体幹トレーニングを始めようとお考えのアナタ。ダイエットからスポーツまで広く行われている体幹トレーニングですが、体幹を鍛えたらどうなるのでしょうか?
当たりに強くなる? ブレない体になる? いえいえそれだけではありません。この記事では、体幹を鍛える効果のすべてについて解説します。また初心者から上級者の方までもっとも効果的な体幹トレーニングの方法もご紹介していますので、ぜひお試しください。
体幹トレーニングのホントの効果を知って、今アナタが思っているよりも素晴らしい体を手に入れましょう。
この記事は石塚利光が監修しました。 日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著) |
目次
1.体幹トレーニングの効果は非常に多い
体幹とは、簡単にいうと「胴体の深層部の筋肉」です。その体幹を鍛えることの目的を知ると、トレーニングの質がさらに向上します。以下に、良い体幹を得るメリットを分類して紹介します。
2.健康的なダイエットに大きな効果!
2-1.体を引き締める
深層筋肉の動きをよくすることで引き締まった体になります。体幹トレーニングを行うことで、まずウエストが締まってくるでしょう。続いてモモや背中周りがスッキリしてきて、徐々に全身に及び、トータルでやせて見えるようになります。
2-2.長い時間、疲れにくくなる
筋肉自体の持久力(=筋持久力)がアップします。有酸素運動(ウォーキング、ランニング、水泳、自転車など)と組み合わせて、幹トレーニングを行うと、長時間疲労に耐えて動かせる筋肉が作られます。より質の高い有酸素運動ができるようになり、ダイエット効果が向上します。
3.スポーツパフォーマンスアップに欠かせない
スポーツのために体幹トレーニングを始められる方は多いと思います。ここでは適切な体幹トレーニングを行うことで、競技のための体づくりができることを説明します。
3-1.タフな体を作る
強くしなやかな体幹を持つと、全身の衝撃を吸収することができます。相手からぶつかられても、安定して受け止め、その力を逃がすことができます。結果、故障が起こりにくくなります。
サッカー日本代表の長友佑都選手は、ケガからの復帰過程で体幹トレーニングに出合い、トレーニングを重ねることで、どんな選手にも当たり負けせず、試合終盤でもタフに動ける体を作りました。
また、ダイエットの項目でも述べましたが、多くのスポーツは、試合時間は長く終盤でも実力が発揮できる筋持久力が必要です。強い体幹を得ることで、疲れにくい体が手に入ります。
3-2.動きが良くなる
競技のためのよい動きが作られます。
でんでん太鼓をイメージしてください。真ん中に軸があって、この軸がまっすぐ立っているから、紐の部分がよく振れて太鼓がリズミカルに鳴ります。この軸がグニャングニャンだったらどうでしょうか。回す力は紐に伝わらず、音を鳴らすことすら難しいでしょう。良い体幹は、この強い軸であり、手足の良い運動を作り出すということです。
3-3.バランス感覚が獲得できる
体幹トレーニングのレベルが上がると、バランスボードやバランスボール、ストレッチポールを組み合わせてバランストレーニングを行うようになるのが一般的です。競技中に大事なバランス感覚や姿勢を維持できる力を身につけることができます。
3-4.空中姿勢も良くなる
その結果、自分の体の中に軸が一本できあがった感じがします。例えば、バスケットボールのシュート、バレーボールのスパイクやブロック、サッカーでのヘディングの競り合いなどの際に、理想的なフォームでプレーすることができます。
それは同時に、最大の力を発揮できることでもあります。空中でも当たり負けしにくくなります。
3-5.運動に適した体ができる
手足の筋トレをすることで、手足は筋力を得ますが、重くなります。(筋肉は脂肪に比べて1.13倍重いという研究発表があります)
腕や足が重く、反対に体幹が弱いと、体は自分の手足に振り回されることになります。それを防ぐために強い体幹を得ることが大事です。
