「ヒック………」あっ、しゃっくりかも? 少し治まったかと思うとまた「ヒック」「ヒック」「ヒック」…。
とうとう本格的に始まってしまいました。会話でも勉強でも会議でもドライブでもテレビを見ていても集中できなくなります。
今すぐ効果的に止める方法は?とお考えの方に、この記事では実際に行ってみて、すぐに止めることのできた方法を5つお伝えします。
しかし、ごくまれに二日以上継続するしゃっくりがあります。これは原因と見極め方をお伝えします。原因によってはすぐ治療が必要となりますので、持続性のしゃっくりでお困りの方はぜひ参考になさってください。
目次
1.しゃっくりはなぜ起こる? その原理とは
まずはこの厄介な「しゃっくり」の原因から解説します。
1−1.とつぜん横隔膜のけいれんが起きる
しゃっくりは、横隔膜のとつぜんの収縮(けいれん)によって起きます。横隔膜は肺の下にあるインナーマッスルで、呼吸に大きく関わっています。
この横隔膜が収縮した直後に、気管の上部の喉頭にある声門が閉まり、「ヒック、ヒック」といった音をともなった軽く息を吸い込む反応が起きます。これがしゃっくりです。
しゃっくりは、自分でコントロールできない反射動作です。しかし、咳やくしゃみなどの他の反射とは異なり、「何を目的に発生するか」がまだわかっていません。
1−2.しゃっくりを引き起こす原因
誰にでもよくあることで、多くの方にとっては久しく忘れていたころに起こるものです。明確な原因がなくても起こりえますが、次のような状態の時に起こりやすいことがわかっています。
・突然の興奮状態または感情的なストレス
・食べ過ぎや炭酸飲料の飲み過ぎ、または空気が胃に入ることで胃が膨れたとき
・胃腸の急激な温度変化(非常に熱い、または冷たい飲食物をとったとき。または冷たいシャワーなどを胃部にかけたとき)
・過度な飲酒、喫煙
一時的なしゃっくりはしばらくすると自然に治まりますし、ほとんどの場合、治療の必要はありません。
2.しゃっくりの止め方5選
「一時的なしゃっくり」の止め方でオススメの方法をお伝えします。いずれも筆者が実際に効果を感じているものだったり、多くの方から「効果があった」と聞いた方法です。
2−1.コップの水を向こうから飲む
通常は手前で飲むコップの水を、向こう側から飲むのでテクニックが必要です。
コップに水を8割ほど入れます。手に持ち前屈みになりながらコップも同様に傾けます。コップの水を向こうの縁から飲みます。上あごをつたって水が胃に入る感覚です。飲む水の量は少しで大丈夫です。
横隔膜を通常より引き上げることで、戻る時にリセットされるのかもしれません。鼻や気管支に水が入ってむせないように注意してください。
2−2.塩をひとつまみ飲み込む
上記は効果が高いのですが、慣れないとハードルが高いかもしれません。こちらの方法は簡単です。
塩をひとつまみ飲み込むだけです。舌の上で舐めるよりも、一気に飲み込む感覚で行います。砂糖やレモン、酢でもOKという方がいます。
理屈は不明ですが、深く嚥下する(飲み込む)ことで正常な働きを取り戻せるのかもしれません。
2−3.耳と鼻を塞いで水を飲む
まず、人差し指で耳を押さえ、小指で鼻を塞ぎます。このように空気の通り道の全てを遮ってから、コップの水を一、二口飲みます。手が一つ足りないかもしれません。コップを机に置けば、少々難しいですが可能です。できれば誰かに片方の耳と鼻を塞ぐのを手伝ってもらうといいでしょう。
2−4.膝を抱えてゆっくり呼吸をする
これも前屈みになって呼吸を行うことで、最初に紹介した方法と同じような状況を作り出すことができます。
ヒザの上に足を乗せて外に倒し、胸をはってお腹から近づけていきます。お尻の外側に適度な伸び感を感じたら、15~30秒間をメドに呼吸をしながらキープします。
2−5.バルサルバ呼吸法を行う
筋トレで使われる呼吸法の一つですが、この呼吸法の一部を利用してしゃっくりを止める方もいます。
簡単にいうと、ノドと声帯を閉じて息を止めます。普通に息を止めただけではノドが開いている感じがしますが、バルサルバ呼吸法では、ノド全体に思いっきり力を入れて、扁桃腺側からもノドボトケ側からもノドを押し込んで塞ぐ感覚です。
