口臭を気にされる方や、パートナーの口臭が悩みのタネである方がおおぜいいます。
日本人は綺麗好きで、歯磨きの回数も多い方だと思いますが、在日外国人の方へのアンケートでは実に72%の方が「日本人の口臭にガッカリしたことがある」と答えています。(歯ぐきの健康を推進する団体「オーラルプロテクトコンソーシアム」が、在日外国人100
またアメリカでは「日本人の口臭がワーストだ」といわれています。
綺麗な方やイケメンでも、会話をしだして口臭だと百年の恋も醒めてしまいます。どうしてこのような口臭が起きるのでしょうか。
そこで当ブログでは、人気歯科医の先生に口臭の原因と予防方法についてお伺いしてきました。口臭をなんとか解消したい方はぜひ参考になさってください。
この記事は歯科医師・森昭先生の監修をいただきました。 竹屋町森歯科クリニック院長(京都府舞鶴市)。人口8万人の同市にて総世帯数の25%がクライアントという人気歯科医。予防歯科、予防医学を重点的にとらえ、唾液やオーラルケアの重要性を全国に発信している。「歯医者を行きたい場所に変える」がモットー。第1回「歯科甲子園」準優勝。著書に『体の不調は「唾液」を増やして解消する』(PHP研究所)『行列のできる歯科医院3』共著(デンタルダイヤモンド社)など。 |
目次
1.口臭の原因7選とは?
まず口臭が何によって引き起こされるかについて解説します。
1−1.歯周病菌
口臭は、まず第一にお口の環境が正常ではない場合に起こります。基本的に、食品は食べた直後から口の中で分解され始めます。 その際に口腔に問題があると口臭が発生しやすいのです。
口腔の問題となる最たるものが歯周病菌です。歯周病菌は歯垢や歯石、放置された歯磨き剤のツブツブなどにひそみ、歯肉炎や歯槽膿漏、舌苔(ぜったい)を引き起こします。
歯周病菌が活発に活動すると、その副次作用で口臭となるのです。
1−2.歯肉炎
歯槽膿漏は、歯茎が腫れ、少しの刺激で出血するようになり、そのうちに歯と歯肉の境目(歯周ポケット)が深くなり最終的には歯がグラついて抜けてしまうという病気です。歯肉炎はその初期段階というもので、これによる腫れや出血でも口臭を引き起こします。
1−3.虫歯
食べかすが虫歯菌と組み合わさって悪臭を放ちます。また神経への侵蝕や、歯髄侵蝕での膿の発生も悪臭となります。虫歯は予防に努め、穴があいてしまった場合は早急に治療することが必要です。
また、長年の詰め物の隙間に歯垢がたまる場合があります。半年に一度程度の歯科検診をおすすめします。
1−4.ドライマウス(口中の乾燥)
口腔乾燥症とも呼ばれる、文字通り口の中が乾燥しがちな状態です。これは唾液の分泌量が少ないということ。
唾液は口内に湿度をもたらし、プラークによって生成された酸を中和し、舌、歯茎、および頬に蓄積する死んだ細胞を洗い流す機能があります。唾液によって除去されないと、これらの細胞は分解し、口臭を引き起こす可能性があります。また味覚変容をもたらすこともあります。
1−5.口呼吸
上記に関係しますが、口呼吸であることは口中を乾燥させやすいのです。口は閉じていながら、上下の歯は軽く開いていることが理想的です。就寝時にテープ等を使う方法があります。鼻炎など鼻づまりのために口呼吸になっている方は、原因疾患を解消なさってください。
1−6.臭いの強い食べ物
一般の方にとって、もっともイメージしやすい原因でしょう。臭いが強い食品(ニンニクやタマネギなど)を食べると、ブラッシングや歯みがき(口内洗浄剤でさえ)では一時的に匂いを隠すことしかできません。前述したように、胃の中で血液に臭い成分も取り込まれるために、食べ物が体を通過するまで、匂いは完全には消えません。
1−7.喫煙
タバコは口臭以外にも、歯周病の大きな因子となることがわかっています。さらに、歯を黄色くし、歯茎を黒くし、虫歯を起こしやすくします。家族の口腔環境を悪くする原因ともなりますので、禁煙されることを強くおすすめします。
- 普段の会話など一般的な表現では「Bad breath」と言います。「悪い息」という意味ですね。医学的な表現では「 halitosis」と書きます。
2.口臭を引き起こす疾患もある
上記の心当たりがなかったり、口腔環境も健全であるにも関わらず口臭が起きている場合があります。耳鼻咽喉科、呼吸器科、消化器科、内科系各領域の疾患の可能性を疑います。
・扁桃炎
・副鼻腔炎(蓄膿症)
・逆流性食道炎(胃酸逆流)
・消化器系疾患(胃の中の臭いがゲップ以外に口の中に出てくる事はありません。炎症により胃の中で悪臭が発生し、血液に取り込まれ、肺から呼吸となってくるのです)
・便秘(便臭が血液に取り込まれ、口臭や体臭として排出されることがあります)
・呼吸器疾患(肺炎や気管支炎)
・糖尿病(甘酸っぱい体臭や口臭を及ぼします)
・その他、肝臓や腎臓の疾患
・拒食症
このように様々な体の悪い部分が口臭となるのです。日頃の体調チェックや健康診断の結果をおろそかにしないようになさってください。
3.もっとも効果的な口臭の予防方法とは
森先生の歯科医としての経験では、口臭の原因のほとんどは口腔環境の不健全さに起因すると考えられています。一章で述べた7つの原因のうち、5つは口腔環境によるものとなっています。
そのうち最大の要因が「歯周病」であり、それに関係して「唾液を有効活用していない」ことです。日頃から歯周病菌の温床となる歯垢や歯石を除去することに努めてください。また唾液の出を良くすると同時に、食後すぐに唾液を排出してしまわないようにします。具体的な方法をここでは解説します。
