あなたはスクワットを正しいやり方でおこなえていますか?
「スクワットをするようになってから、ヒザが痛くなった」というように、鍛えようとしているのに、ケガを発生させてしまうケースが少なくありません。これはスクワット本来の姿勢でおこなえていないからです。
また、ご自身が意図した部位と違う筋肉に負荷をかけてしまっている方も意外と多いです。これだと痛みがないとしても思ったような効果が上げられません。
スクワットは、ヒザを曲げて腰を落とし、元に戻るだけのシンプルな動きですが、正しくおこなうためにはいくつかの押さえておきたいポイントがあるのです。
ここでは、初心者でも簡単におこなうことができるスクワットのやり方について詳しくお伝えします。
この記事は石塚利光が監修しました。 日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著) |
目次
1.初心者はココを外すな! 正しくできて効果が高い5つのポイント
まず、スクワットの中でも最もベーシックなパラレルスクワットを例に、正しいスクワットのやり方について解説します。
パラレルスクワットは、
・太ももの表と裏
・おしり
の筋肉を鍛えるエクササイズです。
スクワットの正しいやり方を習得するためには、パラレルスクワットから始めフォームを固めるといいでしょう。
エクササイズの方法は、以下の通りです。
腰幅から肩幅くらいに両足の間隔を開き、つま先を前に向けます。つま先とヒザの方向が同じになるようにヒザを曲げ、重心を落としていきます。
太ももが床と平行になるように下ろしたら元の姿勢に戻り、繰り返しおこないます。
1−1.ポイント1:足の間隔は腰幅から肩幅程度に開く
パラレルスクワットで正しい筋肉にアプローチをかけるためには、スタートポジションで足の幅を腰幅から肩幅程度に開きます。
足幅を広くすることでヒザを曲げ、重心を落とすことができるためスクワットの効果を得ることができます。
これが広すぎたり、狭すぎたりすると左右の偏った方向に体重が乗ってしまったり、一部の筋肉に負荷がかかりやすくなってしまい、意図したトレーニングと違う効果を引き出してしまいます。
まずはスタートポジションをとるときに足の幅を意識しましょう。
1−2.ポイント2:つま先はやや外側へ向ける
続いて注意するポイントはつま先の向きです。スクワットの基本はつま先の向きと同じ方向にヒザを曲げることです。
つま先が外なのにヒザが正面だと、腰を落としていく時にヒザが内側に入ってしまいます。これはヒザを痛める原因になります。また、X脚の方だとその傾向を増長することに繋がります。
パラレルスクワットでは、つま先の向きを正面から親指一本分外側へ向けるようにしましょう。
1−3.ポイント3:動作を始めるときには股関節を意識する
スクワットの動作を開始するときにヒザだけを曲げてしまうと、正しいパラレルスクワットの姿勢を取れません(1−4のような姿勢になりがちです)。
正しくおこなうためには股関節を動かし、会釈をするイメージで上半身を少し前に倒すといいでしょう。
その動きに連動してヒザは曲がっていき、重心を落としていくと正しいスクワットをおこなうことができます。
1−4.ポイント4:ヒザはつま先の方に曲げ、ヒザ頭はつま先より前に出しすぎない
スクワットの動作で注意すべき点は、ヒザの倒す向きと倒し方です。
・ヒザがつま先と違う向きに倒れる
・ヒザがつま先よりも前に出ない
この二点に注意をしましょう。
つま先とヒザが同じ方向を向かないと、太ももの内側や外側に負荷がかかりやすくなります。正しいフォームで実施できないと、ケガの原因になったり、フォーム崩れの原因になるので注意が必要です。
※つま先よりヒザを前に出しておこなう方法もありますが、初心者の方でも安全に実施いただくため、本記事では注意点として明記します。
脊柱、股関節や足首の柔軟性が不十分な場合、上記のフォームで行えない場合があります。できる範囲で行なっていただいて構いません。可能であれば、柔軟性を獲得するエクササイズやストレッチと平行して行うと効果的です。
