歯並びと姿勢に関係があった!悪い姿勢は出っ歯の原因!改善策5選も

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Little boy playing on his tablet in airport

姿勢が歯並びに直結すると聞いたことがありますか?

姿勢が悪いと歯並びも悪くなります。歯並びが悪いと姿勢も悪くなります。

ちょっとしたアンバランスを修正するためにカラダが傾いていくからです。

しかし姿勢を改善すれば、歯並びだけではなく、お口の環境も整います。

でも、どうして?とお考えの方に、その原理と、姿勢から歯並びを改善する方法をお伝えします。

moriakiraこの記事は歯科医師・森昭先生の監修をいただきました。

竹屋町森歯科クリニック院長(京都府舞鶴市)。人口8万人の同市にて総世帯数の25%がクライアントという人気歯科医。予防歯科、予防医学を重点的にとらえ、唾液やオーラルケアの重要性を全国に発信している。「歯医者を行きたい場所に変える」がモットー。第1回「歯科甲子園」準優勝。著書に『体の不調は「唾液」を増やして解消する』(PHP研究所)『行列のできる歯科医院3』共著(デンタルダイヤモンド社)など。


1.歯並びを悪くする姿勢とは

以下のような姿勢やライフスタイルが歯並びを悪くします。

・椅子に座る時に両足を床につけない

・ほおづえを付きがちである

・うつ伏せで寝る

・猫背

・つまさき立ち

・かかと重心

特に、椅子に座った時に足をブラブラさせたり、足裏を床にキチンと付けずに横だけ接するようにしている習慣に注意してください。

森先生が臨床現場で見かけるのは、せっかく歯並びを矯正しても元に戻ってしまうケースです。このようなお子さん(大人の場合も)に共通するのが、このような姿勢の悪さだそうです。


2.姿勢が歯並びに関係する理由

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普段の作業姿勢も歯並びに関わっています

なぜ姿勢が悪いと歯並びも悪くなるのでしょうか。

後方重心(もしくは足をブラブラ)で座り、歯を動かしカチカチしてみてください。次に足の母指球でしっかり床を捉えた前傾姿勢で同様にカチカチしてみてください。

歯の当たる位置が変わりませんか。前者の場合だと奥歯のほうがあたり、後者は前歯の方が当たります。

前者の状態がクセになっていると、常に口がポカンと開いた状態で前歯に適切な負荷がかからなくなるのです。

食べ物を口に入れた時も奥歯だけで噛むようになります。こうなると口の前側を中心とした筋肉が衰え、歯並びをコントロールできなくなるので、出っ歯になったり歯並びが悪くなるのです。

3.カラダのバランスに重要な「歯」と「足」

姿勢といえば、背骨や骨盤を想像するのではないでしょうか? 確かにそれも一つの要因ですが、森先生は歯と足にも注目しています。

人体の中では、末端に位置するこの2つの部位が重要な理由についてお伝えします。

3−1.「歯」が重要な理由

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歯はカラダのバランスをとるのにも大きな役割をはたしています。

虫歯や歯周病、噛み合わせの悪さでアゴが傾くとそのバランスをとるために背骨や骨盤まで傾きます。左右の脚の長さに差も発生し、これも傷害の原因となります。

高齢の方が入院すると、急に体が弱り動けなくなることがあります。これは運動量が落ちるのと同時に、「入れ歯」を外すことでカラダのバランスが悪くなることも一因ではないかと、本稿監修者の森先生は推定しています。

コラム:歯の成長(老化)と歩行には関係があった

  • 生まれて間もなくの歯がまだ生えていない時は、ハイハイ移動で四足歩行です。生後10ヶ月くらいで前歯が出るようになると掴まり立ちで三足歩行となります。奥の歯が生えるころになると二足歩行ができるのです。

    年をとって奥歯がなくなる頃、杖や歩行器を使った三足歩行に戻り、前歯もなくなると寝たきりとなり、四足歩行での移動がようやっととなります。

    このお話しは、岡崎好秀先生(国立モンゴル医科大学歯学部客員教授)が提唱するもので、歯とカラダの感覚や調子が関係付けられていると考えられる一つのエピソードです。

3−2.「足」も重要な理由

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カカトに重心があることで、歯にまで影響をもたらします

森先生は、「カカト重心にも気をつけましょう」と語っています。カカト重心とは足の後方に加重して立ったり歩いたりしているクセです。

このような方は、全身のバランスを取るために、上図のようにヒザが曲がりがちな姿勢になります。その結果、猫背になち、アゴが後ろに下がります。

アゴが後ろになると、出っ歯になりやすいとのことで注意が必要です。森先生の臨床現場では猫背の方に出っ歯を感じることが多く、せっかく矯正しても元に戻ってしまう方には、普段の姿勢から改善をはかるように伝えることもありそうです。

