不眠症の全知識|治療プロセス・習慣改善策・体験談のまとめ

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insomnia

「仕事で疲れているのに、寝付けない…」「夜中何度も目が覚めてしまう。熟睡できてないっぽい…」「そのせいで朝、家を出るときから眠い。昼食後は特にサイアク…」。

心配ごとが多くて眠れないなどの悩みを持つ方が大勢います。「不眠症かも…」と心配な方にこの記事では不眠症とは何かについてと、チェック方法、その原因、治療法と改善策、さらに不眠症解消の体験談をまとめました。気になる方はぜひご参考ください。

睡眠リズム

いろいろな理由で、このような睡眠が取れない人が大勢います

 


1.不眠症とは

眠りに関する何らかのトラブルが続き、苦痛を感じたり周囲に迷惑を与えたり、社会生活に障害が起きている状態です。眠りに関する代表的なトラブルは下記の4つです。

・入眠障害(にゅうみんしょうがい)=眠ろうとしてベッドに入って目を閉じてもなかなか寝つくことができない。入眠までに30分以上かかるなど寝付きが悪い。

・中途覚醒(ちゅうとかくせい)=夜中に睡眠の途中で目が覚めてしまう。多くは複数回あり、再度眠りにつくことが困難になるケースもある。

・早朝覚醒(そうちょうかくせい)=自分が望むよりも早い時間に目が覚めてしまう。二度寝することができない。

・熟眠障害(じゅくみんしょうがい)=眠りが浅い感じがする。ぐっすり眠った感じがしない。夢を良く見る。細かく長い夢のせいで疲れて目覚めることもある。

睡眠障害のパターン

どれか当てはまるものがあっても、日常生活に影響を及ぼさないレベルであれば心配は不要です

ここに列挙したような睡眠障害は、成人の30%に及ぶと言われています。

このような問題が続いたり頻発したりして、日常生活にトラブルを引き起こしているときは、不眠症と判断され解決へ向けての取り組みが必要になります。不眠症の方は、成人の6~10%程度いると考えられています。


2.不眠症チェックをしてみましょう

画面をにらむ女性もし自分が不眠症かもしれない、とお考えの方は、下記のポイントをチェックしてみてください。

・眠りの時間の確保→7時間以上の眠りのための時間を確保していますか?

・睡眠環境の確保→よく眠れるようにするために、睡眠環境を整えていますか? 

・睡眠時のトラブル→前項であげた4つのトラブルのどれかが、よく起こりますか?

・日中のストレス→日中、つらい眠気が来たり、慢性的な疲労感を感じたり、イライラして些細なことで怒りっぽくなったり、集中力や記憶力の欠如を感じたりしていませんか?

この4問すべてに当てはまる方は、不眠症の可能性があります眠れる環境と時間を確保しているのにも関わらず、睡眠がうまくとれていないからです。次項から解決方法をお伝えします。

当てはまらないものがある方は、不眠症の可能性は少ないようですので、その項目を改善するようにしてください。「長く寝ているのに疲れが取れない」という程度であれば睡眠の質を改善させるようにしましょう。その方法もこの記事内でご紹介します。

 3.不眠症のタイプ

3−1.二次的不眠症

眠れない女性原因が比較的はっきりしている不眠症を「二次的不眠症」と言います。これを引き起こすのは、

精神的な問題。悩みや不安、心配ごとが多い人。アイディアが出つづけて覚醒状態にあるような人もいます。旅行やイベントの前後に眠れなくなるのもこのパターンです。

・ストレスや精神的な問題から発生しているムズムズ感やうずき、疝痛(せんつう・お腹のシクシクした痛み)によるもの。

・騒音や強い光、高温、異臭、閉所など環境的な問題

脳や肉体的な病気による問題。認知症、脳腫瘍(のうしゅよう)、内分泌疾患(ないぶんぴしっかん)、代謝性疾患、疾患による痛み、自律神経失調症、更年期障害など。

・カフェイン、アルコール、ニコチンなどの化学物質による覚醒作用

正常な睡眠スケジュールが乱れた場合。例えば時差ぼけや夜勤の日からのシフト変更があった場合。

などです。

3−2.原発性不眠症

最初は心配ごとのせいで眠れなかったが、その心配ごとが解消した後も眠れない状態が続いているケースや、他に思い当たることもなく、病院の診察を受けても何ら問題がないのに眠れない、という方がこのケースになります。

