仕事や家事・育児など日常生活あらゆるシーンで出てくる肩の重み。肩がこっていると悩みも抱えている方も多く、特に女性は肩こりを感じやすいようです。
厚生労働省の調査では、8人に1人が肩こりの自覚症状を抱えているといわれています。デスクワークや家事で立ちっぱなしなど、長時間同じ姿勢を続けている方にとって、肩こりはとてもつらい症状です。
そんなつらい肩こりを今すぐ何とかしたいという方のために、ここでは今すぐ試せるストレッチなどの方法やその他のあらゆる対応策をご紹介します。ぜひ活用して肩こり解消を目指しましょう。
この記事は石塚利光が監修しました。 日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著) |
1.今すぐ痛みを取りたいあなたへ肩こりを改善させる5つの方法
多くの方を悩ませる肩こり。症状がひどい方では、頭痛や嘔吐などを引き起こし、仕事や日常生活に影響が出る場合も少なくありません。そんな、肩こりを解消する方法をここでは5つお伝えします。
肩こりの原因は人によって異なるため、これからお伝えする方法を試したうえで、今の自分が持つ症状に効果的な方法を継続的に実施すると効果が実感しやすいでしょう。
1-1.血流を良くして肩を楽にするストレッチ3選
最も一般的な肩こり改善方法が凝り固まった筋肉をゆるめて血流を良くするストレッチ。ここでは、今すぐ簡単に行うことができるストレッチを3つ紹介します。ぜひお試しください。
肩の上下運動
肩こりの原因として多くあげられているのが、首の筋肉や肩甲骨周りの筋肉が固まってしまうことです。この筋肉を適切に動かして凝り固まってしまった筋肉をほぐしましょう。
エクササイズ方法:
両手をわき腹から腰のあたりに当てましょう。(この時腕に力が入ってしまう方は体側に脱力した状態で手を置きます。)
肩をすくめるようなイメージで上に持ち上げます。腕や肩にはあまり力を入れないことがポイントです。
次に首を長くするような感覚で肩甲骨を下ろしましょう。上げ下ろし5秒ずつを目安に5~10回行いましょう。
胸の開き運動
肩こりの原因となる、猫背や円背などの不良姿勢。この原因は胸の筋肉が縮こまり、固まってしまっていることが考えられます。それを解決するためにここでは胸の筋肉をほぐしましょう。
エクササイズ方法:
肘と左右の手の小指がつくようにカラダの前で合わせます。(手のひらは顔の方に向いています。)この時軽く背中を丸めるようにしましょう。
手のひらを外側に向けながら肘をひらき、肩甲骨を内側に寄せるようにして胸を張りましょう。肩に力を入れないように注意しながら10回を目安に行いましょう。
首のストレッチ
最後に首の付け根をストレッチして肩こりの原因を解消します。首には多くの神経や筋肉などが通っていてデリケートな部分なので、ストレッチの際に急に動かしたりしないよう、注意しながら行いましょう。
エクササイズ方法:
頭の後ろで手を組み、当てます。
両肘を閉じるようにして、目線をおへそに向け、背中を丸めるようにして首の付け根にストレッチ感を感じましょう。
15秒1回を目安に5~10回行いましょう。ポイントは痛みよりも気持ちよく伸ばすことを意識することです。
今回ご紹介したエクササイズの他にも、朝オフィスなどで簡単にできる肩こり解消ストレッチをお伝えしています。さらにストレッチの種類を増やしたい方は、仕事前はこれで完璧!朝オフィスで簡単肩こり解消ストレッチ5選をご覧ください。
1-2.意外と知られていない血行促進軽擦(けいさつ)法
ストレッチと聞くと「私はカラダが硬くてできない」と苦手意識を持ってしまう人が多いです。そこで意外と知られていない、カラダのコリをほぐす方法をご紹介します。
それは軽擦法というもので、筋肉に刺激を与えて血液やリンパの流れを促進し、カラダの代謝を良くして神経や筋肉の機能を向上させる方法です。気になる部分をさすることでほぐすことができるので、ストレッチが苦手な方でも簡単に行うことができます。
ここでは、3つのエクササイズをご紹介します。普段無意識に行っているかもしれませんが、今回お伝えするポイント意識的に行うことで効果を実感できると思います。エクササイズでは、気になる部分を手でさすったり、少し固めのものを活用してさすることでも効果的です。
ご自身の気持ちいい方法を選択してみてください。※本記事内ではストレッチポールひめトレを活用しています。
ネックリリース
