ランニングを行う方や、歩き仕事の方、運動不足の方が急に運動を行った際に発生する「土踏まずの痛み」。
足底筋膜炎の可能性があります。
急激に痛みを発生する場合もあれば、最初は弱い痛みだったのが、徐々に強くなり、歩くのも辛くなることがあります。
この原因はなにか、どうすれば痛みが軽くなるか、治療法はどのようなものか、もっとも回復を早める方法は何か、とお悩みの方にここでは理学療法士でランニング大会のサポートも行う先生にお話しをうかがいました。
実際に、足底筋膜炎の改善にはステロイド(痛みどめ)よりも理学療法によるリハビリ(ストレッチ等)が効果的だったという研究結果があります。(出典:https://medley.life/news/item/56332166e31c6104083ae6cd)
その方法のうち、セルフでもできるものを中心にお伝えします。整形外科の治療と併せてご自分でも何か取り組みたいとお考えの方はぜひご一読ください。
この記事は世良田満仁先生の監修をいただきました。
芦屋グランデクリニック理学療法士/日本コアコンディショニング協会(JCCA)ベーシックインストラクター/X-port kobe 共同代表
痛みの早期回復、ケガをしない体作りをモットーに整形外科で勤務。資格の垣根を超えた、プロフェッショナル集団を作るというコンセプトのもとX-port kobeを創設。オリジナルコンテンツである「軸足コンディショニング」「トータルコンディショニング」講習会を全国で展開。いくつもの国内メジャートレイルラン大会のサポートブース担当に就任。
1.足底筋膜炎とは
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)は、歩いたり走ったりする時に、足裏に体重をかけると発生するズキッとした痛みが特徴です。
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)と呼ぶこともあります。
足裏にはかかとの骨(踵骨)から指の付け根に走る膜状の腱があります。これが足底筋膜(足底腱膜)です。足底筋膜は土踏まずのアーチを支えていますが、いろいろな理由により負担がかかり続けると炎症を発生することがあります。これが足底筋膜炎です。炎症は片足だけの場合も、両足の場合もあります。
スポーツ選手に多く、特に長距離走や上図のようなステップを使うスポーツで目立ちます。長時間の立ち仕事の人やランニングを始めたばかりなのにいきなり長い距離を走ろうとする人にも多い傷害です。年齢的には40代以降が多いです。
2.足底筋膜炎の症状
よくある症状としては、
・足底に痛みが発生して、かばいながらなんとか歩いたり走ることができる
・その症状が悪化して歩くのも困難になる
・朝起きた直後の数歩がとても痛いがそのうち軽くなる
・長時間座ったあとに、歩き出すと痛む
・かかとの骨の前方内側を押すととても痛いところがある
などです。
関節炎や足根管症候群などの神経障害のような類似の症状を伴う他の傷害と誤認される可能性があります。ちなみにそれらの症状の場合は、夜間やおやすみ中にも痛みを感じることがあります。足底筋膜炎の場合は、足を使わないでいる時はあまり痛みを感じません。
3.足底筋膜炎の原因
監修の世良田さんが実際の診療で感じる足底筋膜炎の原因は以下のようなものです。
・オーバーユース
・足関節の柔軟性低下
・回内足、扁平足などの足部アライメントの問題
・ねんざクセなどによる足関節の不安定性
・加齢等による足部内在筋の筋出力低下
・シューズの問題
このうちどれか一つが原因というよりは、いくつかの要因が重なって起こっていると考えられます。以下に解説します。
3−1.オーバーユース
使い過ぎの意味です。歩き過ぎ、走り過ぎ、跳躍のし過ぎ等で発生します。また環境が異なることでも発生しやすくなります。同じ練習をしていてもならない人もいます。オーバーユースで発症する人は以下の問題もある可能性があります。
3−2.足関節の柔軟性低下