布団に入ると眠れないが、昼間リラックスした環境だったり、デスクワークや会議中に猛烈な眠気を催したりすることもあります。また、実家に帰省したり、旅先や病院のベッド、夜行バスの中など非日常空間なら夜間でも眠れる場合があります。このような方は原発性不眠症の可能性を考えます。

二次的と原発性を総合して、精神的な問題で不眠症になる方が、全体の半数以上に及ぶと言われています。

4.不眠症の治療

医師によるカウンセリング

カウンセリングだけでも解決につながる場合があります

不眠症かもと思ったら、まずは睡眠習慣の見直しに取り組んでみてください。次項で詳しく説明しますが、睡眠を妨げている要素を排除するだけで睡眠のすみやかな導入や深い眠りが促進されることがあります。

その上で、自力での改善が難しいようでしたら、医師に相談してみてください。睡眠薬の処方箋は内科でも出してくれますが、睡眠障害治療に定評のある専門のクリニックや心療内科をお勧めします

4−1.不眠症治療のプロセス

専門医では、理学的検査や病歴、睡眠障害の程度や期間に付いてなど、あなたの睡眠状況をヒアリングします。その結果、まず行われるのは「睡眠衛生指導」という、睡眠環境を整えるためのアドバイスです。睡眠日記をつけるケースや、睡眠パターンをチェックするために検査入院をする場合もあります。

次に行われるのが、薬物療法です。その結果、効果があると認められれば、薬を減らしたり止める方向でプランが立てられます。

薬物療法があまり効果がない場合は、認知行動療法を選択することになります。それでも効果がない場合は、さらに不眠の原因を探ります。

不眠症治療プロセス

出典:厚⽣生労働科学研究班・⽇日本睡眠学会ワーキンググループ作成「睡眠薬の適正な使用と休薬のガイドライン」

 

4−2.不眠症治療のパターン

・薬物療法

ハルシオン0.25mg

睡眠障害の治療によく処方されるのがハルシオン錠です。歴史もあり比較的副作用が少ないと考えられています。写真は0.25mg錠(出典:wikipedia)

睡眠を取るために、また睡眠障害によるさまざまなトラブルを解消するために、多くの場合に用いられるのが薬を使った方法です。一部の睡眠導入剤は薬局薬店で、また睡眠の質改善の効果が期待できるサプリメントであれば通販でも購入することができます。まず、睡眠できることによる肉体的精神的疲労の回復をめざします。不眠に対する不安や緊張感を取り除く効果もあります。

薬の種類や目的にはさまざまあり、医師はあなたの状況に応じて処方してくれます。現在の薬は習慣性や副作用は少なくなっているのですが、患者自身の心理や習慣化によって薬がないと眠れなくなることにもなりがちですので、医師は他の療法と併せて対処を検討します。別記事にて睡眠薬について特集しておりますので、気になる方はそちらもご参照ください。(睡眠薬の正しい全知識 | 状況別・選び方からQ&Aまで

・認知行動療法

睡眠環境を改善したり、睡眠に対する考え方を整える精神教育を行う根本的な療法が「認知行動療法」です。

これは、医師や臨床心理士と患者さんとのマンツーマンでの個人面接や治療グループとの集団カウンセリングを通して行う治療方法です。不眠症を引き起こしている生活スタイルや考え方の傾向を直すポイントをあげ、それを日頃の習慣として実践し、安眠を取り戻すことを目的とします。

治療期間が終わった後も再発しづらい習慣・体質を身につけることができ、抜本的な解決が図られます。

認知行動療法を受けることによって、薬物療法をすでに受けている人でも慢性的な不眠の改善や、睡眠薬を徐々に減らしていくことができます。発生初期から睡眠薬をあまり服用せずに治したいという方にはこの治療法がおすすめです。(2015年10月現在、不眠症の治療については自費診療扱いとなっています)

 ・光療法

光療法

出典:国立精神・神経医療研究センター

概日リズム睡眠障害の方に行われる、高照度の光を一定時間照射して体内時計を調整する治療方法です。

概日リズムとは、人間が生まれつき持っている生体内の自然時計のことです。この概日リズムが何らかの原因で自然に調整できなくなることで不眠症になる方がいます。

朝早く起きて、日光の照射を受けるなどしても改善が見られない場合、この人工的な光を使った治療方法が用いられることがあります。機械を借りて自宅で取り組む方法と、専門機関で入院して行う方法があります。

