ジャンプトレー二ング・ライバルよりも高く跳ぶための練習法10選

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Basketball street player making a rear slam dunk.

もっと高く跳べたら…。

多くの球技や陸上競技ではそう願う方がほとんどでしょう。あと数センチでも高く跳ぶためにどうしたらいいか考えている方は少なくありません。

チームでジャンプ力強化のメニューを行っているところもあるかと思います。全力ジャンプしたり、時間を決めてひたすらジャンプしたり…。

しかし、回数を跳べば、ジャンプ力が強化できるわけではありません。誤ったジャンプは、効果が生まれないばかりか、膝や腰、背中などの故障を引き起こすことがあります。そうなると練習も全力でできなくなり、かえって跳べなくなるのです。

実はジャンプ力強化には、筋力強化と正しい姿勢と筋肉の使い方が不可欠です。それを体得することで、全身の力を効率的に、ケガのリスク少なく跳ぶことができるようになるのです。

この記事では、米国と日本で活動しスポーツ指導経験が豊富なアスレティックトレーナーが、自身の知識と経験に加え、研究文献をもとに最適な方法をお伝えします。

※今回の記事では、動画GIFを多数掲載しております。動画GIFの閲覧にはWi-Fiなど通信環境の良い状況下をおすすめします。

この記事は山口淳士が執筆しました。
EXOS Performance Specialist/米国公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)/NASM-PES, CES
中京大学体育学部体育科学科卒業後、Bloomsburg University大学院でアスレティックトレーニングを学び、米国公認アスレティックトレーナーの資格を取得。2016年4月に6年間のアメリカ生活を終えて日本に帰国。現在はEXOS Performance Specialistとして、某大手企業内フィットネスセンターで運動指導などを行っている。また、アスレティックトレーニング系ブログ「CHAINON」と、熱中症ブログ「熱中症.com」を運営している。


目次

1.ジャンプ力向上に必要な2つのポイントと2つの知識

ジャンプ力向上に必要なことは、大きく分けると2種類あります。それは「ジャンプするために必要な筋肉を鍛えること」と「その筋肉をうまく使ってジャンプができる身体の動きを身に付けること」です。ジャンプ力を上げたいからといって、むやみやたらとたくさんジャンプをしていてもジャンプ力は上がりません。

1−1.ジャンプに必要な筋力トレーニングを行う

ジャンプをするときに使われる主要な筋肉は、「大臀筋(お尻)」「大腿四頭筋(前もも)」「ハムストリング(もも裏)」「腓腹筋・ヒラメ筋(ふくらはぎ)」「腹筋・背筋群」です。これらの筋肉を鍛えて、より高くジャンプができる筋力をつけましょう。

ジャンプするために必要な筋肉を鍛えるトレーニングとして特にオススメしたいのが「スクワット」です。スクワットの動きは、そのまま両足で上にジャンプする動きになるため、スクワットをすることでジャンプに必要な筋力を効率的に鍛えることができます。

最も簡単で効果的なスクワットのフォーム習得方法は椅子を活用することです。

まずは、椅子の前に足幅を腰幅から肩幅くらいに開いて立ちましょう。そのあとはゆっくりと椅子に座りましょう。

この動きが実はスクワットの動作と同じなのです。

続いて、今度は座るときに座面におしりがつく寸前で止め、椅子に座らずに立ち上がりましょう。

これをヒザとつま先が同じ向きを向いているか確認しながら実施します。
10回程度おこなったら椅子を外し、同じようにやってみましょう。

より詳しいやり方は「初心者必見スクワットの正しいやり方!簡単で効果的なポイント5選」をご覧ください。

さらに、以下のページもご覧になっていただくことで、ジャンプに必要な筋肉をしっかりと鍛えることができます。

下半身(おしり・太もも・足)筋トレ決定版・最強自重メニュー10選

太ももから足先まで最も効果的な足のトレーニング19選

体幹トレーニング50選!初心者〜上級者の1週間メニュー

基礎的な筋力と筋肉の使い方がないと、ここからお伝えする方法を行っても、ジャンプ力向上は限定的です。ぜひ併せて行うようになさってください。

1−2.鍛えた筋肉をうまく使うための動きを身につける

ジャンプをするために使う筋肉を鍛えつつ、それらの筋肉の能力を100%使ってジャンプできるように、その動きを身につけるトレーニングもしていきます。それが「プライオメトリクス・トレーニング」と呼ばれるものです。

