「骨盤の歪み」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?自分の腰痛やむくみなどの不調は、骨盤の歪みが原因かもしれないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そもそも、骨盤は本当に歪むのでしょうか?
この記事では、「骨盤の歪み」を原因から解消する方法をお話しします。骨盤とカラダの歪みについて理解を深め、キレイな自分を取り戻しましょう。
目次
1.骨盤が歪む原理
骨盤が歪む原理を理解することで、骨盤の歪みを改善・再発防止をすることができます。
ここでは3つのポイントについてお伝えします。
この記事は石塚利光が監修しました。 日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著) |
1−1.骨盤の構造と歪みについて
骨盤の構造はシンプルです。左右1つずつ、腰側に1つ。合計3つの骨からできています
それぞれの骨が関節で繋がっていて、骨盤の形をなしているのですが、何らかの理由で正常な形をキープできていない状態が「骨盤の歪み」です。
骨盤の歪みはつぎのようなタイプがあります。
・左右の骨が前か後ろに同時に傾いている、または別々に傾いている(ねじれている)
・上部が開き(閉じ)ぎみ、または下部が開き(閉じ)ぎみになっている
・左右どちらかの骨が上がっている。または下がっている、さらに同時に起きている 状態で、この3種類のいずれか、または複合して起きているケースです。
1−2.なぜ骨盤が歪む?
骨盤が歪む原因についてはさまざまな理由が考えられます。主として考えられるのが日常生活や運動のクセです。
・脚の組みかたが常に同じ
・椅子に座る際に、左右に偏って体重をかけている
・立っている際に、どちらかの脚に体重をかけている
などです。
このような習慣の結果、骨盤に負担をかけ、そこから連鎖して、腰や背骨、肩、首、脚にもストレスがかかり、いろいろなトラブルの原因となっているのです。
また、出産などのケースで、骨盤下部が開いたりするのも一種の歪みです。この場合は、骨盤ベルトのようなツールで外から引き締めることで、一定の効果があることがわかっています。
しかし、日常の習慣や作業などで起きている骨盤の歪みについては、外から引き締めるよりも、根本原因からの改善をお勧めします。なぜなら、骨盤の歪みは骨盤だけに原因があるわけではないからです。骨盤だけを締めることで、他部位のバランスがさらに悪くなる可能性があります。
1−3.骨盤の歪みは、実はごくわずか
骨盤は、簡単には歪みません。実は、骨盤の周囲は大小さまざまな筋肉、靭帯、腱などが取りまいており、本来は歪みが発生しにくい環境です。ですので、歪みといってもその数値は0.数ミリから最大1cm程度。そのわずかな歪みが多くのトラブルを引き起こしている、と考えられます。
そして、ほとんどの方が何らかの骨盤の歪みを起こしているのです。焦らずにじっくり骨盤を整えていきましょう。
2.骨盤の歪みをとるために
原理原則がわかったところで、ここからは実際に歪みを改善するための方法について解説します。
2−1.歪みを意識すること
歪みをとるには、意識して改善に取り組むことです。骨盤の歪みはこの心がけだけで改善に繋がっていきます。まずは自分の現状をチェックしましょう。
前述の項目以外にも、
・靴のカカトの減り方はどうか
・カバンをいつもどちらかの肩でかけていないか
・カラダがどちらかに傾いている実感はないか
・歩き方や立ち姿はどうか
これらを鏡で見たり、誰かに評価してもらうといいでしょう。自分の傾向がわかったらすぐ行動に移します。
歩く際に、足が地面を擦るようになっていれば、それを直すようにしますし、ヒールが付く際に、先端が外側に逃げているようであれば、まっすぐ付くように意識します。長年染み付いたクセが原因になっているケースが多いですから、簡単にはいかないでしょう。しかし40日継続すると脳におけるカラダの使い方の情報が置き換わるのだそうです。まずはこの一歩から意識してみましょう。
2−2.正しく筋肉を使うこと
歪みをとることは、一種のトレーニングです。なぜならば、慣れ親しんだ筋肉の使い方にサヨナラをするからです。
例えば、O脚の方(ここでは骨に異常がないと仮定します)でしたら、傾向として足の外側の筋肉だけを使っているケースが多いです。またお尻の筋肉をうまく使えずにたるんでいることが多いようです。
このような方の改善には、脚全体の筋肉を使えるような練習が必要になります。
また、椅子に座っている時に、背もたれからお尻が離れ、どんどん前に滑っていくような座り方をする方がいます。このような方は姿勢良く座ることができるサポート器具などをお考えかもしれません。
しかしこれがなくても、常に座骨で座る意識をしていると良いクセが身に付いてきます。
