筋肥大を最も効果的に進める重さと回数【米国公認トレーナーが解説】

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Man doing biceps curls

厚い胸板、たくましい二の腕、力強い太もも…。

筋肥大を行いたい方は大勢いらっしゃいます。ボディラインづくりを目的とされる方はもちろん、スポーツパフォーマンスアップのために筋力をつけたいとお考えの方は、まず筋肥大が思い浮かびます。

そのためにはできるだけハードなトレーニングをしてプロテインなどで栄養を補給すれば良いとお考えかもしれません。

しかし、効率よく筋肥大するためには適切な回数や負荷の設定があるのです。それはどのようなものでしょうか。

そこで当ブログ総監修者で米国公認アスレティックトレーナーの石塚利光氏に筋肥大を最も効率よく行える方法を紹介いただきました。トレーニングを無駄にしたくない方はぜひ参考になさってください。


1.筋肥大とは

まず筋肥大を起こすための概念をお伝えします。

1−1.筋肉の構造

筋肉は人体に数多くあります。目に見えるものもありますし、内臓の動きに関与するものもあります。筋肥大されたい方にとってのそれは大胸筋や上腕二頭筋、僧帽筋やハムストリングスなど、目に見える比較的大きな筋肉でしょう。それらは腱を通じて骨に付着しているので「骨格筋」と呼びます。

筋肉は筋線維が集まった束のような構造をしています。筋繊維は筋周膜に包まれさらに複数の筋繊維とともに筋上膜に内包され筋肉を形作っています。

muscle-fibre

筋繊維はさらに細い多くの筋原繊維で構成されています

1−2.筋肥大する2つの方法

筋肥大を起こすには2つの知識を知っておいていただきたいと思います。それは、

・速筋と遅筋の割合で発揮する力が変わる

・筋断面積の増幅が筋肥大である です。

筋繊維には大きく分けて、瞬発力のある「速筋繊維」(速筋)と持久力系の「遅筋繊維」(遅筋)の2種類あります。速筋は太くなりやすい白い筋肉として知られ、筋肥大を目指す方は速筋が多い方が効果が出やすいです。

反対に遅筋が多いと、スラリと引き締まった体になりやすいです。競技特性で自分にはどちらが向いているか、もともとの体系はどちらの感じかで判断できるでしょう。

遅筋が多い方は、なかなか筋肥大の効果が出にくいです。遅筋と速筋の割合を入れ替えることができれば良いのですが、現代でも不可能なお話です。

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遅筋と速筋の割合による運動適正 出典:t3athlete.com

もう一つが、筋肥大は筋断面積の増幅であるということです。トレーニングにより損傷した筋肉が修復により以前より太くなっていきます。この繰り返しで筋繊維が太くなることで束としての筋肉の断面積が太くなり、筋肉が大きくなっていくのです。損傷(トレーニング)と修復(超回復)を適正な負荷と感覚で行うことが重要なのです。

ではその適正な負荷とはどれくらいのものでしょうか。


2.筋肥大を生む負荷と回数があった

石塚氏が紹介する方法を解説します。それにはトレーニング変数というものを用います。これは米国では有名な指標で、NSCA(National Strength and Conditioning Association)のテキストに紹介されています。NASM(National Academy of sports medicine)では、テンポと休息時間まで明示したものを伝えています。今回はこの数値をご紹介します。(出典:NASMホームページ

以下の表組はRM法が元になっています。RM法とは「決まった負荷に対して何回反復して関節運動を行うことができるかによって運動強度(重さ)を決める方法」です。

【トレーニング変数】

  回数 セット 強度 テンポ 休息時間
筋肥大 6~12 3〜5 75〜85% 1RM 2,0,2 45〜90秒
筋持久力  12〜20 1〜3 50〜70% 1RM 4,2,1 30~60秒
最大筋力 1~5 4〜6 85〜100% 1RM 適度/速く動かす意識 3〜5分
パワー 1~10 3〜6 30〜45%  1RM or 体重の10%以下 爆発的に 3〜5分

強度とは「最大筋力の何パーセントの強さで行うか」です。また、テンポは「あげるカウント数、止めるカウント数、戻すカウント数」の目安です。

この表に基づくと、筋肥大を適切に行うには

・1回あたり自分の限界の75~85%くらいの負荷で

・1セットあたり6〜12回の挙上(ベンチプレスの場合)を3〜5セット

・2カウントで最大まで持ち上げ、止めずに、2カウントで下げる

・セットごとの休息時間は45〜90秒

となります。かなりハードなトレーニングと言えるのではないでしょうか。負荷の設定は、行うセット数が終わるころに限界を感じられる程度がちょうど良いくらいとなります。

これがキツい方は、回数、セット数、強度のいずれかを下げ、休息時間を長めにして行なってください。

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ベントオーバーローイングも筋肥大を目的にする場合は、重めの負荷を止めずに上げ下げを繰り返します

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3.実は筋肥大が目的ではないかもしれない

筋肉の出力の仕方はトレーニングのやり方によって変わるのです。それは前述の表にある通りです。

実は「筋肥大したい」という方も、本来の目的は違うものかもしれません。パワーや最大出力を向上させたいのにそう言っている可能性があります。筋肥大は筋肉を大きくする「ボディメイク」が目的の方には好適です。しかし競技によってはそれ以外の筋力トレーニングが競技力向上にかなっているかもしれません。ご自身がなにを目的にするか、よく検討なさってください。