1−5.ポイント5:下げたところで一度動きを止める
的確に筋肉に負荷をかけるためには、ヒザを曲げてお尻が落ちたところで一度動きをとめるといいでしょう。これは正しいフォームを維持するためにも重要な役割を担っています。
なぜなら反動を使いながら実施すると、反復回数が増えていくなかで負荷を逃してしまったり、常に同じトレーニング姿勢を取ることができなくなることでフォームを崩します。その結果として意図した筋肉以外にも負担がかかり、痛みを引き起こす可能性があるからです。
動きにはメリハリをつけ、下ろしきったところで一度止めるようにしましょう。
エクササイズの実施回数については、一度におこなえる最高回数を適正回数とし、可能な場合は2〜3セットおこなうと効果的です。
2.これで習得間違いなし!正しいスクワットをするための練習法
ここでは誰でも簡単にスクワットを習得する方法についてお伝えします。
最も簡単で効果的なスクワットのフォーム習得方法は椅子を活用することです。
まずは、椅子の前に足幅を腰幅から肩幅くらいに開いて立ちましょう。そのあとはゆっくりと椅子に座りましょう。
この動きが実はスクワットの動作と同じなのです。
続いて、今度は座るときに座面におしりがつく寸前で止め、椅子に座らずに立ち上がりましょう。
これをヒザとつま先が同じ向きを向いているか確認しながら実施します。
10回程度おこなったら椅子を外し、同じようにやってみましょう。
スクワットのフォームに自身がない方はスクワットをおこなう前に椅子を使ったフォームチェックをおこなってから実際にトレーニングをおこなうと効果的です。
3.バリエーションでトレーニングを継続!自宅で飽きないスクワット法7選
正しい姿勢でスクワットを実施できるようになってきたら、他のバリエーションスクワットにも挑戦しましょう。
これらのエクササイズをおこなうことで、トレーニング初心者にありがちな「飽き」がこないように継続してトレーニングをおこなうことができます。
スクワットトレーニングの基本は太ももとおしりに効果があるエクササイズですが、ここでご紹介する方法はエクササイズによって負荷のレベルや、メインに効果の出やすい場所が変化していきます。その違いに気づくこともトレーニング効果を高めるためには大切なことなので、変化するトレーニング方法を楽しみつつ、どの部位に効いているのか確認しながらやることをオススメします。
ここでは、7種目のスクワットトレーニングをお伝えします。
3−1.フルスクワット
パラレルスクワットよりも深くしゃがむことで、トレーニング強度を高め、おしりも鍛えることができるエクササイズです。
足を腰から肩幅に開きます。つま先に向けてまっすぐヒザを曲げ、しゃがんでいきます。
このとき、背中が丸まらないように注意をしましょう。おしりを床すれすれまで落とし、反動をつけないようにカラダをコントロールしながら元の姿勢に戻ります。
この動作を繰り返しおこないます。
3−2.クォータースクワット
ヒザを45度まで曲げておこなうスクワットです。太ももへの負荷を実感しやすいエクササイズです。
足を腰から肩幅に開きます。つま先に向けてまっすぐヒザを曲げるようにして、しゃがみます。
このとき、背中が丸まらないように注意をしましょう。ヒザを45度まで曲げ、反動をつけないようにカラダをコントロールしながら元の姿勢に戻ります。
この動作を繰り返しおこないます。
3−3.ワイドスタンススクワット
両足を大きく開くことで、内ももとおしりに負荷の高いトレーニング効果を引き出すエクササイズです。
両足を肩幅かそれ以上開くようにして立ちます。ヒザとつま先は外側を向くようにし、つま先の方向にヒザを曲げて重心を下ろしていきます。
内ももの筋肉が働いているのを感じながら繰り返し行います。
3−4.ブルガリアンスクワット
片足でスクワットをおこなうことで、バランス力を高め、足への負荷を高めるトレーニングです。左右でやりやすい、やりにくいの差が出ることもあるので、フォームが崩れないように注意をしましょう。
椅子や踏み台に写真のように片足を伸ばして乗せます。乗せる方の足はしっかりと伸ばすことがポイントです。
