横隔膜ストレッチというエクササイズがあります。
テレビ番組「金スマ」やNHK「朝イチ」でいろいろな方法が紹介され、そのやり方を探している方が少なくありません。
横隔膜は、肺を動かす大事な体幹筋のひとつです。これがよく動くと呼吸が深くなり姿勢も良くなるなどの効果があります。
この横隔膜の動きを良くするのが「横隔膜ストレッチ」です。実は横隔膜はその位置の関係上、これだけをストレッチすることは難しく、周辺環境を整えてあげたほうが動きやすくなるのです。
ではその方法とは?
今回は、当ブログ編集部が横隔膜ストレッチのメリットや効果的な方法をお伝えします。
1.横隔膜とは
まず横隔膜について解説します。
1−1.横隔膜の位置と働き
横隔膜は肺の下にあり、呼吸のために肺と連動します。クラゲの傘のような構造をしています。
呼吸をするとき、肺が単体でしぼんだり膨らんだりするわけではありません。呼吸に関わる筋肉(呼吸筋)が肺を動かしているのです。呼吸筋は主に2つあります。
肋骨(ろっこつ・あばら骨)の間にある肋間筋(ろっかんきん)は、これが開いたり縮んだりすることで胸式呼吸となります。
もうひとつが横隔膜で、これが上がったり下がったりすることで腹式呼吸が可能になります。息を吸うときはこれが腹部の方に引き込まれ肺が膨らみます。息を吐くときは肺を下から押し上げる形になります。
呼吸筋を動かす指令を出しているのが脳幹の下部、延髄にある呼吸中枢です。ふだんは意識しないでカラダの求めに応じて呼吸できていますが、自分の意思で息を止めることができるのが呼吸筋の特徴です。(例えば心臓は自分の意思で止めたり早めたりすることができません)
1−2.横隔膜の機能
横隔膜がうまく働かないと、深い呼吸ができないことになります。肩こりや腰痛、姿勢の悪さにもつながります。
これはなぜかというと、横隔膜を使わない胸式呼吸ばかりだと、肩を上下させる呼吸ばかりになります。自然に肩を酷使してしまうので肩こりが起こりやすくなるのです。
また胸を反らせて呼吸をする方もいます。このような方は腰を反ってしまいがちで腰痛のリスクが高まります。
横隔膜を始めとする体幹筋(腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群を含みます)は、協調して姿勢の保持にも大きな役割をはたしています。横隔膜が使えないことは、自然と姿勢を悪くし、そのことでもいろいろなトラブルが起こりやすくなるのです。
特に左から二番目のように上体が反ってしまう方が多いです。こうなるとろっ骨まわりは伸びるのですが、横隔膜が機能しにくくなります。
横隔膜を働かせるには、肋骨は水平を維持することが重要です。
また、姿勢が悪いと図の通り、お腹がぽっこりしやすくなります。体幹筋を使えていないからです。ダイエットをしようと思ったり、くびれを作りたいと考えられている方は、まず呼吸を正しくして、体幹筋に刺激を入れて姿勢を整えるところからスタートすると効率よく、よいプロポーションが得られるでしょう。
以下の動画では呼吸と姿勢について日本コアコンディショニング協会の脇坂大陽さんが解説しています。
2.横隔膜をよく動かすためには
横隔膜は呼吸と胸郭(肋骨とその周辺)の動きに連動しています。このことがわかればよく動かすための原理がわかります。
一つめは、深い腹式呼吸を行うということです。息を吸うときはよく引き込ませお腹が膨らむようにし、吐くときはお腹がへこむような呼吸をこころがけましょう。
二つめは、胸郭の動きを柔らかくするということです。呼吸をする時には横隔膜が前後左右にも広がります。肋骨まわりが硬いと、横隔膜の動きが小さくなり十分な呼吸ができなくなるからです。
三つめは、胸を開く時に肋骨下部が開かないように、またなるべく骨盤と水平をキープすることです。このことで横隔膜が機能しやすくなります。
3.特選!横隔膜ストレッチ5
いよいよここから横隔膜の動きをよくする特選ストレッチをご紹介します。上記でお伝えしたポイントを効果的に行う方法です。
■椅子に座ってのストレッチ1
椅子に腰掛けます。背もたれに背中が当たらないようにします。まずは胸の前で手を組み、前に出しながら息を細く長く吐き、顔でお腹をのぞきこみます。背中が丸まるようにしてください。
続いて、息を吸いながらヒジを後方に引き、同時に胸を開いていきます。上半身を反らないようにします。10回繰り返しましょう。
■椅子に座ってのストレッチ2
椅子に座ったまま、片手を反対側の太ももの上に置きます。もう片方の手を上に伸ばし反対方向に倒します。体の横側が良く伸びるようにしてください。呼吸を止めないまま10秒キープしたら反対側も行います。2〜3回繰り返しましょう。
■うつ伏せストレッチ(コブラのポーズ)
お腹の縦方向の筋肉のストレッチになります。腹式呼吸が行いやすくなります。
背中が弓なりになるようにし、お腹のストレッチ感を感じながら30秒間キープします。
■腹式呼吸のトレーニング
「息を吸った時にお腹をふくらませる」。これが腹式呼吸ですが、やり方がよくわからなかったり、できているつもりでもできていないことがあります。コツをつかむ方法をご紹介します。
柔らかいゴムボールを用意します。お腹が膨らむ感覚がわかれば何でも良く、枕やクッションでもいいです。
仰向け寝になり、ヒザを立てて写真の態勢をとります。ボールをお腹に当てて両手でしっかりホールドします。
息を吸う時にこのボールをお腹でつぶす感覚を得るようにします。同時に腰にある背骨が床に当たるようにします。腰の下に別の枕やクッションを敷いてもいいです。その際は腰があまり反らないようにしてください。
10回繰り返します。「息を吸う時に横隔膜がおへその方に引き込まれてお腹が膨らむ」イメージで行います。
■ストレッチポール®を使った胸開き運動
ストレッチポール®の上に仰向けで縦乗りすると、自然に胸が開き、体幹筋への刺激が入りやすくなり、その結果呼吸がしやすくなります。
ストレッチポール®上でのエクササイズと呼吸改善の関連性は研究結果でも発表されています。(健常成人に対するストレッチポールを使用したエクササイズが呼吸機能に及ぼす効果 リンク)
ここでは最も簡単なエクササイズの一つをご紹介します。
ストレッチポール®上に仰向けで縦乗りし、足を肩幅よりも広げヒザを立てます。手は甲を床の方に接して、腰の近くに置いておきます。
そのまま腕を広げ、肩の高さあたりまでスルスルと滑らせます。この態勢のままゆっくり10〜20秒キープし戻します。
目は開いていても閉じていてもよく、ご自身で最もリラックスできるポジションで行ってください。
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。
4.まとめ
横隔膜ストレッチの方法をご紹介しました。
横隔膜そのものをストレッチすることは難しいですが、呼吸を深くすることで横隔膜の動きを良くすることができます。
その結果得られるメリットは多岐にわたります。お伝えした方法でぜひ生活の質を向上なさってください。
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