腰痛予防の3ポイント。基本ストレッチ&簡単トレーニング集

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lowbackpain

イヤな予感がしたら、やっぱりギックリ腰! もしくは、昼過ぎになるとぶり返すジンワリした腰の鈍い痛み。腰を反らしたり前屈したりしてなんとかダマしダマし…。

このような腰痛と一生つきあっていかねばならないのでしょうか。なんとか予防できないものかと思いますよね。

腰痛と無縁の生活を送るためには、

・意識して姿勢を良くする

・腰を守る深層筋肉が、うまく機能できるようにする

・日常から腰痛を発症させないように気をつけて行動する

ことが大事です。この3つがなくては、根本的な解決策にならず、腰痛をガマンして生活していくか、小手先の対処法を繰り返していくしかないのです。

そこでここでは、腰痛予防の大原則と方法をお知らせします。原則を知って目的をもって行うほうが、効果が高いからです。

そのうえで、ここに書いてある方法を、日頃の習慣として1ヶ月続けてください。キツい運動はありませんので、ぜひ取り組んでみてください。※ここでは、痛みのない状態での腰痛再発予防方法をご紹介します。また、どのような腰痛も一度は医師の診察をあおいでください。

この記事は石塚利光が監修しました。

日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著)


1. 腰痛が起きる原因

1−1.背骨のS字カーブが狂う

ヒトは、進化の過程において直立二足歩行ができるための骨格などの機能を得ました。重力と共存して生きるために、背骨はS字カーブを描いて、負荷を分散するようになっています。また地面からの衝撃を受け止め逃がすためにも、このS字カーブは重要な役割を果たしています。

何らかの原因でS字カーブが失われると、体のカナメである腰に衝撃が加わりやすくなります。背骨と背骨を繋ぐ「椎間板」も変形し、様々な問題を引き起こします。

S字カーブ

1−2.腰やお腹を守る筋肉の働きが衰える

心臓や肺がある胸のまわりは背骨と肋骨で守られています。お腹まわりはどうでしょうか。そこにある骨は、太い背骨(腰椎)だけです。

そのために、お腹や腰を守る筋肉が生まれつき備わっています。これは、ボディビルダーなどで有名な6つに割れた腹筋(腹直筋)ではなく、お腹の深層部にあるインナーユニットと呼ばれる筋肉群です。インナーユニットは、呼吸や内臓の機能、姿勢の保持などにも大きく関与しています。

このインナーユニットがうまく活用されないと、腰椎に負担がかかることになり、腰痛の原因となります。

インナーユニットの4つの筋肉


2. 腰痛を予防するために

つまり腰痛予防には、この2点が大きく関わっているということです。すなわち、

姿勢を良くする(背骨のS字カーブを維持することができる)

ストレッチとトレーニングを行う(インナーユニットの働きを良くし、腰を守ることができる)

ことを実行すれば実現するのです。さらに、仕事や生活においてなるべく腰に負担をかけないようにすることが大切です。

3.正しい姿勢を維持する方法

ここでは、家庭でも職場でも活用できる、正しい姿勢のための取り組みをお伝えします。

3−1.座っているときの姿勢を良くする

正しい座り方

背筋が伸びた正しい座り方です

正しい椅子への座り方は、

・やや浅く腰掛ける。

・骨盤を立てて座る。後ろや前に傾くのはNG

・腰が反らないように注意する

・お尻の骨が椅子の座面に当たることを感じる

・背筋をまっすぐ伸ばす

・視線は水平にする。あごを引いたり突き出さないようにする。

・脚が90度に曲がっている です。

 

悪い座り方

骨盤が後ろに傾くような姿勢は、腰痛の原因になります

 

3−2.立っているときの姿勢を良くする

立っている姿勢

常に正常な姿勢をキープするようにしましょう。正常な姿勢をつくるためには、

・写真のように、まっすぐ立つ

・真ん中の重心位置で立つ(左右どちらかの足に偏った力をかけない)

・胸を軽く張り、頭が前に突き出ないようにする

・カバンの片がけをやめる(左右交互にかけるようにする。またはリュックサック型のカバンを使う)

・X脚・O脚に注意する などです。

また、反り腰や猫背などの不良姿勢が、S字カーブを乱す最大の原因です。横から見てどちらかに傾いている場合も要注意です。

姿勢のチェック方法&改善方法については、今すぐチェック!4つのタイプ別姿勢改善ストレッチにてご紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。

姿勢一覧

3.腰痛予防のストレッチ

良い姿勢を意識できたら、ストレッチを行いましょう。ご紹介するのは、インナーユニットの機能を良くして、腹圧を高め、腰が守られるようになるものです。*ストレッチ前よりも強い痛みを感じた場合は無理せずに中止してください。ぎっくり腰の場合は、動ける範囲で行ってください。