4.姿勢が口内環境や血流に関わる

口内環境を左右するのが「唾液」です。唾液の分泌を多くしておくことでお口の中が健全に保たれます。

さらに、唾液は血液から作られることをご存知ですか? 血流を良くしておくことで、口内環境までも良好になるのです。

猫背は、胸を圧迫して呼吸を浅くするので、血流が悪くなり唾液の分泌も少なくなります。また、猫背は下あごを後ろに下げることになります。こうなると唾液腺を圧迫するので、さらに唾液の出が悪くなります。このように猫背姿勢は二つの理由で唾液の分泌を減らすことになるのです。

また、かかと重心はふくらはぎの血流ポンプ機能を阻害し、血流の滞りや足のむくみを発生させることになります。正しい姿勢でいることがカラダにとって多くのメリットがあるのです。

5.姿勢の改善策5選

この章では、当ブログのトレーナーによる姿勢の改善策をお伝えします。できるだけ全て行うようになさってください。

5−1.呼吸エクササイズ「ドローイン」

「姿勢よく!」と思ったときはいいのですが、少し時間が経つと戻ってしまいます。これは良い姿勢を維持することができないからです。姿勢の維持には、インナーユニットという姿勢や呼吸に関わる筋肉群を活性化させたりよく動かすことが重要です。良い呼吸を得るためにドローインという呼吸エクササイズをご紹介します。

逆腹式呼吸

仰向け寝になり、ヒザを90度に曲げて立てて行います。

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息を吸う時にお腹の周囲が縮む呼吸です。スーーーッとゆっくり吸いながらお腹を凹ませていきます。難しいと感じる方は、自然呼吸からハッとかホッと息を吐きます。そこから息を吸うとともにお腹を凹ませていくとうまくいきやすいです。二、三度繰り返したら自然な呼吸に戻ります。

腹式呼吸

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今度は息をゆっくり深く吸いながらお腹を膨らませていきます。膨らみきったら息を吐きながらお腹を凹ませていきます。

腹式呼吸を繰り返したのちにそのままドローインを行います。

ドローイン

ドローイン2

腹式呼吸の流れのまま、息を細く長く吐きながら、お腹を凹ませていきます

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お腹から空気が出きった!というところでお腹をキープします。息は浅い胸呼吸で繰り返します。最初は10秒キープから。徐々に時間を延ばし30秒を目指してください。

ドローインについては別記事「ドローインの効果を最大化する3つの手順・失敗例&応用エクササイズ」にてより詳しくお伝えしていますので、そちらも参考になさってください。

5−2.猫背改善ストレッチ

猫背にもっとも影響を与えている肩甲骨まわりのストレッチが効果的です。

手首反転ストレッチ

猫背姿勢は、手の甲が前を向いている状態になりがちです。これを逆方向に動かすストレッチです。

四つんばいになり、親指を前に向け、そのまま外側に回していきます。外を向いたら完成です。手首や腕が伸びることを感じながら30秒ほどストレッチしてください。呼吸は止めずに自然のままです。

壁を使った腕と胸のストレッチ

さらに腕と胸をストレッチします。肩甲骨を寄せる効果もあります。

壁の横に立ち、手のひらを壁に付け親指を上にして伸ばします。

続いてヒジから手首までを壁に付けて胸前を伸ばします。肩甲骨が背骨のほうに寄ることを感じてください。

後ろ手ストレッチ

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後ろに手を組んで、少し上にあげます。胸が開き肩甲骨が寄せられます。手の組み方を替えてみてください。

5−3.猫背改善トレーニング

ストレッチは筋肉を伸ばして柔軟性を向上させるものです。良い状態を作ったりキープするには、じゃっかんのトレーニングも大切です。キツくないものをリストアップしました。