プライオメトリクス・トレーニングとは、筋肉の腱をバネのように使えるようにするトレーニングのこと。跳び箱をするとき、ただ跳ぶよりも、ロイター板(踏み切り板)を使った方が高く跳べますよね? 筋肉の腱は、うまく使えるようになるとこのロイター板のような役割を果たしてくれます。この「腱をバネのように使う」ことを、専門的には「ストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)」と言います。今回は深い説明は省きますが、後半でその方法を簡単に紹介します。

1−3.ストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)も活用しよう

ストレッチ・ショートニング・サイクルを一言で表すと、「急速な筋肉の伸展の直後に起こる急速な筋肉の短縮」となります。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、誰もがこの現象を知っています。それは「膝蓋腱反射」と呼ばれるものです。

病院に行ったとき、お医者さんに膝のお皿の下の部分を小さいハンマーのようなもので叩かれて、叩かれたら足が勝手に伸びてお医者さんを蹴りそうになった、という経験はありませんか? これが「膝蓋腱反射」です。

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医師が神経反射を診るために使うリフレックスハンマー

このとき何が起きているのかというと、ハンマーで膝蓋腱を叩くことで、膝蓋腱が一瞬少しだけストレッチ(=伸展)されます。膝蓋腱が伸展すると、合わせてそれにつながる大腿四頭筋も一瞬ストレッチされます。「急速な伸展」が起きたことで、脳は「このままストレッチされ続けると筋肉が切れてしまう!ケガしてしまう!」と感じ、防衛反応が働いて逆に筋肉を短縮させます。結果、大腿四頭筋が瞬間的に短縮したことで、意識せずとも膝が勝手に伸びて、結果的に「蹴る」という動作として現れます。

この「意識せずとも動いてしまう」という働きをSSCと呼び、この力をジャンプするときにうまく利用することで、意識して使う筋力以上の力を発揮することができるようになり、その結果より高く跳べるようになります。

これができるようになる方法もこの記事ではご紹介します。

1−4.プライオメトリクス・トレーニングでケガのリスクを抑える方法がある

「筋肉を急速に伸展させて、急速に短縮させる」という動きは、筋肉にとってもはとても負担が大きいため、ケガのリスクが上がります。

1・正しい姿勢で行うこと

2・正しい方法で行うこと

3・少しずつ強度を上げていくこと この3つを守りながらトレーニングを行い、ケガのリスクを抑えながらやっていきましょう。

ジャンプ系のトレーニング時にもっともケガをするリスクが高いのは「着地時」です。変なポジションで着地をしてしまうことで、足首をひねったり、膝や股関節、腰などのケガに繋がってしまいます。

よって、より高く跳ぼうと頑張ることはもちろん大切なのですが、同時に着地の姿勢・方法も身体にしっかり覚えさせましょう。ジャンプ力が向上し、高く跳べるようになればなるほど、着地のとき下半身にかかる負荷も高くなります。正しい着地の方法を知らないと、着地の衝撃に耐えられず、ケガをしてしまいます。ケガを予防しながら、安全にジャンプ力を鍛えていくことが重要です。

着地の方法のポイントは、前から見たときに「両肩、両股関節、両膝、両足がまっすぐ」になっていること。これであれば、ケガのリスクは下がります。また、腰から背中にかけてのラインがまっすぐになっていることも重要です。腰が反っていたり、逆に猫背になっていると、着地の衝撃によって背中や腰を痛めることにつながります。


2.必ずやるべきトレーニング10選

いよいよここから正しいジャンプ動作を獲得して、より高く跳べるようにするトレーニング方法をご紹介していきます。

より高くジャンプをしたい」と考えている方の理由はたくさんあると思います。バレーボールで高く跳んでスパイクを打てるようになりたい。バスケで高く跳んでダンクが決められるようになりたい。陸上で走り幅跳びの記録を伸ばしたい。他にもハンドボールやサッカーなど、高く跳べることがより良いパフォーマンスに繋がる競技はたくさんあります。スポーツの種類はたくさんありますが、基本的な「跳び方」の種類というのをシンプルに考えてみると、以下のようになります。

・跳び方:「両足で跳ぶ」「片足で跳ぶ」

・跳ぶ方向:「真上に跳ぶ」「前方に跳ぶ」「横方向に跳ぶ」

もちろんスポーツ中に行う動きはもっと複雑になりますが、基本的には上に挙げた動きを鍛えていくことで、ジャンプ力の向上に繋がります。

それでは以上を踏まえて、SSCをうまく使える身体の動きを身につけるためのプライオメトリクス・トレーニングの方法を紹介していきます。

“プライオメトリクス・トレーニング実施上の注意”