さらに実際の競技の動きを取り入れるトレーニングをすることで、体つきや動きがその競技にフィットしたものになります。
4.健康のためにさらに多くのメリットが
4-1.肩こりや腰痛などのトラブルが減る
体幹トレーニングは、姿勢をキープするための筋肉を強化します。その結果、一部に集中する筋肉の負荷やこわばりをなくします。
また、呼吸法と組み合わせて行うことで、胸はよく開くようになり、腰は安定します。その結果、肩の動きも良くなって肩こりが減ったり、腰痛にならない強い腰を得ることができます。
4-2.良質な呼吸により、質の高い睡眠を得る
質の良い体幹トレーニングと呼吸法はセットです。体幹を鍛える過程で、深い呼吸を得ることができます。呼吸は、酸素の流入を増やしたり、胸まわりの動きを良くします。その結果、質の高い睡眠が得られるようになります。疲労回復はまずは睡眠からです。
4-3.他のトレーニングの前に行うと、トレーニングの効果を上げる
他のトレーニングにもメリットが生まれます。例えば、バーベルを使ったウエイトトレーニングでは、負荷を強くしたり、回数を多くするためには、強く安定した体幹が必要です。
また、ダッシュにしても長距離走にしても、体のブレが少なくなるので、エネルギーロスを防ぎ、質の高い練習ができます。このように多くのメリットがある体幹トレーニングは、今やダイエットやスポーツにおいて、もっとも基本的で欠かせないトレーニングなのです。
5.体幹トレーニングの効果を上げる方法
トレーニングの効果を上げる五大原則というものがあります。これは体幹トレーニングにも当てはまります。
“トレーニングの五大原則 ”
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5-1.目的をはっきりする
五大原則の最初にもあるように、何のためのトレーニングか目的をはっきりすることが大事です。例えば「先輩がやっているから」とか「いいと聞いたから」では、体幹トレーニングの効果が上がりません。
自分がどのような能力を得たいか、そのためにはどのような体幹トレーニングを行えばいいか、自分で考えることです。時間と体力を効率よく使いましょう。
5-2.初心者はどこを鍛えているかを意識する
どこを鍛えているか意識をすることで、体幹トレーニングの効果がアップします。ただ漫然と行うのではなく、例えば、呼吸エクササイズの場合なら、「息を吐きながら、お腹の深層を引き締めている」と頭の中でイメージしながら行うのです。そうすることで、トレーニングがより身に付いてきます。
レベルアップしながら徐々に無意識で体幹を使うことが行えるように目指しましょう。(実際のプレー中に体幹を意識することはほぼ不可能なため)
5-3.専門家の意見も大事
五原則にもある、自分にあったトレーニングを行うためには、指導者や専門のトレーナーに一度指導を受けてみるのもおすすめです。
運動中の姿勢が、自分のイメージとまったく違うなどということはよくあることです。現状の能力や姿勢を客観的に評価してもらうことで、適切なトレーニングの方向性がわかります。また、トレーニングをしながら感じたことを指導者にフィードバックすることも、質を向上するひとつの方法です。
5−4.最も効果的な体幹トレーニングは
ここでは鉄板ともいうべき代表的な体幹トレーニングをご紹介します。初心者の方向けのメニューからご紹介しますが、筋トレ上級者の方もおろそかにしがちなのが体幹です。手足に筋肉がつくほど、タフな体幹が要求されますのでまずはプランクから行ってみてください。
プランク 強度:★
ザ・体幹トレーニング。腹直筋とお腹の横にコルセットのようにつながっている腹横筋を鍛えるトレーニングです。体幹トレーニングと聞くとこれを思い浮かべる方が大半ではないでしょうか。有名なメニューですが、改めてご紹介します。
エクササイズ方法:
腕立て伏せの姿勢から、肩の下に肘が来るようにして床につき、頭からおしりまでが一直線になるようにして姿勢をとります。肩や腕に力が入らないようにしてお腹を引き締めた状態で姿勢保持をします。
