プライオメトリクストレーニングの概念と方法【ATCが解説】

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Box jump workout at gym gym closeup

プライオメトリクストレーニングという言葉を聞いたことがありますか? これは「筋肉が急激に伸張されると勝手に急激に収縮する」という筋肉の働きを利用して、より大きなジャンプ力やカラダのキレを出すものです。

目的を持たない、散漫としたトレーニングを行うよりも、さらに大きな効果を得ることができます。その反面、カラダの準備ができていないと、トレーニングによってケガをするリスクが高まります。

そこで今回は、米国公認アスレティックトレーナーで、このジャンルの方法に詳しい山口淳士さんに寄稿いただき、その考え方とトレーニング方法を紹介していただきました。より強いジャンプ力、キレ、それらをケガすることなく手に入れたい方はぜひ参考になさってください。

この記事は山口淳士が執筆しました。
EXOS Performance Specialist/米国公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)/NASM-PES, CES
中京大学体育学部体育科学科卒業後、Bloomsburg University大学院でアスレティックトレーニングを学び、米国公認アスレティックトレーナーの資格を取得。2016年4月に6年間のアメリカ生活を終えて日本に帰国。現在はEXOS Performance Specialistとして、某大手企業内フィットネスセンターで運動指導などを行っている。また、アスレティックトレーニング系ブログ「CHAINON」と、熱中症ブログ「熱中症ドットコム」を運営している。


 1.プライオメトリクスとは

プライオメトリクスとは、ストレッチ・ショートニング・サイクル(Stretch Shortening Cycle=SSC ※後述)を利用して行う、筋力とスピードを組み合わせた動きのことです。SSCのメカニズムを利用することで、より素早く、より爆発的な力を最小限のエネルギーで生み出すことができます。

バレーボールでいかに1cmでも高く跳び、さらにいかに腕をしならせて強いスパイクを打てるのか。陸上の走り幅跳びで、いかに踏切で爆発的な力を生み出して、1cmでも遠くに跳ぶことができるのか。スポーツの中では何度も「できるだけ大きな力」を「できるだけ速いスピード」で生み出さなければいけない状況が現れます。素早く、爆発的な力を、しかも身体を壊すことなく安全に発揮するために、普段のトレーニングの中でプライオメトリクストレーニングを行って鍛えましょう。

1−1.プライオメトリクストレーニングのゴール

具体的に、プライオメトリクストレーニングは身体のどんな能力を鍛えるために行うものなのでしょうか。メインのゴールは、以下の3つとなります。

  • ストレッチショートニングサイクルの能力を高め、神経と筋肉をつなげる:神経に、より大きな力をより素早く発揮する方法を教育する。
  • 動きの中で、神経と筋肉の協調性を鍛える:実際のスポーツ動作に近い動きでトレーニングをすることで、その動きをより力強く、より速く、より効率的にできるようにする。
  • 筋肉・腱・靭帯などの組織への衝撃に対する耐久力を鍛える:より大きな力をより素早く発揮する際、筋肉・腱・靭帯などの組織には非常に大きい負荷がかかるため、高速の筋収縮や、様々な方向・可動域での負荷に耐えられるようにする。

プライオメトリクストレーニングを行うことで、上記した3つの能力を高めることが目標となります。どれも運動パフォーマンスをより高いものにしていく重要な要素になります。

1−2.ウエイトトレーニングとプライメトリクスの違い

一番違うポイントは「スピード」の要素が加わることです。一般的なウエイトトレーニングは、テンポはある程度一定で、ゆっくりとした動きで、自分でしっかりと動きをコントロールしながら行うものです。一方でプライオメトリクスは「スピード」の要素が重要視されます。静止した状態から、より素早くトップスピードに持っていく。より素早く高くジャンプする。より遠くに投げる。これが最重要要素となります。

逆に、トップスピードの状態から素早く止まり、次の動きを素早く、しかも爆発的な力を発揮する。この「静止からトップスピード」「トップスピードから静止」といった能力は、ウエイトトレーニングだけを行なっていても鍛えることが難しいため、プライオメトリクストレーニングを加えることが大切になります。