まずは、最も気になる肩から首にかけての筋肉の張りを改善するエクササイズです。デスクワーク等で肩に力が入ってしまっている場合、この部分をほぐすことでカラダの張りをほぐしていきましょう。
エクササイズ方法:
綺麗な姿勢で椅子に座り、さする肩と反対方向に顔を向けます。肩から首の付け根にかけてさするように動かしていきます。
力加減はソフトにリラックスできるゆっくりなスピードで10回を目安に行いましょう。
チェストリリース
次に胸の筋肉をほぐしましょう。このエクササイズをすることで肩こりだけではなく、呼吸も楽になるメリットもあります。
エクササイズ方法:
綺麗な姿勢で椅子に座り、みぞおちから鎖骨の付け根まで下から上へとさすっていきます。
背中が丸まらないように意識して、動かす力加減はソフトにリラックスできるゆっくりなスピードで10回を目安に行いましょう。
サイドリリース
最後は脇腹、体側部分を動きやすくするエクササイズです。長時間同じ姿勢を繰り返していると、この辺りの筋肉が緊張して肩こりの原因になることがあります。
普段あまり活用しない筋肉でもあるので、筋肉の緊張に気づかないことも多いので、エクササイズでしっかりとほぐしましょう。
エクササイズ方法:
綺麗な姿勢で椅子に座り、腰骨から脇の下あたりまで下から上へとさすっていきます。
背中が丸まらないように意識して、動かす力加減はソフトにリラックスできるゆっくりなスピードで10回を目安に行いましょう。
ストレッチに苦手意識がある方でも、この方法を活用して肩こりを解消することが可能です。気になる部分をお試し下さい。
1-3.ゆらぎで緩める筋弛緩(きんしかん)法
筋肉はゆらぎを与えることで緩みます。肩こりの原因である、肩や首の筋肉の凝りを揺らぎを与えることで緩ませましょう。より簡単な方法では、腕を振ることです。
効果的な方法としてはストレッチポールを活用したエクササイズを行ったり、プロによるマッサージ等を受けることなどがあります。
円柱状のストレッチポールに体重を預けることで、全身を脱力した状態で動かすことができます。脱力した状態でゆらぎ運動を一人で行う事はとても難しいため、ストレッチポールを活用することは効果的といえるでしょう。
ここでは、肩こり解消の為にオススメな方法を4つご紹介しますので、ぜひ試して効果を実感してください。
腕振り(ツールを活用しない代表的なエクササイズ)
まずは今すぐできる腕振りによる筋肉をほぐす方法です。
エクササイズ方法:
綺麗な姿勢で椅子に座り、脱力して腕を下ろします。その状態で腕に力を入れず、リズムよく腕を内外と振りましょう。
ポイントはリラックスさせながらカラダを動かすことで、ここで力が入ってしまうと筋肉は緊張してしまい、リラックスして行うことができません。
脱力してカラダをほぐしましょう。
ストレッチポールを活用した床磨き運動
ストレッチポールを活用した床磨き運動は、肩甲骨に腕の揺らぎからくる振動を与え周囲の筋肉をほぐす効果があります。さらに、ひとりで簡単に行うことができ、効果を体感しやすい方法です。
エクササイズ方法:
ストレッチポールに仰向けで横になります。
肘と手の甲を床に着けた状態で手の甲で床に小さな円を描きます。
時計回りや反対回りに回しながら、自分の回しやすい方や回しにくい方を感じてみましょう。
自然な呼吸で自分のリズムで10~20回ほどを目安に行いましょう。
ストレッチポールを活用した小さな揺らぎ運動
体重をストレッチポールに預けて極限までリラックスする揺らぎ運動です。肩甲骨周りだけでなく背中もほぐれるので、肩こりの原因を広範囲で解決することが期待できます。
エクササイズ方法:
ストレッチポールに仰向けで横になります。
背中でポールを転がすように全身で左右に小さく揺れてみましょう。
気持ちいいリズムや揺れ方・速度で行いましょう。
ポイントは、腕や足に力が入らないような小さな左右の揺れで行うことです。
自然な呼吸で自分のリズムで10~20回ほどを目安に行いましょう。
ストレッチポールの指導を受ける
ひとりで何かをするのは不安だし、あまり効果を感じることができない。それでも肩こりを解消したいという方はぜひストレッチポールの指導を受けてみてください。
ストレッチポールを活用したベーシックセブンエクササイズは、筋肉に揺らぎを与えてほぐすことができます。今自分の症状に不安がある場合、トレーナーや理学療法士に意見を仰ぐことは、大きな解決策になりますので、何をやってもうまくいかない方は是非一度体験してみてはいかがでしょうか。ストレッチポールのトレーナーはこちらで検索することができます。
