運動前の動的ストレッチ7選!静的ストレッチとの違いや効果を解説

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「動的ストレッチというのがあると聞いたけど何?」
「普通のストレッチとなにが違うの?」
「サッカーの試合前に選手がやってるあれが動的ストレッチ? 実際はどうやるの?」といった疑問をもたれる方が多いと思います。

ストレッチには大きく分けて動的ストレッチと静的ストレッチの2種類があります。その中から今回は動的ストレッチについて深く掘り下げてお伝えします。運動前に行うことでケガの予防やパフォーマンスにも大きく影響しますので、スポーツをやる方はもちろん、健康の為に生活に運動を取り入れようという方には必見の内容です。ぜひご覧ください。

この記事は石塚利光が監修しました。

日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著)


1.動的ストレッチとは?効果・目的・タイミングについて

実は運動前に行われているストレッチのほとんどは動的ストレッチです。動的ストレッチは手足を動かし、動きの中で筋肉を伸ばしていくストレッチ方法です。

動的ストレッチの代表例はラジオ体操です。ラジオ体操は動きの中で反動をつけることで筋肉に刺激を与え、心拍を上げて筋肉の可動性を高めることができます。幅広い年代の方ができるようにプログラムが組まれているので、だれでも効果を実感することができます。

イメージキャラクター ラタ坊

※NHKラジオ体操より

動的ストレッチはカラダをダイナミックに動かすので心拍数も上がり、カラダが温まるためスポーツや競技のシーンでウォーミングアップに使われることが多いです。

別名ダイナミックストレッチと呼ばれるこれらの運動は、国際サッカー連盟(FIFA)が推進するThe11+というウォーミングアップのパッケージでも多く取り入れられています。静的ストレッチとの違いは、以下の表のようになります。

同じストレッチでも目的によって効果が異なります。

同じストレッチでも目的によって効果が異なります。

動的ストレッチと静的ストレッチは目的や効果・実施するタイミングなどに違いがあるため、どちらか一方だけが良いストレッチというわけではありません。判断が難しいと感じる方は、まずは運動前には動的ストレッチ。運動後や就寝前には静的ストレッチを選択して行うようにするといいでしょう。

1−1.動的ストレッチの目的は柔軟性向上と体温上昇

静的ストレッチとの大きな違いはその目的です。動的ストレッチは運動や活動前の準備運動の要素が強く、下記ような目的があります。
・筋肉の柔軟性向上
・体温の上昇

それに対し静的ストレッチは下記のようなケアの目的背景が強いです。
・筋肉の可動性の向上
・乳酸などの老廃物を流す

1−2.ケガの予防やパフォーマンス向上を引き出す!動的ストレッチの効果

動的ストレッチをすることによって主に以下の効果が期待できます。

・心拍数を上げる
・体温を上昇させる
・筋肉の可動範囲を広げる
・ケガの予防
・交感神経を優位にする
・血行促進

動的ストレッチは運動前に筋肉をほぐすために有効な手段といえるでしょう。また日常生活の中で凝り固まってしまった筋肉を仕事の合間にほぐすことも可能です。

1−3.どんな時にやればいいの?動的ストレッチのタイミングについて

動的ストレッチを効果的に行うタイミングは運動前や仕事の合間などです。これから少し頑張りたいなと思う時の準備体操と捉えてください。カラダに対してこれから少し負荷をかけるサインを送り、カラダに準備をさせることでケガの予防や、パフォーマンスアップ、集中力のアップなどにつながります。

夜ストレッチ

動的ストレッチは覚醒効果もあるので就寝前に行うのはやめましょう。

反対に運動後や就寝前などに動的ストレッチを行うことはカラダに悪影響を与えます。運動後に激しい動的ストレッチを行うと筋肉をさらに損傷させてしまう可能性があるからです。これは運動することによって負荷がかかってダメージを受けた筋肉にさらに動的ストレッチを行うことによって負荷をかける可能性があるからです。

また、動的ストレッチを行うことによってカラダが覚醒し、交感神経が優位になります。就寝前に行うことで入眠妨害や睡眠の質低下につながるため、就寝前に動的ストレッチを行うのは控えましょう。


2.運動効果を高める“基本の動的ストレッチ7選”

動的ストレッチは運動前に行うことでケガの予防やパフォーマンスアップに貢献します。しかし、ウォーミングアップで行う動的ストレッチは種類が多く、何をやれば良いかわからない方も多いと思います。第1章でお伝えした通り、動的ストレッチとして最も有名で効果的な方法はラジオ体操です。

ラジオ体操を行う事で運動を行うための準備ができます。さらにここでは、運動効果をより高める動的ストレッチを7つ選定しました。上半身と下半身のパートに分けてお伝えするので、自身の競技に合わせて選択することができます。もちろんすべてのエクササイズを行うことでパフォーマンスをさらに高めることができるので、ぜひ実践し運動効果を高めましょう。

上半身

2−1.肩甲骨の動的ストレッチ1

球技や武道など肩甲骨を使わない競技はほとんどありません。そんな運動に大切な肩甲骨をまずはほぐしていきましょう。また、デスクワーカーの方にもオススメです。

エクササイズ方法:
P1220218

足を腰幅から肩幅くらいまで開き、両手を肩に当てます。肘を大きく回すようにして腕を回していきましょう。この時に肩甲骨の動きを感じながら行うことがポイントです。左右10〜15回を目安に行いましょう。

2−2.肩甲骨の動的ストレッチ2

肩甲骨の動的ストレッチ1よりも強度が高いエクササイズです。プロ野球(MLB)の前田健太投手が準備体操として行い、注目されましたね。肩甲骨の動きがパフォーマンスに大きく影響する方はこちらのエクササイズをおすすめします。