1−3.ストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)とは

ストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)とは、筋肉が経験する一連のプロセスのこと。上記しましたが、プライオメトリクストレーニングでは、このSSCの能力を高めることがゴールの1つとなります。SSCのプロセスは以下の3つです。

  1. 急速なエキセントリック収縮(筋肉が力を発揮しながら伸張する)
  2. 移行期間
  3. 急速なコンセントリック収縮(筋肉が力を発揮しながら収縮する)

SSCの能力を高めるとはどういうことでしょうか。具体的に言うと、プライオメトリクストレーニングを行うことで、「伸張反射」をよりうまく使うことができるようになります。伸張反射をうまく使うことで、より強い力を、より素早く、より効率的に(=最小限のエネルギーを使って)発揮することが可能になります。

伸張反射と言えば、有名なのは「膝蓋腱反射」ですね。病院に行ったとき、お医者さんに小さなハンマーで膝を叩かれて、自分は何もしていないのに膝がクイッと伸びたという経験はありませんか? 膝をハンマーで叩くと、膝の腱(=膝蓋腱)は急速に伸ばされます。それは同時に、その膝蓋腱がつながっている大腿四頭筋も急速にストレッチさせます。筋肉や腱の急速なストレッチが起きたことを脳が感じると、「これ以上伸ばされたら切れてしまう!すぐに縮めなさい!!」と脳が指令を送り、結果としてその筋肉・腱が急速に縮みます。膝蓋腱や大腿四頭筋が急速に縮む(=収縮する)ことで、膝が伸び、蹴るような動作が無意識に起こるのです。

ここで重要なのが「“無意識”に筋肉・腱が急速に縮む」というところ。これがSSCの働きです。この膝蓋腱反射は、別に膝を伸ばそう、蹴ろう、と思って行われる動きではありません。この「無意識に身体に起こることを意識的に起こす」ことで、意識して発揮する筋力以上の大きな力を、最小限のエネルギーによって発揮することができます。

この伸張反射のメカニズムを様々な筋肉・腱で起こすことで、より高く遠くにジャンプすることができたり、より素早く動くことができたり、より速いボールを投げたりすることができるようになります。


2.プライオメトリクス・エクササイズのプログラム

それでは、具体的にプライオメトリクス・トレーニングを紹介していきます。

2−1.プレ・プライオメトリクスを必ず行う

まず行いたいのが「プレ・プライオメトリクス」。プライオメトリクストレーニングのウォームアップのようなものです。プライオメトリクスの動きはとても負荷が高い(=急速な筋肉・腱の伸張と収縮が起きる)ため、あまりやったことがない人がいきなり行うと、怪我のリスクがとても高くなってしまいます。

車のアクセルを全力で踏んでスピードを上げることができるのは、しっかりとブレーキが効くことを知っていて、ブレーキのかけ方を知っているからです。これと同じことがプライオメトリクスでも言うことができます。思いっきり加速できるのは、減速の仕方を知っているからであり、思い切りジャンプできるのは、着地の仕方を知っているからです。どんなトレーニングを行うときも、まずは「安全面」が最優先。プレ・プライオメトリクスを行なって、身体を「減速」させる方法を習得しましょう。以下で紹介するエクササイズは、ウォームアップの中に取り入れることがおすすめです。

逆に言うと、これらのプレ・プライオメトリクスエクササイズがうまくできない場合は、まだプライオメトリクスに進むのは早いでしょう。怪我のリスクが上がってしまいます。まずはプレ・プライオメトリクスの動きをしっかりと習得してから、プライメトリクストレーニングに進みましょう。

2−1−1.ベースポジション(アスレティックポジション)

以前「ジャンプトレーニング」の記事でも書きましたが、プライオメトリクストレーニングの1つである「ジャンプ」を行う際、一番怪我が起きやすいのが「着地時」です。変な姿勢で着地をしてしまうことで、足関節・膝・股関節・腰などに過度な負荷がかかり、怪我につながってしまいます。よって「着地姿勢」は、プライオメトリクス・トレーニングを始める前にしっかりと習得しておきましょう。

ベースポジションとは、身体が最も安定する力強いポジションのこと。突然の動きにも対応しやすいため、多くのスポーツにおいて、準備段階でこのベースポジションを取ることが多いです。また、上半身で爆発的な力を生み出す際も、このベースポジションが重要になります。よって上半身のプライオメトリクストレーニングを行う場合も、まずはしっかりとこのベースポジションができるようになる必要があります。

