コーチから「アジリティトレーニングをやった方がいいよ」と言われることがあります。
アジリティトレーニングは、各競技で使える実戦的な素早さを身につけるトレーニングです。コーンやマーカー、ラダーなどを使用したトレーニングが思い浮かぶのではないでしょうか。
実はアジリティトレーニングには段階があり、いきなりラダーでステップ練習をしても、アジリティ能力を身につけるには少々遠回りとなります。
そこでこの記事では、米国公認アスレティックトレーナーの先生に適切なアジリティトレーニングの方法を紹介していただきました。
段階を追ってお伝えしますので、試合で活用できるクイックネスを求める方はぜひ参考にして実践なさってください。
※記事の最後に動画をまとめたYoutubeアドレスを掲載しました。
この記事は山口淳士が執筆しました。 |
1.アジリティトレーニングとは
まず、アジリティトレーニングの考え方と行うべき理由について解説します。いきなりドリルを行うよりもその意味を理解いただいたうえで行われた方が効果的だからです。
1−1.アジリティトレーニングの定義
まず、アジリティとはなんでしょうか? アジリティは英語で書くとAgilityとなり、日本語訳は「軽快さ」「機敏さ」「敏捷性」「素早さ」などと出てきます。つまり、アジリティトレーニングとは簡単に言えば、「素早く動けるようになるトレーニング」のことを言います。
もう少し具体的に考えてみると、全米スポーツ医学会(National Academy of Sports Medicine)は、アジリティを「内的もしくは外的な情報に素早く反応し、スピードを落とさずに素早くかつ正確に方向を変える能力」と定義しています。つまり、ただ素早く動くだけがアジリティではなく、「情報に反応して」「スピードを落とさずに」「素早く正確に動く(=方向を変える)」といった要素すべてを合わせてアジリティ能力と呼び、これらを総合的に鍛えるのがアジリティトレーニングなのです。
例えばサッカーであれば、ボールを奪いに迫ってくるディフェンスをどうかわすか。相手の動きに反応して、その逆を行く必要がありますね。ゆっくり動いているようでは相手にボールを取られてしまいます。相手の逆をついて素早く動くことで、そのディフェンスをかわすことができます。もちろんここにはサッカーのスキル(ドリブル・パスなどの能力)も必要になってきますが、相手の動きに反応して、素早く動きながら方向を変えて相手をかわす。これがサッカーの中での「アジリティ能力」と言えると思います。
よく混同されるワードとして「スピード」が挙げられますが、スピードは簡単に言えば「最高速度」のこと。陸上の100m走はまさにスピードを競う競技。一番スピードを出すことができた選手が勝ちますね。一方「アジリティ」は、100m走のような最高速度を出しながら、さらに相手の動きに反応して、そのスピードをなるべく落とさずに方向転換をする、という様々な能力を合わせた言葉なのです。
1−2.アジリティを構成する能力
いくつかは上記しましたが、以下のような能力が合わさって「アジリティ」を構成しています。
・加速の速さ
・スピードの速さ
・減速(止まる動作)のうまさ
・方向転換(フットワーク)のうまさ・素早さ
・相手に反応する能力の高さ
・身体のコントロールのうまさ
この記事の後半にてトレーニング方法をご紹介しますが、それぞれがどの能力を鍛えるものか、目的を理解なさって行われると良いでしょう。
1−3.アジリティ能力がないとどうなる?
アジリティ能力というのは「たくさんの要素を統合した能力」と言えます。スピードがある選手は、100m走のようなまっすぐ走る競技なら誰にも負けないかもしれません。しかしサッカーやバスケなどのスポーツでは、ただ真っすぐ走っていれば良いわけではないですよね? そこには必ず相手がいて、その相手をかわさなければいけません。そのためには、うまく「減速」して味方にボールをパスしたり、「相手の動きに反応」して、「減速」し、「方向転換」をして、すぐに「加速」して、また「スピード」にのってゴールを目指す。これらの要素が合わさってはじめて相手をかわすことができ、ゴールにより近づきます。
つまり逆に言えば、アジリティ能力がないと相手をうまくかわすことができないかもしれません。うまく減速することができても、その次の動作が遅ければボールを取られます。減速して、方向転換まではできても、そこからの再加速がうまくできなければ、せっかくかわしたと思った選手にすぐ追いつかれてしまうかもしれません。減速、方向転換、加速とすべての能力はうまくても、相手の動きにうまく反応できなければ、そもそも相手をかわすことができませんよね?