足首の柔軟性が衰えている場合も原因になります。足先を手前に引きつけたり(背屈)、向こう側に伸ばしたり(底屈)、内外にひねったり回す際の柔軟性が失われていると、衝撃を受け止めにくくなります。
3−3.足部アライメントの問題
アライメントとは運動学的には“歪みがなく正しい状態”または“その状態になっているかどうか”の意味で使用します。足部アライメントとは、足の状態が正常であるかどうかのことです。
アライメントに問題があると、足底筋膜が通常より引っ張られたり(伸張)することで、衝撃がダイレクトに伝わりやすくなります。
3−3−1.ヒザの回内がある
端的にいうとヒザが内側に入っている状態です。ランニングフォームで下図の回内が発生していないかどうかチェックしてみましょう。一本のライン上を走るイメージで足を進めている人は注意をしてください。
3−3−2.足首の回内がある
足首が内側に入っているフォームです。裸足で歩いたり、階段を昇る時にわかりやすいのでチェックしてもらいましょう。
3−3−3.扁平足
足裏のアーチは衝撃吸収のために大事です。アーチがバネの機能を果たしているからです。扁平足の人は衝撃をうまく逃すことができず脚に伝えてしまうので、足底筋膜炎などのケガを発症させる可能性が高くなります。
また最初は健全なアーチを保っていたのにも関わらず、長年練習をしているうちに、悪い姿勢のせいでアーチが崩れ、それが原因となるケースがあります。このような人は足底の筋肉が弱まっている可能性もあります。
3−3−4.浮き指
立った時に足の指が地面を捉えずに浮いてしまっている状態です。この状態は足部の背屈位になり、足底筋膜を伸張させていることになります。
3−4.足関節の不安定性
足のくるぶし周辺には支帯(したい)といって腱を束ねる靭帯が多く存在しています。
捻挫を繰り返すことで靭帯が緩んでしまうと、足首の構造を安定させにくくなります。これが足関節の不安定性です。
足底筋膜炎を発症した方で、捻挫もクセだと感じる方はリハビリの過程で足首の筋肉を強化するトレーニングも併せて行うようにします。
3−5.足部内在筋の筋出力低下
足の内部には細かい筋肉が複数あり、足を安定させたり、全身のパワーを発揮させるために縁の下の力持ち的な役割を果たしています。
いわば足における体幹筋です。これらの小さい筋肉の筋出力が低下することで、足が機能低下し、衝撃に弱くなるなどのデメリットが発生します。加齢とともに衰えやすい筋肉です。
3−6.シューズの問題
古くて靴底がすり減っていたり、中敷き(インソール)も消耗していたり、足にフィットしていないシューズを履いている場合も、衝撃を吸収できなく足底筋膜炎の原因となる可能性があります。
次項より、世良田さんが実際に行っているケア方法をご説明します。
痛みが悪化し、最初はかばってでも走れたものが、足を付くだけで痛むようになります。痛みをかばって走ると、カラダ全体のフォームが崩れ、他の傷害を発生する可能性が高くなります。また、足底筋膜が引っ張られ続けることで踵骨棘(しょうこつきょく)というかかとの骨の変位が起きることがあります。たかが足裏の痛みと軽視せずに、整形外科の治療をはやめに受けましょう。
4.足底筋膜炎の段階別治療方法
運動量を減らしたり、安静にしておくと1ヶ月から3年以内に自然治癒する方がほとんどです。
しかし整形外科による適切な治療を受けることで、回復期間が早まったり、再発防止の可能性が高くなります。また足底筋膜炎と思っていたら疲労骨折や他の傷害であるケースもあります。足底筋膜炎を患った方や可能性のある方は速やかに整形外科を受診なさってください。
足底腱膜炎はアーチが低下し腱膜の緊張が高い状態でストレスがかかる事で痛みが出現すると考えられていますので、それに沿った治療を行っていきます。
大きく分けて以下の3期にわけて治療法をお伝えします。
急性期(炎症期) | 痛みを抑え、進行を防ぐ処置。アイシング、テーピング、軽いストレッチ等 |