3−1.歯周病を予防する「デンタルフロス」「歯間ブラシ」と「唾液みがき」
歯周病の原因となるのが歯垢や歯石です。舌の上に滞留すると舌苔(ぜったい)となります。
実は食後すぐの歯磨きでは歯垢を完全に除去することができません。30%程度しか除去できないとお考えください。デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで6〜70%程度まで向上させることができます。
■デンタルフロスの使い方
・30cmほど出して指に巻き付ける。糸をピンと張る
・歯と歯の間をゆっくりと上からスライドさせつつ、歯茎に達するまで動かしていく
・スッと上に引き抜く。詰め物がある場合は、片方の指からフロスを外して手前に引き抜く
・一ヶ所終わったら、当たる部分を変えて次の隙間に移る
・始めと終わりの歯を決めて、毎回同じ順番で行う
・歯肉を痛めないように注意
これを毎食後行ってください。携帯するのもおすすめです。
■歯間ブラシの使い方
歯間ブラシは、歯垢が溜まりやすい鼓形空隙(こけいくうげき)を掃除することができます。
歯間ブラシは歯の間に入らないと効果を発揮しないので、小さめを選ぶようにしてください。多くの方の場合、市販品ではSSサイズから試されるといいでしょう。
歯周病や虫歯がない方は、唾液だけで歯磨きをするようにしてください。起床時にまず唾液で歯磨きをして必ず吐き出します。口の中がカラカラという方は、少量の水を口に含んでもOKですが、絶対に飲み込んではいけません。歯磨きはあとはおやすみ前に同様に行うだけで大丈夫です。
歯周病や虫歯が既にある方は、薬理作用のある歯磨き剤を使用して改善に努めることをおすすめします。
3−2.唾液の分泌を良くする「あいうべ体操」と「舌回し」
口臭を予防する最強の消臭剤が「唾液」です。もし口臭の方が周囲にいらっしゃるならばチェックしていただきたいのですが、食後すぐは口臭がしないものです。それだけ唾液の消臭効果は高いのです。
これを食後すぐの歯磨きで洗浄し出してしまうと、一気に唾液がなくなり口臭がすぐに復活します。欧米ではガムを噛むことで唾液を分泌し、口臭を防ぐ方法が一般的です。
ガムがなくてもお口の体操で唾液の分泌を活発化させる方法があります。それが「あいうべ体操」と「舌回し」です。食後は歯磨きではなく、歯間ブラシとこれらの体操を行うようにしてください。
■あいうべ体操の方法
これは医師の今井一彰先生(みらいクリニック)が発案したもので、誰にでもおすすめできる体操です。唾液の分泌はもちろん表情筋を鍛えられることでほうれい線やシワの解消にも役立ちます。
次の4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。
1.「あー」と口を大きく開く
2.「いー」と口を大きく横に広げる
3.「うー」と口を強く前に突き出す
4.「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
1~4を1セットとし、1日トータルで30セットを目安に毎日続けましょう。
この体操は、真剣に行うとかなり疲れます。慣れるまでは、2~3度に分けたほうが続けやすいでしょう。入浴時にやるのがおすすめです。
また、「あいうべ体操」は、しゃべるときより口をしっかり、大きく動かす必要がありますが、無理は禁物です。とくに顎関節症の人やあごを開けると痛む場合は、回数をへらすか、「いー」「うー」のみをくり返してください。この「いー」「うー」体操は、関節に負担がかからないため、何回行ってもけっこうです。
「ベー」がうまくできない人は、大きめのあめ玉をなめて、舌を運動させましょう。舌運動と甘味の刺激で、脳も活性化します。(引用元:みらいクリニックHP)
■舌回し体操の方法
口を閉じて、口の中で舌をぐるぐる回す体操です。唾液の分泌を多くし、表情筋を鍛える効果があります。森先生も舌回し体操を始めてから6ヶ月後から、ほうれい線や口まわりのシミが薄くなったと言われるようになったそうです。
・口を閉じて行います。まず舌先をできるだけ右上の一番奥の歯茎と頬の間に置きます。
・そのまま歯の外をなぞるようにして、左上の奥まで動かします。そこで左下の奥にシフトして、右下奥まで戻ってきます。10回まわしてください。
・反対回しも10回行います。
・一周を3秒ほどかけて行います。慣れてきたら回数を20回に増やします。毎食前後におこなってください。
ストレッチオーラル®︎は硬くなった表情筋を、口の中から緩めるツールです。表情筋を活性化することで、リンパの流れや唾液の分泌を促進します。表情筋が使えるようになることで、ほうれい線解消やリフトアップといった美容効果が期待できます。さらに、唾液が増えることで口臭予防などのオーラルケアが可能になります。商品は公式ホームページで詳しく解説しています。
4.まとめ
口臭の原因についてお伝えしました。
歯垢をよく落とす正しい歯磨き方法については、別記事
有名歯科医が解説!正しい歯の磨き方で歯垢を驚くほどよく落とす方法
また唾液の重要性については、
唾液が多いのは病気?原因は?有名歯科医が解説!唾液との付き合い方
にてより詳しくご紹介していますので、併せて参考になさってください。
森先生の新著が出版されました。5万部のベストセラー「歯はみがいてはいけない」の続編です。より実践しやすいように、歯磨きの方法やオーラルケアツールの選び方が豊富に紹介されています。ぜひご一読ください。
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