一週間練習を休んだ。 痛みが治まりなんとか走れる状態になったけれども再発が怖い…。
シンスプリントを一度でも発症した方ならなんとか再発を防ぎたいと思います。しかし予防方法をいろいろ調べても、なかなか改善しにくいのではないでしょうか。
そこでここではウルトラマラソンやフルマラソンなどで活躍したプロトレーナーの先生に聞いた、効果の高い方法をお伝えします。実際に効果をあげて何人もの選手を競技復帰させたメソッドですから自信をもっておすすめできるものです。
決して難しいトレーニングではなく、普段の部活の合間にできるものばかりですので、ぜひ取り組んでいただければと思います。
この記事は、小島成久先生の監修を頂きました。
ランフィット代表・パーソナルトレーナー/日本コアコンディショニング協会 マスタートレーナー・A級講師/ニューバランスジャパン 技術顧問 シューズ開発アドバイザー 他
自己ベスト記録 フルマラソン 2時間22分34秒
100kmマラソン 6時間36分34秒(日本記録2回更新)
体に無理なく楽しく走るために、最適なランニングフォームやコンディショニングを提案。教え子に箱根駅伝選手も。Run-fitホームページはこちら
目次
1.予防のためのトレーニング
シンスプリントを予防するには ・正しいフォームを体に覚え込ませる ・足指や足底の筋肉を鍛える ・足首を軟らかくする ・股関節の可動性を向上させる ことが大事です。以下にそのトレーニングをご紹介します。
片脚スクワット
写真のように片脚を半歩前に。片脚を後ろに一歩下げます。その位置からゆっくり腰を降ろしていきます。片膝が地面に付くくらいまで降ろしてください。体重が前にかかっていることを意識します。最初は左右5回ずつ行ってみましょう。馴れてきたら回数を増やしてください。
ポイント・太腿、膝、足が一直線に前を向くようにしましょう。膝が内に入ったり、足が外を向かないようにします。
ランジ
片足スクワットに似ている体勢ですが、もう少し片足を前方に出します。今度は上半身の垂直を保ったままおろします。これも太腿、膝、足が一直線に前を向くようにしてください。
ストレッチポール®ハーフカットを使用すると、足首をまっすぐ地面に付けるトレーニングが効果的にできます。足の付き方に傾きがあるとグラグラしてできないからです。写真中央は前足に1つ使用、右は前後で2つ使用しています。
タオルギャザー
タオルを床に置き、足の指とつま先を使ってタオルを引く運動です。カカトはタオルから出しておきます。足指や足底の筋肉の強化ができるので、土踏まずのアーチ回復に効果的です。3〜5セット繰り返してください。
チューブトレーニング1
エクササイズチューブを写真のように巻き、まずは引きつけます。そこでテンションがかかるようにチューブの引っぱり具合を調整してください。そこからカカトを支点にして前に倒していきます。まずは10〜15回。馴れてきたら回数を多くしたり、チューブを二重に巻いたり強いものにしてください。
<h3″>チューブトレーニング2
上記のアレンジメニューで、今度は内側に引っ張るようにテンションをかけてください。また、戻す時もテンションをかけながらゆっくり戻してください。
チューブトレーニング3
チューブを足に巻いたまま、両端を柱などに回します。写真のようにゆっくり引きつけていきます。10秒ほどキープしてゆっくり戻します。
ストレッチポール®ハーフカットで足首の柔軟性を高める
ストレッチポール®ハーフカットを椅子の下に置いて写真のように使うことで、足首の柔軟性を高めることができます。
足首を軟らかくしておくことは、傷害防止のみならずスポーツパフォーマンスアップのために大変重要です。ストレッチポール®ハーフカットは公式LPNショップからお買い求めいただけます。
ストレッチポール®EXで股関節の可動性を向上させる
ストレッチポール®を使用したエクササイズで股関節の可動性を高めることができます。脚全体を使った走りを行うために股関節の動きは良くしておきましょう。以下にエクササイズの一例をご紹介します。
片足を伸ばして、①そこから内側に倒し、②そのままカカトを股間方面に引き寄せるようにして膝を立てます。③次にヒザを外に倒して④カカトを滑らせるようにして脚を伸ばします。左右5回ずつ繰り返してください。カカトは1本のレールの上を行ったり来たりするイメージで行うと良いです。
ストレッチポールを使用した股関節の運動は、別記事「ストレッチポールで簡単骨盤調整!2つのポイントとその方法」で詳しくご紹介しています。気になる方はそちらも併せてご覧ください。
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。
2. 練習前後によく温める
ストレッチ
ストレッチは練習の前後によく行ってください。特に練習後は入念に、です。1動作30秒までを目安に。呼吸は止めないようにしましょう。
・壁立ちつま先上げストレッチ
壁を背にして立ち、足を肩幅くらいに広げます。足を前方に出し、つま先を上げます。ここから、そっとスネに向けて足の指を持ち上げます(背屈動作といいます)。