亜急性期 | 痛みの進行はストップ。進行を防ぎながら、回復を進める処置。ストレッチ、トレーニング等 |
回復期 | 練習レベルに戻るための処置。再発防止策も積極的に講じる。アーチ回復トレーニングや実際の練習に近い方法 |
4−1.急性期(炎症期)の治療法
痛みが発生し始めた状況や、痛みが持続している状況下でのケア方法です。整形外科では痛みと炎症を緩和するためにロキソニンなどの痛み止めを処方することがあります。
4−1−1.アイシング
炎症を抑えるのにもっとも効果的で一般的な方法がアイシングです。氷水を入れたアイスバッグを使用します。
伸長した足底筋膜を縮めるために、足部を底屈ぎみの状態で行います。足裏に緊張が生じないように脱力をして行ってください。
10〜20分程度、患部がひんやりと気持ちいい感覚を得ながら行ってください。5〜10分程度インターバルをとって、再度行います。数セット繰り返します。氷水を入れたバケツに足を底屈しながら浸す方法もあります。患部の感覚がなくなるほど冷やすのはやり過ぎですので注意してください。
可能な限り、合間を見て行ってください。
4−1−2.テーピング
足のアーチ形成を補助するテーピングと、足部を安定させる目的で腓骨筋・後脛骨筋のサポート用キネシオテーピングを行います。
■アーチ形成のテーピング
アーチ形成のテーピングの方法は各種ありますが、今回は一人でできる簡単な方法をお伝えします。毎日行うためにカブレにくいキネシオテープを使用します。
一人で行う場合は、足を動かしながら貼るとテンションが得られず効果が薄まるので、なるべく固定して貼るようにしてください。
カカトから指の付け根まで1本。そのあとにカカトを後ろから巻くようにして内側に1本。
続いて、横に1本。中央を決めてから左右にややテンションをかけてアーチを形成します。
■ふくらはぎ周辺のサポートテーピング
まずは腓骨筋に行います。腓骨筋はくるぶしの外側を通る長短2つの筋肉の総称です。
土踏まずから、くるぶし外側を通ってひざ下まで、長く一本を貼ります。ややテンションをかけてください。
続いて、後脛骨筋のサポートに1本貼ります。
土踏まずから内くるぶしを通って長く貼ります。
上記写真は一連の完成図です。足底筋膜炎ではこのテーピングをよく行います。
■痛みがひどい場合
応急処置で足底のアーチをサポートし、保護するテーピングの方法があります。急激な痛みで歩けないような場合、整形外科の診療を受けるまでにぜひ行っていただきたい方法です。
動画にてご紹介します。
4−1−3.足関節ストレッチ
足関節の柔軟性を向上させるために、ストレッチを行いましょう。痛みの状態をみながら行ってください。痛みが強い場合は行わなくて大丈夫です。
■後脛骨筋のストレッチ
床に座り、両手で足の前を持ち、外側にひねっていきます。
上体の背筋を伸ばして、その力を利用して曲げましょう。
■腓骨筋のストレッチ
椅子に腰掛け、写真のように足の外側を床に押し付け、すねの外側にストレッチをかけます。ゆっくり5カウント。3〜4セット行います。
■下腿三頭筋のストレッチ
下腿三頭筋とは、ふくらはぎの筋肉とお考えください。いわゆる“アキレス腱伸ばし”に似ていますが、後ろに出した足のヒザを曲げて、真下にテンションをかけていきます。壁や柱をサポートにしながら(強く押さなくてOK)、ヒザを曲げていきます。なるべくカカトが地面から離れないようにしてください。20〜30秒。息は止めないでください。カカト上からヒザ下全体の筋肉がストレッチされることを感じてください
4−1−4.足関節の安定化トレーニング
足関節の安定性を出すために、腓骨筋・後脛骨筋を同時に鍛える爪先立ちエクササイズを行います。
足を揃えて立ち、親指の間を握りこぶし一つ分あけます。カカトは左右がピタッとくっついたポジションをとります。
この状態からカカト同士が離れないように5cmほど浮かします。これを20回程度繰り返します。
※上げすぎると狙った筋肉とは別の筋肉にアプローチしてしまいます。また痛みを伴う恐れがあります。低負荷で高頻度が原則です。