当然、顔が真っ赤になり、ちょうどいきみや力み、きばりの状態になります。重いバーベルを持ち上げる時の顔の感じです。首に最大限の力をかけて息を止め、限界になったら脱力します。
3.二日間以上続くしゃっくりは注意・見極め方とは
しゃっくりは何の対処をしなくともしばらくすれば治まります。「数時間、止まらない!」と焦っても、一晩寝れば、起床時にはしゃっくりで悩まされたことを忘れるほどになっているでしょう。
しかし、ごくまれに48時間以上続くこともあります。この場合も3~4日目に自然に治るかもしれませんが、根本的な病気の可能性もあるので、医学的評価が必要です。
しゃっくりが長引くと、睡眠不足や疲労蓄積、集中力欠如、ストレスによるメンタルヘルスへの影響を引き起こします。腹部の手術を受けたひとにとっては、縫合部への影響も起こりえます。ぜひはやめに医師の診察を受けてください。その場合は内科、呼吸器科に行きましょう。そこで問題がないと言われても、持続する場合は神経内科も検討してください。
3−1.持続的なしゃっくりの原因
何百もの病気がしゃっくりを引き起こすと報告されています。その中でももっとも多いものが「逆流性食道炎」などの消化器の調子が悪いことです。また極めてまれなものもあります。なかには原因のわからないケースも。原因の例をいくつかお伝えします。心当たりはありませんか?
・逆流性食道炎(食道の蠕動運動の低下、下部食道括約筋のゆるみ、胃酸の過剰分布、腹圧の上昇など)
・過度の飲食等による胃の膨張
・胆嚢の感染症、または横隔膜下の感染症、消化器官の炎症、腫瘍、肺炎、ぜんそく、胸膜炎など
・アルコール摂取や高血圧、血液中のカルシウムやカリウムの不足などの血液成分の変化
・特定の医薬品の副作用 – ステロイド、精神安定剤、およびメチルドパ(血圧用)を含む鎮痛剤など
・心臓や脳の疾患
- 「唾液」の重要性を普及している人気歯科医・森昭先生によると、胃酸逆流を放置しておくと、口の中が強酸性になり歯がボロボロになるなどデメリットがかなりあるとのことです。唾液の分泌を多くすることで口内環境が適正化されます。唾液を増やすトレーニングの方法を別記事「唾液が多いのは病気?原因は?有名歯科医が解説!唾液との付き合い方」にてご紹介していますので、胃酸逆流に悩む方はこちらも参考になさってください。
3−2.しゃっくりの検査方法
なかなか治まらないしゃっくりは、他に重篤な原因があることも考え、所見によってはさまざまな検査を行います。血液検査、心臓トレース(心電図、またはECG)および胸部X線検査などです。これらは、血液化学、胸の問題または心臓病などの疾患の可能性を疑います。個々の状況により、また他の病状が疑われる場合には、他の検査が勧められることがあります。
3−3.持続性しゃっくりの治療法は?
まずは一時的なしゃっくりを止める方法で本当にとまらないかやってみます。診察や検査で原因がわかればその疾患の治療も行われます。
投薬で改善しそうな原因であれば、それを行います。
漢方薬の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は筋肉のけいれんに効果のある薬で、処方されることが多いです。
胃酸の逆流や、膨張した胃が原因であれば、抗酸薬(オメプラゾールやラニチジンなど種類は豊富)や、胃を空にするのを助ける医薬品(メトクロプラミドなど)を処方することがあります。
横隔膜の筋肉や神経系を落ち着けるために、向精神薬の一種であるクロルプロマジンまたはハロペリドールを用いることも多いです。他には筋肉をリラックスさせるバクロフェンやガバペンチンも選択肢にあります。
他の治療が有効でない場合は、麻酔薬や鎮静剤の使用が効果をあげることがあります。
4.まとめ
しゃっくりを止める方法と、二日以上たっても治まらない場合に考えられる原因や治療法の知識をお伝えしました。いろいろ試してみても治らない場合は、他に原因疾患がある可能性もあります。ぜひ医師の診察をあおぐようになさってください。
この記事は以下のサイトを一部参考にしました。https://patient.info/health/hiccups-hiccoughs
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