・漢方療法

西洋的な医薬品に抵抗のある方や、自然志向の方に人気があるのが漢方薬を使った治療法です。漢方薬は、直接的に睡眠を誘導するというよりも、自然な睡眠を妨げている抑うつ、不安、焦燥などの要因を除去し、気、血、水、五臓六腑のバランスを整えることによって間接的に不眠を改善していこうとするものです。

ただ、科学的根拠とエビデンスに基づく西洋医学的な観点からは、治療効果は限定的(効果が全くないか低い)であると考えられています。

・睡眠時無呼吸症候群のための治療法

 気道が狭くなっているなどの原因で、睡眠時無呼吸症候群になってしまう方への治療法はまた異なります。精神的や環境的には何の問題もなく、睡眠時間を多く取っているのにも関わらず、睡眠の質が悪く疲れが抜けないなどの場合は、この疾患の可能性があります。

治療法としては、軽度であればマウスピースを使用したり、中度以上であれば専用の機械で睡眠中に空気を送り込んで、気道が閉鎖しないようにする方法などがあります。 肥満が原因になっているのであればダイエットを含めた取り組みをします。

5.解決のために試してみたい睡眠前習慣

睡眠の質改善の生活パターン

睡眠の質改善の生活パターン

睡眠環境を整えることは、ぜひ試していただきたい方法です。以下に代表的な方法をご紹介します。

・生活リズムを毎日規則的にする

平日でも休日でも、毎晩同じ時間に就寝することと、毎朝同じ時間に起きるようにしてください。昼寝はなるべく取らないようにしましょう。

・生活に運動習慣を取り入れる 

カラダに疲労を与えることは、睡眠の質改善に役立ちます。無理なくできる範囲で構わないので、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、フィットネスジム通いなどから始めてみましょう。心地よい汗をかくと気分的にもリフレッシュします。

しかし、就寝時に近い時間帯の運動は、カラダを覚醒状態にしますのでおすすめできません。上記のような運動は、就寝前の3~4時間前をメドに、おやすみ前のストレッチも1時間前までに行うようにしてください。

・遅い時間のカフェインとニコチン、深酒を避ける

カフェイン(コーヒー、茶、ココアなどに含まれる)とニコチン(タバコ)には覚醒作用があり、眠りを妨げます。夕方以降の摂取は避けた方が良さそうです。

アルコールは、ナイトキャップ程度でしたら睡眠の導入には役立ちますが、本格的な飲酒になると夜中に目を覚ます原因となります。睡眠の質も期待できません。

・夕食は寝る3時間前までに

就寝時に胃腸が働いていると、睡眠の質が低下します。なるべく3時間前までに夕食を済ませるようにしましょう。その夕食も軽めがベスト。お腹がすいて寝られない、という方は、寝る直前のナッツ数粒や牛乳、ヨーグルト、こんにゃくゼリー程度なら大丈夫です。

・寝室を快適にする

間接照明

寝室に間接照明を活用するのも手です

寝室は、暗く静かであることが理想です。光が問題になる場合は、遮光カーテンや、アイマスクを試してみてください。

騒音が気になる場合は、音をカバーするための耳栓を使用したり、または換気扇を回すことでも騒音が気にならなくなることがあります。「ホワイトノイズ」を発生させるサウンドマシンにも効果があると考えられています。

室温も、暑くなく寒すぎず。適度な湿度もあるとより良いです。

 ・睡眠前にリラックス環境を作る

就寝2時間前をメドにぬるめのお風呂にゆっくり(10〜15分)浸かりましょう。1時間前までにストレッチを。その後は本を読んだり、リラックスできる音楽を聴いたりして過ごします。瞑想をするのも良いでしょう。

・ベッドは寝るためだけに使う

ベッドに入ったら寝ることに集中しましょう。それ以外に、読書をしたりスマホの画面などを見たりしないでください。目を閉じても、なかなか眠ることができないときは、一度起き上がって本を読むなどして眠気が来るのを待ちましょう。

・心配ごとはto-doリストに書く

to-doリスト眠ろうとしたのに、何か心配ごとを思い出した。もしくはずっと気になっていることがある。それが気になって眠れない場合は、to-doリストを作って書いてみましょう。明日朝から取り組むことを順序立てて書きます。それができたら実行は明日からやることにして再度目を閉じましょう。心配ごとへの集中する気持ちがやわらぎます。