4−1−5.歩行の注意点
急性期は安静にし、なるべく歩かないようにしてください。しかし生活において最低限は歩く必要がでてきます。その際は以下の点に注意してください。
・なるべく小またで歩く
・クッションの良い靴を使用する
・でこぼこ道や硬い道を避ける
4−2.亜急性期の治療法
痛みが引いてくれば、症状の進行が止まったことになります。状況を見ながら回復期へ向けて徐々に運動量を増やしていきます。
4−2−1.アイシング
前項でお伝えしたアイシングを定期的に行います。そのうえで以下の方法をとっていきます。
4−2−2.下腿三頭筋と足関節、土踏まずのストレッチ
痛みが軽くなれば足関節のストレッチに加えて、土踏まずのストレッチも行っていきます。足関節のストレッチは前項でお伝えした方法に加えて以下を行います。(足底筋膜を伸ばすストレッチになりますので、痛みがある際は行わないでください)
■下腿三頭筋と土踏まずのストレッチ
有名なアキレス腱ストレッチに似ていますが、壁に両手をつけて行います。前に出した足の指も壁に当てると、前足の足底筋膜が伸長するので2つの効果が得られます。
最初はカカトを上げたまま。徐々にカカトを床におろしていきます。カカトがつくまでテンションをかけキープしてください。ふくらはぎと土踏まずが伸び、足首にもストレッチがかかっていることを確認してください。10秒を2〜3セット。
■足関節のストレッチ
写真のように壁や段差を使って足を背屈させます。しっかり足首と土踏まずがストレッチされる位置で行ってください。
■ストレッチポール®ハーフカットを使う場合
壁とストレッチポール®ハーフカットを使うことで、適正な姿勢を取ることができます。このことによりラクで効果的に伸ばすことができます。
写真のように、壁や柱のそばに立ち、腰、背中、後頭部を壁に当てます。腰が反らないようにお腹に空気を入れて安定させてください。
足先をハーフカットに乗せ足首と土踏まずをストレッチします。10〜20秒を2〜3セット。
4−2−3.トレーニング
土踏まずの横アーチを作り、足部内在筋を強化する“ぐーぱー運動”を行います。
椅子に腰掛け、発症した足を別の足のヒザの上に置きます。両手でホールドし、足を横から押しながら足指でじゃんけんのグーパーを行います。10回繰り返し、3〜4セット。
4−2−4.歩行の注意点
足底筋膜炎の方が歩く時に注意するのは、背屈状態を避けるということです。背屈になると足底筋膜が伸張され痛みが増す可能性があるからです。
改善のために活用できるのが靴のかかとに入れるインソールです。簡易的なものでは100円ショップでも購入できます。
インソールを使うことで、かかとの位置が高くなり、底屈位を取りやすくなることができます。
4−3.回復期へ向けたリハビリ
痛みがほぼ収まれば、以前と同様の練習メニューや生活ができるように、トレーニングの負荷をあげていきます。理学療法士や専門のトレーナーであれば、患者さんの状況をみて適切なプログラムを構築します。
世良田さんが行っている方法は以下のようなものです。
4−3−1.ストレッチ
前項まででお伝えしたストレッチを行います。
4−3−2.トレーニング
前項の横アーチ形成&足部内在筋トレーニング(ぐーぱー運動)に加えて、より負荷の高いトレーニングを行い強化しましょう。
■つま先延ばし
前項の土踏まずのストレッチを行った後に、つま先を丸めてヒザを伸ばし出来るだけ前に伸ばしてみてください。長くても5秒まで。
足部内在筋が衰えている方は、土踏まずがつりそうな感覚を得ると思います。
■足の底屈トレーニング
上記で土踏まずがつりそうな感覚を得た方は、このトレーニングを行ってください。
足を肩幅程度に広げて立ちます。発症した方の足の指の背を床に押し付けます。ヒザを曲げ軽く体重をかけて、それを指の背や土踏まずで反発させてカラダをやや持ち上げるようにします。10秒程度を2〜3セット行いましょう。
4−3−3.テーピング
