「体重50kg以下にしたい!」
「昔から10kg以上太った……以前に戻りたい……」
「夏までに7kg落としたい!」
このように、「やせること=体重減」と考えられる方は少なくありません。しかし体重を減らすことだけにとらわれると健康を損なうことに繋がります。
50kg以下の体重は、女性なら憧れる指標かもしれませんが、たとえば164cm以上ある方にとってはかなり危険な数値となります。
そこでこの記事ではやせの基準とその危険性について、また体重にとらわれずに健康的で理想的な体型を得る方法についてご説明いたします。ダイエットに挑戦している方(しようと思っている方)はぜひ参考になさってください。
目次
1.理想的な体重の基準とは
厚生労働省では、「やせ(低体重)」、「標準体重の範囲」、「適正体重」を定めています。ここではその割り出し方をお伝えします。(各数値は大人の場合の目安です)
1−1.低体重はBMI18.5未満
厚生労働省や日本肥満学会の基準ではBMI値が「18.5未満の者」をやせ(低体重)と定めています。BMIとは体重(kg)を身長(m)の2乗で割ったものです。
つまり身長160cm(=1.6m)で体重60kgの方は、60÷(1.6×1.6)=23.44となります。
身長164cmあって体重49kgの方は、49÷(1.64×1.64)=18.21となり、これはやせになります。
やせというと聞こえはいいですが、実際は健康を害する恐れ(もしくはすでに損なわれている可能性)が高い数値ということです。やせに注意しましょう。
1−2.標準体重の範囲は意外と広い
標準体重とは「やせ」でも「肥満」でもない普通の体重ということです。一応この範囲にあれば健康のリスクは少ないというものです。
具体的には、身長145cmの方なら39〜52kg、身長180cmの方なら60kg〜81kgがこれに当てはまります。身長によって13kgから20kg超という幅があるので、意外に広く感じませんか?
やせや肥満の方はまずはこの標準体重の範囲を目標とするようにしましょう。
1−3.適正体重は身長(m)の2乗 ×22
適正体重とは、身長に対して最も健康的な体重のことです。計算式は、身長(m)を2乗したものに、22をかけた数です。
これは身長160cmの方で56.32kgとなります。体系的にはだいぶスリムな感じがします。自分では「普通の範囲だな」と思っていても、筋肉がある程度あるカラダですと、この体重は結構ハードルが高いのではないでしょうか。一応の目標とされても良いでしょう。
上記を一覧にまとめた表を作成しましたので参考になさってください。
身長(cm) | 標準体重の範囲(kg) | 適正体重(kg) | 低体重(kg) |
---|---|---|---|
145 | 39〜52 | 46.26 | 38 |
150 | 42〜55 | 49.5 | 41 |
155 | 45〜59 | 52.86 | 44 |
160 | 48〜63 | 56.32 | 47 |
165 | 51〜67 | 59.9 | 50 |
170 | 54〜72 | 63.58 | 53 |
175 | 57〜76 | 67.38 | 56 |
180 | 60〜81 | 71.26 | 59 |
185 | 64〜85 | 75.3 | 63 |
また、BMI数値を簡単に計算できるフォームを用意しましたのでご利用ください。
2.BMIは 23から26.9程度あると死亡率が低い
健康に関する著作が多い医師・鎌田實さんの著書「ちょい太でだいじょうぶ―メタボリックシンドロームにならないコツ」では、4万人の調査結果を報告しています。それによると死亡率は「BMI 23から26.9で死亡率が低い」とのことです。
160cmの方であれば、58〜69kgがその数値となります。
この数値の根拠はわかりませんが、4万人という方の数値を元にした傾向値ですから説得力があると思います。この著作では「がんばらないダイエット」についても提唱していて、無理せず気長に行えるダイエットの方法を解説しています。肥満傾向の方はぜひ参考になさってみてください。
3.痩せすぎによる健康への悪影響とは
痩せすぎが健康にどのような悪影響を与えるかについて、米国のダイエット研究家K. Aleisha FettersはMen’s Fitness誌で以下の項目を挙げています。(出典:15 negative effects of having a low body-fat percentage )
・心臓のトラブルを招きやすい カロリー摂取量が足りず、また体脂肪率が低すぎると不整脈および突然の心臓死につながる可能性があります。
・甲状腺機能が低下する 男女ともホルモンに関係するトラブルが発生しやすくなります。
・常に寒気や飢えを感じる 体脂肪は身体を保温する機能を有しています。内臓の機能を適正化するのにも保温昨日は大事です。