下の写真がベースポジションになります。

基本的には「自分が一番安定するポジション」であり、「とっさに前・後ろ・横などに動かなければいけない時に素早く動けるポジション」が、ベースポジションになります。

基本姿勢は、足は肩幅〜やや広め。膝を軽く曲げ、お尻を少し後ろに引いて腰を落とします。両足、両膝、両股関節、両肩が全て同じ方向を向いているのが基本です。骨盤はニュートラルな位置(前傾も後傾もしていない位置)で、腰〜背中はまっすぐ。あとは、自分が行なっているスポーツでのポジションによって調整しましょう。野球の内野手の方は、もう少し足幅を広げて腰をより落としているかもしれません。ゴルファーの場合は、肩幅くらいでのスタンスでしょうか。

2−1−2.ドロップスクワット

自分のベースポジションがわかったら、次に行いたいのがこのドロップスクワット。これは、素早くベースポジションになるためのエクササイズです。スポーツ中にパッと動かなければいけない時や、ジャンプの着地時など、何も考えずとも一瞬でこのベースポジションになれるようになることで、怪我のリスクを減らすとともに、次の動作も素早く行うことができます。

足は肩幅にし、かかとを少し浮かせて重心は母指球にして腕を上げます。そこから素早く両腕を下げながらしゃがみこみ、ベースポジションになります。5〜8回行いましょう。

動きに慣れてきて、ベースポジションもしっかり素早く取れるようになったら、回転の動きを加えます。

スタートポジションは一緒ですが、素早く腕を下げながらしゃがみこむ際に、90度回転します。回転の動きが加わっても、しっかりベースポジションを取りましょう。こちらは左右それぞれ2〜3回ずつほど行います。

できるようになったら、スタートは両足から、ドロップスクワットをして片足になる「ダブルレッグ to シングルレッグ(下動画参照)」や、どちらも片足で行う「シングルレッグ to シングルレッグ」も行なってみましょう。スポーツ中、片足で着地することもたくさんあります。片足でもしっかりと力を吸収し、身体を減速させ、安全に着地できるようになりましょう。左右それぞれ3〜5回ずつほど行います。

2−1−3.ノン・カウンタームーブメントの動きを行おう

プレ・プライオメトリクス最後は「ノン・カウンタームーブメント(Non-Counter Movement: NCM)」の動きです。これは「勢いをつけずに(=SSCを使わずに)」行う方法のこと。勢いをつけてSSCのメカニズムを使って行う方法を「カウンタームーブメント(Counter Movement: CM)」と呼びます。NCMはSSCを使わない動きのため、正確に言うと、NCMのエクササイズはプライオメトリクス・トレーニングではありません。

下半身のNCMエクササイズについては、以前私が書いた「ジャンプトレーニング」の記事で詳しく紹介しているため、ここでの詳細の説明は省略します。以下、下半身のプレ・プライオメトリクスとしてオススメのエクササイズを名前だけ紹介します。ぜひジャンプトレーニングの記事を参考に、実践してみてください。

  • NCMスクワットジャンプ
  • NCMバーティカルバウンド
  • NCMバーティカルホップ

続いて上半身です。上半身のプライオメトリクストレーニングとして有効なのが「メディシンボール」を利用したトレーニング。まずはNCMの動きを行なって、SSCを使った動きを行うためのウォームアップを行いましょう。

  • NCMチェストパス

ボールを胸の前に持った状態から、ボールをできるだけ強く前方に投げます。動画では両足ともに動いていませんが、片足を前に出して投げても良いでしょう。投げる前に後ろに下がらず、勢いはつけずに行うことがポイントです。

  • NCMラテラルパス

ここからのエクササイズは「メディシンボールトレーニング10選」の記事からいくつか抜粋したものになります。こちらもSSCはまだ使わずに行うため、スタートポジションに身体をセットしたら、そこからさらに後ろに勢いはつけずに壁(もしくは相手)に投げましょう。

