慢性的な膝の痛みに悩まれる方が多いです。
年齢とともに膝の痛みが進行していく慢性的な疾患は、その多くが「変形性膝関節症」と診断されるものです。
この膝の痛みを解消するために、病院に通ったり、健康食品をとってみたり。それでも回復までには時間がかかるりますよね。
運動する気持ちはあるのに、膝の痛みのせいで運動が徐々に減っていく方がいらっしゃると大変残念です。
そこでこの記事では、できるだけ運動を行い、健康的な生活が送れるように、膝痛のために自分でできるストレッチの方法をお伝えします。
運動不足ぎみの方やシニアの方、または運動が苦手な方にでも簡単にできるように低負荷の運動を選択しました。
しかし、たしかな理論に裏付けられた根本解決につながる効果的な7つのストレッチです。ぜひ日常習慣に取り入れられ、少しでも健康的な生活を送っていただきたいと思います。
※膝まわりのストレッチについては、別記事「膝ストレッチ|5つの筋肉で膝の内外上下を伸ばす最善方法」でご紹介しておりますのでそちらも併せてご参照ください。
1.変形性膝関節症とは
多くは加齢とともに関節内の軟骨や半月板の老化が進み、使いすぎにより減り、骨どうしが当たるようになることで痛みや水のたまりが発生するものです。
男女比は1:4で女性に多く見られます。年齢を重ねるにつれて症状を訴える人が多くなりますが、早ければ40代でも発生します。
最初はやや痛みを感じる程度から始まり、歩けば痛むが休めば回復したりという状況を経ます。階段の昇り降りで痛んだり怖くなったりおっくうになります。
運動量が減ることで、筋肉量は落ち、さらに膝の痛みが進行しやすくなります。寝たきり生活につながる軽視できない疾患です。
このように進行状況によって痛みの度合いや程度が異なります。
Ⅰ期(疑いや兆候のある時期) 最も小さいレベルの損傷ですが、すでに10%の関節内組織が失われています。
Ⅱ期(初期) 関節内が狭くなってきています。軟骨の損傷が始まり、骨棘の発生も起きています。
Ⅲ期(進行期) 関節内が狭くなり、骨どうしが当たりやすくなっています。軟骨損傷箇所や骨棘が増えています。
Ⅳ期(重症期) 関節内のスキマがほとんどありません。60%もの関節内組織が失われています。骨棘が大きく発生し、歩けなくなるほどに痛みを生じています。
2.慢性的な膝痛の起こる原因と対処法
ここでは原因と対処についてお伝えします。原因を知ることで対処の方法が明確になるからです。
2−1.慢性膝痛の原因はコレ
・加齢に伴う軟骨のすり減り
もっとも一般的な原因です。どちらか片方が痛みだすと、その足をかばうようになり、痛くない方の足にも負荷がかかりそのうちに痛みだします。
・骨盤の左右不均衡
骨盤の左右不均衡は、左右の足のアンバランスが原因でどちらかの足に痛みを発生させる可能性が高いです。運動のしすぎで膝が痛む方もこの可能性が考えられます。
・O脚やX脚
姿勢(立ち方や歩き方)が悪いことは、膝にも負担をかけやすくなります。
・インナーユニット(体の深層筋肉)の弱体化
体の深層筋肉を使わないでいると、姿勢を安定しにくくなり、下半身に負荷がかかりやすくなります。
・血行不良や運動不足
筋肉の縮こまりやこりを発生させています。膝を柔軟に大きく動かすことができないために痛みを発生させる可能性があります。
・肥満
体重が重い方はそれだけ膝への負担がかかりやすいです。体重を減少させることで膝への負担がかかりにくくなります。
・遺伝的要因
親族に膝痛に悩まれる方がいると、その子や孫にも遺伝する可能性があるという説もあります。
2−2.慢性膝痛の病院での治療
変形性膝関節症になると、整形外科では次のような対処を行います。
・痛み止めの投与
・関節保護のためのヒアルロン酸の注射
・炎症を抑えるステロイド剤の注射
・たまった水を抜く
・装具等による膝のサポート
・滑膜切除や人工関節埋め込みの手術
根本的な対処は手術などの方法のみに限られています。
そのためにセルフでできる根本的な対処法が必要になります。
2−3.セルフでできる根本的対処法
下半身の筋力が落ちると、膝をサポートしにくくなり膝痛の発生の可能性が高まります。
また良い姿勢が取れなくなると、骨盤の不均衡が発生し、足や膝にも片方にばかり負荷がかかる状態になります。
実は骨盤や股関節には、下半身の衝撃を受け止める働きがあります。そのためにも骨盤を正しい状態にしておくべきなのです。
つまり、骨盤の歪みを改善することで、膝痛の根本解決がはかられるのです。
そのためには、ストレッチでゆるめたり、骨盤の左右均衡化のエクササイズを行ったり、姿勢を正しくキープするために腰部深層筋の活性化をはかる運動を行うことが重要です。次章からお伝えしていきます。
3.膝痛ストレッチ7選