30~60秒を3セットを目安にまずは、30秒3セットを目標に行いましょう。
フロントクランチ(ニータッチ) 強度:★
腹直筋を鍛えるエクササイズです。主に腹直筋の上部を刺激していきます。ベーシックな腹筋の動きに似ていますが、ゆっくり起き上がることがポイントです。
エクササイズ方法:
膝を90度に曲げた状態で横になります。両手はももの付け根につけリラックスします。手をももの付け根から膝の頭まですべらせるようにして、上体を起こしていきます。この時肩甲骨が床から浮くくらいまで上体を起こすことで腹直筋の上部が鍛えられます。上体を戻す時は、起こしたときの2倍の時間をかけてゆっくり下していきます。
肩や腕に力が入ってしまうとお腹をうまく使えないので実施を中止します。10~20回を3セット。まずは10回3セットを目標に行いましょう。
レッグツイスト 強度★★
脚の重みを使って強度あげます。腹斜筋と腹直筋に効果的なエクササイズです。両足を上げるので腰に痛みがある人は様子を見ながら無理せず行うようにしましょう。
エクササイズ方法:
仰向けで横になり軽く両手をひらきます。両足をまっすぐ持ち上げ左右におろしていきます。この時肩が上がったり、カラダが捻じれて背中が浮かないように注意して行うことがポイントです。
左右15~20回3セットを目安にまずは左右15回3セットを目標に行いましょう。
knee to elbow 強度:★★
ダイナミックな動きをしながら腹直筋をトレーニングするエクササイズです。動きの中で体幹部の安定を図ることで全体的に鍛えることができます。
エクササイズ方法:
四つ這いの姿勢から、対角の手足を一直線になるように伸ばします。その状態からお腹の下で肘と膝がつくように曲げていき、ついたら伸ばします。この動作を繰り返し行います。
左右10回ずつを3~5セットを目安にまずは左右10回3セットを目標に行いましょう。
ツイストブリッジ 強度★★★★
動きの中から体幹部を安定させるエクササイズです。体幹部が崩れないように動きをコントロールするため腹斜筋や腹横筋などウエスト周りの筋肉を鍛えることができます。
エクササイズ方法:
腕立て伏せの姿勢で片脚を浮かせます。膝を曲げ足首を内側に入れ反対側の手と足の間に滑り込ませます。この時極力脚が床につかないように意識し、体幹部を安定させましょう。
左右10~15回3セットを目安にまずは左右10回3セットを目標に行いましょう。
別記事「体幹トレーニング50選!初心者〜上級者の1週間メニュー」では、能力や目的に応じたトレーニング方法をご紹介しています。また、トレーニングプログラムづくりの考え方も解説していますので、興味のある方はぜひご参照ください。
6.必ず守りたい注意点
体幹トレーニングの方法は、いっぱいありますが、なにを行うにしても注意したいポイントを紹介します。
6-1.誤った姿勢はケガのもと
姿勢が悪いままトレーニングを行うことは、効率が悪いのみならず、ケガのもとにもなります。姿勢は、正しいポジションにあるときに体が最も力を発揮することができ、また、偏った負荷がかからないようになっています。
6-2.はじめは呼吸を意識する
お腹の深層部の筋肉を活性化することが体幹トレーニングの第一歩です。筋肉が動く順番も、まずは深い部分にある筋肉からです。それは呼吸やお腹の収縮に関わる筋肉です。
一般的には「ドローイン」というトレーニングが有名です。体幹トレーニングに必要な呼吸をマスターして、ほかのトレーニングにも活用しましょう。
参考:Draw-in による腹横筋および内・外腹斜筋の筋厚変化(吉田昌弘ら・北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 2, 63-69, 2011 )
6-3.コンディショニングも体幹トレーニングの一部
コンディショニングとは、トレーニングをしていない時のケアのことです。体幹トレーニングが必要だからといって、1日中やり続けることはオススメしません。
