トレーニング後のクールダウン時に必要なのは、・ストレッチ ・アイシング ・プロテイン補給 があげられます。特にストレッチはどんな方でも欠かせずに行っていただきたいもので、これにより疲労回復や筋の発達促進効果が得られます。
しかしストレッチの方法については、いろいろなやり方があり迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、全身のストレッチを効果的にできる方法をお伝えします。
監修および実演は米国公認アスレティックトレーナー(ATC)の石塚利光氏。多くのスポーツ現場で指導している方法ですので自信を持って勧められます。筋トレの効果をアップしたい方はぜひご参考になさってください。
※トレーニング前に行いたいストレッチは別記事「筋トレストレッチ | 筋トレ効果を最大限に高める10分前運動」をご参照ください。
目次
1.クールダウン時に行うストレッチとは
目的は、「損傷した筋肉の回復を早め、成長を促し、翌日も最善のパフォーマンスができるようにする」です。
損傷した筋肉の回復を早め、成長を促し、翌日も最善のパフォーマンスができるようにすることを目的とします。そのためには下記の要素が必要となります。
呼吸を整え、リラックス状態を作る | 過酷なトレーニングのあとは「息が上がった状態」になっています。深く正しい呼吸を行うことで全身に酸素を供給します。 カラダをゆるめるリラクゼーション効果も必要です。 |
筋膜の癒着&結合を防ぐ | トレーニング後に何もしないでいると、筋膜が癒着&結合しやすくなります。 筋肉をストレッチで伸ばすことで予防します。 |
柔軟性向上をはかる | 筋肉が温まった状態は、伸びやすくなっています。柔軟性向上のストレッチを行うチャンスですが、 |
そのために、呼吸と組み合わせた静的ストレッチを中心に行います。
2.静的ストレッチのポイント
静的ストレッチのポイントは、
・反動を利用しない
・痛みを感じるところまで伸ばさない
・脱力・リラックスして行う
・呼吸は止めずに、自然な呼吸のままで行う ことです。
これらのポイントに注意して、15~30秒ほど目的の筋肉を伸ばします。静的ストレッチを行うことで、筋肉が緩み柔軟性が向上することによって関節の可動域が広がります。
以下に、全身の筋を効率的に伸ばす静的ストレッチをご紹介します。すべて行っても10分ほどで可能ですので、ぜひ日頃のトレーニング後に取り組んでください。
3.上半身を中心としたストレッチ
上半身を中心にしたエクササイズからお伝えします。エクササイズごとのムダが少ない、一連の流れで全身をストレッチできるメニューになっています。
■首のストレッチ
首まわりの筋肉をストレッチします。写真のように鎖骨周辺に頭部を寄せます。手で頭を引きつけ首にテンションをかけてください。10〜20カウント、キープします。
■手首と前腕筋のストレッチ
筋トレで酷使した手首や前腕筋(ヒジから先の筋肉)をストレッチします。腕を前に伸ばして手を組み、回したり指先を持って下、上に引きつけます。
■肩甲骨のストレッチ・1
そのまま後ろ手に組んで、肩甲骨を寄せるストレッチをします。上半身を前に倒し、頭部方面に上げたり左右方向に動きを加えるのも効果的です。
■大腿の筋肉のストレッチから上体反らし
写真の体勢をとります。前に体重をかけると、後ろに伸ばした足のストレッチがかかります。つま先を立ててヒザを浮かせるとアキレス腱も伸ばすことができます。左右の足で行います。
ヒザをつけたまま両手を上にあげ手首を掴みます。体を上に伸ばしながら上体を反らします。そのまま左右に倒します。足を入れ替えます。お腹に片手を添えながら前に出した足と反対側の腕を上げて、斜め後ろにストレッチをかけます。反対側も行います。
■広背筋のストレッチ
四つんばいの態勢をとります。腕を伸ばしたままお尻を後ろに下げていきます。背中の筋肉(広背筋)にストレッチ感を感じてください。30秒までが目安です。3セットくらいまでを目安に。
■肩甲骨と上腕のストレッチ
その態勢のまま片腕を横に伸ばし、顔を反対方向に向けて床につけます。肩を内側にいれるイメージで肩甲骨にストレッチをかけてください。左右で行ってから今度は胸の前を通して反対方向に伸ばします。最後にヒジを床につけて、同じ側の肩甲骨に触れるようにストレッチをかけます。
■上半身そらし
両手を床につけ、足を伸ばします。腕で床を押して上体を持ち上げます。10カウントキープ。3セット繰り返してください。
■脇伸ばし