慢性的な膝痛については、膝そのものよりも、膝に負担をかけている部分=骨盤をメインにストレッチを行うことが重要だとお伝えしました。
ここで紹介する7つのストレッチは、ゆるめ〜ストレッチ〜強化を織り交ぜて行うことがポイントになっています。このことによりアンバランスをリセットし、その状態をキープすることを繰り返し行うことができ、効果が上がるのです。
■坐骨ウォーク
座る姿勢は骨盤が正しい位置に保ちやすくなります。まずは坐骨で歩くことで骨盤の平均化をはかりましょう。股関節ゆるめの効果もあります。
坐骨を視点にして前に進みましょう。左右の足を交互に伸ばし、膝を浮かせて引き寄せながら歩きます。軽くお腹をしめながら行うことで、腹部の深層筋(インナーユニット)を活性化することができます。
■膝引き寄せストレッチ
膝が痛みがちな方は、膝や、太ももの裏、お尻の筋肉がコチコチに硬くなっている可能性があります。ストレッチで筋肉を柔らかくしましょう。※ストレッチをすると膝が余計に痛む方は無理をしないでください。できる範囲で大丈夫です。
片足を両手で抱え、反対の足をまっすぐ伸ばします。抱えた方の足を胸に引き寄せます。お尻が伸びることを意識してください。伸ばした方の足は膝が床から浮かないようにしましょう。股関節前の筋肉を伸ばすことができます。
そのまま内ももを両手でホールドします。足先を天井に向けて伸ばしてください。ホールドした部分を引き寄せることでその周辺が伸びることを感じてください。繰り返しになりますが、痛みのある時は無理をせず、また痛みがなくても過剰にテンションをかけずに心地よい程度にとどめましょう。
■タオルサポート腹筋
シニアの方でも行いやすい腹筋をご紹介します。お腹をしっかり固めることはインナーユニットの強化につながり姿勢の安定化に寄与します。
仰向け寝でバスタオルなどを両手に持ち、写真のようにヒザを曲げて片足の裏に通します。
足を伸ばす力を利用してお腹から上半身を起こします。完全に起こしきらずに写真の状態程度までにとどめ5秒程度キープします。この間足でタオルを押し続けてください。最初は5秒からはじめ、慣れてきたら10秒、15秒と時間を増やしていきます。ゆっくり元の位置にまで戻します。
■外転筋ストレッチ
骨盤のゆがみ矯正には、腰と脚の横の筋肉をストレッチしゆるめることも重要です。前述のタオル腹筋からの流れで仰向けで行う方法をご紹介します。
片足を伸ばし、片足は膝を立てます。立てた脚と反対側の手でその方向に倒しストレッチします。背中の肩甲骨が床から離れないことが重要です。お尻から脚の横が伸びることを感じてください。
■スリムキープ
再度お腹のインナーユニットを強化する運動です。この運動では腹横筋という姿勢に関わる筋肉を活性化させます。これも仰向け寝のまま行える負担の少ないエクササイズです。
仰向け寝になり、両膝を軽く立てます。腰の下に、手のひらを下にして横から差し入れます。その手の甲を腰で押すようにお腹に圧をかけます。
そのまま両足を軽く持ち上げます。できる範囲でなるべく低い高さでキープしてください。無理な方は膝を曲げても良いですが、かかとは床から浮かせてください。
息を吐きながら足を床に落とします。
■外転筋ストレッチ
先ほど行った外転筋ストレッチを再度行います。
片足を伸ばし、片足は膝を立てます。立てた脚と反対側の手でその方向に倒しストレッチします。背中の肩甲骨が床から離れないことが重要です。お尻から脚の横が伸びることを感じてください。
■仰向けフラダンス
最後の運動です。骨盤を左右交互に上下に揺らすことでほぐしを行います。腰から足を動かす感覚を身につける効果もあります。
仰向け寝になり、両足を肩幅程度に開いて脱力します。腰に手を当てて、左右の足を交互に動かします。骨盤の手を押しながら下ろし伸ばしと引き上げを行ってください。ダンスのようにリズミカルに行いましょう。10回×3セットを目安に、できる回数から行ってください。
4.まとめ
膝痛の改善&予防に効果的なストレッチをご紹介いたしました。
お伝えした通り、膝まわりのストレッチよりも骨盤のアンバランスを治して、膝の負担を減らすことが最も重要です。お伝えした方法をぜひ一日一回は取り入れて根本的な解決をはかってください。
参考 見るみるわかる骨盤ナビ(総監修・竹内京子/エクササイズ監修・岡橋優子)Amazon紹介ページ 骨盤の大切さがわかる一冊! わかりやすくかつ専門的な骨盤の解剖学&いろいろなお悩みに効果的な簡単骨盤体操が豊富に紹介されています。骨盤からの健康づくりをお考えの方に最適となっています。
コンテンツの全部または一部の無断転載を禁止します。(C)Imaginear co.,ltd. co.,ltd. All rights reserved.