3−1.腹式呼吸

インナーユニットの働きを良くする基本的なエクササイズです。

腹式呼吸1

腹式呼吸2

仰向け寝でヒザを立てます。お腹に手を当て、息を吐きながらお腹を凹ませていきます。10秒以上かけて、細く長く腰を床に押し付けるようにします。馴れてきたら、より長い時間をかけて行うようにしてください。3〜5セット。

3−2.逆腹式呼吸

逆腹式呼吸

同様の姿勢ですが、今度は息をゆっくりと細く吐きながらお腹を膨らませていきます。これも息を吐きながら腰を床に押し付けます。3〜5セット。

3−3.キャットバック・ストレッチ

猫が寝起きに伸びをするような動きをイメージしてください。 脊柱起立筋のストレッチにもなります。

キャットバック1

息を吐き、お腹を凹ませながら、背中が丸くなるようにします

肩とももの付け根から、床に垂直になるように手・ヒザをつき四つんばいになります。

1.背中を丸めながら天井へ引き上げます。この時に息を細く吐きながら、おへそに頭が近づいていくようにします。背中が丸められることで背骨にそった脊柱起立筋へのストレッチがかかります。

キャットバック2

最初は左の感じでOKですが、右のように前に伸ばすと、さらにトレーニングの強さがアップします

2.息を吸いながら、背中を反らしつつ、上と前に伸びていきます。天井を見るように目線を上げ、首を前にのばしていきます。両手で床をじんわりと強く押していってください。

1と2を交互に繰り返しましょう。3〜5セット。

キャットバック3

息を吸いながら、お腹を凹ませつつ、足先を見るようにします

 

4.腰痛予防のトレーニング

腰痛に負けない強い腰をつくるためには、さらにトレーニングが必要です。トレーニングとはいえ、キツいものではありません。どなたにも行っていただける簡単なものですので、腰痛と無縁な生活を送るために、ぜひ継続して行ってください。

4−1.プランク

プランク

腕立て伏せの姿勢から、肩の下にヒジが来るようにして床にヒジをつきます。頭からおしりまでが一直線になるようにしてお腹が落ちないように姿勢をキープ。呼吸は自然に繰り返してください。3060秒を目安に行いましょう。

アレンジメニュー・ラクにできるようになったら、片足をつま先まで伸ばして、床から20cm程度浮かしてみましょう。さらにお腹を鍛えられる運動になります。

4−2.サイドプランク

サイドプランク

ヒザを90度に曲げ、肩の下にヒジが来るように床につけ横向けに寝ます。このとき、ヒジの角度は90度にしましょう。おなかが落ちないように頭からおしりまで一直線を維持して3060秒を目安に姿勢を保ちましょう。

アレンジメニュー・脚をカラダと一直線にし、ヒザも床から上げます。運動の強さが高まります。

4−3.逆プランク

逆プランク

足を伸ばして床に座ります。

肩の下にヒジが来るように床につき鎖骨からかかとまでが一直線になるようにしておしりを床から持ち上げます。このとき、目線はつま先を見るようにします。3060秒を目安に行いましょう。

4−4.ハンド&ニー

ハンドニー

キャットバックの体勢から、お腹に力を入れて片腕をあげます。そのまま反対の脚をあげます(右腕をあげたら、左脚をあげる)。10秒キープして、脚と腕をおろし、反対側も行います。2〜3セットを行ってください。

5.腰痛予防に効果的なツール集

私たちが提供する3つのツールは、腰回りをゆるめ正常な状態に近づけるものであり、また体幹トレーニングツールとして、インナーユニットを刺激し腰を守るようなカラダをつくるように考案されています。

腰の痛みがない状態であれば、ぜひ活用をご検討ください。※すべてのツールエクササイズは、腰痛がある状態では行わないでください。また、トレーニングの結果による腰痛予防の効果には個人差があります。

5−1.腰回りをゆるめ整えるストレッチポール®

腰回りをゆるめるセルフマッサージ

ストレッチポール1

ストレッチポールに仰向けに縦乗りになり、安定した状態から左右にユラユラ、ご自身が気持ちいいように揺れてください。30秒〜1分程度を目安に。骨盤が動きやすい位置になったポジションで、小刻みな振動を与えることで、股関節が正しい位置におさまろうとします。

骨盤と股関節まわりを調整してキープする「ペルコン」

ストレッチポール2

ストレッチポールには、さらに骨盤と股関節まわりをゆるめ整え、正しい位置をキープしようとする運動「ペルコン」があります。一連の動きはyoutubeコアコンファンチャンネルの再生リスト「【ストレッチポール】骨盤と股関節の運動 ペルコン」をご覧ください。