また内容によっては、やらない日を設けたり、2〜3日起きに行ったりすることが最も効率がよい場合があります。専門家の指導を受けたり、専門書の内容をよく参考にしてください。自分自身の変化に敏感になって、強くしなやかな体づくりを行いましょう。
【付録】もっと詳しく知りたい人のために
ここからは、体幹とその機能について、もう少し詳しく説明します。
7.体幹とは
頭部と手足を除いた胴体全体を広い意味で「体幹(コア)」といいます。
コアの機能やトレーニング方法を研究する日本コアコンディショニング協会では、
上記に加えて、お腹の深層筋肉を指して「体幹(コア)」という場合もあります。
それは横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋の4つの筋肉です。
8.運動時の体幹の機能について
体幹には、外側と内側(深層)の筋肉があります。外側の筋肉は主に直接的な動きに関わり、内側は動きのための準備や姿勢の維持、さらに呼吸などに関係します。
8−1.安定性を得る
強靭な体幹を得ることは、静止時はもちろん、運動時においてもどっしりした安定性をつくることになります。加えて、動きの中でぶれない姿勢をつくることができるので、正確性が増し疲へいしにくくなります。
8−2.良い動きを作り出す
良い動きとは、競技に適した強くしなやかさがある動きです。丈夫な体幹からもたらされます。以下に詳細に解説します。
良い動きのための体幹とは・1 ”自由な手足を作る”
手足がガチガチでは、何をすることもできません。インパクトの瞬間に、最大の力を発揮するために、その前後の過程では、ちょうどよく力が抜けていることが必要です。うまい人のプレーほど、余計な力が入っていないように見えるでしょう。
そのためには強いカラダの軸、つまり体幹が必要です。手足は軽く自由に。体幹はどっしり強く。これが運動にもっとも適した状態です。
良い動きのための体幹とは・2 ”上半身と下半身を切る”
もちろん実際に切るわけではありません。多くのスポーツにおいて、上半身と下半身は別の動きをします。
例えば、野球のバッティング。ボールを打とうとする時には、まず上半身をひねっていきます。その時に下半身はまだひねられていません。ボールが当たって、振り抜くときから下半身がひねられていくのです。強い体幹は、この理想的な動きを作ることができます。
良い動きのための体幹とは・3 ”手足の連動を生み出す”
無意識で行われるプレーには必ず手足が連動しています。例えば、歩こうと思った時に、無意識のうちに腕はどうなっているか確かめてみてください。このような手足のそれぞれの、または対になる動きは体幹を軸にして行われています。
良い動きはプレー練習のみによってもたらされるのではありません。体幹を基礎に理想的なカラダの動かし方をマスターする必要があります。
8−3.下半身の力を上半身に伝える
地面を踏んだ足の力。これが骨盤と体幹を通じて腕に伝わり、全身の動きが生まれます。
弱い体幹では、力が吸収されたり逃げたりして、うまく腕に伝わりません。全身の力をフルに活かすために体幹が機能しています。
8−4.「動き」より先に体幹は動いている!?
実は、手足が動く前に体幹の深層部が先に動き出しているのです。例えば、「手を出そう!」と脳が指令を出した瞬間に、まず深層筋肉(腹横筋)がキュッと収縮しているのです。この働きが起きることで、的確な運動動作が生まれ、また姿勢が安定し腰が守られるのです。深層筋肉を日頃からトレーニングで良く動かしておくことが大切です。
9.まとめ
体幹の多くの機能がおわかりいただけましたでしょうか。
ここまでお読みになって、体幹トレーニングをさっそく行いたい!と思われた方へ。体幹トレーニング50選!初心者〜上級者の1週間メニューにて、豊富に体幹トレーニングをご紹介しています。ぜひご参考になさってください。
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