・エネルギーレベルが低下する 体に蓄えられるべき糖や脂肪が足りずに、エネルギーが枯渇し、疲労も感じやすくなります。
・筋肉が弱化する 筋肉をつけるボディビルダーは脂肪や糖をまったく取らないでいると筋肉も減少することがわかっています。
・脳機能も低下する 脳は糖や必須脂肪酸をエネルギーとして使用します。これが足りないことで集中力や判断力、記憶力が損なわれます。精神的な疲労も感じやすくなります。
・免疫力が落ちる 低すぎるエネルギー摂取量は、免疫系を妨げるコルチゾールレベルを向上させ、細菌感染のリスクを増やしたり、風邪やインフルエンザウイルスに罹患しやすくさせます。
・メンタルヘルスにも悪影響を及ぼす 拒食症や過食症の原因となります。
・肌のトラブルが起こる 糖、脂肪、タンパク質は肌のコンディショニングにも大きく関わります。これらが足りないと水分も失われ肌が乾燥し、肌荒れやあかぎれ、シワ、シミが起きやすくなります。
4.骨粗しょう症も怖いとは
この記事では、骨密度低下の危険性についても述べています。
・骨がもろくなる 摂取エネルギーが少ないと、骨を強化するカルシウムとビタミンDも流亡し骨折しやすくなります。極端な減量を強いられる競技の選手は、骨粗しょう症になりやすい(すでになっている)ことが報告されています。
女性の場合、そもそも中年以降に骨密度が低下しやすいのです。若い頃から「やせ」でいるとそもそもの骨が細くもろくなっている可能性が高くなります。
認知症専門医の長谷川嘉哉先生によると、高齢者が転倒することは、中年以下のその場合に比べて大きな危険があるそうです。それはなぜかというと、骨折すると、入院や手術、自宅療養をすることで、活動量が落ち、その他の筋力や持久力、バランス感も低下し、行動が少なくなるのです。若いときは数週間で治った骨折も、高齢者だと半年経っても改善しない例はたくさんあるのです。
行動量が落ちると、以前と同じ活動ができなくなり、意欲も減退し、認知症になりやすいのです。いつまでも元気でいるためには、若い時からの心がけが大事だと語っていました。(参照:高齢者の転倒が寿命を縮める理由&予防に効果的なたった一つの方法(長谷川嘉哉ブログ)
先生自身も長年BMI23前後をキープするようにしているそうです。
5.筋肉をつければ細く見える、とは
インスタグラムでシェアされていた以下の写真をご覧ください。
この女性は、ボディメイク開始前よりも体重では2kg太っていますが、ウエストもヒップも太もももスリムになっています。
以前は運動は簡単な有酸素程度だったようですが、ボディメイク開始後は筋トレを中心にしたようです。
同じ質量であれば、筋肉は脂肪よりも重いので、脂肪が筋肉に置き換わるとカラダは当然重くなります。
しかし、しっかりと引き締まった体型になるので以前よりも細くスリムになるのです。体重だけにこだわるとこの点を見失ってしまうので注意が必要です。
皆さんが得たい理想のカラダは「メリハリがなく不健康で体重だけ軽いカラダ」と「性別の魅力があふれる健康的な引き締まったカラダ」のどちらでしょうか?
6.健康的な増量やダイエットを成功させる方法
この投稿で注目すべきは筋トレに加えて、食事の変化も挙げられます。
以前は不規則な(特にこだわりがない)食事をしていた点。やはり食べたいだけ食べることもあったようです。
ボディメイク実施後は、1日のカロリーを2,000〜2,200kcalに設定して遵守するようにしています。これは一食ごとにこだわりを持った食事を行なっているということになります。
もし今痩せすぎが心配な方は、一日あたり一割のカロリーアップを目指して食事をとるようにしてください。できれば朝ごはんをなんでも良いのでとるようにします。
肥満傾向でダイエットを行いたいという方は、今の摂取カロリーを計算し、まずは一日あたり一割だけ減らしたカロリー摂取を数週間試してみてください。
両者とも最終的な目標は1日2,000〜2,200kcalです。
そのうえで簡単な筋トレを開始します。体幹トレーニングの初歩は、どなたにでもできて、ぽっこりお腹を引き締める効果がありますのでおすすめです。
また、スクワットも低負荷で行うことができます。慣れてくればチューブやダンベル(1〜2kgでOK)を使用すると効果的に鍛えられるでしょう。
有酸素運動を行う方は、筋トレの後に行うと効果的です。
以下の記事では、ボディメイクのための筋トレ方法をご紹介していますので参考になさってください。
一週間筋トレメニュー|初心者〜上級者まで全身を鍛える111種目!
7.まとめ
体重だけにフォーカスしたダイエットが危険な理由と、筋トレをすることで健康的に細く引き締まったカラダを得る方法をご紹介しました。
無理のある方法は挫折を招き、心身共に不健康に陥ったり、リバウンドの原因にもなります。この記事でご紹介した方法を参考に、体重にとらわれない健康的な体型を得ていただければと思います。
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