  • 今回お伝えする方法は、カラダへの負荷が大変大きいトレーニングです。多く行ったからといって短期間でジャンプ力が向上するものではありません。かえってケガのリスクが増大します。まったく行ったことのない方は全てを一度に行わないようにしてください。一回5分程度を目安に週に4日程度で継続していくようにします。詳しくは4章にてご説明しています。

2−1.ジャンプ(両足跳び〜両足着地)

ここで言う「ジャンプ」は、「両足で跳んで、両足で着地する動き」を指します。ジャンプ力を強化するためのトレーニングを紹介します。

2−1−1.NCMボックスジャンプ

ジャンプトレーニングをあまりしたことがない人は、NCMボックスジャンプから始めましょう。今回紹介するトレーニングの中では最も強度が低く、一番のベースとなる動きになります。この動きがしっかりできないと、強度を上げた時にケガのリスクが上がってしまいます。

NCMとは「Non-Counter Movement」(ノンカウンタームーブメント)の頭文字をとったもの。これは簡単に言うと「勢いをつけずに」ジャンプする方法のことです。勢いをつけないと、上記したSSCを使わずに跳ぶことになります。

スクワットした状態からスタート。その状態から膝をそれ以上曲げずに、腕もそれ以上後ろに引かずに、勢いをつけないで両足でジャンプし、Boxの上で両足で着地します。Boxの上に着地することで、普通に地面に着地するよりも衝撃が軽減されるため、ジャンプトレーニングの導入に最適です。(画像では比較的クッション性のある台を使用しています。柔らかすぎると足首を捻挫する可能性があるので注意してください)

NCMboxjump-1

跳び始めから着地後まで、左右の肩〜腰〜膝〜両足が水平になるようにしてください。膝が内側に入らないように注意

動画GIFはコチラ(4.8MB)

2−1−2.NCM or CM スクワットジャンプ

両手を頭の後ろに組むことで、より下半身の力を使って高く跳ぶ能力を鍛えることができます。腕で跳ぶ勢いをつけることができなくなるからです。最初はAと同じようにNCMで。スクワットしてしゃがみこんだ状態からスタートし、それ以上膝を曲げずに上に高く跳びます。着地もしっかり。

NCMsquatjump-1

まずはスクワット姿勢から反動を付けずに真上に飛び上がります

動画GIFはコチラ(4.3MB)

動きに慣れてきたら、次は勢いをつけていきます。勢いをつけて行う動きはCounter-Movement(CM・カウンタームーブメント)といいます。CMスクワットジャンプは立位からスタート。勢いよくしゃがみこみ、すぐに上に跳び上がります。「素早くしゃがみこむ」ことがポイント。素早くやることで急速に筋肉を伸展させて、SSCを利用することができるのです。

動画GIFはコチラ(4.3MB)

2−1−3.CMバーティカルジャンプ(1回ずつ→連続3回)

いわゆる「垂直跳び」です。立位からスタートし、腕を後ろに引きながらしゃがみこみ、すぐに真上にできるだけ高くジャンプ。両腕も思いっきり振り上げて高さを出しましょう。そしてその後の着地もしっかり。つま先、膝、股関節、肩すべてがまっすぐ一直線上になるポジションで着地します。

まずは一回ずつ行います。しゃがみこんでから跳び上がるまでの時間をできるだけ短くすることが、うまくSSCを使うポイントです。

CMsquatjump-1

動画GIFはコチラ(4MB)

慣れてきたら、次は同じ動きを3〜5回連続で休まずに行います。地面に両足をついている時間をできるだけ短くし、空中にいる時間をできるだけ長くするのが目標です。着地したらすぐにまた真上にジャンプすることで、さらにSSCの能力を高めて行きます。

動画GIFはコチラ(5.6MB)

2−1−4.CMフォワードジャンプ

いわゆる「立ち幅跳び」ですね。CMなので、勢いをしっかりつけます。立った状態から腕を後ろに振ってしゃがみこむところまではCMバーティカルジャンプと一緒。そこから真上に跳ぶのではなく、できるだけ前に跳びます。ミニハードルなどの障害物を置いて行うのもいいですね。跳んだ後の着地もしっかり。上に跳ぼうが、前に跳ぼうが、着地の姿勢は一緒です。

CMForwardJump

終始、頭〜背中〜腰のラインが一直線であるようにします。

動画GIFはコチラ(3.9MB)

また、これもCMバーティカルジャンプと一緒で、最初は一回一回しっかりやり、慣れてきたら3〜5回連続でジャンプしてみましょう。できるだけ着地時間を短くしながら、できるだけ遠くまで跳べるようにチャレンジします。

