![Woman rubbing tired feet](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2017/03/iStock-182163449-800x415.jpg)
土踏まずの痛みで悩まれる方が大勢います。
それが起きるタイミングや痛みの程度、感じ方は人それぞれですが、長時間歩いた後や起床時、スポーツ練習の後などに起きることが多いようです。
これの多くは土踏まずのアーチが落ちることで、衝撃が足底に伝わり炎症を起こすもので、「足底筋膜炎」といいます。
このような痛みや腫れ、ダルさを感じる方のために、この記事では対処法についてお伝えします。著名なアスレティックトレーナーの先生や理学療法士の方に幅広く取材したものですので、お悩みの方はぜひ参考になさってください。
※足裏の痛みはどのような痛みでも整形外科医の診断をあおぐことを強くおすすめします。
1.痛みが発生するシーンと位置
以下のような場合に痛みや腫れ、疲労感を感じる方が多いです。
・練習中や試合中、またはその後
・朝起きて立ち上がる時
・立ち続けたり、歩き続けた時
・ハイヒールを長く履いた時
・体重をかけた時
・ラケットスポーツやサッカー、バスケットボールなどサイドステップが多いスポーツプレイ時
・陸上競技など長距離走の多いスポーツプレイ時
痛みの場所としては下記のところです。
・足の裏で、特にかかとに近い部分
・土踏まずの中心部
・足の裏の母指球付近
この痛みの感じはじんわりとしたものだったり、急激な強いものだったりさまざまです。
思い当たるところはありませんか?
2.痛みの原因とは
前述の痛みを感じる多くの方が、足裏に負担がかかりやすい足の状態になっています。
・スネの筋肉が硬い
・足首が硬い
・足裏が硬い
・ねんざクセがある
・足の付き方が悪い(回内足)
・扁平足
・外反母趾・内反小趾
・開帳足(足の親指や小指が外に向かって浮いている)
・浮き指(足の指が地面から浮いている)
・ペタペタ歩き
皆さんはいかかでしょうか?
3.土踏まずのアーチがなぜ落ちるか
土踏まずには3つのアーチがあります。外側と内側の縦2本と、母指球あたりの横1本です。
![footarch1](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2017/03/footarch1.png)
3本のアーチがあります
土踏まずのアーチは、全身の力を地面に伝える役割を持っています。地面からの衝撃を吸収する役割もあります。
アーチが落ちるということはバネが伸びたような状態です。衝撃を吸収できなくなり、痛みや腫れなどの炎症が起きるのです。
足の裏の表層皮下にあるのは「足底筋膜(そくていきんまく)」という膜のように幅広い腱です。この足底筋膜の炎症で痛みを感じる方が多いです。症状名としては「足底筋膜炎」といいます。
この足底筋膜の中の層にあって、アーチを保つ役割や指を動かす動きを果たしているのが「足部内在筋」です。
足の指を使って地面をかむ動作をしていなかったり、足部の動きが悪かったり、長時間の負荷で疲労すると足部内在筋が弱まりアーチが落ちるのです。
また一部の足の筋肉はスネの筋肉からくるぶし周辺を経由して繋がっています。スネの前や横、ふくらはぎの筋肉が硬かったり、足関節の動きが悪いと、足部に負担がかかりやすくなりアーチが落ちる原因になります。加齢による筋力低下も少なくない原因です。
また、サイドステップが多い競技のプレイヤーや外反母趾ぎみの方、浮き指の方では、横のアーチが落ちて痛みを感じることも多いです。
![Human anatomy foot](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2017/03/iStock-531320024-1024x768.jpg)
足部には多くの筋肉があります
4.土踏まずの痛みを解消し、予防する方法とは
使いすぎ(オーバーユース)による、一時的な痛みであれば安静にしておくと解消する場合があります。しかし扁平足や足関節の柔軟性がないなど常態的な原因があると頻発することになります。ここではそのための方法をお伝えします。
4−1.痛みが強い場合はアイシング
炎症を抑えるのにもっとも効果的で一般的な方法がアイシングです。氷水を入れたアイスバッグを使用します。
![ice bag](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2015/11/51Z8rekVDLL-300x223.jpg)
アイスバッグは1リットルくらいのものを1つ持っておくと便利
伸長した足底筋膜を縮めるために、足部を底屈ぎみの状態で行います。足裏に緊張が生じないように脱力をして行ってください。
10〜20分程度、患部がひんやりと気持ちいい感覚を得ながら行ってください。5〜10分程度インターバルをとって、数セット繰り返します。
アイスバッグがない場合は、氷水を張ったバケツに足を入れる方法も効果が高いのでおすすめです。バケツの中で底背屈運動を行ってください。
患部の感覚がなくなるほど冷やすのはやり過ぎですので注意してください。痛みがある場合は、日中定期的に行ってください。
4−2.急性期や予防に役立つテーピング
ここでは今痛みがあってアーチを回復したい場合や、試合前など予防として貼りたい場合に使える比較的簡単な方法をお伝えします。指導は岩﨑由純さん(日本アスレティックトレーナーズ機構副会長)です。