さらに、アジリティ能力がないと、怪我のリスクが上がる、とも言えます。特に、「減速するとき」や「方向転換をするとき」は大きな怪我がよく起こってしまうシチュエーションです。アジリティ能力を高めることで、スポーツパフォーマンスレベルが上がることはもちろん、怪我の予防にも大変効果的なのです。
1−4.ひとつのトレーニングだけではダメな理由
アジリティ能力はたくさんの要素を統合した能力であるため、それぞれの要素の能力が低い限り、全体のアジリティ能力も低いままということになります。よって、まずはそれぞれの要素をしっかりと高めることが重要です。より速く加速するためのトレーニング、より最高速度を上げるトレーニング、方向転換のスキルをあげるトレーニング、反応を高めるトレーニング、などなど。これら一つ一つの要素を高めつつ、それらを統合するアジリティトレーニングをすることではじめて、アジリティ能力が高い選手になることができます。
2.アジリティトレーニングの実践
アジリティトレーニングには、大きく分けて2種類あります。1つ目は「Planned Agility(=計画されたアジリティ)」と呼ばれるもの。これは、あらかじめどう進むかが決められていたり、何が起こるかがわかっていて、それに対して選手自身が事前にどう動くのかも知っていて、そのルートをいかに素早く進むことができるか、という練習になります。「Non-Reactive Agility(=反応性ではないアジリティ)」と呼ばれたりもします。主にラダーやコーンドリルで、あらかじめステップの方法が決まっていたり、次のコーンで何をすべきかがあらかじめわかっているものをさします。
このPlanned Agilityドリルが、最も基本的なアジリティトレーニングになります。あらかじめわかっているステップで決められた方向に素早く動く、ということができなければ、とっさに何か(ボール・敵など)に反応して素早く動くことはできません。まずはPlanned Agilityで正確な身体の動き、ステップの方法を覚えます。やることはわかっているので、そのルートをどれだけ素早く、軽快に動けるようになるかがポイントとなります。
2つ目が「Reactive Agility(=反応性アジリティ)」と呼ばれるもの。事前にどう動くかがわかっておらず、「目からの情報(=視覚情報)」や「耳からの情報(=聴覚情報)」などに反応して、どれだけ素早く身体を動かすができるか、を鍛えます。より実際のスポーツの動きや状況に近づきます。
2−1.アジリティ能力をチェックしてみよう
アジリティトレーニングを始める前に、今の自分のアジリティ能力をチェックしておくと良いかもしれません。今の自分を知った上で、トレーニングを積み重ね、また同じテストを行うことで、自分の成長を確認することができます。というわけで、アジリティ能力をチェックするテストとして、よく使われるものを2つ紹介します。
■Tテスト
「加速」「減速」「シャッフル」「切り返し(方向転換)」「後ろ向き走(バックペダル)」と、アジリティ能力において大切な要素がギュッと詰まった、とても良いテストです。アジリティトレーニングとしても使うことができます。
(1)のミニコーン(マーカーでもよし)からスタート。(2)までダッシュして、(2)手前で減速してコーンに左手でタッチ。すぐに(3)に向かってシャッフルをして右手でタッチ。タッチしたらすぐに切り返して(4)までシャッフル。(2)は通過。左手で(4)をタッチしたらまた切り返して(2)に向かう。(2)を右手でタッチしたら、(1)に向かって後ろ向きで走る(=バックペダル)。(1)を通過したところがゴール。シャッフル中は足をクロスしないように。2回目は最初にシャッフルする方向を逆にしてやってみましょう。
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■5-10-5シャッフル
こちらもよく使われるアジリティテストの1つ。アメリカのNFL Combine(大学生アメフト選手がプロに行くために参加する体力テストのようなもの)でのテストとしても使われています。
選手は真ん中のラインを両足でまたいだ状態からスタート。スタートの合図とともに左側の5yd先(=約4.55m)のラインまでダッシュ。ラインの外を左手でタッチし、切り返して逆側の10yd先(=約9.1m)のラインまでダッシュ。同じくラインの外を右手でタッチし、切り返します。真ん中のラインまでダッシュしてゴール。2回目はスタート後右側にダッシュでやってみましょう。
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上記2つのテストの基準として、以下の表を参考にしていただけたらと思います。
2−2.アジリティ向上プログラムの作り方の一例(直線的ステップ・サイドステップ・交差 etc.)
