野球肘ストレッチ|専門家が教えるチェックと効果的な対処法

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宝谷

宝谷 祐哉さん JCCAマスタートレーナー 兵庫県県立高校体育教諭。 野球部監督

送球直後に肘あたりに違和感を感じたと思ったら、時間とともに強くなり、最終的には痛くて肩もあげられなくなる。これは野球肘の一つの症状です。

一度野球肘になってしまうと、なかなか改善しませんよね。鈍い痛みに悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

ここではそのような方のために、チェック方法と、症状緩和と再発防止のためのストレッチを。さらに現場指導者が行っている対処方法についてお伝えします。

今回ご協力頂いたのは、カラダの動きの専門家であるJCCAマスタートレーナーの宝谷祐哉さん。兵庫県で高校野球部の監督を務めている彼に、正しく効果的な野球肘の対処方法をおうかがいしました。

※野球肘は選手生命に大きく関わるけがです。チェック方法を当記事にてお伝えしますが、痛みが出た場合はまず病院での診察を受けて原因を確定させて、治療を行うようにしてください。

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1.あなたの野球肘はどのタイプ? 特徴とチェック法

野球肘はスローイング動作の過度な練習(専門家の中ではオーバーユースと言われます。)が原因で肘の内側・外側・裏側の3箇所のうちいずれかが痛むスポーツ障害です。多くの場合、練習を控えたり安静にすれば痛みは引きますが、プレーを再開すると痛みが戻るケースも多くあります。

この痛みが継続することで、練習を継続することができなくなったり、場合によっては選手生命に関わる重大な疾患につながることにもなります。最悪の状態を回避するためにも、早期発見と野球肘のタイプについて知っておくことが大切です。

ここではそのための方法と知識についてお伝えします。自身でチェックできる項目もありますので、さっそく行ってみてください。

1−1.肘の内側が痛む『内側型』

肘の内側に痛みの症状が出るタイプで、野球肘の中で最もメジャーな症状です。小学生から高校生まで幅広く症状が出やすく、専門的には『内側側副靭帯損傷』(ないそくそくふくじんたいそんしょう)や『上腕骨内側上顆炎』(じょうわんこつないそくじょうかえん)などと診断されます。

ボールをリリースする時のスナップ動作hには二つの力がかかります。手首を曲げる筋肉が肘を引っ張る力と、手首が内側に入り肘が外へひねられる力です。これが、反復することで肘が痛むと考えられています。13113143_1007635642652793_992259357_o

チェック方法としては、上腕内側上顆(肘の内側にある出っ張った骨)周囲を押してみます。投球動作を行ってみてここに痛みが出る場合は可能性があります。さらに圧をかけると痛みが増す場合は、投球を中止して専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

1−2.肘の外側が痛む『外側型』

肘の外側に痛みの症状が出るタイプで、小学生などの成長期に過度な練習を行うことで痛みが発症する傷害です。専門的には『上腕骨小頭離断性骨軟骨炎』(じょうわんこつしょうとうりだんせいこつなんこつえん)や『離断性骨軟骨炎』(りだんせいこつなんこつえん)と呼ばれます。

投球(特にリリース)時の外へひねられる強い力によって肘関節の骨同士がぶつかることにより、上腕骨の下の方にある軟骨部位が徐々に剥がれてきて肘が痛むと考えられています。野球肘外側

肘を曲げた状態で上腕骨外側部(肘の外側にある出っ張った骨)を押すことでチェックできます。この状態で圧をかけると痛みがでる場合は、投球を中止して専門家のアドバイスを受けてください。

1−3.肘の裏側が痛む『裏側型』

肘の裏側に痛みの症状が出るタイプで、高校生や大学生など筋力が発達してきた頃に痛みが出る障害です。専門的には『肘頭骨端炎』(ちゅうとうこったんえん)が裏側型の疾患に当てはまります。野球肘後方