自分本来の能力で直す方法としては、有効な骨盤底筋トレーニングを行うと、骨盤が正しい位置(ニュートラルポジション)にあることを確認できます。
2−3.全身をゆるめること
クセなどで凝りかたまった筋肉や骨格の状態を本来の状態にするために、整骨院などの治療院ではまず全身を緩めることから施術が始まるようです。
一例では、温めたりストレッチをして筋肉をゆるめ、足首を持って小さな振動を加えるなどをして、股関節が適正な位置に収まるようにします。
治療院の良いところはお客様の状況を専門家が判断し、最適と思われる施術とアドバイスを行ってくれるところです。
自宅でひとりでカラダをゆるめるには、お風呂に入って十分温まった状態でストレッチを行ったり、十分脱力した状態でパートナーに手首や足首を持ってもらい、小刻みに揺らしてもらう、などをお試しください。
セルフで行う最良の方法としては、ストレッチポール®を活用することをお勧めします。基本的な運動だけでも全身がゆるみ、関節が適正な位置に収まりやすくなるからです。
動画【ストレッチポール】もっとも基本的なエクササイズ〜ベーシックセブン
広島国際大学で100名以上を対象に行われた研究では、ストレッチポールでの骨盤の状態を整えるエクササイズは、骨盤アライメントを対象化する(骨盤の左右の状態を均衡化する=骨盤の左右バランス改善効果がある)、と結論づけています。(参照:CiNii Articles )
ストレッチポールを活用した運動で骨盤調整を行う方法については、別記事「ストレッチポール®で簡単骨盤調整!2つのポイントとその方法」でお伝えしていますので、興味のある方はそちらもぜひご一読ください。
2−4.バランス感覚を鍛えること
さらに、バランス感覚が正しい位置にあることをカラダにおぼえこませましょう。カラダがどのような状況になっても、本来の位置に戻って来れるように、無意識でその感覚をつかめるようにするのです。
自動車のハンドルは、どのように回しても手を離した瞬間に最初の正しい位置に戻ろうとします。
人間においても、静止時はもちろん、運動時でも、正しいバランス感覚が必要です。
ストレッチポール®を使った運動を継続して行うと、正中線(カラダの真ん中のライン)の感覚がわかります。
3.良い状態をキープするために
骨盤は一度整えることができたらそれで終わりというわけではありません。歪んだ時の原理と同じように、再発防止をするためには、良い状態をキープしなければなりません。ここではその方法についてお伝えします。
3−1.骨盤の歪みだけがトラブルの原因ではない?
実は、多くのトラブルの原因が「骨盤の歪みだけにある」と断定することはできません。他の部位の歪みやバランスの悪さが、骨盤に影響を与え、さらに別の部位でトラブルとなって発生しているケースが少なくないからです。
例えば、「靴の片減り」を例にとりますと
・骨盤由来の歪みにより足の付き方にアンバランスが生じているケース
・足の体重のかけ方が原因のケース
・他部位のバランス不良により骨盤に歪みを生じ、その結果、足の体重のかけ方に影響を及ぼしているケース
など、さまざまなパターンが考えられます。
足から股関節を通じて、骨盤の歪みを起こしているケースは、他部位のバランス不良の結果により生じたものです。例えば、首を常にどちらかに傾けて立っている方がいるとします。この場合は、首から胸まわりや背骨に影響して骨盤の歪みを生じさせているかもしれません。
さらに、そこから股関節を通じて、足の付き方に影響を及ぼしているケースもあるのです。
つまり、骨盤の歪みの結果が多くのトラブルを引き起こしている場合もありますし、他部位の歪みの影響で、骨盤にバランス不良を生じていることもあるのです。
3−2.いつまでも歪みがとれた正しい状態でいるために
歪みがとれた状態をキープすることに務めましょう。今まで使われていなかった筋肉を使うようにするわけですから、違和感があったり、筋肉痛が出たりするかもしれません。
バランスマットの上に片足で立ち(これにより正しいバランス感覚がつかめる)、そのうえでチューブトレーニングなどを行うと、姿勢安定のための筋肉も強化できるかと思います。
しかし、スポーツに一生懸命取り組む方以外では、少々キツいトレーニングかもしれません。一般の方にとっては、繰り返しになりますが、まずは意識をすることです。前を行く人の歩き方や姿勢に注目するのも手です。自分がどのような姿勢で歩いているか、かえりみることができるでしょう。
まとめ
骨盤や全身の歪みをとって、正しい姿勢づくり。これが当ブログが提案する主旨です。スポーツ選手だけではありません。
ワーキングウーマンでも、育児を頑張るママの方も、シニアの方にも、すべての方の健康のために何度でも訴えていきたいと考えています。
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