アジリティは様々な要素の集まりのため、まずは「加速」「減速」「ダッシュ」「方向転換」などの動きの準備をウォームアップで行います。その際に、アジリティ能力の鍵となる「シャッフル」「クロスオーバー」「ドロップステップ」の3つの動きの確認・練習を行います。その後、だんだん実践の動きに近づけていくことになります。
アジリティトレーニングをするタイミングは、筋トレ(ウエイトトレーニング)を行う前か、筋トレを行わない日が良いでしょう。筋トレを行なって神経系や筋肉が疲労した状態でアジリティトレーニングを行うことは効率的ではありません。また同じ理由で、それぞれのドリルの間に十分な休息時間を入れましょう。疲れた状態で行っても良い動きができないとともに、ケガのリスクが上がってしまいます。
3.アジリティトレーニング 一連の流れ
それでは、ウォームアップからアジリティドリルへの流れを紹介していきます。
3−1.ベースポジション・ホールド
まずはすべての動きのベースとなる、自分が一番安定しているポジションを見つけます(=ベースポジション)。方向転換や減速をする際は常にこのポジションを意識することで、次の動作を素早く行うことができます。
背筋はまっすぐにピンと張り、骨盤もニュートラル。膝を曲げて少し腰を落とします。ベースの足幅はスポーツによって異なります。自分のスポーツ、自分のポジションで一番よくとる「構え」のスタンスで行うと、より自分のスポーツの動きに繋げることができます。
体重は軽く足のインサイドに乗せて、膝も軽く内側に。よく言われる表現として「両足の下にある大きな紙を真ん中で引き裂くようなポジション」というものがあります。
かかとは、クレジットカード1枚がかかとの下に入るくらいを目安に浮かせます。あまり浮かせるとつま先に体重が乗りすぎて、それは一歩目が遅くなる原因となります。
もしコーチやトレーナーがいれば、ベースポジションの状態で、360度どこからでも良いので軽く押してもらいます。押されて足が動くような不安定なポジションだと、それは良いベースポジションではありません。どこから押されてもびくともしないように、選手は安定したポジションを見つけ、それをキープしましょう。
それができるようになったら、次は目をつぶって行います。どこから押されるかわからない状態でも、しっかりポジションをキープします。
3−2.ミニバンドウォーク
ベースポジションがわかったら、そのポジションをキープした状態で動いていきます。まずはミニバンドを使用して、アジリティに必要な臀筋群やその他の下肢の筋肉を活性化させます。前後に歩くミニバンドウォークからご紹介します。
動き方のニュアンスは以下の動画を参考にしてください。
3−3.ミニバンド・ラテラルウォーク
次は切り返し・方向転換に重要な横方向の動きを行います。腕もしっかり動かして、実際の動きを意識しながら行いましょう。
シャッフルや切り返しの動きでは、脚全体の内側で推進力やストップ動作を行うことになります。よって、このラテラルウォークでは、左に進む場合は右脚の内側(右足の内側・右足首の内側・右膝の内側、右股関節の内側)で地面を押して進むことを意識しましょう。
進行方向の足のステップ幅はそこまで広くする必要はありません。実際のスポーツ中の動きで考えた場合、足があまりにも身体の枠の外に出てしまうことは、とっさに次の動きをする際にコントロールしづらくなってしまいます。
3−4.クイックステップ(その場)
素早く動くために、神経系のウォームアップを行います。同じくベースポジションから、その低い姿勢をキープして足をできるだけ早く動かすというエクササイズです。足はほんの少し地面から離れる程度で良いので、「足を早く動かす」ことにフォーカスしましょう。
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3−5.クロスオーバー・ウォールドリル
クロスオーバーは、シャッフルとは違って脚の外側で地面を押していきます。足の外側、足首の外側、膝の外側、股関節の外側と脚の外側全体で切り返すような意識でこのドリルを行いましょう。逆側の脚の膝はできるだけ身体の近くを通して、進行方向に向けて動かします。
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3−6.クロスオーバーステップ・マーチング
横に進むトレーニングです。ウォールドリルで意識した「脚の外側で地面を押す」ことを意識して、足踏みをしながらクロスオーバーで横に進んでいきます。膝は身体の近くを通して、腕もしっかり振りながら行います。
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3−7.ラテラルスキップ
これも横に進むものです。ウォークから、スキップへと進んでいきます。意識するポイントはミニバンド・ラテラルウォークで行ったときと一緒で、進行方向と逆側の脚の内側で地面を押すことを意識。膝はしっかりと進行方向へ振り上げていきます。腕の振りもしっかり行いましょう。