・ ストレッチポールを使ってみる

おやすみ前にストレッチポールに乗り、左右のゆらぎ運動や自然な呼吸、または自分のお気に入りの動きをおこなうことで、眠りにつきやすくなります。独自の「安定さの中での不安定感」によってゆりかごと同様の効果がもたらされるからです。詳細は別記事「ストレッチポールが睡眠の質改善に効果的な理由」をご覧ください。

6.体験談:わたしはこうして不眠症を克服した

精神的な悩みが原因の場合、環境を改善してもなかなか寝付けないと思います。医師の処方してくれる薬物も、安心だと言われても抵抗があるのではないでしょうか。そこで実際に医師の力を借りずに不眠症を克服した方のお話しをうかがいました。同様の悩みを持つ方はぜひ参考にしてみてください。

interview不眠症になったきっかけ

今回取材したのは、不眠症を克服したIさんです。彼は、個人事業主の中年男性。やはり心配ごとが不眠の大きな原因でした。

「まず『創業当時の仕事がない焦り』が大きかったのです。明日のお金をどうしようという状況でしたから。それと相反するように、仕事のアイディアはいっぱい出るんです。こうしたら儲かるんじゃないかとか、ここを対策すればとか。この2つの要因で、常に覚醒状態にあって、まったく眠ることができませんでした」

最初の病院は自分に合ってなかった

そのような状況が何週間も続くと、やはり異変が起きます。一日中頭がボーっとした感じがして、顔色や表情も良くない。お客様に会わねばならないのに、見た目がちゃんとしてなければ商談にも悪影響が懸念されます。何よりこのままではマズいと思って、彼は心療内科を受診することに決めたのです。しかし、彼の場合、最初の病院がフィットしていませんでした。

「診察はいわゆる診察室の雰囲気とは異なり、書斎や執務室のような部屋でもちろん聴診器も当てず、カウンセリングを行います。しかし、『あー。この人は何にもわかってないな!』が率直な感想で、二度とここには来ないと決断しました。」

その時にIさんに処方された薬は、Hという睡眠導入剤。実際に服用してみると確かに睡眠導入に効果を感じたと言いますが、効果が持続する数時間が過ぎればパッと目が覚め、かえって頭がボーっとする感じがあり、すぐに服用をやめたそうです。

Iさんは、このあと心療内科を受診することはありませんでしたが、やはりその人に合うあわないが大きいと思います。メンタルが原因になっているケースでは、一緒に取り組もうという気持ちになる、相性の合う病院を見つけることが大切でしょう。

漢方外来を受診するも…

彼はこのあと、漢方医学に望みを託します。西洋医学では解決できないかもしれない、と感じたからです。漢方のほうが、根本治療が可能かもしれず、ナチュラルな印象もありました。訪れたのは、一般病院での漢方外来でした。

ここでの診察は、舌下(舌裏)観察、脈拍、ベッドに寝ての腹部の触診など。「柴胡加竜骨牡蛎湯」という漢方薬を処方されました。一応まじめに2週間分を飲み続けましたが、ここでも顕著な変化は見られませんでした。精神安定に効果のある薬ということですが、これも彼の不眠症を解決することはできませんでした。薬選びの難しさがわかります。

独自の解決法を考案

自分の不眠症は、薬では解決できない、と感じた彼。なんとか根本的に解決する方法はないかと模索します。

その結果、「悩みが発生する思考回路」を一時的に遮断し、徐々にその時間を延ばすことができれば解決するかもしれない、と感じます。そこで考えたのが本能的な欲望を利用して、脳を別の方向に切り替える作戦です。

例えば、食事に集中すればその間は悩みを忘れることができるかもしれない。お笑いDVDやスリルが連続する映画なら、今の悩みから解放されるかもしれない、と考えました。

しかし、食事中でも悩みの思考回路は切れません。ずっと考えながら食事をしてしまいます。映像も真剣にのめり込むことはできませんでした。

無酸素運動に活路を見出す

次に考えたのは、運動の活用でした。キツい思いをしている間は、悩みの思考回路から遮断されるに違いない、と考えます。「最初に取り組んだのは、ランニングマシーンやエアロバイクでの有酸素運動。しかし、終始考える余裕があるので、失敗となりました。」(Iさん)