トレーニング後にテーピングを行います。テーピングを頻繁に行えない方におすすめなのがアーチと足首をサポートするソックスです。
これはふくらはぎ全体までフィット感を出すものです。商品紹介ページ
これはアーチサポートの機能のみです。5本指ソックスなので、足指で地面をつかむ感覚を得やすい構造です。商品紹介ページ
4−3−4.歩行の注意点
不安定な状態での爪先立ちランニングやジャンプなど、競技特性に合わせたトレーニングを行っていきます。いきなり元の練習レベルで行うのではなく、徐々に上げていくようにしましょう。
競技のためには、インソールやサポート機能のあるソックスもおすすめです。
シューズの中に敷くインソールはできれば個人の状態に合わせたオーダーメイドが望ましいです。
アメリカではオーソティック(Orthotic)というかかとのホールド感が強い種類が推奨されています。一部の既製品は日本でも購入することができます。
写真はAmazonで扱っているFormthoticsというニュージーランドのブランドです。商品紹介ページ
このようなツールはあくまでもサポートをするためのものです。本質的な解決のためには土踏まずトレーニングを行うことをお勧めします。
5.足底筋膜炎の再発予防方法
ここでは足底筋膜炎の再発を予防したり、状態が悪化するのを防ぐ方法をお伝えします。
5−1.日頃心がけるべき予防改善方法
以下の点を心がけてください。
・アーチを回復させるトレーニングを行う。
・アーチやかかとをサポートするシューズ、インソールを使用する。
・ストレッチやウォーミングアップを十分に行う。
・太り過ぎに注意する。
・走るだけではなく、他のトレーニングも行う。(体幹トレーニングや水泳、自転車など)
・正しいランニングフォームを身につけるために、フォーム指導を受ける。
・コンクリート上で走らずにクッションのある競技場で走るようにする。
・硬い床上で立ち作業をしなければならない場合はラバーマットを使用する。
5−2.きれいなアーチを形づくるトレーニング
これまでに紹介した以外の方法をお伝えします。飽きがこないようにいろいろ行ってみてください。
■親指エクササイズ
足の親指だけを、他の指とは逆の動きをさせてください。それぞれ5秒間キープし、5〜10回繰り返します。
■タオルギャザー
床にバスタオルやスポーツタオルを敷いて、足の指の付け根から引き寄せる運動を行います。指の付け根を深く曲げてしっかりつかむようにしてください。タオルをすべて引き寄せるのを1回として、5〜10回。
■ビー玉つかみ
床に20個のビー玉を置きます。一度に一つそれらをピックアップし、足の指だけを使用してボウルにいれます。両足2〜3回繰り返してください。
5−3.ツールを活用して、関節の状態を整え、体幹や軸作りを行う方法
ヒザや足首の回内があると、足底筋膜炎に限らずシンスプリントなどの傷害も起こしやすくなります。ヒザや股関節が正しい状態に姿勢や関節、筋肉の状態を整えることが重要です。
そこでおすすめするのが、当ブログを運営する㈱LPNが製造販売するストレッチポール®です。
ストレッチポール®を使用して股関節の運動を行うと、周辺筋肉の緊張がほぐれアライメントが整いやすくなるという研究結果があります。
・ストレッチポールを用いた骨盤対称化エクササイズ(PelCon)は健常者の骨盤アライメントを対称化する:日本理学療法学術大会 2009(0), H4P2351-H4P2351, 2010
・ストレッチポールを用いた骨盤リアライメントエクササイズ(PelCon)は健常者の下肢発揮筋力の左右差を減少させる:日本理学療法学術大会 2008(0), C3P1362-C3P1362, 2009
■ストレッチポール®を使用した股関節のリセットエクササイズ
ここではその一例をご紹介します。
ストレッチポール®に仰向けで縦乗りし、片ヒザを立て、もう一方の足はまっすぐ伸ばします。
脱力しながら、伸ばした足のカカトを支点にし、足でバイバイをします。10〜20回。股関節の付け根から動かすようにしてください。