幅50mmのキネシオロジーテープを用意します。上記写真のように4本にカットします。(写真では分かりやすいように4色使いましたが、1色でOKです)
中央部用をまず貼ります。画像で左手親指で押している部分が「湧泉」というツボです。ここを押しつつテープをじゃっかん引っぱりながらカカトまで貼ります。その後はテンションをかけずにアキレス腱のほうに貼って止めます。貼った後は土踏まずに密着するように全体を手で押してください。
次に母指用を貼ります。母指中心部に端を貼って土踏まず内側からカカトのほうにテープを軽く引っ張りながら貼っていきます。この際に、親指で湧泉のツボを押し、人差し指で、母指を外に開きながら貼るのがコツです。
貼ったら指で密着させます。
小指側を貼ります。こちらは小指には掛けず、付け根から外のアーチを意識してカカトまで貼っていきます。勇泉を押しながら小指を外に開いて貼っていきます。
周囲をぐるっと貼ります。母指の内側に起点を設けて、土踏まず内側、カカト周囲を通り、足部外側に貼っていきます。
軽くテンションをかけた後にしっかり押さえて密着させます。
小指を外転させながら、最後まで貼りきります。
完成です。以下の動画でより詳細にご覧頂けます。
より痛みがあり、アーチのサポートを強力に行いたい方は、ホワイトテープを使った応急処置の方法があります。これは動画のみでご紹介します。
4−3.アーチをサポートするインソールやソックス等の使用
アーチ落ちの時にとれる効果的な方法のひとつがインソールの使用です。足の形やアーチの落ち具合は人それぞれ違いますので、できればオーダーメイドで作成なさることをおすすめします。
![A pair of feet at a podiatrist checkup](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2017/03/iStock-471795311-1024x682.jpg)
土踏まずの状態を診る機械
アメリカではオーソティック(Orthotic)というかかとのホールド感が強い種類が推奨されています。一部の既製品は日本でも購入することができます。
写真はAmazonで扱っているFormthoticsというニュージーランドのブランドです。商品紹介ページ
テーピングを頻繁に行えない方におすすめなのがアーチを高くし、足首もサポートできるソックスです。
これはふくらはぎ全体までフィット感を出すものです。商品紹介ページ
これはアーチサポートの機能のみです。5本指ソックスなので、足指で地面をつかむ感覚を得やすい構造です。商品紹介ページ
靴のカカトに入れるジェルパッドでも歩行時の痛みを緩和できる場合があります。当ブログの「足底筋膜炎」記事で監修をいただいた理学療法士の世良田満仁さんがおすすめするものです。
足底筋膜炎の方が歩く時に注意するのは、背屈状態を避けるということです。背屈になると足底筋膜が伸張され痛みが増す可能性があるからです。
カカトパッドは簡易的なものでは100円ショップでも購入できます。
![pad1](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2016/12/pad1-225x300.jpg)
ダイソーのかかとパッド・写真は「板橋区成増の不動産屋のひとりごと」より。リンク先に使用感も
これを使うことで、かかとの位置が高くなり、底屈位を取りやすくなることができます。
![insole1](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2016/12/insole1.jpg)
原理説明のためのイメージ
4−4.足部の筋肉を柔らかくするセルフマッサージ
硬くなっている筋肉をマッサージで柔らかくしましょう。
4−4−1.足裏部のマッサージ
足裏部は、足底筋膜が緊張して痛みを持っている場合は注意が必要です。青竹踏みなどを行うことでよりテンションがかかるからです。
痛みがない場合に、柔軟性を高める目的で行ってください。
ストレッチポール®ひめトレは骨盤底筋を活性化するトレーニングツールですが、柔らかさがあり、足裏に使う際はマイルドな刺激で行うことができます。
4−4−2.ふくらはぎやスネ周辺のマッサージ
ここが硬いと思われる方は、日頃からよくほぐしてください。ツールを使うとセルフで効果的に、簡単にほぐすことができます。
左:ふくらはぎ下/右:ふくらはぎ上
![IMG_0568](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2016/02/IMG_0568.png)
写真はストレッチポール®ショート使用
ストレッチポール®ショートは下記のサイトでお買い求めいただけます。
LPNショップ ストレッチポール®ショート ハードタイプ販売ページ
もちろん通常のストレッチポール®でも同様のセルフマッサージが可能です。ショートの方がセルフマッサージに特化しており、持ち運びもしやすいという利点があります。全身のリラクゼーションまで行いたい方はストレッチポール®EXをおすすめします。
4−5.足部の柔軟性を向上させるストレッチ
動かせるようであれば再発防止のためにストレッチを定期的に行いましょう。
4−5−1.足裏の底屈ストレッチ
ハイヒールを常用したり、浮き指や外反母指ぎみの人は足の裏を曲げて使うことができなくなっている可能性が大きいです。足の甲を伸ばし、足裏を屈曲させる運動を行いましょう。
椅子に座った状態で行います。片方の足を写真のように椅子の外側で、指の付け根にテンションをかけて甲から伸ばすようにストレッチします。10秒を2〜3セット。
