セロトニンとは何かごぞんじですか?
「幸せ系脳内物質」ともいわれるセロトニンは、人間の活動に大きく関わっています。これが欠けることで、睡眠の質が悪くなったり、ストレスを感じたり、便秘になってお肌の調子が悪くなったりと言われることもあります。
実は、体内で欠ける(足りなくなる)ということではなく、その分泌量がそもそも少ないことが考えられます。もしくは生産と消失のリズムが悪いために徐々に生産量が減っているとも考えられます。
それがいろいろなトラブルの原因になっているのです。
そのように大事なセロトニンについて、この記事では解説します。セロトニンを増やしたい方はぜひ最後までご一読ください。
目次
1.セロトニンとは
セロトニンは、体内で合成(製造)されます。体中のセロトニンの総量は約10mg。これは1gのわずか1%の量ですが、人間の正常な機能には不可欠な成分です。
そのうち、消化管粘膜で90%、血液の血小板中に8%します。脳内の中枢神経系ではわずか2%しかありません。しかしこの塩2粒くらいのセロトニンが脳内で大事な役割を果たしているのです。
セロトニンは必須アミノ酸の一つ「トリプトファン」から合成されます。
2.セロトニンのはたらき
セロトニンは神経物質として様々な役割を果たしています。日中は多く生産され、就寝中の熟睡時にはほぼゼロになるというサイクルを繰り返しています。つまり活動時に不足しているといろいろなトラブルを引き起こします。
2−1.脳内では
生体リズムに関わる働きが主となります。睡眠や体温調整、精神や感情のコントロール調整にも大きく関わっています。「幸せ系脳内物質」といわれるのはこのためです。
消化器、血管系、痛み、食欲などのコントロール機能も果たしています。
2−2.体内では
消化器で生成されるので、まずは消化器系の働きに関わります。セロトニンの分泌が少ないと便秘になるという研究結果もあります。
血液中の血小板の働きにも関与しているので、血液凝固などにも大切です。
3.セロトニンの分泌を減らす要素
・偏った、または栄養が足りない食生活
・運動不足
・睡眠不足
・不規則な生活パターン
・ストレス
・感情や表情が少ない心理パターン
・メリハリの少ない消極的な生活
です。これらはセロトニンが少ないから消極的になったり感情が少なくなったりするという考え方もできますが、自分から進んで行うことでセロトニンの分泌が活性化すると考えることもできます。
4.増やすには【1】食事からトリプトファンを摂る
セロトニンの体内合成に直接関わるのが必須アミノ酸のトリプトファンです。
トリプトファンの多い食品は下記のようなものがありますが、増やそうとして摂りすぎないようにしてください。多量に摂ったからといってさほど効果は変わりなく、また摂り過ぎに注意するべき他の栄養素も含まれる可能性があります。
・ナッツ類(ひまわりの種、ゴマ、カシューナッツ、ピーナッツ、ピスタチオ、くるみ)
・豆類(大豆、いんげん、あずき、枝豆。大豆製品にも豊富)
・魚介類(かつお、まぐろ、あじ、いわし、すじこ、うに)
・レバー(豚、牛、鶏)ほか肉類
・チーズ
・鶏卵
繰り返しになりますが、このように多くの食品に十分な量のトリプトファンが含まれていますので、セロトニンを増やそうとして偏食にならないように注意してください。
ゆっくりよく噛んで食べることでもセロトニンの生産が刺激されます。
5.増やすには【2】健全な睡眠習慣で発生を促進する
セロトニンを増やすには、生活習慣の取り組みで体内環境を変えることのほうが有効です。メリハリのある生活をすることで、カラダが「セロトニンを分泌するべきタイミング(活動時)」と「消失のタイミング(熟睡時)」を認識しそれに従って機能しようとします。
5−1.朝日を浴びる
強い光を受けることでセロトニンの合成が促進されます。特に起床後1時間以内に強い光を浴びることを習慣化してください。そのことでカラダは明け方に光を浴びるための準備を行うようになります。就寝していても明け方になるに従い交感神経が高まってくるのです。
セロトニンについても十分に合成されるようになります。起床後、ウォーキング等で軽くカラダを動かすか、室内でしたら朝日が差し込むようなお部屋でストレッチなどを行ってください。
- おやすみ前1時間は強い光を浴びないようにしてください。就寝中に減るべきセロトニンが発生して目覚めモードになるからです。ベッドでのスマートフォンやタブレットはもちろんテレビやLED電灯も強い光です。間接照明を活用しましょう。コンビニの照明も想像以上に強いので、夕食後に立ち寄りたい方は注意してください。
5−2.早寝早起きを心がける
当ブログでは最適な睡眠時間を7時間半と提案しています。(参考:最適な睡眠時間は本当に6時間半なのか理想的な睡眠時間とは)質量が不十分な睡眠は脳の老化を早めると考えられているからです。
2014年にシンガポールの研究者が行った調査によると、睡眠時間が少ない高齢者ほど、脳が早く老化することがわかった。- Sleep Loss Accelerates Brain Aging: Study
じゅうぶんな睡眠時間を確保した上で、前項でお伝えした通り起床時に朝日を浴びるためには早寝することが重要です。5時〜6時に起床するためには21時半から22時半には就寝するようにしましょう。
5−3.結論・快適な睡眠を得るには、1日の取り組みが必要
午前中は日に当たるタイミングを取るようにしてください。
昼食を摂ったあとの間食は15時くらいにナッツなどのGI値が低いものを食べることをおすすめします。すぐれた脂質や食物繊維の多い糖質は吸収されるのがおだやかでダイエットにメリットがあります。
また15分程度の仮眠は午後の能率を向上させる効果があります。
就寝する3時間前に夕食をとりましょう。すなわち18時半から19時半までとなります。その後、温めのお風呂にゆっくり入ってください。おやすみ前のストレッチは1時間前までにが理想的です。就寝までの1時間は脳や目を刺激しないようにしましょう。
週末も平日と同様の起床就寝時間をなるべく崩さないようにします。体内時計が狂うと自律神経やセロトニンの発生に影響を及ぼします。
このように考えると、1日を通して、そして毎日の取り組みが必要です。
睡眠の質を改善したい方は、安易にサプリメントや薬に頼るのではなく、まずはここから行ってみるようにしてください。
- うつ病の治療のために抗うつ薬を服用していると、その組み合わせや過剰摂取によって、脳内のセロトニンが増えすぎてしまい、一種の興奮状態のような副作用を及ぼすことがあります。頭痛や発汗、高血圧などから筋肉の過緊張、錯乱、昏睡などに至ることもあります。決められた用法用量を守って服用してください。発生の可能性がある場合は速やかに受診なさってください。
6.まとめ
セロトニンについてと、その増やす方法についてお伝えしました。カラダの大事な機能に大きく関わるセロトニンですが、即効的に増やすことはなかなか難しいことがお分かり頂けたかと思います。
大事なことは、セロトニンの分泌が増えるように環境を整えるということです。体内環境、生活環境を健康的にし、良い睡眠をとり、日中は運動したりこまめに動き、良く笑ったり感動したり人と話すことでセロトニンが分泌されやすくなります。
必要な物質はそれが必要とされるところにより多く出ると考えていただければと思います。
そのことで健康的な生活が好循環となります。セロトニンを増やしたい方はぜひ参考にしていただければと思います。
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