2−1−5.CMスプリットジャンプ

片足で跳ぶための準備として、スプリットジャンプもとても良いトレーニングとなります。今までのジャンプは全て両足を横に開いた状態で行ってきましたが、このスプリットジャンプでは足を前後に開きます。その状態から、腕を後ろに振りながらしゃがみこみ、真上に跳びます。跳びあがったら、前後の足を入れ替え、ちょうど下の写真のような状態で着地します。この時、前にある足、膝、股関節が一直線上になるように着地します。特に、つま先よりも膝が内側に入ることのないように意識して着地しましょう。

CMSplitjump1

動画GIFはコチラ(3.5MB)

最初は一回一回、慣れてきたら連続で4〜10回くらい跳んでみましょう。強度が上がっている分、今まで以上に着地も集中して行います。

2−2.バウンドトレーニング(片足跳び〜足入れかえ〜片足着地)

「バウンド」とは、「片足で跳び上がり、跳び上がった足とは逆の足で着地する」動きを言います。片足で跳び、片足で着地するので、ジャンプよりも強度は高くなります。ジャンプの動きで着地のポジションがしっかりできない人は、できるようになってからバウンドを始めましょう。

2−2−1.NCMバーティカルバウンド

まずは勢いをつけないNCMから。写真のポジションを作り、それ以上膝を曲げず、腕も後ろに振らずに、真上に跳びます。右足で跳んだら、着地は左足で。跳ぶ足と着地の足を入れ替えるのが「バウンド」という動きになります。

着地姿勢は、ジャンプの時と一緒。両足が片足になるだけで、足、膝、股関節、肩が一直線上になるように着地します。

NCMverticalbound-1

動画GIFはコチラ(3.2MB)

2−2−2.CMバーティカルバウンド(一回ずつ→連続)

NCMで動きと着地姿勢を覚えたら、次は勢いをつけて行うCMです。立位からスタート。素早く腕を後ろに振りながら下にしゃがみこみ、真上に跳びます。勢いをつけている分高さも出るはずなので、より着地は集中して行いましょう。バウンドなので足は入れ替えます。

CMverticalbound

最初は一回ずつ。慣れてきたら連続で右足、左足、右足…と交互に跳んでいきましょう。ずっと言っていますが、連続でやるときはできるだけ着地の時間は短くし、できるだけ空中にいる時間を長くするようにしていきます。

動画GIFはコチラ(3.1MB)

2−2−3.CMフォワードバウンド・CMラテラルバウンド(一回ずつ→右足左足→数回連続で)

今度は「前」と「真横」に跳んでいきます。片足で立った状態からスタート。腕を後ろに振りながらしゃがみこみ、前(真横)に跳びます。右足で跳んだら、左足でしっかり着地。一回インターバルを入れて、今度は左足で跳び、右足で着地。

CMforwardbound

動画GIFはコチラ(3.8MB)

慣れてきたら、左足、右足と連続で跳んで、しっかり着地。それもできるようになったら、2〜3往復くらい連続でやってみましょう。

CMフォワードバウンド3回の動画GIFはコチラ(3MB)

CMラテラルバウンド4回の動画GIFはコチラ(4.3MB)

2−3.ホップ(片足跳び〜その足で着地)

最後は「ホップ」です。これは、「片足で跳び、跳んだ同じ足で着地もする」という動き。跳ぶのも着地するのも同じ足となるので、バウンドよりも負荷は高くなります。

2−3−1.NCMバーティカルホップ→CMバーティカルホップ

まずはNCMから。この動きを覚えます。腕は後ろに引いた状態で、しゃがみこんだ状態からスタート。真上に跳び、跳んだ同じ足で着地します。

慣れてきたら、CMでやりましょう。立った状態から、素早くしゃがみこみ、真上に高く跳びます。高く跳べば跳ぶほど着地の衝撃も大きくなるので、着地まで集中して行います。

NCMバーティカルホップの動画GIFはコチラ(2.9MB)

CMバーティカルホップの動画GIFはコチラ(3MB)

2−3−2.CMフォワードハードルホップ・CMラテラルハードルホップ(一回ずつ→連続)

ミニハードルを使って行う方法も紹介します。フォワードホップは前方に進んでいきます。

ホップなので、跳んだ足で着地もします。最初は一個だけを使い、しっかり跳んでハードルを超えて着地。慣れてきたらハードルをいくつか置いて、連続で行っていきましょう。

上の方はストレッチショートニングサイクルをうまく活用しています。ラテラルホップは横に進んでいきます。

3. 併せてやりたいジャンプ力強化法

紹介したトレーニングのほとんどは、道具を使わずにできるものばかりですが、最初のトレーニングで使用したボックス(踏み台)や、前章の最後に紹介したミニハードルなどは、プライオメトリクストレーニングを行う際にとても便利なので、これらを利用するのは効果的です。