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3−8.クロスオーバースキップ
クロスオーバーでスキップしていきます。
クロスオーバーは、ウォールドリルで行ったように支持脚の外側全体で地面を押して進むことを意識します。逆側の膝も、進行方向に向けて上げるとともにできるだけ身体の近くを通します。腕をしっかり振ることも忘れないようにしましょう。
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3−9.ドロップステップスキップ
アジリティ能力の向上の鍵となる最後のステップがこの「ドロップステップ」です。これは突然後ろ側に走り出す際に、素早く後ろを向くステップになります。しっかりと膝を持ち上げると同時に膝を開いて回旋させます。
まずは実戦でよくある動きから。これを目標としてトレーニングしていきます。
動画GIFはコチラ(4.5MB)
この振り返りの際に、ヒザを曲げて足を大きく開きます。
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これを素早く行うためのトレーニングを行います。
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3−10.バックペダル
手の動きを見ながら後ろ向きに走る必要があるスポーツもあります。よって、低い姿勢で後ろ側に素早く進むことも、アジリティ能力の向上にとっては重要です。
まずは正しい姿勢と動きをつかむ目的でゆっくり行います。
動画GIFはコチラ(5.8MB)
その上で素早く進めるようにトレーニングします。
動画GIFはコチラ(5.2MB)
3−11.シングルレッグ・ホップ
私が執筆した別記事「ジャンプトレーニング〜」でも紹介しましたが、片足で横にホップする練習は、アジリティ能力の向上に繋がります。立っている足と逆側に跳ぶ練習では、足の内側で地面を押すことを意識しましょう。この「足の内側で押す」という動きは、シャッフルの際の動きと同じ力の使い方になります。
動画GIFはコチラ(6.8MB)
同様に、立っている足側に跳ぶ際は、足の外側で地面を押すことを意識します。これはクロスオーバーのステップを行う際の力の使い方と一緒です。
動画GIFはコチラ(3.9MB)
4.複数の動きを取り入れた発展系トレーニング
次のステップとして連続したり複数の動きを取り入れたものをご紹介します。
4−1.ラダードリル6選
Planned Agilityドリルの代表的なものがこの「ラダー」を使ったトレーニングです。あらかじめわかっている方向に、どれだけ足を素早くかつ正確に動かすことができるか、を鍛えるトレーニングです。
ステップのリズム感を動画にてご紹介します。
このトレーニングは頭でイメージするステップをその通りにできることが目的です。いろいろな競技で起こりうる「どう動くかわからない状態」から即座に反応できないと上手なステップはできません。まずは頭でわかっているステップを自分の身体でその通りに動くことができるようにトレーニングするには、ラダーは格好のツールなのです。
実はラダーを行う前に、ここまでで解説したステップ、シャッフル、マーチング等の練習をしていないと、上半身がブレたステップとなってしまいます。基本をおろそかにしないようになさってください。
4−2.マーカーを利用したシャッフル(切り返し姿勢の確認)
マーカーを適当な距離(スポーツに合わせて)に置き、シャッフルをして、マーカーのところで切り返しのポジションをとって一度止まり、姿勢のチェックをします。シャッフルは常にお尻を使って進むことを意識。シャッフルでの切り返し・方向転換は、ここまでやってきたように「脚の内側」です。切り返す瞬間にしっかり脚全体の内側を意識して地面を押しましょう。
また、切り返す際は身体を進行方向に傾けることや、姿勢を低く保つことも大切です。重心が高くなると素早い切り返しはできません。シャッフル中も、方向転換の際も、姿勢は低く保ちましょう。
動画GIFはコチラ(5.1MB)
※静止した時の姿勢をまずは意識します。
4−3.シャッフル(連続)
上記ができたら、連続してやってみましょう。シャッフルも素早く行うとともに、切り返し動作も素早く行い、それを3〜5往復くらい行います。
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4−4.クロスオーバー(姿勢の確認)
シャッフルと同じように、切り返しのところで止まります。切り返しから逆方向に進むときは、進行方向側の足の外側で地面を押すこと意識しましょう。姿勢を低く保つことや、進行方向に身体を傾けることも変わらず意識します。