リリース直後に肘関節を伸ばした時に、肘関節を構成する骨同士がぶつかり合うことが原因で痛む場合があるとされています。カラダが大きくなるとその分肘にかかる負担は大きくなるので、痛みが発症する可能性が高くなるのです。また、二の腕の筋肉(上腕三頭筋)が過剰に収縮することで痛みを起こすこともあると言われています。

肘を軽く曲げた状態(90度くらいに曲げる)で肘頭部を押すことでチェックできます。このチェックで圧をかけると痛みがでる場合、投球を中止して専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。


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2.野球肘の痛み改善エクササイズ

練習前後にストレッチをすることで該当箇所の緊張をほぐし、改善する可能性があります。ここでは、宝谷さんが野球肘の選手に実際に行っている方法をご紹介します。病院などでの治療の効果をさらに引き上げるためにぜひご活用ください。

2−1.前腕の緊張を取るストレッチ

投球のリリース時に使う筋肉をストレッチすることで、疲労の蓄積による野球肘を予防・改善するためのエクササイズです。
エクササイズ方法:

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手のひらの付け根から肩までが一直線になるように写真のように指がカラダのほうに向くようにして床に手をつきます。お尻を後ろに引き、重心を後方へ下げていきます。前腕のストレッチを感じながら30秒を目安に行いましょう。

また前腕の緊張を緩める方法として手の部分をマッサージすることが必要です。下の写真のように親指側と小指側の手のひらの付け根を押してほぐすことができます。

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この部分は筋肉が集まってきている部分なので、圧をかけることで筋肉が緩む作用が出ます。練習で凝り固まってしまった腕の筋肉をほぐしましょう。

2−2.スローイングで酷使される肩周りの筋肉をほぐすストレッチ

肩周りの動きを引き出すことで、肘への負担を軽減して野球肘の予防・改善を図ります。

エクササイズ方法:

修正

投球側の肘を反対側の手で持ち、頭の後ろで写真のように組みます。曲げている方の手は肩甲骨を触るようなイメージで伸ばしていきましょう。息を止めず自然な呼吸です。背中を丸めないように姿勢を意識しながら左右30秒ずつ行いましょう。

2−3.テニスボールを活用した肩の緊張を緩める方法

テニスボールを活用し、圧をかけることで肩の筋肉を緩めることができます。
エクササイズ方法:

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上の写真のように、腕の付け根部分にテニスボールが当たるようにして横向きになります。痛みが出る方はタオルなどでボールのアタリを軽くしてあげるといいでしょう。12499420_976972649052426_1627722587_o

ボールを少し転がして圧をかけることで、気になる部分を探して圧をかけてみましょう。力が入らないようにリラックスした状態で30秒行いましょう。

また、肩の前にボールを置くことで、肘を持ち上げる時に活用する三角筋をほぐすことが可能です。

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写真のようにボールを肩の前方に置き、うつ伏せで横になります。(肩の出っ張った骨の少し内側がいいでしょう)
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ボールを少し転がして圧をかけることで、気になる部分を探して圧をかけてみましょう。肩に力が入らないようにリラックスした状態で30秒行いましょう。

2−4.肋骨周りの動きをよくするストレッチ

投球動作では胸を伸ばして腰をひねる動作が重要になります。指導者の方が投球フォームの時に「胸を張れ!」というのはこのことを言います。以下のエクササイズを行うことで、胸の可動域を広げることができ、投球動作において上手にカラダを使える状況を引き出すことができます。その結果、肩や肘への負担を軽減することにもなります。

エクササイズ方法:回旋

横向きで床に寝ます。この時、上にきている膝を曲げて床面につけます。下側の脚は伸ばしておきましょう。骨盤が動かないように注意しながら上半身を反対側に開くようにして回旋させましょう。(肘が反対側の床につくようにひねりましょう)

