今すぐなんとかしたい首こり。頭の付け根から首の横を通って肩口まで、ゴリッとしたコリがあるとツラいものです。思わず手をやって指先に力を入れてみたり、手のひらを使って揉んでみてもあまりうまくいきません。
この椅子が、マッサージチェアだったらいいのに……。なんとか解消できる効果的な方法は…。
そうお考えの方に、首こりの解消に最も効果的な特選ストレッチを7つ紹介します。自分の力で解決するやり方で、揉み返しもなく安全にできる方法ですので、お悩みの方はぜひ試してみてください。
※お伝えする方法は首のこり解消を目的とするものです。寝違えの痛みやむちうち症(いずれも首の捻挫)、頚椎ヘルニアなどの疾患がある場合は行わないでください。
この記事は石塚利光が監修しました。 日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著) |
目次
1.首こり解消は全方向アプローチで
首こりの原因は、首周囲の筋肉の疲労であったり、頭部が前に出ている状態が続いていることによって起こります(頭部前方偏位)。これは ・日頃の姿勢 ・作業姿勢 ・目の疲れ ・睡眠不足 ・筋力低下などによって引き起こされます。
そして、首こりに関係しているのは主に ・頸板状筋(けいばんじょうきん) ・肩甲挙筋(けんこうきょきん) ・斜角筋(しゃかくきん) ・僧帽筋(そうぼうきん) ・咬筋(こうきん) ・二腹筋(にふくきん) ・胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん) という筋肉に加え、・腕神経叢(わんしんけいそう) という神経の束です。(下記画像参照)
これらをゆるめたりほぐすことで首こりを解消します。広範囲、多岐にわたる筋肉にアプローチするには、一部を押したり揉んだりするだけでは不可能です。
また、強く刺激を加えることも、反作用で解消しなかったり、揉み返しが起きたりして逆効果だったりします。これが首こり解消が難しい理由です。広範囲に渡る筋肉群に、多方向へのテンションを優しくかけることで筋肉を軟らかくします。
2.効果的に”全方向伸ばし”ができるスッキリストレッチ7選
さっそく首こりに効果的なストレッチをお伝えします。呼吸は止めずに、ゆっくり行ってください。※注意 これらのストレッチは日常的に起こる首こり用です。寝違えの際には行わないでください。またどのような種類でも痛みのある時に行ってはいけません。
■ストレッチ1.鎖骨まわりほぐし
頭部前方偏位が起きていると、鎖骨下・胸上の部分が緊張しています。ここをほぐすことで緊張を解きます。次からのエクササイズの効果を高める意味もあります。
自分の手のひらや指先を使って揉みほぐします。触ってみると思いのほかこっていることがわかるかと思います。30秒以上かけて片方ずつほぐします。2〜3セット行ってください。
■ストレッチ2.肩回し
肩を回すことで、鎖骨が上下に動きます。胸鎖乳突筋は鎖骨に付いているので、鎖骨を動かすことでストレッチができます。肩甲骨まわりをほぐす効果もあります。
両肩に手を置き大きく回します。まずは同時に後ろに回します。ヒジが前に来た時に、くっつきそうなくらいよく近づけてください。10回まわします。前方向にも10回、交互回し(クロールのように)を10回。その反対回し(背泳ぎのように)を10回行います。
■ストレッチ3.肩甲骨よせストレッチ
肩甲骨を寄せる動きは、日常生活でなかなか行っていないもの。ご紹介する動きでは肩甲骨をめいっぱい寄せますので、反対側にある胸が広がります。
両手を後ろ手に組んでそのままカラダを前にかがめます。組んだ両腕はまっすぐのまま、天井を向くようにしてください。10〜20秒キープして戻します。チャレンジできる方は、左右にも4〜5回振ってみてください。
■ストレッチ4.首の斜め方向屈曲
ここまではいわば予備運動。それでも十分効果のあったかたもいらっしゃると思います。ここからいよいよ全方向ストレッチをしていきます。
どちらかの手を90度に曲げ、腰の後ろに回します。手の甲を腰に付けておいてください。反対の手を頭の上に回し、耳をカバーするようにします。そのまま斜め前方向にゆっくり倒します。伸ばした方の首筋にストレッチがかかるように顔の向きを調整します。10秒キープしたら、脱力しながら正面に戻ってください。正面では10秒ほど休んでください。左右交互に2〜3回行います。
■ストレッチ5.首の横伸ばし
両手を後ろに回し、写真のように、片手で別の手の手首を掴みます。掴んだまま下に伸ばし、掴んでいる手の方向に首を倒します。5秒経ったら脱力し最初の姿勢に戻ります。3回繰り返してください。反対側の腕も同様に行います。
続いて、最初に倒した方向の方に、腕を使って倒します。まずは伸ばした方の手をストレッチ2のように腰の後ろに手をやります。腕を頭に回し、耳を押さえて横に倒します。5秒立ったら脱力して戻ります。これも3回繰り返し、腕を変えてください。
また右下の写真のように、ほほに手を当てて左右を向きます。片側10秒ずつ行ってください。
■ストレッチ6.首の前後伸ばし
立って行います。
写真のように、ヒザに両手を置いた状態から、首をあげ、できる所まで後ろに反らします、この時に腰が反らないようにしてください、肩から腰までのラインは、最初の状態をキープしたままです。一度頭を戻し脱力します。5秒休んだら、あごを引いてみぞおちをのぞきこむくらいまで引きつけます。5秒キープしたら、脱力しながら最初の状態に戻ります。5回繰り返してください。
■ストレッチ7.チンインエクササイズ
後頭部を押し付ける運動です。写真のように寝て枕を使っても良いし、背もたれの大きい椅子、クルマの座席など座っても可能です。
枕に後頭部を押し付けます。視線は変えずに床と並行を保ったまま、後頭部をじんわり押し付けます。ゆっくり5カウントくらいで元に戻ります。5回繰り返してください。
これにて特選ストレッチは終了です。いかがでしたでしょうか。
3.首元を温めれば、ストレッチの効果が高まる!