3−1.筋持久力を鍛える方法

筋持久力とは、比較的軽い負荷を長時間にわたってコンスタントに出力させ続ける筋力です。どちらかというと遅筋を鍛える方法といえるでしょう。例えばボート競技などに向いているトレーニングです(速度を出すためには筋出力も重要ですが)。

トレーニング変数の表によると、

・比較的低負荷で、回数を多くゆっくりあげて2カウント止めて、素早く降ろす。休息も短め。その分セット数は少なくてよい

となります。

3−2.最大筋力を鍛える方法

最大筋力とは、瞬間的に自身の限界負荷を上げるための筋力です。速筋向けのトレーニングです。ウエイトリフティングのように「1回でいいからとにかく重い重量を上げる」競技に向いているトレーニングです。

トレーニング変数の表によると、

・限界に近い負荷で、回数は少なくていいが、素早く挙上する。1〜5回の繰り返しを行なったら、長めの休息をとる。4〜6セット繰り返す

となります。

3−3.パワーを鍛える方法

パワーとは、筋出力のことで、筋力と速度によって生み出されます。例えば砲丸投げの場合、決まった重量をより遠くに飛ばすことが求められます。この場合には、筋持久力や最大筋力よりも、パワーが必要になるでしょう。

力×速度=パワーであることを考えれば、トレーニングにおいてもできるだけ速くウエイトを上げることが重要です。速度を得るためには、1回あたりのウエイトはそれほど重くなくてよく、表組のなかでは最少となっています。まずは10回を素早くこなせるウエイトでやってみます。3〜5分の休息後に再度行います。これを3〜6セット繰り返します。

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筋肥大することで、速度と筋力がアップし、ほぼ全領域でのパワーが上昇する

パワーをアップさせるには、筋肥大トレーニングもあわせて行いましょう。上図の通り、筋肥大を果たしている方がスピードも筋力も向上します。1日にどちらも限界まで行う必要はなく、メインにする日を決めたり日によって変えるなどしてください。

4.パワーを増大する筋肥大以外の方法

筋肥大をテーマにした本記事から若干趣旨ははずれますが、多くの方が筋肥大のみならずパワー(筋力)をアップさせたいと思います。その知識についてもご紹介します。

4−1.神経系の機能改善

筋肉を動かしているのは、神経系による指示です。筋肉は伸長と収縮を繰り返しており、この速度を速くすることで瞬発力が向上します。例えば同じ動作でも繰り返し行うことで、より速く効率的に行えるようになります。筋肉についても同じで、反復やバランスのトレーニング、ファンクショナルやアジリティのトレーニングを行うことで、素早く理にかなった動きができるようになり、筋肉出力も向上するのです。

ファンクショナルトレーニングについては以下の記事を、

ファンクショナルトレーニングとは・意味と動きの質を高める方法3選

アジリティトレーニングについては以下の記事を参考になさってください。

アジリティトレーニング30選【米アスレティックトレーナーが解説】

4−2.超回復

1章で「損傷(トレーニング)と修復(超回復)を適正な負荷と感覚で行うことが重要」とお伝えしました。激しいトレーニングを毎日行うと、損傷から回復せずに故障や慢性疲労の原因となります。修復までもトレーニングの一環とお考えください。質の良い筋トレは週に2回、1〜2時間も行えば十分といえます。

筋トレを行い日は、決してサボっているのではなく、体幹やスキル、ファンクショナルやアジリティなど他のトレーニングを行うようにしましょう。

超回復については以下の記事で解説しています。

超回復・筋肉と運動パフォーマンスを最も効果的に発達させる全知識

5.筋肥大で得られる筋肉量の目安

実は、すでに出来上がっているアスリートにおいては、このような効率的な筋肥大のトレーニングを行なっても、「筋肉そのものは1年間に1kg程度しか肥大しない」というのが定説です。しかしこれはあくまでもトップ選手やボディビルダーの例で、初心者〜中級者の方は年間に10kg程度増えることもありえますので、ぜひ頑張ってください。

編集部の28歳男性(身長176.5cm)の事例をご紹介します。これは筋肉量増加(筋肥大)を目的として、週二回フィットネスクラブに通った結果です。計測にはInBodyという体組成計を使用しました。

  4月11日 5月16日 7月13日 9月19日 1月31日
体重(kg) 75.9 77.3 76.4 75.7 80
筋肉量(kg) 60 62.1 62.3 61.7 64.9
体脂肪量(kg) 12.4 11.6 11.6 10.5 11.4
体脂肪率(%) 16.4 15 13.9 13.9 14.3

以下は実際の出力紙をスキャンしたものです。

inbody-1

5/16の計測値。初心者の場合はトレーニング開始直後の一ヶ月で急激に筋肉量が増えることも

inbody-2

トレーニング開始9ヶ月後。1/31の計測値。微妙な増減を繰り返して、一気に増えるタイミングも来る。しかしこの後は停滞傾向になった。

6.まとめ

筋肥大の方法についてお伝えしました。

・目的とするトレーニングによって鍛え方が異なる

・筋肥大を行うには、重めの負荷を、止めずに上げ下げを繰り返す。インターバルも短め

・パワーを鍛えるには、筋肉を鍛える以外の方法もあわせて行う

この記事で紹介した方法を参考に、ぜひ目的を達成してください。

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