姿勢が崩れないように安定させ、安定したら前に出しているヒザを曲げていきます。曲げているヒザがつま先よりも前に行かないように注意をしながら繰り返しおこないましょう。
3−5.プリエスクワット
内ももを主に鍛えるエクササイズです。
脚を肩幅に開き、つま先を外側に向けます(45度くらいを目安にしましょう。)。つま先とヒザを前に向けてももが床と平行になるまで曲げていきます。
ももが床と平行になるまで曲げたらその場で動きを一度止め、ゆっくりと元の姿勢に戻りましょう。
背中が丸まらないように注意をして繰り返しおこないましょう。
3−6.スプリットスクワット
太ももとおしりを鍛えるエクササイズです。バランスを保つ筋肉も使うので、体幹部にも効果的です。
両足を肩幅くらいあけるようにして片足を前に出します。
ヒザを曲げながら重心を下に落とし、両ヒザが90度に曲がるのを目安に繰り返しおこないます。
ヒザの向きが外側や内側に入らないように注意しながら実施するのがポイントです。
3−7.フォースクワット
おしりの筋肉と体幹部の筋肉を鍛えるエクササイズです。
片足を持ち上げもう片方のヒザの上に乗せます。足で「四の字」を作るようにヒザを外側に曲げてバランスをとります。
背中が丸まったり、バランスを崩さないように注意をしながらヒザを曲げて重心を落とします。90度を目安にヒザを曲げたら元の姿勢に戻り、繰り返しおこないます。
ヒザは足先に向けてまっすぐ曲げるようにしましょう。
4.目に見える効果が出るまでの期間とは
エクササイズを取り組んでも、すぐに目に見える効果を得ることは難しいです。つまり1日トレーニングしたからといって、理想的な足やお尻にすぐにはならないのです。
スクワットのトレーニング効果が外見に現れるのは、おおよそ三ヶ月程度かかるとされています。それより早く結果を出すのは難しく、カラダにも負担をかけてしまいます。
とはいえ、トレーニングをおこなうことで、カラダの内面ではもうすでに変化は始まっています。継続することでだんだんと外見にトレーニング効果が現れてくるので、それを目指して日々トレーニングに取り組むといいでしょう。
5.やりっぱなしはダメ!トレーニングによるケガを防止するためのストレッチ3選
スクワットの効果を最大限に引き出すためには、継続的なトレーニングを実施することが大切とお伝えしました。
そのためには、トレーニング前後でストレッチをおこなうことが重要です。なぜなら、筋肉が疲弊することでトレーニング効果は薄れてしまい、効率が悪くなるからです。
ここでは、スクワット実施後におこなうと効果的なストレッチを3種目お伝えします。
5−1.お尻のストレッチ
写真のように片足をもう片方の膝の上におきます。お尻周りが伸びるように意識して前に上半身を倒していきます。倒した状態で、自然な呼吸を繰り返しおこないます。左右20秒ずつを目安にストレッチしましょう。
5−2.もも表のストレッチ
右足を外側に曲げて座ります。
対角の肘をカラダの後ろで床につき左手の方に体重をかけてください。
右のももが伸びるのを感じましょう。
ポイントは痛くないところで自然な呼吸をすることです。左右20秒を目安に行いましょう。
5−3.ハムストリングストレッチ
仰向けで横になり、片脚を上に伸ばして折り曲げます。ももの裏を両手で押さえながら、膝の曲げ伸ばしを20秒おこないます。これを左右の足でおこなうようにしましょう。
自然な呼吸でおこなう事がポイントです。
6.まとめ
スクワットのやり方について掘り下げてご紹介しました。
まずは第2章までの方法を継続的におこない、正しいフォームで実施できるようにするところから始めることが大切です。
なれたきたらぜひバリエーションエクササイズにも挑戦してください。トレーニングを継続するためには、飽きない状態を作るのが最も効果的です。
ただしいスクワットの方法を習得して効果的なトレーニングをおこないましょう。
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