もう二度と経験したくないのが腰痛です。
定期的なぎっくり腰にさいなまれている方もいれば、
ちょっと運動をすると翌日に鈍い痛みを感じる方もいます。
立ち仕事、座り仕事に関わらず、ズーンと重い腰痛が慢性化しているケースもあります。
腰痛サポーターをすればラクになる方もいます。痛み止めの薬やシップで緩和している方もいるでしょう。いつまで使い続けるのか不安ではないでしょうか。
「腹筋を鍛えるといい」と聞いたことがあるかと思います。お腹の筋肉を鍛えることで背骨をサポートするイメージがあるからです。
しかし多くの方は長続きしなかったり、効果が感じられないままやめてしまうのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「本当に効果のある腰痛筋トレは?」とお探しの方にインナーユニットの専門家である当ブログの総監修者・石塚利光がお伝えする方法をご紹介します。
運動経験が少ない方や肥満気味の方でもできる、負荷の少ない方法を厳選しプログラムにしましたので、ぜひ継続して腰痛に負けない体を作ってください。
目次
1.腰痛防止のための筋トレのポイントとは
まずは概念をご理解頂くことで、各エクササイズの注意点がわかり、またご自身で考案して行う場合に効果をあげることができます。
1−1.「腰は動かさない」のが最重要
強い腰を作るには、腰椎(背骨で、腰部分にあたるところ)の安定性が不可欠です。腰を前後や左右に動かす運動をしてしまうとこの腰椎に負荷がかかります。かえって腰を痛める原因になってしまうのです。
腰を安定させた状態が作りにくいばかりか、次章で述べるインナーユニットの活性化が図られないまま、動くことばかりが目的となり、本来の目的である腰を強化することが難しくなります。
お伝えするエクササイズでは、腰を丸めたり反ったりしないで行ってください。
1−2.インナーユニットの活性化をメインに行う
腰椎の安定性には、胴体の深層部にある「インナーユニット」の筋肉が大きく関わっています。
よく「腹筋を鍛えれば腰を守ることができる」と言われることもありますが、一般的な腹筋運動で鍛えられるのは腹直筋というお腹の表層にある縦の筋肉です。
腰椎の安定化に関わる筋肉=インナーユニットとは別物ですから、腰痛とはあまり関係のない筋肉を鍛えることとなってしまいます。
またこの種の腹筋運動は、前項でお伝えした「腰を曲げる」ことになり、腰痛対策にとってプラスになりません。
インナーユニットは自分で触ったり動かすことが難しい筋肉ですが、呼吸機能にも関わっていますので、呼吸の運動で活性化します。その後簡単な体幹トレーニングを行い、良い状態をキープするようにしましょう。
1−3.「腰の傾きと安定」を意識して行う
腰痛を発症する方は、普段から骨盤の傾きが理想的ではない可能性が高いです。
立つとき、座るとき、動くときのいずれのケースでも、腰がつい反ってしまったり(骨盤前傾)、腰を前に突き出すような姿勢(骨盤後傾)になってしまっています。
この状態は腰に負荷をかけやすいのです。今回のエクササイズにおいても、骨盤の傾きが正常=腰が最も安定化するポジションを必ず意識して行ってください。
意識して繰り返すことで、日常でも無意識下で理想的なポジションをとることができるようになってきます。
2.誰でも簡単!腰痛に負けない腰をつくる筋トレ7選
いよいよ腰痛対策のための筋トレをご紹介します。筋トレとはいってもインナーユニットにアプローチする方法なので、比較的軽い負荷でできるものばかりです。運動不足ぎみの方やBMI指数が高めの方でも継続して行っていただけるでしょう。
写真で見ると「こんなので大丈夫?」と思われるかもしれませんが、実際に腰の安定を意識しながら行うと意外とよい運動になります。
2−1.呼吸エクササイズ「逆腹式」
腰痛の方は、普段の呼吸も浅い方が多いです。腹部深層部をしっかり使う呼吸で、腹横筋を活性化しましょう。
息を吸う時にお腹の周囲が縮む呼吸です。スーーーッとゆっくり吸いながらお腹を凹ませていきます。
今回はお腹の意識を高めるためにうつ伏せで行います。息を吸いながら、お腹が床から離れて持ち上がるようにしてください。
難しいと感じる方は、自然呼吸からハッとかホッと息を吐きます。そこから息を吸うとともにお腹を凹ませていくとうまくいきやすいです。息を吸いきって、お腹も十分に凹んだら、ゆっくり吐いて戻していきます。3〜5回、繰り返しましょう。
2−2.呼吸エクササイズ「腹式」
そのまま逆の呼吸を行います。
今度は息をゆっくり深く吸いながらお腹を膨らませていきます。お腹をじんわり床に押し付けていきます。
膨らみきったら息を吐きながらお腹を凹ませていきます。
※腹式呼吸が難しい方 脱力と深い呼吸が足りない場合が多いです。よくリラックスして深い呼吸を行ってください。
息を細く長く吐きながらお腹を凹ませきるのを実感したら、再度繰り返します。3〜5回。
2−3.デッドバグ
「死んだ虫」という意味です。仰向けになって手足を動かす運動です。腰が床についているために腰の動きを感じやすいです。腰が動かないように行ってください。
仰向け寝になり、写真のように足と手を上げます。ヒザは90度に曲げてください。
左手は腰のほうに、右手は頭上の方に降っていきます。ゆっくり行います。よくお腹に空気を入れて引き締め、腰部の安定化を意識して行ってください。左右交互に5回ずつ。慣れない方はここまでで大丈夫です。
次は足を交互に上げ下ろしを行います。腕は天井に前ならえをしたままです。カラダが左右にふらつきやすいので注意です。これもしっかりお腹に空気と力を入れて安定させると行いやすいです。