ベンチプレスを行う女性その次に試した見たのは、短時間や瞬間的に苦しい思いをする、無酸素運動。バーベルを使ったベンチプレスを試してみます。想像以上にキツいものでしたが、さすがに雑念などの介入余地はなく、ついに悩みの回路遮断に成功します。

その感覚を数ヶ月ぶりに味わった彼は、この感覚を長くすることができれば、本来の状態を取り戻せるかもしれないと考え、徐々に無酸素運動のメニューを増やすことで、回路遮断時間を延ばしていきました。

「あきらかに脳が休まった感覚がありました。また、これまで運動をおろそかにしていたので、カラダの芯から疲れた、ということも久しぶりでした。脳が休まり、カラダが本質的な疲労を憶えて、少しずつ眠れるようになりました。私の場合は、無酸素運動が不眠症改善の一助となったことは間違いありません。」(Iさん)

仕事が回りだしたのもプラスに

さらに、真剣に取り組んでいた仕事がうまくいきはじめました。気分がポジティブになり、悩みの思考回路が遮断され、不眠を感じることも少なくなったとのことです。心に平穏や余裕が生まれると睡眠が取れるようになってきたのです。

また彼は、なんとか仕事を軌道に乗せることを考え、一発逆転の経営者の物語や、野茂投手、カズ選手などのパイオニアが壁を乗り越えたドキュメントを読みふけりました。そのようにして日々の生活から「ヤル気スイッチ」が入るように心がけていたとのことです。仕事に前向きになるにはこれが大事で、同時に悩みの回路が遮断されていったと言います。

おすすめの解消方法1・休日前日に徹夜

さらに彼のすすめる不眠症解消に役立つかもしれない方法を聞きましたので紹介します。

「休日の前日に、あえて寝ない、つまり完全徹夜します。一週間の疲れが溜まっているので、眠れなくとも早く横になりたい、という気分でしょう。しかしここで起き続けるのです。限界まで眠気に耐えることで、眠りのスイッチが入りやすくなります。荒療治的な発想ですが、案外効きます。リセットボタンを押すような意味があるのかもしれません」

おすすめの解消方法2・悩みを塊でとらえず、パーツ化する

ジグソーパズルもう一つは、やはり悩みを深刻化しない捉え方です。

「悩みを大きな塊で見てしまうとそれに圧倒され、悩みの思考回路が発動し、不眠へとつながります。そこで塊をパーツ化し、ひとつひとつの悩みを『たいしたことないかも』と考えることで、前向きにとらえられるようになります。パーツをひとつひとつ潰すことができれば前に進んでいるという安心感が得られます。この安心感を得るための工夫をしようと思うことが大事です。」

彼はこのようなチャレンジを行い、それぞれの要素が複合的に作用し不眠症から脱しました。現在は当時よりもっと大きな壁や悩みに直面するそうですが、不眠に悩むことはもはやなく、健康的な睡眠がとれているといいます。

「ストレスとの向き合い方がわかったのか、いろいろな経験をして図太くなったのかもしれませんね。」(苦笑)

7.備考:不眠症の豆知識

女性の方が不眠症になりやすい

睡眠に関する調査によると、日本人における不眠症の割合は、男性17.3%に対し女性が21.5%あり、女性の方が4割多い結果になっています。(1988年/健康・体力づくり事業財団)また、米国でも男性よりも女性の方が多いという結果が出ています。(2005年/米国睡眠財団)

これは、女性ホルモンの影響によるものが大きいと考えられています。女性ホルモンと睡眠は大きく関係しています。女性の不眠症の診断においては、この可能性も少なからず考えます。

急性不眠症と慢性不眠症

不眠症は、「どれぐらい続いているのか」「どれくらいの頻度で発生するのか」の2つのポイントで急性(短期)不眠症か慢性(長期)不眠症かに類別されます。

急性不眠は、一晩から数週間続く状態です。ひと月以上、少なくとも三週間続く場合が慢性不眠症です。どちらも起こる可能性があり、睡眠に何の問題もない期間と不眠が続く期間が行ったり来たりすることもあります。 

まとめ

不眠の一番の原因は、心配ごとなどの精神的な要素です。いかに心配ごとを取り除くか。そして睡眠のための環境を整えるか、が不眠症改善の大きなポイントといえます。Iさんの例では、運動をすることで一時的に不安な精神回路を遮断することができました。不眠症かも、とお考えの方は、ぜひ眠るための取り組みをしてみてください。この記事が少しでもお役に立つことができれば幸いです。

 

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