの種類とそれぞれの効果がわかったところでここからは、ストレッチのやり方についてお伝えします。まずは、練習前のウォーミングアップとして行う動的ストレッチを5種目ご紹介します。どの種目もバドミントンに必要な筋肉を動かすストレッチです。
リラックスしながらカラダが温まっていくのを感じましょう。
2−1.肩甲骨の動的ストレッチ
オーバーヘッドストロークをスムーズに行うために肩甲骨の動きを高めるエクササイズです。プロ野球(MLB)の前田健太投手が準備体操として行い、注目されましたね。スマッシュやカットなどのショットを多用する方にオススメのエクササイズです。
エクササイズ方法:
背中が丸まらないように注意しながら、上半身を前に倒します。腕は全体的に脱力し、肘を前に出すイメージで素早く回していきましょう。肩甲骨の動きを感じながら左右20回を目安に行いましょう。
2−2.胸の動的ストレッチ
胸の動きを引き出すストレッチです。胸の動きが出ることで、強い力をラケットに伝えることができ、スマッシュやカットのキレが増します。
エクササイズ方法:
腰幅から肩幅くらいまで足を開き、胸の高さまで腕を持ち上げましょう。反動をつけながら胸が広がるように両手を広げていきましょう。肘を軽く曲げて肘を引くような感覚で腕を誘導しましょう。引ききった反動でまた始めの姿勢に戻りこれを繰り返します。10〜15回を目安に行いましょう。
さらに引く角度を変化させることで、筋肉への刺激の入り方が変わっていきます。このような様々な角度に胸の筋肉を伸ばしていくことでラケットワークが引き出されます。
2−3.ハムストリングスの動的ストレッチ
切り返しやジャンプなど瞬発力が必要な場面では、ハムストリングスをしっかり使えるかがパフォーマンスに大きく影響してきます。
また、ハムストリングスは激しいラリーの中でダメージを受けやすくケガにもつながるので、準備とケガ予防の両面から大切な運動になります。
エクササイズ方法:
歩きながら、タイミングをとり勢いよく片足を振り上げます。振り上げた足のつま先を足と反対側の手で掴みましょう。左右リズムよく行うことがポイントです。
左右足を入れ替える時にステップを入れてリズミカルにやると心拍数も上がってきます。ハムストリングスのストレッチを感じながら左右10回を目安に行いましょう。
つま先を手で掴むことを意識しすぎると上の写真のように上半身が丸まってしまいます。これでは十分にストレッチすることができません。
足先をつかむよりも大切なのは足を高く持ち上げることです。エクササイズを行うときには注意をしましょう。
2−4.大腿四頭筋の動的ストレッチ
大腿四頭筋は前につめる時に必要な筋肉です。スマッシュネットやドロップ、カットを拾いに行くための動きを引き出します。ストレッチをすることでパフォーマンス向上やケガの予防をすることができます。
エクササイズ方法:
このエクササイズはランニングなど走りながら行います。お尻に手を置いて、軽く走りながらかかとがお尻に着くように足をあげましょう。
膝を曲げているときに大腿四頭筋が伸びていき、ストレッチをかけていきます。ゆっくりなペースで走りながら行い10〜15m間を目安に走りながらおこないましょう。
2−5.体側ともも前の動的ストレッチ
ドライブやレシーブなどバドミントンにはカラダをひねることが多くあります。体側のストレッチを行うことで、ひねる動作をやりやすくしてショットを安定させましょう。
エクササイズ方法:
片足を大きく前に出します。後ろに残る足と反対側の手でかかとを触れるように上半身をねじりましょう(写真では右足のかかとへ左手を伸ばしています)。歩きながら左右交互に行うと動きの中でリズミカルにストレッチすることができます。
カラダへ力を入れないように脱力を意識し10回を目安に左右行うようにしましょう。
3.練習後のクールダウン|疲れを残さないためのストレッチ7選
練習終わりにストレッチを行うことで、ケガの予防や翌日の疲労度に変化が出ます。ここでは、練習後に行いたいストレッチを7種目お伝えします。特にハードな練習を行った時には入念に行い、疲れを持ち越さないようにしましょう。
3−1.手首と前腕筋のストレッチ
ドライブやレシーブを長時間行うと、前腕に負担がかかります。疲労がたまりやすい部位なので、ストレッチを行いケアをしましょう。
エクササイズ方法:
腕を前に伸ばして手を組み、指先を持って下、上に引きつけます。各15秒ずつ行いましょう。
3−2.大腿の筋肉のストレッチから上体反らし
コート上を動き回り、疲労の溜まった下半身をストレッチしていきます。レシーブなどで負担をかけた脇腹もストレッチすることができます。
エクササイズ方法:
写真のように片足を前に出して姿勢をとります。前に体重をかけると、後ろに伸ばした足の腿の付け根がストレッチされます。つま先を立ててヒザを浮かせるとアキレス腱も伸ばすことができます。左右30秒行います。
さらに、ヒザをつけたまま両手を上にあげ手首を掴みます。腕を上に伸ばしながら上体を反らします。そのまま左右に倒します。
最後は上半身をひねり、脇をストレッチします。各30秒ずつ行いましょう。
3−3.肩甲骨と上腕のストレッチ
スマッシュやカットなどのオーバーヘッドストロークで酷使した肩周りのストレッチです。
四つ這いの状態から片腕を横に伸ばし、顔を反対方に向けて肩を床につけます。肩を内側にいれるイメージで肩甲骨にストレッチをかけてください。左右で行ったら今度は胸の前を通して反対方向に伸ばします。最後にヒジを床につけて、同じ側の肩甲骨に触れるようにストレッチをかけます。各20秒ずつ行いましょう。
