あっ!と思ったらツツツツーっと出てしまうのが男性の尿漏れです。
くしゃみをした瞬間など不意に出てしまうケースもあれば、堪えきれずに出てしまうタイプもあります。
表情には出さないが、なんとか下着で吸水してほしい…。それでもシミになってしまわないかどうか…。
シニア世代に近くなってくると尿漏れに悩むのは女性だけではありません。本人はまだまだ現役のつもりなのに、なんとなく老化が始まったような気がします。家族からは「自分でコントロールできなくなってきた」と思われているかもしれません。
男性には男性の悩みがあるのです。
この尿漏れ、近年は30代で起きてしまうケースも珍しくありません。さらに20代、そして高校生でも出てしまうことがあります。
そこでこの記事では、尿漏れでお悩みの男性に、その原因とセルフでできる効果的な改善方法についてお伝えします。ここでご紹介する方法は、学会発表もされた裏付けある方法です。
一度お試しいただければいろいろなメリットが実感でき、さらに3週間継続されることで尿漏れのトラブルも軽減してきます。ぜひ行ってみてください。
この記事は石塚利光が監修しました。 日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著) |
目次
1.尿漏れグッズは根本的な解決までの補助として使いたい
ドラッグストアやホームセンターでは、尿漏れ関係グッズが多く扱われています。割合では介護関係が最も多く、ついで女性、男性と続くようです。
男性用では尿漏れパッドやシート、パンツやブリーフなど下着の類がほとんどです。近年開発されたこれらの商品は、女性と比較して多い男性の尿漏れの量(5cc)を十分に吸える性能やスリム感があるスグレモノばかり。どの商品が自分に適しているかお探しの方も多いと思います。
しかし、これらの製品では根本的な解決には至りません。原因を知り改善のための取り組みをすることで尿漏れ解消につながります。次項ではその原因についてお知らせします。
2.男性の尿漏れ・その原因
原因は大きく分けて2つあります。つまり、
・前立腺肥大によるもの(上図1番)
・尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)などの骨盤底筋群(こつばんていきんぐん・以下、骨盤底筋)がうまく活用できていないこと(上図2、3、4番)
です。つまり前立腺肥大を抑え、尿道括約筋を健全な状態に保つことができれば尿漏れを改善することができるのです。
原因について以下に詳細にお伝えします。
2−1.前立腺肥大
前立腺は生殖に関わる大事な臓器で、男性のみに存在しています。
これが加齢や生活習慣等の原因で肥大すると排尿系にもトラブルが起きやすくなります。前立腺が肥大して起きる頻尿と尿漏れはほぼ同義と捉えられています。
小用のために日中に8回以上トイレに行く人は「頻尿」と考えていいでしょう。夜中に1度はトイレに必ず起きる人も同様の症状といえます。このような方は前立腺肥大を疑って、泌尿器科の診察を受けられることをおすすめします。
前立腺肥大を予防改善するためには、
・コーヒーやアルコール、刺激性食物を摂りすぎないこと
・便秘や下痢を防ぐこと
・適度な運動を行うこと
・長時間の座位姿勢での作業や下半身の冷えを避けること
など生活習慣の改善が効果的です。
2−2.骨盤底筋の不活発化
骨盤底筋は骨盤の最底部にあって内臓を下から支えている筋肉の総称です。尿漏れに関係する尿道括約筋も含まれます。
細かな筋肉が多く、実際に動きを意識したり見ることができないのでなかなか自覚できない筋肉ですが、排泄や出産はもちろん、姿勢や内臓位置の保持、呼吸にも関わっている大事な筋肉です。
ここの柔軟性が失われ、動きが悪くなることで尿漏れが起きやすくなります。