また別記事にてストレッチポールを使った運動が骨盤に良い影響を及ぼす理由について解説しております。ストレッチポールで簡単骨盤調整!2つのポイントとその方法 お知りになりたい方はぜひご参考ください。

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5−2.中から腰を引締めて安定させるひめトレ®

ひめトレ1

インナーユニットは腰を守る天然のコルセットともいえるものです。ひめトレを使用したエクササイズは、インナーユニットの一つである、骨盤底筋の動きが自分でイメージできるものであり、また、インナーユニット全体の活性化に効果があります。2015年8月に行われた第17回日本女性骨盤底医学会において、ひめトレのエクササイズは骨盤底筋の動きを良くすることが考えられるとの研究発表が行われました。

ひめトレについての詳しい情報は、当ブログ内のこの記事より、エクササイズの内容をお知りになりたい方はyoutubeコアコンファンチャンネルの「【ひめトレ】代表的なエクササイズ」をご覧ください。

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5−3.骨盤を調整するスイングストレッチ®

スイングストレッチ1

スイングストレッチは、骨盤状の器具を骨盤の下に置いて、うつ伏せでエクササイズを行うものです。ストレッチポールだと「腰の骨が当たって痛い」という方にも、安心してお使い頂ける設計となっています。

脱力してユラユラゆらすだけで、骨盤の位置が適正になってきます。

エクササイズ後は、骨盤が立った状態を実感できたり、股関節の動きが良くなったり、また、腕の上がりがよくなったという感想を多く頂いています。

スイングストレッチについては、当ブログ内のこの記事をご覧ください。エクササイズについては、youtube動画「スイングストレッチ 基本エクササイズのご紹介」にて、概要がお分かり頂けると思います。

6.職場でも求められる腰痛予防

近年、厚生労働省より「職場における腰痛予防対策指針及び解説」が発表されました。

腰痛を発症すると、仕事に直接的に大きな影響のある作業労働者の方がほとんどだと思います。また、自動車運転をされる方、デスクワークの方も大きく能率が落ちることになります。経営者としても、職場においての腰痛を減らすことが緊急的課題となっています。

指針では、腰痛予防方法として、次のようなアドバイスを記しています。

・重い物を持ち上げる時や、カラダを曲げる、ひねる時の急激な動作に注意する。持ち上げる動作では、腹圧をかけるようにする。

・前かがみや中腰等の不自然な姿勢を取らないようにする。なるべく膝を着いた姿勢にし、ひねりやねじり動作は体ごと向きを変え、正面を向いて作業する。また、作業時は、対象にできるだけカラダを近づけて作業する。 

・ 同じ姿勢を長時間取りつづけないようにする。例えば、長時間の立ち仕事では、片足を乗せておくことのできる足台や腰部を乗せておくことのできる高い椅子等を利用し、長時間の座位作業では、ときどき立位姿勢を取るように心がける。また、休憩時間には姿勢を変えるようにする。

・不自然な姿勢を取らざるを得ない作業や反復作業等を行う場合には、他の作業と組み合わせたりして、同じ作業が連続しないようにする。

・フィットした靴を履く。腰に負担のかかる作業を行う場合には、ハイヒールやサンダルを使用しない。

・作業服は、伸縮性、保温性、吸湿性のあるものとする。

・ 腰部保護ベルトは、効果を感じられる人もいるが、腰痛がある場合に装着すると外した後に腰痛が強まるということもある。また、女性労働者が、幅の広い治療用コルセットを使用すると骨盤底への負担を増し、子宮脱や尿失禁が生じやすくなる場合があるとされている。腰部保護ベルトを使用する場合は、職場全員が一律に使用するのではなく、労働者に腰部保護ベルトの効果や限界を理解させるとともに、必要に応じて産業医(又は整形外科医、産婦人科医)に相談する。 

・作業場内の温度が寒すぎないようにする。また多湿にも注意する。

・作業前や休憩時間等にストレッチングを行う

・心理的ストレスが、腰痛を発症させ悪化させる一つの原因となるので、心理的ストレスが溜まり続けないように考慮する などです。

仕事環境で取り組むべき腰痛予防は、労働者個人の取り組みも大切ですが、会社全体としても行う必要があります。この記事を読まれている方は、ぜひ職場で取り組めるよう提案を行っていただきたいと思います。

まとめ

腰痛を予防するには、

・普段の姿勢を改善する

・腰に負担をかけることを避ける

・ストレッチやトレーニングで、腰痛を再発させない強い腰をつくる

ことが大原則です。このページでご紹介したことを参考に、ぜひ取り組んでみてください。腰痛を予防して、仕事も余暇もアクティブに楽しめる人生を送りましょう。

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