腹筋を強化したい方は大勢いらっしゃいます。
その目的は、腹直筋が六つに割れたシックスパックを作りたい方、ダイエットしたい方、モデル体型に憧れる方、腰痛予防をしたい方、スポーツのパフォーマンスアップしたい方などさまざまです。健康づくりの一環として「腹筋だけは毎日行いたい」という方もいます。いずれにしてもカラダを鍛えたいという考えは素晴らしいと思います。
その目的を達成するためには、どのような鍛え方が最も効果的でしょうか? 実は腹筋を鍛える方法はシンプルなもので良いのです。むしろ腹筋ばかりを鍛えすぎて「アンバランスな状態」になるほうのリスクが怖いのです。
では何をどのくらいやればいいのでしょうか。そこでこの記事ではトレーナー監修のもと、レベルに応じた腹筋の鍛え方と一緒にぜひやってほしい運動を数種類ご紹介します。
効果的に腹筋を鍛えたい方はぜひ参考になさってください。
目次
1.最も効果的な腹筋づくりの方法・レベル別5選
まずは、腹直筋のトレーニングをレベル別にご紹介します。
1−1.カールアップ【難易度★】
カナダ・ウォータールー大のスチュアート・マックギル名誉教授の提唱する腰へのリスクが少ない方法です。
この運動は、背骨が丸く曲がるのを防ぎながら行えます。 腰痛持ちの方の再発防止にも効果的です。
仰向け寝になり、両手を腰の下に入れます。手のひらが床側です。片ヒザを立て、もう片方の足先は天井に向けます。そこからお腹に力を入れ、手の甲を腰で圧迫するようにしながら上半身を持ち上げます。
首や背中を丸めずに、真っすぐのまま起こすことが大事です。角度としては20度くらいまでで大丈夫です。立てたヒザを入れ替えて行います。
1−2.クランチ【難易度★★】
腹直筋を鍛えるエクササイズです。主に腹直筋の上部を刺激していきます。使っている筋肉を意識しながら、ゆっくり起き上がることがポイントです。
膝を90度に曲げた状態で横になります。両手は太ももの付け根に置き、リラックスします。息を吐きながら、手を膝の頭まですべらせるように上体を起こしていきます。肩甲骨の下あたりが床から浮くまで上半身を起こすことで腹直筋の上部が鍛えられます。このときに完全に起き上がってしまわないほうが良いでしょう。他の筋肉が働きがちになるからです。
もとに戻すときは、起こしたときの2倍の時間をかけてゆっくりおろしていきます。そのことで腹直筋下部を鍛えることができます。肩や腕に力が入ってしまうとお腹をうまく使えないので注意しましょう。
1−3.Vクランチ【難易度★★★】
腹直筋上部を鍛えるダイナミックエクササイズです。つま先までタッチするようにすると腹直筋下部にもアプローチできます。
手と足がつくところはしっかり動きを止めてメリハリを付けることで体幹部の安定が図れます。
両手両足が一直線になるようにして仰向けで横になります。上半身と下半身を均等に持ち上げてVの字を作ります。トレーニング強度を上げたい方はつま先を手で触りましょう。手足を持ち上げたときよりもゆっくりと動きをコントロールして元の姿勢に戻りましょう。
1−4.チェアヒップリフト【難易度★★★★】
腹直筋下部を鍛えるトレーニングは数少ないです。このエクササイズは見た目は地味ですが効果的に鍛えることができます。
しっかりした椅子やパートナーの足を掴み、ヒザを直角にして足を持ち上げます。上の写真のようにこの直角が大事です。
そこからお尻を持ち上げます。あげる高さはわずか5cmほどでOK。腹直筋の下部に効くことを感じながら10〜20回、数セットを行なってください。
1−5.腹筋ローラープランク&スタンド【難易度★★★★★】
腹筋ローラー(もしくはダンベル)を使うと、効果的に腹直筋を鍛えることができます。しかし、腹横筋、腹斜筋や基礎的な体幹力がないと腰を痛める可能性が高いです。
写真の姿勢を保持するにはその他の部位の筋力も必要ですので、トレーニング上級者向けの方法です。
腹筋ローラーを床に置き、立ち姿勢からローラーの両端を持ち転がしながら前に進めます。腕が肩の下あたりにくるまで転がし、頭から足首までが一直線になるように写真のように姿勢を作ります。