首こりストレッチの効果を高めるには、首元を温めてから行うことをおすすめします。そのためには、
・ゆっくりお風呂に浸かった後に行う
・使い捨てカイロにタオルなどを巻いて熱さを調節して、首に巻いて使う
・タオルを濡らして電子レンジで温めてから首に巻く
・首元を温めるグッズ(ほっとリフレ、あずきのチカラ、リラックスゆたぽん等)を使う
などがあります。特に寒い時期は首が縮こまっていますので、よく温めてから行ってください。
4.首こりストレッチがラク&効果的にできるツール
私どもの提供するストレッチポールがあれば、ラクに効果的に首こり解消のための運動を行うことができます。その原理についてご紹介します。
実は、ストレッチポールに縦に乗った時に、カラダと接しているのは、後頭部、両肩甲骨を結ぶ線の中心点、腰骨(仙骨)の3点のみです。ストレッチポールに乗ることで普段は(寝ている時でさえも)頭を支えている首周辺が、フリーな状態になります。
つまり、首や肩まわりは脱力した状態になります。ここでストレッチや振動を加えるなどの簡単な運動を行うだけで、首まわりの筋肉はゆるめ整えられます。
以下から首まわりに作用する代表的な運動を3つ紹介します。お持ちの方はぜひお試しください。
ストレッチポールを使った首まわりの運動1 ”床磨き運動”
上図イラストのような体勢(基本姿勢)でストレッチポールに乗ります。ヒジと手の甲が床についたままの状態で床に円を描くように床を磨いていきます。
この時、手首だけを動かすのではなく、腕全体を使って、ヒジと手の甲が一体となったイメージで円を描くように動かしましょう。始めは大きくバスケットボールくらいの円を時計回りに10回描いてください。
その後、円をどんどん小さくしていきます。ソフトボールくらいの大きさの円まで小さくしてください。最終的には手のひらの上でビー玉を回すくらいの小刻みな振動にします。反対まわりも同様に行います。小さな振動が肩まで伝わっているのを感じ、全身を脱力させましょう。
ストレッチポールを使った首まわりの運動2 ”ツイスター”
カラダをねじる運動です。基本姿勢から、両手を天井方向に伸ばし片側の手でもうひとつの手首を握ります。握った方の手を床に付けます。両足は、腕とは逆の方向に倒します。自然な呼吸のまま、ゆっくり10カウント数えてください。体勢をもどし、反対側も同様に行います。1セットだけでも効果がありますが、気に入られたら2〜3セットおこなっていただいて構いません。
ストレッチポールを使った首まわりの運動3 ”クレッセント”
カラダをクレッセント(三日月)の体勢にする運動です。基本姿勢から右手を頭の方に伸ばします。右足も伸ばします。そのまま左に少し倒れます。
カラダの右側がストレッチされることを感じてください。通常はここまでですが、今回は首こり用にさらにダイナミックに行います。右ヒジで右手を折り曲げ、頭部にタッチするようにします。ゆっくり10カウント数えて反対側も行ってください。2〜3回繰り返してもかまいません。
5.首こりの原因とは
なんども襲ってくるしつこい首こりは 、日常生活に大きく原因があります。原因から解決することで、首こりとは無縁な生活を送ることができます。
首こりの原因となる主なものは、
・日頃の不良姿勢
・長時間の同じ姿勢
・眼精疲労
・運動不足
・ホルモンの作用
・就寝や作業の環境
・ストレス などです。
特にストレスは近年その割合が大きく増えているといわれています。一つの理由としては、考えごとをするうちに、頭部前方変位が起き、胸元が緊張して縮こまってしまうパターン。もう一つは、ストレスによって不快感や痛覚が増幅され首こりを強く感じるケースです。具体的には、触診を行ってもコリは感じられないのに、本人の自覚症状として首こりを起こしている場合などです。
このような場合は、まずストレスを解消する取り組みが必要になります。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。ツールなしで行える7つの首こり用ストレッチと、ストレッチポールを使用した運動を3つご紹介しました。首こり解消にはいろいろな動きで、複雑な筋肉をゆるめる必要があります。ぜひブックマークしていただいて、首こりの時の参考になさってください。
ストレッチポールを使用して首まわりをゆるめる方法については、Youtubeに動画がありますので興味のある方は参考になさってください。「運動で酷使した肩甲骨周辺をストレッチポールでユルめ整える|JCCA岩﨑会長によるコアコンディショニング 」
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