特に過度にタイトであることでその可能性が高くなります。これは年齢に関わらず起きやすい現象ですが、男性では特に起きやすいといえます。男性は女性と比べて股間部に穴が少ないので、骨盤底筋が丈夫で、さらに尿道が長いという特徴があります。
排尿に際しては、骨盤底筋でさほどコントロールしなくてもいいので、不活発になり硬くなりやすいのです。
これで起きる尿漏れについて、ハーバード大学メディカルスクール ペインエデュケーションセンターは次のように説明しています。
あまりにもタイトな骨盤底筋は、尿失禁を引き起こす可能性があります。それらは、尿の流れを制御するための収縮するタイミングが来るとき、その筋肉は既に収縮しており、それ以上することができないからです。その代わりに、その筋肉筋は痙攣することになります。
これはカラダを人並み以上に動かしているアスリートにも起きやすいトラブルです。見た目の筋肉の強化だけでなく、骨盤底筋など体幹深層部の筋肉も柔軟に動かせるようなトレーニングが必要です。一般の方でも、会陰部の上にあるこの部分の動きを良くしておくことが重要です。
尿が終わったと思い、下着にしまった後に「ツツツツー」と数滴が出てしまうことがあります。これは年齢に関係ない現象です。これを改善するために、骨盤底筋の働きをサポートしてあげることで、出し切ることができます。排尿後、一方の手の指先を使用して、陰嚢の後ろ数センチの部分を静かに上に押し上げます。そのまま前方に向かって指を押し動かすことで出し切れるはずです。骨盤底筋をトレーニングすると指を使わずにそれを行うことが可能になります。
3.尿漏れは骨盤底筋トレーニングで予防改善する
前立腺肥大を防ぎながら、骨盤底筋の動きを良くすることで尿漏れが解消できることをご説明しました。外科的な医学アプローチをせずに自力で改善したいとお考えの方がとりくむべき方法は、まず第一に骨盤底筋トレーニングです。
ここからは実際にそのトレーニングの内容をお伝えします。
3−1.ツール不要で今すぐできる伝統的なケーゲル体操
数十年も前から尿漏れ対策に効果があるとされているのが、ケーゲル体操です。これは開発者のアーノルド・ケーゲル博士の名をとったものです。ツールなどの準備が不要で今すぐ行うことができます。さっそく行ってみましょう。
■まずは「骨盤底筋を意識する」ことからスタート
ケーゲル体操を行う時に一番大切なポイントは、骨盤底筋を意識して動かすことです。股間部の中にあるこの筋肉。意識することが難しい方はもっとも近い部分を触れるなどしてみましょう。
【意識する方法】
座面の硬い椅子に座ります。まずは座った時のおしりの感覚を感じます。次に手を股下にはさみ、座りなおします。この時におしりの穴を締めます。
手に動く感覚が感じられればそのあたりが骨盤底筋です。エクササイズの時にはこの部分の筋肉を意識して動かしましょう。
おしりの穴や横の筋肉、または肩に力が入らないようにすることがポイントです。骨盤底筋以外に力が入らないように意識してください。
【注意】
ケーゲル体操を行う時に、「お尻の穴を締めたり、おしっこを我慢するような感覚で行いましょう」と説明されることがありますが、これは正しくありません。その一点に意識が集中してしまい骨盤底筋全体を柔軟に締めたりゆるめたりすることができなくなるからです。
お尻や尿道はできるだけリラックスしたまま、骨盤底筋部だけをお腹の中に引き込んだりゆるめたりする感覚が大事なのです。
■仰向けトレーニング
まずは仰向け寝で簡単な呼吸トレーニングを行います。
エクササイズ方法:
仰向けで横になり、足の裏を床につけ、足を開き膝を曲げます。足幅は肩幅と同じくらいです。
カラダ全体の力を抜き、肛門と睾丸を締めるように意識しましょう。
息を吸いながら肛門と睾丸を頭の方へ引き上げるイメージで締めていきます。
締めたままの状態で5秒くらいかけて息をゆっくり吐き、息を吐ききったら力を抜いてリラックスします。5回行います。