胸の開きを感じながら自然な呼吸で30秒間この姿勢をキープします。

2−5.テニスボールを活用した股関節の動きを引き出す方法

ピッチングやスローイングにおいて下半身の安定はとても重要です。ここでは股関節の安定と動きを引き上げる方法をお伝えします。

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脚の付け根にある骨の少し後ろにテニスボールがくるようにおき、下の写真のように上から圧をかけるようにして乗りましょう。12476635_976973259052365_2012043313_o

筋緊張が強い方は圧をかけただけでも強い痛みが出る可能性があります。圧のかけ方をコントロールしたり、タオルなどを敷いて圧の強さをコントロールすることで調節することができます。30秒を目安に行いましょう。

3.根本解決と予防のために今日からできる野球肘予防ストレッチ

痛みの症状が出た時のケアを上記でお伝えしましたが、根本的な解決をすることができなければ、痛みはいずれ再発してしまいます。ここでは野球肘の痛みが再発しないために行いたいストレッチを3つご紹介します。このストレッチを行うことで、動きやすいカラダを作ることができ、スローイング時に負荷がかかりにくくなります。

3−1.肩甲骨ストレッチ

肩甲骨の動きを引き出すエクササイズです。椅子に座り呼吸と連動して行うので、普段呼吸が浅い方は正しい呼吸を獲得することができます。

エクササイズ方法:P1260582のコピー

手の甲を膝の上にくるように置いて座ります。この時目線は骨盤あたりを見て少し背中を丸めるイメージです。息を吸いながら手の甲が膝から骨盤にかけて滑るようなイメージで肘を真後ろに引き、顔を起こしてきます。この時肩甲骨を引き寄せながら、顔は正面を見るようにしましょう。

息を吐きながら元の姿勢に戻ります。この動きを繰り返し行いましょう。
始めは動きなどを丁寧に確認しながら10回行いましょう

3−2.肋骨周りのストレッチ

投球動作で固まってしまった肋骨周りを動きやすくします。骨盤を動かさずに上半身を捻るのがポイントです。

エクササイズ方法:

P1260588のコピー

肩と手のひら・膝とももの付け根が床に対して垂直になるようにして四つ這いになります。この時、背中が丸まらないように注意しましょう。
右手の甲を背中に当てます。骨盤が動かないように注意しながら天井を見上げるようなイメージでカラダをひねって見上げて行きます。ひねる時に気をつけたいポイントはひねるほうの肩甲骨を内側に寄せるようにして動きをリードすることです。

痛みは我慢せずに自分のできる範囲で10回を目標に行いましょう

3−3.股関節ストレッチ

前屈が苦手な方でも座ったまま行うことができる股関節ストレッチです。

エクササイズ方法:P1260424

背中が丸まらないように意識した状態で脚を軽く開き座ります。この時に膝を軽く曲げて、かかとをお尻の方に軽く引きます。こうすることで柔軟性が低くてストレッチが苦手な方でも簡単に行うことができます。

背中をまっすぐ伸ばした状態でおへそが床につくようなにして上半身を前に傾けていきます。ももの裏が伸びるのを感じるところまで上半身を倒したら自然な呼吸でキープしていきます。30秒間のキープを目安に行いましょう。

4.痛みが継続するなら専門家の受診を!スポーツドクターリスト

どうしても痛みが継続的に出てしまう時は、整形外科やスポーツ整形外科などを受診することをお勧めします。特に、野球肘のレントゲンを撮る時は野球肘に精通したドクターが在籍する院が良いでしょう。

野球肘やスポーツ外傷に精通したドクターは、症状の見落としの可能性が低いからです。一例として、日本体育協会の認定資格を持つドクターの中で野球・ソフトボール競技に詳しい医師をご紹介します

【公益財団法人 日本体育協会 スポーツドクター検索結果一覧】

5.まとめ

野球肘を放置しているとパフォーマンス低下だけではなく選手生命にも関わる重大な事態を招く原因にもなります。試合や練習に参加したい気持ちが出るのはわかりますが、無理せず治療して完治させることがとても大切なのです。今回ご紹介したエクササイズや専門家の意見を取り入れ、肘の痛みから解放されましょう。

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