ラテラルパスは、壁(もしくは投げる相手)に対して垂直になるように立ちます。しっかりと身体をひねり、体重を軸足の方に乗せた状態から、逆足に体重移動をしながら、下半身をしっかりと使ってボールを投げます。

  • NCMフロントローテーション

今度は壁・相手に対して正面を向いて立ちます。右側からボールを投げる場合は、まず右足に体重を乗せ、お尻を引いてベースポジションに近い姿勢をとります。ボールを投げるタイミングで股関節をしっかりと伸展させ、下半身の力を上体に伝えてボールを投げましょう。

  • NCMオーバーヘッドパス

頭の上から投げるオーバーヘッドパスは、少し難易度が上がります。こちらもここではNCMで行うため、ボールを持って肘を曲げ、上体を軽く反ったところからスタート。勢いをつけずに、できるだけ遠くに力強く投げることを心がけましょう。

メディシンボールのトレーニングについては、当ブログの別記事

メディシンボールトレーニング10選!準備運動/パワーUPなど目的別に紹介

から転載しました。

2−2.いよいよプライオメトリクス・トレーニング開始!

一通りの動きがわかったら、いよいよSSCを使って「より速く」「より爆発的な」力を発揮するトレーニングをしていきます。ポイントは「瞬間的に筋肉・腱を引き伸ばし、脳に『危ない!縮めて』と思わせ、エネルギーを使わずに無意識で筋肉・腱を縮ませる」という一連の流れを一瞬で身体に起こすことです。

2−2−1.下半身のプライオメトリクス・トレーニング

下半身のプライオメトリクストレーニングは、やはりジャンプトレーニングがメインになると思います。「ジャンプ」と言っても、大きく分けて3種類あります。

  • ジャンプ(両足で跳ぶ→両足で着地)
  • バウンド(片脚で跳ぶ→逆の片脚で着地)
  • ホップ(片脚で跳ぶ→同じ側の片脚で着地)

さらに、跳ぶ方向も大きく分けると3種類あります。

  • バーティカルジャンプ(垂直跳び=真上に跳ぶ)
  • ブロードジャンプ(水平跳び=前方に跳ぶ)
  • ローテーショナルジャンプ(回転跳び=真上に跳びながら横回転する)

これらを組み合わせて行うことで、実際のスポーツでの様々な動きを想定し、どんな状態でも安全に着地ができるようになるとともに、止まった状態から一瞬で爆発的な力を生み出す動きをトレーニングしていきます。

いくつか、ジャンプトレーニングの記事では紹介しなかったものをここで紹介します。

  • ドロップスクワット to CMローテーショナルジャンプ

「ジャンプ=両足踏切→両足着地」です。それをCounter Movement(CM)の動きでSSCを使い、ジャンプしながら90度(もしくは180度)回転します。ドロップスクワットから連続で行うととても良いトレーニングとなります。

  • CMダイアゴナルバウンド

「バウンド=片脚踏切→逆の片脚着地」です。それをCMで行い、進む方向は斜めにしてみましょう。最初は1回ずつ。慣れてきたら動画のように連続で行ってみましょう。連続で行う場合、ポイントは「できるだけ地面にいる時間を短くする」ことです。着地した瞬間にすぐ次のバウンド動作を行うことで、筋肉の瞬間的な伸張と収縮を起こし、SSCの能力を鍛えていきます。

  • CMローテーショナルホップ

「ホップ=片脚踏切→同じ片脚で着地」です。しっかりと勢いをつけて跳び上がり、90度回転して着地します。動画ではBoxの上に着地していますが、まずは地面で行います。Box上に着地するのはかなり強度が高いトレーニングとなります。

1回1回しっかりと勢いをつけ、できるだけ高く跳び上がります。下動画ではBox上に着地したらすぐにBoxから下りていますが、まずはしっかり着地しましょう。片足での着地の練習も、プライオメトリクストレーニングにおいて重要な要素となります。

ここまで様々な種類のジャンプを紹介しましたが、基本的に常に考えるべきことは「とにかく1cmでも高く跳ぶ」「とにかく1cmでも遠くに跳ぶ」ということです。お尻を引くとか、腕を素早く振るとか、トリプルエクステンションとか、動きのコツのようなものが色々と言われますが、そこを考えすぎず、トレーニング中はとにかく高く跳ぶ。遠くに跳ぶ。ここを忘れずにトレーニングを行いましょう。