ヒジから手を床につき、片足はのばし、片足はお腹のほうに引き寄せます。引き寄せた足のほうを大きくのぞきこむように体を持ち上げます。片側10カウントキープ。これも左右交互に3セット繰り返します。
4.下半身を中心としたストレッチ
上半身中心の筋トレメニューを組んだとしても、意外なほど下半身にも負荷がかかっています。おろそかにせずに行うようにしてください。
■膝抱えストレッチ
まずは膝を抱えて丸くなり、ゴロンと後ろに倒れます。よく呼吸を整えてください。足を引きつけることで腰やハムストリングのストレッチになります。
その後、片足を伸ばします。膝ウラがなるべく床から離れないようにします。伸ばした足のモモ前もストレッチがかかります。
■腰の回旋ストレッチ
写真の体勢をとります。大きく左に開いて顔も左指先のほうを向けます。リラックスしながら10カウント数えてください。反対側も行います。
下になっている足(この場合は右足)を上になっている手でつかみ、上になっている足(左足)のヒザを下になっている手でつかみます。胸を天井に向けて開きます。腰のひねりやモモ前のストレッチができます。
■ヘッドオーバー〜下肢のストレッチ
仰向け寝になり腕を広げ、腰から足をオーバーヘッドして床に着くくらいまで持ち上げます。5カウントしたら、写真のように起き上がりそのままつま先をタッチします。再びオーバーヘッドし、こんどは足を開いて両足先をタッチ。さらに、オーバーヘッド+片足先ずつタッチを行います。慣れてきたら2〜3セット行えるようにします。
■バタフライ〜両脚全体のストレッチ
左の写真の体勢は、有名な“バタフライ”ストレッチというものです。両脚先を股関節に引きつけ、膝を上下にパタパタと蝶が飛ぶように動かします。そのまま前に倒れ、足を開き手で支えます。(右の写真)内転筋など脚の内側全体にストレッチをかけてください。
その態勢のまま、右に向きます。5〜10カウントキープ。反対側も行います。脚全体のストレッチ感を感じてください。痛みを感じる程度までは行わないでください。
■ハンドウォーク
正面を向きます。手でペタペタと小刻みに歩く感じで少しずつ前に出ます。股関節のほうまでストレッチを感じる程度になったら、元の態勢に戻ります。
5.静的ストレッチの後に行いたいツールエクササイズ
ツールを使ったエクササイズを行うことで、より可動性や柔軟性が向上し、回復が速やかになります。ストレッチではできない筋膜リリースや、体をゆるめる効果のあるリラクゼーションエクササイズができるからです。いずれもストレッチポール®で可能です。ジムの片隅に置いてあるストレッチポール®を活用して、トレーニングの効果をアップさせましょう。
いずれのエクササイズも、トレーニング後はもちろん、おやすみ前、起床時や休憩時間などのタイミングでも行うことをおすすめします。
■筋膜リリース
筋肉を覆う膜(筋膜)と筋肉との癒着をほぐすのが筋膜リリースです。ストレッチポール®を使うことで一人で効果的に行うことができます。
【方法】
大胸筋や広背筋、臀筋、大腿四頭筋や腓腹筋など、大きな筋肉の部位をほぐします。ストレッチポール®を用い、ゆっくりロールしながら圧力をかけていってください。目安としては1秒に3センチ以内のスピードです。コリと痛みのある部分を見つけたら、3〜5秒間停止しじんわり圧をかけたまま、リラックスしてください。その後またロールを開始します。5〜30秒後に痛みが軽減するような感覚がベストです。
圧をかけた部位があまりに痛むようでしたら、そこは避けて周辺部位に圧をかけるようにしてください。
そしてできるだけ良い姿勢で行ってください。下の写真のように、カラダを上から見ても横から見てもまっすぐになっているようにします。息を吐きながらお腹をジンワリ引締めるような呼吸とセットで行いましょう。
筋膜リリースについては、別記事「必見!筋膜リリースをツールで効果的かつ安全に行う最善方法」にて詳しくご紹介していますので、興味のある方は併せてご一読ください。
ストレッチポールの基本的な使い方については、別記事「ストレッチポール®の効果と誰にでも効果が得られる使い方」にて詳しくご紹介していますので、興味のある方はそちらも併せてご一読ください。
6.まとめ
以上、クールダウン時に行いたいストレッチをご紹介しました。上半身から下半身まで行おうとすると、多く感じるかもしれませんが、慣れてくればリズミカルに10分ほどで行うことができます。ご紹介したストレッチで、今日の疲労を明日に残さないようにしましょう。お疲れさまでした。
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