オフィスでもご家庭でもいつでもできるので、日頃からよく行うようにしてください。
4−5−2.下腿三頭筋と土踏まずのストレッチ
有名なアキレス腱ストレッチに似ていますが、壁に両手をつけて行います。前に出した足の指も壁に当てると、前足の足底筋膜が伸長するので2つの効果が得られます。
最初はカカトを上げたまま。徐々にカカトを床におろしていきます。カカトがつくまでテンションをかけキープしてください。ふくらはぎと土踏まずが伸び、足首にもストレッチがかかっていることを確認してください。10秒を2〜3セット。
4−5−3.足関節のストレッチ
写真のように壁や段差を使って足を背屈させます。しっかり足首と土踏まずがストレッチされる位置で行ってください。
4−6.再発防止!足部内在筋を鍛えるトレーニング
アーチを保つには足部内在筋がしっかり働く必要があります。そのための方法をお伝えします。
4−6−1.親指エクササイズ
足の親指だけを、他の指とは逆の動きをさせてください。それぞれ5秒間キープし、5〜10回繰り返します。
4−6−2.タオルギャザー
床にバスタオルやスポーツタオルを敷いて、足の指の付け根から引き寄せる運動を行います。指の付け根を深く曲げてしっかりつかむようにしてください。タオルをすべて引き寄せるのを1回として、5〜10回。
4−6−3.ビー玉つかみ
床に20個のビー玉を置きます。一度に一つそれらをピックアップし、足の指だけを使用してボウルにいれます。両足2〜3回繰り返してください。
4−7.根本解決には走り方や歩き方など姿勢の改善
歩行時の足の付き方やXO脚などが、アーチ落ちの根本的な原因になっている場合があります。
内くるぶしが中に入ったり、土踏まずから地面に付いたり、土踏まずから前に出るような歩き方になっていませんか? このような歩き方、走り方のクセがアーチ落ちを助長しています。理想は下図のとおりです。
このような正常な姿勢を取り戻すのに最も効果的な方法は“意識して直す”ことです。
■骨盤の状態を整えるツールエクササイズ
また、股関節の状態がこのような歩き方を引き起こしている場合があります。当ブログを運営する㈱LPNが製造販売するストレッチポール®を使用して股関節の運動を行うと、周辺筋肉の緊張がほぐれアライメントが整いやすくなるという研究結果があります。
・ストレッチポールを用いた骨盤対称化エクササイズ(PelCon)は健常者の骨盤アライメントを対称化する:日本理学療法学術大会 2009(0), H4P2351-H4P2351, 2010
・ストレッチポールを用いた骨盤リアライメントエクササイズ(PelCon)は健常者の下肢発揮筋力の左右差を減少させる:日本理学療法学術大会 2008(0), C3P1362-C3P1362, 2009
■ストレッチポール®を使用した股関節のリセットエクササイズ
ここではその一例をご紹介します。
![pelcon1](http://stretchpole-blog.com/wp-content/uploads/2016/12/pelcon1.png)
片足ワイパー運動
ストレッチポール®に仰向けで縦乗りし、片ヒザを立て、もう一方の足はまっすぐ伸ばします。
脱力しながら、伸ばした足のカカトを支点にし、足でバイバイをします。10〜20回。股関節の付け根から動かすようにしてください。
続いて、その足を目一杯内側にひねっておいて、外側に一気に力を解放するように開きます。足を振動が伝わって腰の骨まで響くことを感じてください。5回程度。もう片方の足でも行います。
ストレッチポール®を使用した他の骨盤エクササイズについては、別記事「ストレッチポール®で簡単骨盤調整!2つのポイントと改善法」にてご紹介していますので、効果を上げられたい方はそちらも参考になさってください。
5.ほとんどの場合、手術は必要ない
足底筋膜炎が頻発するようだと、手術をお考えになるかもしれません。また急に痛みが襲って歩けなくなり入院するケースもあります。この場合も手術があるかもと頭をよぎるかもしれませんが、対処療法で済むことがほとんどです。
足底筋膜炎の100人のうち約95人は、通常の治療によって改善すると、米国の医療専門サイトWebMDでは説明しています(WebMD対象記事)。
整形外科医の治療が効果を発揮しない場合、医師は手術を検討することがあります。しかし一部の医師は、手術を検討する前に少なくとも6ヶ月間は通常の治療を試みるべきだとしています(Plantar fasciitis. In JF Sarwark, ed., Essentials of Musculoskeletal Care, 4th ed., pp. 839-844. Rosemont, IL: American Academy of Orthopaedic Surgeons.)。
6.まとめ
土踏まずの痛みに多い足底筋膜炎について対処法を解説しました。この痛みは運動量を減らしたり、安静にしておくと1ヶ月から3年以内に自然治癒する方がほとんどです。
しかし整形外科による適切な治療を受けることで、回復期間が早まったり、再発防止の可能性が高くなります。また足底筋膜炎と思っていたら疲労骨折や他の傷害であるケースもあります。足底筋膜炎を患った方や可能性のある方は速やかに整形外科を受診なさってください。
お伝えした内容は以下の記事でも補完していますので、より詳しくお知りになりたい方はそちらも参考になさってください。
足底筋膜炎・理学療法士が教える治療法とストレッチやテーピング
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