Young fit couple are in a good shape

正しいフォームと筋肉の使い方でできるようにマスターしましょう

「遠くに跳ぶ」よりも「高く跳ぶ」ということを強化したい人は、高いボックスや普通のハードルを使って、それに跳び乗ったり、連続で超えていくトレーニングをするとより良いですね。

また、トレーナーとしては「ジャンプ力強化」とともに行いたいのが「着地時のケガの予防」です。何度も述べていますが、着地という動作はとても関節に負担がかかるため、悪い姿勢・ポジションで着地をしてしまうとすぐケガに繋がってしまいます。上で紹介したトレーニングは同時に着地のトレーニングにもなっているのですが、スポーツをしているときに起こる動きとしては、跳んだときに向いている方向と着地時のそれが違う、ということはよく起こります。よって、その対策となる練習をしておくことも良いと思います。

CM 90°/180°ローテーショナルジャンプ

立った状態から腕を後ろに引いて素早くしゃがみこむところまでは一緒。その後真上にジャンプしながら、90°もしくは180°回転して、着地します。姿勢をしっかり意識しましょう。

サッカーでヘディングをし終わった後や、バレーボールでブロックした後などは、普通に着地せずに、目はボールを追っていたり、着地してすぐ走り出したりしますよね?

よって、スポーツの動きの中では、跳んだらそのまま着地することはあまりなく、次の動作の準備をするために、顔の位置や身体の向きが変わっていることが多いです。より自分の行うスポーツの動きを意識しながら、顔や身体の向きが変わってもしっかりとした着地姿勢を取ることができるようにすると、ケガを予防することができます。

4.いつ、どれだけやるのが効果的か

今回紹介したプライオメトリクストレーニングは、とても強度が高いトレーニングです。これはつまり、身体への負担も非常に大きいということです。よって一日に行う量はあまり多くはできないのです。

もしプライオメトリクストレーニングを全然やったことがない方の場合は、週にやる回数を多くして、その分一日にやる量を減らします。具体的に言うと、週4日(二日に1回くらい)で、一日にやるのは5〜15分程度で良いでしょう。1種目5回前後を1セットとして、1〜3セット。これを3〜5種目くらいできれば良いと思います。

プライオメトリクストレーニングにだいぶ慣れてきた方や、片足でのトレーニングを多く行う場合は、週2日くらいに回数を減らして、その分一日にやる量を少し増やして15〜20分くらい行ってください。

一種目5回前後を1セットとするのは変えずに、2〜3セット行います。種目数も4〜6種目くらいに増やしても良いですね。ただ、プライオメトリクスは回数を多くやることが大事ではありません。一回一回全力で跳ぶこと、正確な姿勢・ポジションで着地すること、連続で飛ぶ場合はできるだけ地面にいる時間を短くしてできるだけ空中にいる時間を長くすること、これらがとても重要です。たった5分でも全力で跳ぶことで、とても効果が高いトレーニングとなります。

5.練習後は

プライオメトリクストレーニングはとても強度が高く、たくさん行うと、特に足首・膝・股関節・腰あたりにかなりの負担がかかってきます。よってこれらの部位を、ストレッチポール等を利用してほぐす、ストレッチをする、などのクールダウンはしっかり行いましょう。

ヘッドオーバー〜下肢のストレッチ

ヘッドオーバー

仰向け寝になり腕を広げ、腰から足をオーバーヘッドして床に着くくらいまで持ち上げます。5カウントしたら、写真のように起き上がりそのままつま先をタッチします。再びオーバーヘッドし、こんどは足を開いて両足先をタッチ。さらに、オーバーヘッド+片足先ずつタッチを行います。慣れてきたら2〜3セット行えるようにします。

静的ストレッチの方法は以下の記事を参考になさってください。

クールダウンに最適な静的ストレッチで疲労軽減&筋発達促進

6.まとめ

ジャンプ力アップのためのトレーニング方法をお伝えしました。ポイントは

・下肢の基礎筋力を強化する

・ジャンプのための正しいカラダの使い方とフォームをマスターする

・スポーツシーンでよく起こる状況(動作)にフィットしたトレーニングをする です。

実際の競技では、一度高く跳んだだけでプレイが止まることはほとんどないはずです(特に球技では)。横や後ろに動いたり、振り返ったりすることがほとんどでしょう。すぐ次の動作に移るためにはそのためのトレーニング(アジリティ等)も必要です。詳しくは稿を改めますが、実際の動きを想定して練習することも不可欠です。

お伝えしたトレーニングを参考に、また皆さんで工夫して取り組んでみてください。

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