その状態から、手足を中心部に引き寄せるようにして上の姿勢に戻ってきます。この姿勢を繰り返し行います。
上級者の方は、写真下の位置からさらにローラーを前に転がしてみてください。なるべく遠くに転がし、そこから戻ってきます。
2.腹筋だけを過剰に鍛えるデメリットとは
腹筋運動ばかりやっている方は少なくありません。
「せめて腹筋だけでも鍛えられていたら、スリムに見え、くびれにもなり、腰痛の可能性が減る」とお考えではないでしょうか。一般的な上体起こしの腹筋運動や、腹筋強化チェア、腹筋ローラーで鍛えられる筋肉は腹直筋です。お腹のもっとも表面の上下に走る筋肉で、シックスパックのまさに六つに割れた部分に象徴されます。
この「腹直筋」だけを鍛えている方が多いのです。
腹直筋だけを鍛えると、筋肉のつき方が全身から見てもアンバランスになります。横や後ろ(背中)の筋肉が鍛えられていないので、猫背姿勢になりがちです。
また、力を入れようとするときに腹直筋が先に働いてしまうことになります。
これはどういうことかというと、理想的な腹筋の働き方というものがあります。それは最も深層にある腹横筋が最初に動き、その後腹斜筋、最後に腹直筋が動き始めるというものです。人体はこれを瞬間的に行なっています。
腹直筋だけを鍛えると、呼吸や姿勢の安定化に寄与する腹横筋などがおろそかになってしまい、本来の力が発揮できないばかりか腰痛を引き起こすことにもなるのです。
それを避けるために、腹筋運動をする際には、腹横筋を活性化したり、腹斜筋を鍛えるトレーニングを先に行うようにしてほしいものです。
3.「リブフレア」に注意しよう
リブフレアとは、肋骨の下部が前方に出てしまっている状態です。呼吸や良いポーズを取ろうとした時に肋骨の下部が外側に広がっています。
有名なスポーツ選手では、ミル・マスカラスがリブフレアの典型例としてよくトレーナーの勉強資料で紹介されています。
このリブフレアがなぜよくないのか、米国のトレーニング専門サイトstrongfirst.comでは次のように説明しています。
これは明らかに強さを象徴する姿勢ではなく、トレーニングの専門的な視点からは問題があります。 リブフレアは、自分のポテンシャルを奪うのです。またこの姿勢での筋力トレーニングは、文字通りケガを負うことになります。
背中は緊張し、腹部は力が抜け、胴体は首と肩の下の不適切な位置にあることになります。 目標を達成するためにはケガを避けなければなりません。 したがって、リブフレアは常に修正されなければならないのです。出典:https://www.strongfirst.com/
リブフレアのもう一つの問題が、「十分な呼吸の量を確保できなくなる」ということです。呼吸に大きな影響を与える筋肉が横隔膜です。息を吸う時は十分に下がり、吐く時は十分に上がる必要があります。ちなみに骨盤底筋はこれと反対の動きをすることが理想です。
リブフレアの場合は上体を反って肋骨下部を前に出すので、横隔膜が十分な動きができません。特に「息を吐き切る」ことができないので、トレーニングでも高負荷がかけられず、体内への酸素供給量も減るので疲れやすいなどの弊害が生じるのです。
シックスパックを作りたい方でも、このリブフレアがあると見栄えがよくありません。腹直筋だけをやみくもに鍛えると、このリブフレアが起きやすいので注意してください。
これを避けるには、肋骨下部が広がらないように意識をしてトレーニングをすることと、腹横筋〜腹斜筋〜腹直筋という作用機序を作るバランスの良いトレーニングをすることが必要です。
4.最も効果的な腹筋づくりの方法・準備運動5選
ご説明した通り、腹横筋〜腹斜筋〜腹直筋の順番でアプローチしていきます。まずはどなたにもやっていただきたい運動として、腹横筋と腹斜筋のトレーニング方法を紹介します。
ですので、4章のエクササイズを行なった後、1章のトレーニングをするとより効果的です。