エクササイズ方法:

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上半身を伸ばした状態でカラダを前に倒します。腕は全体的に脱力し、肘を前に回すイメージで素早く回していきましょう。肩甲骨の動きを感じながら左右20回を目安に行いましょう。

2−3.胸の動的ストレッチ

胸の動きを引き出すストレッチです。投球動作やオーバーヘッドスポーツをする時にウォーミングアップでストレッチしておくと動きが良くなります。

エクササイズ方法:

P1220299

腰幅から肩幅くらいまで足を開き、胸の高さまで腕を持ち上げましょう。反動をつけながら胸が広がるように両手を広げていきましょう。伸ばしきった反動でまた始めの姿勢に戻りこれを繰り返します。10〜15回を目安に行いましょう。

P1220304

さらに広げる角度を変化させることで、伸ばし方が変わっていきます。特にオーバーヘッドスポーツではこのような様々な角度に伸ばしていくことで動きが引き出されます。

下半身

2−4.ハムストリングスの動的ストレッチ

ダッシュやジャンプなど瞬発力が必要な競技では、ハムストリングスがしっかり使えるかがパフォーマンスに大きく影響してきます。また、ハムストリングスは激しい運動の中でダメージを受けやすくケガにもつながるので、準備とケガ予防の両面から大切な運動になります。

エクササイズ方法:P1220099

歩きながら、タイミングをとり勢いよく片足を振り上げます。振り上げた足のつま先を足と反対側の手で掴みましょう。左右リズムよく行うことがポイントです。ハムストリングスのストレッチを感じながら左右10回を目安に行いましょう。

P1220110

つま先を手で掴むことを意識しすぎると上の写真のように上半身が丸まってしまいます。これでは十分にストレッチすることができないので、エクササイズを行うときには注意をしましょう。

2−5.大腿四頭筋の動的ストレッチ

ハムストリングスが肉離れが多いのに対して大腿四頭筋は打撲や挫傷などが多い部位です。ストレッチをすることでパフォーマンス向上やケガの予防をすることができます。

エクササイズ方法:P1220126

このエクササイズはランニングなどをしながら行います。お尻に手を置いて、軽く走りながらかかとがお尻に着くように足をあげましょう。膝を曲げているときに大腿四頭筋が伸びていき、ストレッチをかけていきます。ゆっくりなペースで走りながら行い10〜15m間を目安に走りながらおこないましょう。

2−6.股関節の動的ストレッチ

走ったりジャンプをしたりとスポーツをする上で股関節の動きを引き出すことで、下半身の動きがよくなります。

エクササイズ方法:P1220143

綺麗な姿勢で立った状態から片足を持ち上げます。膝の頭を中心に後方から回すようにして股関節を回していきましょう。上半身が正面を向いた状態で行うことがポイントです。左右10回を目安に行いましょう。

3−7.体側ともも前の動的ストレッチ

スポーツでは動きの中でカラダをひねることも多くあります。体側のストレッチを行うことで、ひねりを動きやすくしましょう。

エクササイズ方法:P1220173

ランジのように片足を大きく前に出します。後ろに残る足と反対側の手でかかとを触れるように上半身をねじりましょう。歩きながら左右交互に行うと動きの中でリズミカルにストレッチすることができます。カラダへ力を入れないように脱力を意識し10回を目安に左右行うようにしましょう。

3.動的ストレッチを行う前に気をつけたいポイントと事前に行える静的ストレッチ3選

運動前に動的ストレッチを行う事の大切さがお分かりいただけたかと思います。ただ中には動的ストレッチをいきなり行う事が危険な場合もあります。以下に当てはまる場合は少し注意が必要です。
・運動習慣が今までなかった方
・激しい筋肉痛や筋肉に張りを感じる方
・普段と比較してカラダが重いまたはだるく感じるとき
・冬場など気温が低くカラダが冷えているとき

上記の場合は、動的ストレッチに入る前に静的ストレッチを行うなど軽く筋肉にストレッチの刺激を与えてから行うようにしましょう。ここでは肉離れなどを防止する最低限のストレッチを3つ紹介します。特に太ももやふくらはぎには注意しましょう。

ももの表側ストレッチ

前のストレッチ1

エクササイズ方法:

地面に横になり、下側にくる足を前に出し膝を90度程度曲げ、両手で抱え固定します。上にくる足を後ろに曲げていき、手で足首を持ちましょう。かかとがお尻につくように引っ張りストレッチしていきます。30秒を目安に片足ずつ交互に行いましょう。自然な呼吸でストレッチを感じましょう。

ももの裏側ストレッチ
P1210093文字入りエクササイズ方法:
爪先立ちの状態から片脚を前に出します。床に手をつき、後方へと体重移動をします。この時かかとにお尻がつくようなイメージで動かし、ハムストリングスが伸びているのを感じたらその場で動きを止め、自然な呼吸でキープしていきます。片足30秒間のキープを目安に左右行いましょう

ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎストレッチエクササイズ方法:

片足を伸ばし、もう片方をあぐらを組むようにして座りましょう。伸ばしている方の足の指に手をかけて引っ張り、ふくらはぎが伸びているのを感じながら自然な呼吸で左右30秒を目安に行いましょう。

以上のストレッチを行い、動的ストレッチへと入っていきましょう。

4.まとめ

動的ストレッチをうまく活用することで運動の効果を高めることができます。さらにケガの予防をする上で動的ストレッチは最適な準備運動になります。本記事を通して獲得した動的ストレッチに対する正しい知識をもとに、ぜひ動的ストレッチの効果を実感してみてください。

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