アクティブレスト・疲労回復効果を上げる積極的休息の最善方法とは

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夜遅くまでのデスクワーク。もしくは作業労働が続いたあとのせっかくの休日。家事や子供の世話、介護で疲れたあとのやっとの休み。

何もしたくない……」 その気持ちはよくわかります。

また、トレーニングで追い込んだり、試合や合宿、大会、マラソン競技会等で激しく疲労した翌日…。全身筋肉痛だったり、股関節やヒザが痛いこともあるでしょう。

「今日は徹底休養! ひたすら寝る!」と決めてゴロゴロされる方も多いと思います。

しかし、疲労効果をあげるには「アクティブレスト」を行った方が良いのです。

アクティブレストとは、カラダを軽く動かすことで、疲労回復効果をアップさせるというものです。

「カラダを動かしたくないのに、動かすの?」「何もしない方が回復するんじゃないの?」と思われるかもしれません。

実はカラダのことを考えれば、無理のない範囲で少しは動かしたほうがいいのです。

そこでこの記事では、アクティブレストとは何かについて、また、どのようなものをいつどれだけやるのかについても解説します。疲れをよく取りたい方はぜひ参考になさってください。

この記事は石塚利光が監修しました。

日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著)


1.アクティブレストとは

Work

疲れを感じているときこそ、カラダを動かすようにしましょう

積極的休息、能動的回復と翻訳されます。疲労回復を行おうとするときに「何もしない」「ただ寝ている」よりも、軽い運動やその他の方法を行うことで、さまざまな効果が図られるというものです。

実は、この能動的回復の考え方は長い人体研究の歴史のなかでまだ短いものです。ですのではっきりとしたことはまだまだ分かっていないといえます。それでも近年は研究が進み「できるだけ行なったほうが良い」という流れになっています。

それまでのスポーツ科学の考え方は「運動」と「休息」は明確に線引きされるものである、というものでした。しかし近年ではこの両者を融合させていくという考え方になっています。

アクティブレストには以下のようなメリットがあると考えられています。

・筋肉痛予防効果

・血行促進効果

・概日リズム調整効果

・リフレッシュ効果

・筋負荷のバランス効果


2.アクティブレストを行なったほうがいい方

以下のような方が、アクティブレストを行うべき方々です。

・平日はデスクワークや運転が主体。運動不足気味の人

・平日は作業労働、家事などでカラダをよく使っている人

・一日の中で試合と試合の間にインターバルがある方

・ジムのトレーニングマシンを連続で使いこなそうとしている方

・大会や負荷の高い練習を行なった方

つまりほとんどの方が当てはまるといえます。

次章では、これらの方のために方法をご紹介していきます。

3.アクティブレストでよく行われる方法

一般的には以下のようなものを行う方が多いです。

・ウォーキング、軽いジョギング、ハイキング

・水泳

・サイクリング

・ヨガ、ピラティス、フラ、ジャズダンス

・子供やペットと遊ぶ

・球技やスケートボード、ローラーブレード

・縄跳び、鉄棒、雲梯

・交代浴、半身浴

・ストレッチポール®のエクササイズ

Group of women runners walking in a forest talking

自然の中で行動するのもよいリフレッシュになります

4.アクティブレストの実践1・デスクワークの方の休養日編

こういう方に多いのは、「脳は疲れているのに、カラダは疲れていない」状態です。

疲労のメカニズムの大きなものに、脳が疲労を感じると全身が疲れている感覚を得るというものがあります。しかし現実としては筋肉をはじめとするカラダは疲労するほど酷使されていません。このアンバランスが生じると、自律神経調整機能が乱れてしまい、眠りが浅くなったり、長い時間寝たり休んだりしているのにも関わらず疲れが抜けないということになります。

これを防ぐには、脳と体の疲労のバランスをとるようにしましょう。肉体が適度に疲労するような運動を行うべきです。あまり考えなくてもできる運動もありますし、思考と分析が必要な球技でも仕事とは別の脳の使い方をしますので、おすすめです。

具体的には、

・筋力トレーニング

・フィットネスジムでの各種教室

・ジョギングやサイクリング、スイミング

・草野球、サッカー、バスケットボール、バレーボールなどの球技

・その他、カラダを動かす趣味

を行うようにしてください。

5.アクティブレストの実践2・作業労働の方の休養日編

このような方は、肉体疲労も感じているので休日は遅くまで寝ている方もいらっしゃるかもしれません。休養日前はまずは早く就寝するようにしましょう。

概日リズム(体内時計)が崩れる原因は、平日と休日で生活リズムを大きく崩してしまうことが大きいです。休日も平日に近い生活リズムで過ごすようにしてください。

日中も、普段の仕事とは違うタイプの運動をするようにしてください。ご本人が気持ちよくリフレッシュできる運動ならなんでも良いでしょう。面白いアイディアとしては、例えば荷物を持って走るような仕事の方は、弓道やスラックラインなどもいいかもしれません。どのようなスポーツでも負荷がかかりすぎないようにしましょう。