キャットバック

まずは背骨とろっ骨まわりの柔軟性を引き出します。

四つんばいになり、息を吐きながらお腹をのぞきこみます。この時に左の写真のように背中がよく丸まるように意識してください。

その後息を吸いながら背筋を伸ばし顔を上げていきます。5〜10回繰り返してください。

そのまま頭に手を当てて天井を見る運動

ろっ骨まわりの回旋運動エクササイズです。ひねりの動きを引き出します。

四つんばいのまま片手を後頭部に当てます。一度、立てた腕の方にそのヒジを寄せてから天井方向に大きく開き視線も上に送ります。片側5回行い、反対側も行います。

押し下げられた下あごを改善する運動

床に枕または丸めたタオルを敷き、その上に頭が来るように仰向け寝になります。

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顔を床と平行にして肩や背中に力が入らないように注意しながら枕、またはタオルを押しつぶします。
この時歯を食いしばって行うと肩などに力が入りやすいので注意して行いましょう。

P1160300最終

自然の呼吸で20秒を3~5セット行いましょう。

5−4.かかと重心改善トレーニング

かかと重心の方は、足底や足指を使えていないことが考えられます。扁平足や外反母趾の原因ともなります。足指でスーパーボールやゴルフボールをつかむことができますか? そのための方法をお伝えします。

親指エクササイズ

親指エクササイズ

足の親指だけを、他の指とは逆の動きをさせてください。それぞれ5秒間キープし、5〜10回繰り返します。

タオルギャザー

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床にバスタオルやスポーツタオルを敷いて、足の指だけで引き寄せる運動を行います。5〜10回。

ビー玉つかみ

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床に20個のビー玉を置きます。一度に一つそれらをピックアップし、足の指だけを使用してボウルにいれます。両足2〜3回繰り返してください。

5−5.ストレッチポール®を使った運動で姿勢改善を行う方法

ストレッチポール®は当ブログを運営する㈱LPNが製造販売する運動補助ツールです。これを使用した運動では手軽にリラックスしながら姿勢改善のための運動を行うことができます。ここではその一部をご紹介します。

ベーシックセブン

ベーシックセブン

ベーシックセブンは、ストレッチポールのもっとも基本となる、誰にでも効果を感じていただけるエクササイズです。

予備運動3種で身体の大きな筋肉をゆるめ、本運動の効果を引きだす準備ができます。本運動7種は、主に肩甲骨や肋骨まわりをゆるめる運動や股関節まわりをリセットする運動で構成され、さらに全身をゆるめ整える運動や、呼吸のエクササイズも加味されています。

全身にとって様々な良い要素が加味された運動で、猫背改善のためにもこのベーシックセブンだけを継続的に行っていただけば効果が現れるはずです。

別記事「ストレッチポールの効果と誰にでも効果が得られる使い方」の中で、方法を詳細に解説してありますので、そちらをご参照ください。

肩甲骨まわりの運動1 “ツイスター”

ツイスター

カラダをねじる運動です。基本姿勢から、両手を天井方向に伸ばし片側の手でもうひとつの手首を握ります。握った方の手を床に付けます。両足は、腕とは逆の方向に倒します。自然な呼吸のまま、ゆっくり10カウント数えてください。体勢をもどし、反対側も同様に行います。1セットだけでも効果がありますが、気に入られたら2〜3セットおこなっていただいて構いません。

■肩甲骨まわりの運動2 “クレッセント”

クレッセント

カラダをクレッセント(三日月)の体勢にする運動です。基本姿勢から右手を頭の方に伸ばします。右足も伸ばします。そのまま左に少し倒れます。

カラダの右側がストレッチされることを感じてください。通常はここまでですが、今回は首こり用にさらにダイナミックに行います。右ヒジで右手を折り曲げ、頭部にタッチするようにします。ゆっくり10カウント数えて反対側も行ってください。2〜3回繰り返してもかまいません。

ストレッチポールを使用した「肩甲骨の運動」は他にもあります。気になる方は、Youtube再生リストにまとめてありますのでそちらをご覧ください。

Youtube再生リスト【ストレッチポール】肩甲骨の運動 ソラコン

6.まとめ

歯並びと姿勢の関係についてお伝えしました。姿勢が悪いことは歯並びだけではなく、血流や口内環境にも悪影響を及ぼします。また、肩こりや腰痛などの原因ともなり、スポーツ時における傷害も引き起こしやすくなります。

日頃から良い姿勢の意識とともに、お伝えした方法をぜひ実践なさってください。

【お知らせ】森先生の新著が出版されました。5万部のベストセラー「歯はみがいてはいけない」の続編です。より実践しやすいように、歯磨きの方法やオーラルケアツールの選び方が豊富に紹介されています。ぜひご一読ください。

やっぱり歯はみがいてはいけない 実践編(森昭・森光恵共著 講談社α新書)

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