5秒キープして、ゆっくりつま先をおろします。10〜15回繰り返します。馴れてきたらキープ時間を増やすようにしてください。
・壁押しふくらはぎ上部ストレッチ
ふくらはぎの上部の大きな筋肉(腓腹筋・ひふくきん)をストレッチします。壁の前に立ち足を肩幅くらいに広げます。写真のように背中、モモ、スネが一直線になるイメージで伸ばし、前に出た足は”くの字”に曲げます。
ふくらはぎ上部にストレッチ感を感じる程度に壁を押してください。10〜15秒を3セットずつです。
・壁押しふくらはぎ下部ストレッチ
そのままふくらはぎ下部の筋肉(ヒラメ筋)をストレッチします。後ろに伸ばした足を曲げて壁押しし、アキレス腱伸ばしの要領で小刻みに動くとヒラメ筋がストレッチされることを感じます。
ネオプレーンスリーブを使用する
写真にあるようなタイツです。ランナーはもちろん他の競技でもマストアイテムとして認知されています。いろいろな種類がありますが大きく分けて、・コンプレッション(締め付け)系・保温系があります。
シンスプリントのケアや再発防止には保温系を選択してください。締め付けのあるものは、血液循環を阻害する可能性があります。
ウォーミングアップ&クールダウンラン
ガンガン走り出す前に、スネにもよく血液が回るようにウォーミングアップとして緩やかなペースで走ってください。また終了後もクーリングダウンとして緩やかなペース走を行います。小島先生は全体距離の1〜2割をそれぞれ走っています。(例:10kmペース走なら1〜2kmを前後に緩やかに走る)
マッサージ&セルフ筋膜リリース
手指でスネからふくらはぎ、足裏まで、じっくり揉みほぐしてください。お風呂後など体が温まっている時に行うと効果的です。ツボ押しツールなどを使うと効果的です。
ストレッチポールをお持ちであれば、うつ伏せになってスネの下に置いて転がすことで、簡単にスネの筋肉をマッサージすることができます。体勢や体重の掛け方で当たる位置や強さを調整できます。
3.走り方を修正する
シンスプリントの再発を防ぐには、ランニングフォームを分析し修正することも重要です。悪い走姿勢は、知らずしらずのうちにカラダに負荷をかけています。
特にロード(アスファルト)走を練習でする場合は、うまく衝撃吸収できるような走り方を身につけることが必要です。
3−1.足首の過回内(外)をチェックする
足首の地面への付き方が、下記の写真の危険域のようになっていませんか?
足首が回内(外)しすぎていると、スネの筋肉に負荷をかけ、硬くなりやすくなります。シンスプリント発症の大きな要因の一つです。下記のポイントもチェックしてみてください。
3−2. ヒザの回内(外)もチェックする
足首ではなくヒザが回内(外)しすぎている人も危険です。
回内の人は、一本線の上を走るイメージで足を出していませんか?
一本線上を走るフォームは、無意識にヒザや脚全体が中に入りすぎる傾向があります。二本の線上を走る意識をすると、脚が内に入りすぎることを防げます。
3−3.その他のフォーム上の問題をチェックし改善する
走り全体の印象も大事です。体全体を使って衝撃吸収できるような走りができているかを見ます。足部とか足関節だけでなくヒザとか股関節をしっかり使って衝撃吸収できるような走り方ができているかをチェックします.
また、足の裏の状況を見ます。扁平足(へんぺいそく)ではないか、どんと地面に付く走り方ではないか、ちゃんと指が使えて衝撃吸収ができているかどうかを見ます。
このような走姿勢のチェックは一人では難しいかもしれません。自分の走り方をビデオで撮ったり、チームメイトに確認してもらいましょう。
3−4.一人で難しい場合はランニングフォーム指導をうける
ランニングフォームの矯正には、本稿で取り上げたエクササイズやストレッチが非常に効果的です。もしくは、原因を見つけ出して、それを改善することができたら、練習をしながらでも痛みが取れていく可能性があります。
ですので、できればランニングフォームの専門家の指導を受けることをおすすめします。
また、環境に順応順化していくと痛みがなくなっていきます。練習の負荷を調整してみましょう。馴れてくるまで徐々に増やしていくようにしてください。
4.まとめ
シンスプリントを予防するランニングフォームや体の使い方をマスターするには、2〜3ヶ月ほどの中期的取り組みが必要です。ここで取り上げた方法をじっくり取り組むことで、シンスプリントの再発は防げます。周囲の協力を得て焦らずに、そして決してあきらめずに取り組んでください。
シンスプリントがなぜ起きるのかについては、別記事「シンスプリントの全原因・常にベストな状態で走るために」にて、すでに発症していて痛みがある方には、別記事「プロ直伝シンスプリントの全治し方 | ストレッチ&テーピング等」にて治し方をお伝えしています。お知りになりたい方は、そちらもぜひご一読ください。
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