カフェインは大変有名な成分です。コーヒーや茶飲料、チョコレートに含まれているので、人によっては摂取をしない日がないくらい一般的な成分といえます。
このカフェイン。上手に使うと疲労回復などの効果を得られることがあります。しかし、医薬品にも扱われるほど効果が強く副作用がある側面もあります。
アスリートであればドーピング違反を心配されるかもしれません。そこで今回はこのカフェインの効果や副作用についてまとめました。
1.カフェインとは
興奮や覚醒作用のある有機化合物の一種です。コーヒーやお茶、ココアにも含まれます。ココアをおやすみ前に飲むとホッとすると言いますが、これは「スッキリする」効果なのでしょう。昼寝、仮眠前にもコーヒーを飲むことでスッキリめざめられると愛用している方もいます。
カフェインが含まれる飲料(100ccあたり) | カフェイン量(mg) |
コーヒー (エスプレッソ) | 280 |
コーヒー (ドリップ) | 90 |
コーヒー (インスタント) | 45 |
栄養ドリンク | 50 |
ココア | 30 |
玉露 | 120 |
抹茶 | 30 |
紅茶 | 20 |
ほうじ茶 | 20 |
ウーロン茶 | 20 |
緑茶 | 20 |
玄米茶 | 10 |
コーラ | 10 |
チョコレート(カカオ豆)やガラナなどのハーブにも含まれます。
2.カフェインの疲労回復効果
カフェインは数時間にわたってエネルギー量を増加させ、疲労感を軽減する可能性があります。
競技特性としては、持久系、長時間系のスポーツに向いているようで、特に、激しい断続的な活動が必要になるスポーツ(例えば サッカーやテニス)に最も効果が高いのではないかと考えられています。
反対に、無酸素系の短距離走やウェイトリフティングのような短時間の激しい運動にはあまり役立たないと言われています。覚醒、鎮痛効果を含めて、人によってカフェインへの反応の度合いは異なります。すべての人の運動能力を向上させるものでなく、また、パフォーマンスをわずかにしか向上させないかもしれません。(出典:食品安全情報(化学物質)No. 2/ 2018 別添文書 国立医薬品食品衛生研究所)
3.適正な使用量
パフォーマンス向上に役立つカフェインの量は、体重 1 キロあたり 2~6 mg、つまり体重 70 kgの人で約 210 ~420 mg です。これはエスプレッソ1杯程度飲めば補給できる量となります。
NBAスパーズのボリス・ディアウはロッカールームにエスプレッソマシンを持ち込んで、愛飲しています。
4.ドーピングは?
カフェインは、2004年以降禁止物質からはずれ監視プログラムに移行しています。それ以前はオリンピック選手村でも飲めないようなタイミングがありました。現在は、試合直前でもお茶やコーヒーに特別の注意をはらう必要はなくなったといえます。
しかし監視対象としてモニターされているということは、今後の研究結果によって再び禁止される可能性もあり、注意しておきたいところです
5.副作用は
疲労回復効果があるといっても、度を越した摂取によってパフォーマンスを向上させることはなく、副作用の危険性を高める可能性があります。
危険な副作用は以下の通りです。
・振戦(ふるえ)、不整脈、虚脱、眩暈、不眠、不安、瞳孔散大
以下の副作用を起こすこともあります。
- カフェイン禁断性頭痛
- 倦怠感
- 高血圧性頭痛
- 眠気
- 片頭痛
- 血管拡張性頭痛
- 脳圧亢進性頭痛
これを防ぐために成人の場合、1 日あたり400~500 mgまでにしてください。しかし、10代の青少年は1 日 100 mg 以下にとどめます。
Collegiate&Professional Sports Dietitians Associationの報告では 、「カフェインが必ずしも良いとは限りません。 カフェインは体重1kgあたりカフェイン6〜9ミリグラムという非常に高いレベルで摂取すると、トレーニング、睡眠、およびパフォーマンスに悪影響を与える可能性があり、同様に、胃腸の問題、悪心または震えを引き起こす可能性があります。」としています。極端な例では、1 回に10,000 mg 以上(純カフェイン 粉末で大匙 1 杯)を摂取すると死に至る可能性が高まります。
6.禁止、注意すべき対象
以下の方は、カフェインを取らないようにしてください。
- 妊婦・産婦
- 授乳婦
高齢者の方には注意して使用、また薬としての投与に際しては指導が必要です。
以下の既往症をお持ちの方には慎重投与となります。医師の診断をあおいでください。
- 胃潰瘍
- 心疾患
- 緑内障
7.まとめ
米国をはじめとする世界中のスポーツ医薬品専門家は、カフェインが、一定の強度レベルでより長く運動するために、 および疲労感を減らすために役立つ可能性があるということで一致しています。
しかしこれは個人差があり、効果がある人も、あまり感じられない人もいるということです。20歳以上であれば、試合やトレーニングの15〜60分前に140〜420mgを取ることが推奨量です。画期的な効果があるという薬ではありませんが、試してみたい方や、継続的に使いたい方はこの量を参考になさってください。カラダに合わなければ無理して使うまでもないでしょう。