ポイントは脳天から股間部をティッシュを取るようなイメージで引き上げることです。
■四つ這いトレーニング
続いては四つ這いで骨盤底筋を動かしていきます。
エクササイズ方法:
肩の真下に手をつき、ももとヒザのラインが床と垂直になるように付けます。
背中はなるべくまっすぐで床と平行になるように。
この状態から息を吸いながら睾丸部を頭の方へ引き上げるイメージで力を入れていきます。
締めたままの状態で5秒くらいかけて息をゆっくり吐き、息を吐ききったら力を抜いてリラックスします。
これを5回行います。
ポイントは肩の力を抜いて地面についた手足の四点に均等に体重をかけることです。
■ヒップリフト
ヒップリフトは、仰向けの状態からお尻を上げて行います。仰向けトレーニングより少し難易度が上がりますが、効果的なトレーニングですのでぜひ挑戦してください。
エクササイズ方法:
仰向け寝になり、足の裏を床につけ、ヒザを立て、肩幅と同じ程度に開きます。
床からおしりを浮かせてヒザの頭から鎖骨まで一直線になるようにします。
この時、肩甲骨の下あたりまでが床から離れる状態にしましょう。
この姿勢をキープしながら息を吸っていきます。
吸いながら睾丸部を引き上げるような感覚で骨盤底筋を緊張させていきます。
締めたままの状態で5秒くらいかけて息をゆっくり吐き、息を吐ききったら力を抜いておしりを床に戻しリラックスします。これを5回行います。
ポイントは腰を反りすぎないようにお腹を締めて姿勢を維持することです。
3−2.骨盤底筋の動きがイメージできる!効果が高いツールエクササイズ
ケーゲル体操はいかがでしたか?
しかし骨盤底筋の位置や動きは実際にはわかりにくいものです。「この場所であってるかな?」「この感覚で正解?」と疑問に思いませんでしたか。
この疑問を抱くことは普通です。それだけ分かりにくい筋肉なのです。ケーゲル体操は手軽にできる優れた方法なのですが、この点がデメリットであることは否めません。
それを改善したのが、「ストレッチポール®ひめトレ」(ひめトレ)を使ったエクササイズです。ひめトレは当ブログを運営する㈱LPNが、一般財団法人日本コアコンディショニング協会とともに開発した製品で、独自の弾力性で骨盤底筋の位置と動きが理解しやすくさせたものです。
この上に座って簡単なエクササイズを行うことで、誰にでも骨盤底筋トレーニングの効果を体感していただけます。
なお、第17回日本女性骨盤底医学会で、
・座位による骨盤底筋収縮時には,ひめトレ前,ひめトレ中,ひめトレ後全ての条件において骨盤底は有意に挙上すること(明らかに筋肉の活動があったこと)が示された。などの研究発表が行われました。参考リンク:ひめトレ公式サイト
次項より、さっそくひめトレを用いた骨盤底筋トレーニングの一例をご紹介します。
■ひめトレ呼吸トレーニング
骨盤底筋を意識して呼吸をしていきます。
エクササイズ方法:
ひめトレの上に座り、触れている部分を引き上げながら、大きく呼吸をします。
息を吸いながら骨盤底筋を引き上げ、その位置をキープした状態で息をしっかり吐ききりましょう。5回ゆっくりと行いましょう。初めはシンプルに骨盤底筋を感じましょう。
エクササイズを動画にてご紹介します。
■ひめトレバードウイング
骨盤底筋を引き締め、呼吸でお腹を動かしたら、次は肩甲骨を動かしましょう。
エクササイズ方法:
ひめトレに座り両手を引き上げます。
手のひらを外側に向けて肘を曲げながら肩甲骨を寄せます。
この時、骨盤底筋を引き上げてキープしておくことがポイントです。ゆっくりと自分のペースで5回行いましょう。両手を動かしても骨盤底筋から力が抜けないように引き上げましょう。
エクササイズを動画にてご紹介します。
■ひめトレシェイプブレス
最後はお腹を引締める効果のある運動、シェイプブレスエクササイズです。