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。
1-4.炎症の原因を取り除く塗り薬・貼り薬
仕事中で動くスペースもなく何も運動ができないという方は、塗り薬や貼り薬でも対応することができます。現在、バンテリンやボルタレンなどの商品名で売られている者で、薬局やドラッグストアでも購入することができます。
効果としては、筋疲労や炎症を取るなどラベルに書かれていることが多いです。痛みの原因を解消してくれる鎮痛作用があるので、痛みを解消したい方はお試しください。
しかし、塗り薬はあくまでも症状の緩和に効果的というだけで、肩こりの根本的な解決方法には至りません。
1-5.最終手段としての飲み薬
肩こりの最終手段は、飲み薬による鎮痛作用です。肩こりに効果的な飲み薬は、筋弛緩剤や頭痛薬が多く、専門機関の処方または、市販の薬局ドラッグストアで購入出来ます。
代表的なロキソニンは鎮痛作用があり、肩こりそのものによる痛みや頭痛などの痛みに対して使用されることが多いです。
鎮痛剤・筋弛緩剤の両方の成分を配合しているコリホグスは肩こりそのものをほぐす効果があると表記されています。
その他にも、漢方などの血行促進効果を表記したものなど多くありますが、処方・購入できる薬はほとんどが頭痛や痛みの鎮痛作用の薬が多く、今すぐ痛みを抑えたい方向けです。肩こりが原因で、激しい頭痛や嘔吐などの症状が出やすい方には効果的な方法といえるでしょう。
しかし、内服薬ということで少なからず胃腸が荒れやすくなることや、腎臓・肝臓などに負担がかかりやすく、炎症が起きてしまうなどの副作用が考えられます。また、薬に対するアレルギー症状を持つ人もいるため、専門医への相談のもと処方されたものを服用することをおすすめします。
このように、張り薬や飲み薬は根本的な解決になかなかつながりません。薬だけに頼らないように適度に肩甲骨を動かし、日々カラダのメンテナンスを意識するようにしましょう。
2.すぐに肩こりの痛みが再発してしまう理由
慢性的な肩こりを抱えていたり、痛みが治まってもすぐに再発してしまったりと肩こりが慢性的で長引いてしまう方も多いのではないでしょうか。
痛みが続くのは、もしかしたら根本的な痛みの原因が解消できてないからかもしれません。ここでは、肩こりのメカニズムについてご紹介します。自分の症状と照らし合わせて改善のために対応をしましょう。
2-1.血行不良による肩こり
肩こりが起こる要因は、何かしらの原因で血行不良になってしまった血管に疲労物質が溜まることであり、ここから痛みが発症します。肩こりを解消するためには
・長時間同じ姿勢でいること
・不良姿勢でいること を改善して行く必要があります。
長時間同じ姿勢でいる
日常生活で見てみると、デスクワークなど長時間同じ姿勢をしていると常に緊張し続けている部位が出てしまい、その部分の筋肉がこり固まってしまい、肩こりの原因になります。
猫背などの不良姿勢でいる
また、姿勢も肩こりに大きく影響しています。猫背や無意識に肩に力が入り続けていると、一部の筋肉に負担がかかり過ぎてしまうので、それが肩こりの原因になります。
その他にも、ストレスや高血圧なども血行不良の原因になります。上記のストレッチや対処法を行い、極力カラダの一部分に負担が偏らないようにすることが大切です。
2-2.歯や噛み合わせによる肩こり
例えば、歯のかみ合わせが悪いことにより顎の筋肉の左右差が肩こりを引き起こすとも言われています。また、親知らずが肩こりの原因になっている可能性があります。
親知らずの治療をしない方は多いですが、歯が1本増えるだけでも、咀嚼に伴うかみ合わせが変化してきます。放置しておくと歯並びにまで影響を与えるので、親知らず持ちで肩こりを感じている場合、早期治療した方が良いでしょう。
3.まとめ
肩こりと一口に言っても上記のように人によって原因や対策方法は様々です。上記の対応策で、ご自身に合う解決方法を採用して、厄介な肩こりを解消しましょう。
薬を使用すると一時的に鎮痛作用から痛みを感じることがなくなりますが、根本的な解決に至っていないため、エクササイズでカラダのケアをすることを強くオススメします。
今回ご紹介しました他にもストレッチポールのエクササイズはあります。詳しくはストレッチポールが肩こり解消に効果的な理由をご覧ください。
原因を根本から解決して肩こりのない生活を手に入れましょう。