4−5.シャッフル to クロスオーバー to スプリント
真ん中のマーカーからシャッフルでスタートし、マーカーのところで切り返してクロスオーバー。そのまま逆方向にスプリント(ダッシュ)します。
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4−6.スプリント to ストップ(減速の練習)
ダッシュした状態から減速する練習をしましょう。うまく減速ができなければ、上手な方向転換はできません。マーカーをある程度の距離で置き、ダッシュして、マーカーギリギリで減速をして止まりましょう。
動画GIFはコチラ(6.2MB)
このように「シャッフル」「クロスオーバー」「ダッシュ」「減速」などを組み合わせることで、様々なアジリティドリルを行うことができます。自分一人で行うときはPlanned Agilityドリルとして、頭で思い描く動きをどれだけ素早くうまく行えるか、という練習をしましょう。もしコーチなどがいる場合は、そこに「反応して動く」という要素を加え、より自分が行うスポーツの動きやシチュエーションに近づけていきます。
4−7.シャッフル(コーチの指示で方向転換)
相手の動きについていく「Reactive Agility」ドリルです。マーカーなどは使わず、コーチの指示(身体の動作や、笛の合図など)があった瞬間に切り返して逆方向にシャッフルをします。
4−8.シャッフル to スプリント to ストップ|スタードリル
スプリント to ストップに、シャッフルを加えます。9個のマーカーを均等な距離で3×3で置くことで、様々な方向へのドリルを行うことができます。どこかのマーカーから別のマーカーまでシャッフルして、マーカーにたどり着いたら方向転換してダッシュし、マーカー手前で減速して止まります。
まずは自分で行く方向をあらかじめ決めて(=Planned Agility)、より素早くそれぞれの動きができるように練習します。動きができるようになったら、コーチなどに動き中に指示をしてもらい、その指示された所にダッシュ〜減速〜ストップを行なって、Reactive Agilityドリルにしていきましょう。
動画GIFはコチラ(4.8MB)
4−10.ドロップステップ・シャッフル
ドロップステップとシャッフルを組み合わせたドリルです。切り返しの動きをスムーズに行うこととともに、シャッフルも素早く行います。
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4−11.ドロップステップ・クロスオーバー
ドロップステップとクロスオーバーを組み合わせたドリルです。非常にスポーツの動きに近いドリルです。
「3−9.ドロップステップキック」でご紹介した、実戦に近い動きを左右行なってください。
動画GIFはコチラ(4.5MB)
発展形として、コーチの指示で左右や進行方向を変えたり、合図で他の動きを組み合わせるなどするようにします。
4−12.ミラードリル(シャッフル to クロスオーバー to スプリント)
ミラードリルとは、前方の相手と同じ動きを行うドリル。相手がどんな動きを行うかわからず、それに合わせる(=ついて行く)Reactive Agilityドリルです。シャッフルやマーカーで行なったシャッフル to クロスオーバー to スプリントなどを、前方の相手の動きに合わせて行いましょう。
動画GIFはコチラ(7.7MB)
5.補足
上で挙げたドリルはあくまでベーシックなものです。アジリティドリルは実戦の動きに近ければ近いほど良いので、自分が行うスポーツの、しかも自分のポジションの動きに近いアジリティトレーニングを行いましょう。
例えば野球で考えると、内野手はより狭い範囲・短い距離でのシャッフルや細かいステップを行うべきでしょう。一方外野手は、20-30mほどのスプリントや、斜め後ろ方向に進むクロスオーバー、ドロップステップなどが必要な能力になってきます。グローブをつけた状態で行うのもいいですね。
6.まとめ
アジリティトレーニングの方法をご紹介しました。基礎能力が高くても、試合で活用できる「素早さ」を身につけるには、適切な姿勢と動きを獲得し、さらに脳内のイメージ通りに動ける能力を鍛えることが重要です。地道なトレーニングとなりますが、継続することでスポーツパフォーマンスアップに繋がります。
お伝えした方法が参考になれば幸いです。
今回、動画GIFでお伝えした映像をまとめてYoutubeにアップしました。ぜひご活用ください。
7.参考文献
・NSCA’s Guide to Program Design
・NASM Essentials of Sports Performance Training
・EXOSTM Performance Specialist Certification
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