下腹を意識して行うことでウエスト周りを刺激します。
エクササイズ方法:
ひめトレに座り、肋骨の横に手を当てて息を吸います。この時に骨盤底筋を引き上げましょう。息を吐きながら手をクロスさせて前へ出して5回行いましょう。ポイントは下腹を意識することです。息を吐きながら肋骨が締まっていくのを感じていきましょう。
エクササイズを動画にてご紹介します。
これが代表的なひめトレエクササイズです。使用前の感覚もぜひ覚えておいて使用後と比較してみましょう。骨盤底筋部が引き上げられた感覚があり、椅子に座骨が立った状態で座ることができていれば大成功です。
尿漏れの診察に際して、薬が処方されることがあります。例えば、「排尿筋過活動」(OAB)に対しては、抗コリン薬の服用が効果的でよく処方されています。これは膀胱収縮を抑える働きのある医薬品です。処方に際しては骨盤底筋体操も併せて行うようにアドバイスされるケースが多いようです。骨盤底筋トレーニングを必ず行ったほうがいいことは、医学会でも常識なのです。
4.骨盤底筋を鍛えると他にもこんなメリットが!
骨盤底筋を鍛えることで得られるメリットは尿漏れ改善だけにとどまりません。ここではその他のメリットについてお伝えします。(体験会や愛用者アンケートの結果を元にした個人の感想によるものです)
4-1.姿勢が良くなる
ひめトレのエクササイズを行うと、坐骨がしっかり座面にあたり、骨盤がしっかり立った状態で座っていることが感じられると思います。これが正しい姿勢です。
これがなぜ起きるかというと、骨盤底筋を鍛えることで姿勢を保持する筋肉が働きやすくなるからです。またもっともカラダに負担のない位置が体にインプットされるからです。
姿勢が良くなることで、カラダの痛みやケガの予防をすることもできます。慢性的な腰痛が減ったという嬉しいお声もあります。
4-2.便秘解消
骨盤底筋は便の排出と内臓位置の適正化に大きな役割を持っています。
骨盤底筋を動かすことで、排出を助け、内臓が正しい位置に保持されることで正常な働きを行いやすくなります。つまり便秘の改善につながります。骨盤底筋トレーニングをした後すぐにトイレに行きたくなる方が大勢います。
4-3.ウエストラインが引き締まる
骨盤底筋が正常に働けば、骨盤は安定しウエストラインの筋肉が働きやすくなります。ウエストラインを安定させることで、ウエストを引き締めることができ、さらにヒップアップの効果を実感した人もいます。男性のぽっこりお腹も改善される可能性があります。
4-4.臓器の働きを良くする
骨盤底筋の働きが正常でないと、内臓などが下に落ち気味になるなどして働きが低下します。骨盤底筋を鍛えることで臓器の位置を正しい位置へ戻すことができ、その結果、臓器の働きを良くします。
4−5.スポーツパフォーマンスアップになる
ゴルフやテニス、ランニングや水泳などスポーツを楽しむ方には嬉しい効果です。骨盤底筋を鍛えることで、呼吸がしやすくなり、動きに対しての体幹筋の事前準備ができ、脊柱が安定し、股関節の可動域が向上します。
詳しくは、ひめトレブログの記事「スポーツパフォーマンス向上にひめトレを│骨盤とスポーツの関係」をご参照ください。
5.まとめ
男性の尿漏れを骨盤底筋トレーニングで改善する方法についてお伝えしました。骨盤底筋の動きを良くしておくと、尿漏れ以外にもざまざまなメリットがあります。ぜひここでご紹介した方法を1日3分でも構いませんのでお試し頂ければ、生活にとって大きなプラスになると思います。ぜひ行ってみてください。
※この記事はハーバード大学メディカルスクール ペインエデュケーションセンターのエントリー「Better Bladder and Bowel Control」を参考にしました。
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