腰が反ったり丸まったりするとかえってやりにくいでしょう。
できるようになったら、手足の交互挙上に挑戦してみましょう。最もバランスを崩しにくいのですが、よくお腹に力を入れて腰を安定させて頑張ってください。
2−4.ヒップリフト
前項の体勢から、お尻を持ち上げます。
写真では椅子を使用していますが、使用しないで行うこともできます。その場合は足の裏でしっかり床を押してください。
息を細く長く吐きながら、腹圧を高め、ほんの少しだけお尻を持ち上げます。慣れない方はここまでで大丈夫です。5〜10秒キープを3〜5セット。
できる方はお尻を持ち上げてみましょう。ヒザ、腰、肩のラインが一直線になることが重要です。お尻に力が入らないと、腰が落ちてしまいますので注意してください。
バランスボールをお持ちの方は、トップ画像の女性のようにお使い頂いてもOKです。ボールが転がりやすいのでしっかり足で押し付けて、お腹に力を入れて行ってください。
腕を胸の前でクロスさせて行うと、不安定さが高まります。背中とカカトに力を入れてわずかにお尻を持ち上げてください。
2−5.ツリー
座った状態でカラダを上下に伸ばす意識と動作を行うことで、骨盤の理想的な傾きが得られやすくなります。ピラティスでは「軸の伸張(エロンゲーション)」といい、腹横筋を活性化させるために有効な方法の一つという研究論文もあります。
椅子に浅く腰掛け、骨盤がまっすぐ立った状態を意識します。胸の前で手を合わせそのまままっすぐ頭上に伸ばします。
伸ばす時に息を吸いながら、カラダの軸も天地に伸びるイメージで行ってください。5回程度繰り返します。
自分では真っすぐ骨盤を立てているつもりなのに、できていない方がいます。
そのような方はストレッチポール®ひめトレを使用すると、骨盤の正しい傾きが無意識で再現できます。骨盤底筋や腹横筋も活性化しますので、ツールなしで行うよりも効果が高まり、おすすめの方法です。
ストレッチポール®ひめトレについては、当ブログの紹介ページをご覧ください。
2−6.ハンド&ニー
普段の動きの理想形は、コアにはしっかり力が入った状態で、かつ手足は軽く自由に動けることです。トレーニングで修得しましょう。
四つんばいになり、手とヒザ、スネ、足の甲で床をしっかり押します。この時に頭からお尻は一直線になるように意識してください。
背中や腰が丸まったり、反った状態はNGです。その状態でこのエクササイズを行うと、体幹ではなく他の部位の力で姿勢をキープしようとするからです。
その状態から、片腕を真っすぐ前に伸ばします。反対の足も同時に後ろに伸ばします。横のラインが水平になることを意識してください。
床に接する手や足の位置でも安定さが変わります。もっとも安定するところで行ってください。カラダがフラフラしたり、斜めに傾かないようにします。
水平を5秒キープ。手足を入れ替えて5〜10セット行います。
このエクササイズを行う際に、大事なポイントの一つがヒジの向きです。最初の四つんばいポジションの時に、左図のようにヒジの内側が向かい合うようにしてください。このことで肩甲骨周辺が下に落ちることが防がれ、手でしっかり床を押すことができます。
右のようにヒジの内側が前を向いてしまうと背中が落ちたり、腰が反ることになります。
2−7.プランク
代表的な体幹トレーニングの一つで、基礎的なものと捉えられがちですが、しっかり行うと意外と強度が高く「キツい」ものです。今回のトレーニングの総仕上げとして腰痛予防に効果的な方法をお伝えします。
写真のように、床に伏せ、足指をまっすぐ立てます(足裏側から見てハの字にならないように)。
手は肩幅より少し広げ、顔の少し上で、ヒジから手のひらがしっかり床を押せるように位置どります。手の先は内側に入れて、ハの字になるようにします。赤ちゃんがずり這いをする姿勢をイメージしてください。
そこからカラダを持ち上げて、プランク姿勢に入ります。重要なポイントとしては、細く長く息を吐き、お腹を締め、お腹から全身を持ち上げることです。
頭や胸から、またはお尻から持ち上げる方がいますが、カラダの中心であるお腹から持ち上げる方が効果的です。実際に試していただけるとカラダに対する負荷の違いがお分かりいただけるでしょう。
最初は10秒キープを2〜3セット目安に。慣れてきたらなるべく長い時間キープできることを目標にしてください。
慣れない方、腰痛持ちの方やインナーユニットが弱化している方は、ヒザを床について足先を持ち上げて行うと、軽い負荷で行えます。お尻が落ちたり上がりすぎないようにしてください。
3.まとめ
腰痛にならないための筋力トレーニング集をお伝えしました。イメージされるような腹筋やダンベルを使ったようなトレーニングではなかったかもしれませんが、骨の配列や姿勢保持に大きく関わっているのは胴体の深層部にあるインナーユニットです。
健全な動きのためには、目に見える大きな筋肉の強化に加えて、インナーユニットの活性化も必要です。インナーユニットは鍛えて大きくするものではなく、動きを良くして必要な時にしっかり使えるようにしておくことが重要です。
日常の動作でも、多くは腰を安定化させて行うことで腰痛を防ぐことができます。お伝えしたトレーニングはどれも腰の安定を意識して行うもので、これを習慣にしておくと無意識でもできるようになるはずです。
ぜひお伝えした方法を時間を見つけて行って、腰痛にならない強い腰を作ってください。
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