4−1.腹横筋を活性化させる呼吸エクササイズ
リブフレアを生じさせない呼吸法をマスターしましょう。
仰向け寝になりヒザを立てます。足は肩幅くらいに開いてください。安定しリラックスできる姿勢を作ります。
肋骨下部に手を当て、息を吸いながら肺全体を膨らませていきます。このときに肋骨下部が広がらないように意識し、また呼吸でコントロールしてください。
肺全体が大きく風船状に膨らむイメージです。
上半身の前面が一枚の板のような平面であり、呼吸をするたびに平面全体で浮き沈みするようにできるのが理想形です。
これを習慣化して行うと、無意識下や追い込んだトレーニングの時も理想的な呼吸で行えるようになります。リブフレアを防ぐことができ、ケガ予防にもなり、見ためも美しくなります。
4−2.腹斜筋エクササイズ
続いて腹横筋の上にある腹斜筋のエクササイズを行います。
■内腹斜筋に効果的なエクササイズ
腹斜筋のエクササイズは、カラダをひねるものが多いのです。それですと外腹斜筋にはアプローチしやすいのですが、その内側の内腹斜筋も重要です。お伝えする方法はシンプルですが内腹斜筋を鍛えることができるものです。
先ほどの姿勢から両手を太ももの横に持っていきます。空気を押すような感じで胸、肩、首をゆっくり持ち上げていきます。写真下の位置まで来たら戻ります。10〜20回を数セット行なってください。(できる方は回数を増やしてください)
このエクササイズは腹直筋も使いますが、腹斜筋はそれよりも外側の筋肉です。ここを使っている感覚で行えればOKです。
イメージとしては「肋骨下部」と「骨盤前の出っ張った骨(ASISといいます)」を近づけていく感覚です。終始、リブフレアにならないように注意してください。
■内外の腹斜筋に効果的なエクササイズ
そのまま両手を胸の前でクロスさせ、まずは首から上を、そのままカラダを左右にひねりながら若干持ち上げます。
■外腹斜筋に効果的なエクササイズ
ピラティスでよく行われるエクササイズです。お腹のサイドの筋肉を効果的に鍛えることができます。
前項の姿勢から手を頭に当てじゃっかん起こします。両足を床から離し、ヒザで直角を作ります。上半身を右側に倒しながら、左足を伸ばします。このときに右足を左ヒジに近づけるように引きつけてください。
左右を入れ替え10回繰り返します。数セット行いましょう。
■サイドエルボーブリッジ
腹斜筋に加え体幹の保磁力を鍛えるエクササイズです。
横向きで床に寝ます。肩からくるぶしまで一直線になるように姿勢を作り、肩の下にヒジが来るようにして床に置きます。足とヒジのみを床につけ、カラダを持ち上げましょう。カラダが捻じれないように注意して姿勢を保持しましょう。
左右交互に30~60秒3セットを目安にまずは30秒3セットを目標に行います。
難しい方はヒザを曲げ、膝から下を床につけて行なってみてください。
5.シックスパックを作る最も効果的な方法は筋トレではなかった
腹直筋はそもそもシックスパックの形状になっています。しかもトレーニングをしなくても誰でも持っているものです。
皮下脂肪が薄くなると自然にシックスパックの形状が浮き出るとお考えください。
反対に、どんなにトレーニングしていてもお腹に脂肪がついていればシックスパックは浮き出ません。モデルやボディビルダーの方で筋肉が発達して見えている方は、トレーニングをしながらも脂肪を極力カットする生活を送っています。
脂肪を燃焼するのに効果的なのは、有酸素運動です。シックスパックを作りたい方は筋トレ以外にもジョギングや水泳などを行うようにしてください。脂肪は体内に必要な栄養素ですから、モデルの方やコンテストに出場される方以外は、完全にカットしないようにしましょう。
6.まとめ
腹筋の鍛え方をご紹介しました。
重ねてになりますが、腹直筋だけを鍛えないようにしてください。その他の部位のトレーニング方法については当ブログの各記事を参考になさってください。
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