続いて、その足を目一杯内側にひねっておいて、外側に一気に力を解放するように開きます。足を振動が伝わって腰の骨まで響くことを感じてください。5回程度。もう片方の足でも行います。
ストレッチポール®を使用した他の骨盤エクササイズについては、別記事「ストレッチポール®で簡単骨盤調整!2つのポイントと改善法」にてご紹介していますので、効果を上げられたい方はそちらも参考になさってください。
ボディイメージは体軸づくりで正常化させる
また、痛みを伴った歩行を続けることでボディイメージの崩れが生じることも考えられます。これは自分における正常が本来の正常と違った状態で固定化されることです。
ボディイメージの崩れた状態で運動を続けると他の傷害を起こしやすくなります。一般的には痛みのないほうの足でかばうことで、負荷が高まって痛みを発生させたり、姿勢の崩れを引き起こして腰痛や背中痛、肩こりや頭痛を発生させるものです。
■ストレッチポール®ハーフカットでの体軸づくりトレーニング
ボディイメージを正常化するには、体の正中軸の意識を持つことです。ストレッチポール®ハーフカットを使用して軸作りエクササイズが可能です。
世良田さんが行っているのは次のようなトレーニングです。
ハーフカットの丸いほうを上にしてその上に立ちます。腰を回しながらバランスをキープします。左右にそれぞれ10回ずつ。
続いて首回しを行います。見た目以上に難しいトレーニングです。これは動きのポイントがより足部から離れるためです。
難しい方は、縦に2本置いて行ってみてください。
■ストレッチポール®ハーフカットでのステップ練習
足の着地でグーとパーとチョキを作りましょう。ハーフカットを肩幅くらいに起きます。2本の間にグーを作って準備をしまる。パーで上に乗り、真ん中のスペースで足をそろえてグーを作り、足を前後に開いてチョキを作ります。最後にグーで最初の状態に戻り、この動作を繰り返し行います。
ご自身の体力に合わせて10回1セットを3〜5セット行いましょう。
6.手術や他の治療方法
足底筋膜炎の手術は通常必要ありません。足底筋膜炎の100人のうち約95人は、通常の治療によって改善すると、米国の医療専門サイトWebMDでは説明しています(WebMD対象記事)。
整形外科医の治療が効果を発揮しない場合、医師は手術を検討することがあります。しかし一部の医師は、手術を検討する前に少なくとも6ヶ月間は通常の治療を試みるべきだとしています(Plantar fasciitis. In JF Sarwark, ed., Essentials of Musculoskeletal Care, 4th ed., pp. 839-844. Rosemont, IL: American Academy of Orthopaedic Surgeons.)。
■足底筋膜炎の手術
足底筋膜の剥離を行ったり、一部を切除します。直接的に腱膜の張力が解放されるので、炎症が緩和されます。また、一部の足の神経を伸ばしたり緩めるなどの処置も合わせて行われる場合があります。
■体外衝撃波治療(ESWT)
近年注目されているのが、超音波を使用する治療法です。ほとんどの衝撃波療法は局所的に衝撃を当てるので麻酔薬を必要とするものでしたが、 ラジアルESWTと呼ばれる方法では、衝撃波の範囲がより広がっているので、麻酔なしで行うことができるとして広まっています。希望される方は整形外科医に尋ねてみてください。
7.まとめ
足底筋膜炎の治療法をお伝えしました。傷害が発生したり可能性のある方はなるべく早く整形外科医を受診なさってください。完治には根気のいる取り組みが必要となります。痛みが軽減したとしても、アーチの回復や姿勢の改善、日々の十分なストレッチ等根本的な改善策を行わないと再発するおそれがあります。この記事で紹介した方法をぜひ参考になさってください。
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