6.アクティブレストの実践3・試合のインターバル編

いきなり座り込んだりせずに、軽く動きながら呼吸を整えるようにしてください。

熊本大学で2010年に発表された柔道選手を対象にした研究では、連続打ち込みという練習を高強度で行なったあとに血中乳酸値濃度を測ることを行いました。

練習後に、椅子で安静をとったグループとストレッチを行なったグループ、軽いウォーキングを行なったグループに分け、乳酸値の増えかたを計測したところ、軽いウォーキングを行なったグループが乳酸値の増えかたがやや少なかったという結果になりました。(出典:連続打ち込み練習後のアクティブレストが柔道選手の血中乳酸値の変動に及ぼす影響 熊本大学リポジトリ

試合の直後は、動きながら呼吸を整え心拍数を下げていき、水分と栄養を補給し、疲労が回復してきたな、と感じたら少しずつ動くようにしましょう。

7.アクティブレストの実践5・大きな大会後など特に疲弊した日の翌日編

例えば、慣れないマラソンや登山など長距離の持久競技を行なった翌日。筋肉痛やヒザ痛がひどく、階段を上がるのもやっと、という方が多いでしょう。こういう方も、できる範囲でカラダを動かすことをおすすめめします。

当ブログでランニング関係の記事を監修いただいている小島成久先生(元ウルトラマラソン日本記録保持者・ランフィット代表)は次のように語ってくださいました。

もちろん何もしないより、動いた方が回復は早いですね。

①ストレッチポール®に乗ってリアライメントする。

②ストレッチポール®などでゴリゴリマッサージしてからストレッチを行う。

③歩く、ゆっくりジョグする、泳ぐなど軽く体を動かす。

この順序で動かした方がいいと思います。

アライメントを整えた上で、筋膜やリンパの流れを整え、出来ればジョグなどでミルキングアクションを起こして、早く疲労物質を流して筋肉の収縮弛緩・柔軟性を回復させてあげる方がいいと思います。

アライメントとは姿勢に関わる骨の配列のことです。ストレッチポール®の基本的な運動「ベーシックセブン」を行うことで、姿勢やインナーユニットがリセットされ、本来の状態に近くなります。

ストレッチポール®を使用したセルフマッサージの方法は以下の記事を参考になさってください。

筋膜リリースはツールで!効果的な方法をわかりやすく紹介!

ミルキングアクションとは、筋肉の動きで血流を促進させる動きのことです。脚の運動を行うことで全身に血液が巡るようになります。これを行わないでおくと、特にヒザから下に血液が滞り、疲労物質の除去が進まなくなるのです。

8.まとめ:注意点を守って効率よく疲労回復しよう

傷害や炎症がある場合はその部位に負荷をかけることは避けてください。例えば足の捻挫がある場合は、軽度なウォーキングでも悪化させる可能性があります。肩を脱臼している場合は、他部位のトレーニングを行うようにしましょう。

アクティブレストを行うことで心地よい感覚が得られることが重要です。辛かったり、不快な気持ちになるようでは効果が得られません。毎週のルーティンとして楽しんでできるようなものを行うようにしてください。

最適な負荷と種目については個人差があります。運動を始めたばかりの初心者の方は、積極的休養のために30分歩くこともキツい負荷になるかもしれません。運動不足気味の方は、このような負荷を週に一、二度かけることは大切ですが、日頃から肉体を酷使している方は、アクティブレストにおいては、普段以上の負荷にならないようにします。

疲労回復において最も重要な要素は、睡眠の質です。7〜8時間寝るようにし、またおやすみ前も質の良い睡眠が取れるような生活リズムを作りましょう。以下の記事も参考になさってください。

最適な睡眠時間が6時間半って本当?理想的な睡眠時間を徹底解説!

ストレッチポール®が睡眠の質改善に効果的な理由

超回復・筋肉と運動パフォーマンスを最も効果的に発達させる全知識

9.出典

この記事は、文中で紹介した文献以外に、以下の記事を参考にしました。

GATORADE SPORTS SCIENCE INSTITUTE RECOVERY TECHNIQUES FOR ATHLETES

livestrong.com active rest workouts

builtlean.com Top 7 Active Recovery Workout Ideas

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