3−4.脇伸ばし
遠い距離を踏み込んでのレシーブから戻る時に使う脇の筋肉をストレッチします。
エクササイズ方法:
うつ伏せからヒジと手を床につき、片足はのばし、もう片方はお腹のほうに引き寄せます。引き寄せた足のほうを大きくのぞきこむようにカラダを持ち上げます。左右20秒行います。
3−5.膝抱えストレッチ
前に踏み込んでレシーブする時に使ったハムストリングスや腰の筋肉を緩めるストレッチです。
エクササイズ方法:
仰向けで膝を抱えて丸くなります。自然な呼吸を行います。足を引きつけることで腰やハムストリングのストレッチになります。
その後、片足を伸ばします。曲げているハムストリングだけではなく、伸ばした足のもも前もストレッチがかかります。各30秒ずつ行いましょう。
3−6.腰の回旋ストレッチ
カラダのねじる可動性を高めるストレッチです。
膝を90度に曲げ、両手を顔の前に合わせて横になります。大きく手を開いて顔も開いた方に向けます。リラックスしながら20秒おこない、反対側も同様に行います。
3−7.股関節・両脚全体のストレッチ
股関節の柔軟性を高め、フットワークの足運びを良くします。
上の写真の体勢は、有名な“バタフライ”ストレッチというものです。両脚先を股関節に引きつけ、膝を上下にパタパタと蝶が飛ぶように動かします。そのまま両手を床につけお尻を持ち上げ、足を開き手で支えます。内転筋など脚の内側全体にストレッチをかけてください。
その態勢から右に向きます。15秒キープ。反対側も行います。脚全体のストレッチ感を感じてください。痛みを感じる程度までは行わないのがポイントです。
4.ストレッチにプラスして行うと効果的!練習後のカラダケア
練習後に行うストレッチの他にも疲労を残さないために効果的なカラダのケアがあります。それは、アイシングとリラクゼーションエクササイズです。ストレッチだけでは、筋肉の炎症そのものやカラダ中の緊張すべてを取ることはできません。
これらを組み合わせることでストレッチ効果を最大限に高め、ケガの予防・パフォーマンス向上につながります。ここではアイシングとリラクゼーションをご紹介します。
4−1.炎症を起こした筋肉の熱をとるアイシング
患部を冷やすことで血管は収縮され、腫れや炎症をコントロールすることができます。この結果、痛みを減少させることができ、練習でつかれたカラダを早期回復へ導きます。
冷水で患部を冷やす方法もありますが、保冷剤や氷をビニール袋にいれて患部に当てるなどの氷を活用すると良いでしょう。練習直後にバケツに氷水を入れて中に足を入れて足の疲労を取るやり方もあります。
アイシングは練習直後だけでなく、ケガをした時の初期対応にも活用されるので、練習場所に保冷剤を持っていくなど、準備をしておくといいでしょう。
4−2.ストレッチポールを活用したリラクゼーションエクササイズ
ストレッチポールを使うと、他のツールやストレッチではなかなか難しいリラクゼーションエクササイズを行うことができます。
ストレッチポールは、当ブログを運営する株式会社LPNが製造販売する健康運動用のサポート器具です。ストレッチポールで簡単なエクササイズを行うだけで、全身をリラクゼーションし肩甲骨などの動きを良くすることが可能です。
これはなぜかというと、まずストレッチポールに縦乗りし、腕を床に降ろすと、自身の腕の重さで自然に胸まわりの筋肉がストレッチされます。同時に胸まわりが縦に伸びます。反対に背中側はストレッチポールに押されることにより、肩甲骨がフリーな状態になります。
この状態はセルフストレッチではまず得ることができません。床に仰向けに寝ていたとしても、練習で酷使した胸まわりは縦に伸びず縮こまったままです。また、肩甲骨はフリーにならず全体が下から押され固定されています。
ストレッチポール上で腕の先から小刻みな振動を与えることで、表層部から深層部の筋肉までがユルめられます。
これは専門的には「モビライゼーションエクササイズ」というものに近い、関節の動きを引き出す運動です。ストレッチとは別の作用で筋肉や関節まわりをユルめる方法なのですが、これまで専門家が徒手を使って行うしか方法がありませんでした。
しかし、ストレッチポールを使った運動を行うことでセルフでできるようになりました。精神的にもリラックス効果がもたらされます。
実際にストレッチポールのエクササイズによって肩甲骨まわりが整うことは複数の研究論文で明らかになっています。
参考:ストレッチポールエクササイズが抗重力肢位での肩甲骨・胸腰椎アライメントに与える影響(石川大輔ら)/ストレッチポールエクササイズが肩関節挙上角度と肩甲骨周囲筋に与える影響(山崎肇ら)ともに日本理学療法学術大会 2010 他の論文もCiNiiをご参照ください。
ラケットワークを行うことで、肩甲骨周りは崩れやすいです。そのため、ストレッチポールで肩甲骨を整えることが大切なのです。
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。
5.まとめ
バドミントンに必要なストレッチの方法とその効果についてお伝えしました。今回お伝えしたストレッチは週1プレイヤーでも、毎日練習される方にも自信を持ってオススメできる内容です。
ぜひ次回の練習から取り入れてケガ予防・パフォーマンス向上に役立ててください。
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