  • ドロップジャンプ

なかなか「素早い動き」が身につかないと言う方は、ドロップジャンプを行うことで、身体にSSCの感覚を身につけさせることができます。

ボックスなどの高い位置から降りることで、重力によって半ば強制的にSSCを身体に起こします。ポイントは「できるだけ地面にいる時間を短くする」こと。高く跳ぼうとする必要はありません。重力によって勢いがついているので、着地した瞬間にアキレス腱をはじめとした下半身の筋肉・腱は強制的に引き伸ばされます。SSCの働きを身体に覚えさせるために、できるだけ早く地面から跳び上がりましょう。

2−2−2.上半身のプライオメトリクス・トレーニング

プレ・プライオメトリクスの項でも紹介しましたが、上半身のプライオを行う上でおすすめなのはメディシンボールを使ったものです。ジャンプで言うと、立った状態から素早くしゃがみこんで筋肉・腱を急激に伸ばすように、メディシンボールをより遠くに投げるためにも、素早く勢いをつけて筋肉を伸張させましょう。SSCのメカニズムが起きることで、爆発的な力が生み出され、より遠くに、より強いボールを投げられるようになります。

「メディシンボール」の記事では紹介されていないトレーニングをここでは紹介してみようと思います。

  • CMウォールチェストパス

プレ・プライオメトリクスでは勢いをつけないNCMで行いましたが、今回は思いっきり勢いをつけて、より強いボールを投げましょう。まずは1回ずつ行い、動きに慣れてきたら、下動画のように壁から跳ね返ってきたボールをキャッチして即座にまた壁に投げる、を5〜10回ほど繰り返してみましょう。「キャッチ→パス」を出来るだけ速く行うことで、SSCの能力を高めることができます。

  • チェストパス・エクスプロージョン

プライオメトリクストレーニングのゴールの1つは「静止した状態からいかに素早くトップスピードに持っていけるか」というものです。その能力を鍛えるのがこのトレーニング。目標は「より強く、より遠くにボールを投げること」です。

  • CMチェストパス(仰向け)

同じチェストパスですが、仰向けになった状態で行うことで下半身の力が使えなくなるため、より上半身にフォーカスすることができます。もし練習パートナーがいれば、上からボールを胸に落としてもらい、ボールをキャッチした瞬間にパートナーに投げ返す、と言う方法で行いましょう。1人で行う場合は、できる限り上半身で勢いをつけて、より真上にボールを投げるよう頑張ってみましょう。ボールが落ちてくるので、しっかりキャッチします(もしくは避けましょう)。

  • CMウォールオーバーヘッドパス

プレ・プライオメトリクスで行なった動きを、CMで勢いよく、連続で行います。なるべくボールに触れている時間を短くすることを目標にしましょう。腕をバネのように使うことで、SSCの能力が向上します。

  • オーバーヘッドパス・エクスプロージョン

チェストパス・エクスプロージョンと同じく、目標は「より強く、遠くにボールを投げること」です。上半身で勢いをつけるとともに、下半身もうまく使って行いましょう。

  • CMオーバーヘッドパス(ニーリング)

両膝立ちでオーバーヘッドパスを行うことで、下半身の動きが制限されるため、より上半身にフォーカスすることができます。今まで紹介してきたトレーニングと同じく、「より強いボールを投げる」ことが目標になります。

  • CMアンダーハンド・バーティカルスロー

スクワットジャンプのような動きをしながら、出来るだけ高く(もしくは遠くに)ボールを投げましょう。下半身と上半身がしっかりと繋がることで、爆発的な力を生み出すことができます。

  • 90/90 プライオドリブル

小さめのメディシンボールがもしあれば、ぜひやりたいオススメのプライオトレーニングの1つです。投球動作を行うスポーツ選手(野球・アメフトのQB・バレーボール・バドミントンなど)は、肩周りのSSCを効果的に鍛えることができます。リズムよく行いましょう。

2−3.気をつけなければいけないポイント

プライオメトリクス・トレーニングの最大の目的は「より速く、爆発的に」行うことです。よって、ダラダラとたくさんの回数を長時間行っても意味がありません。少ない回数で良いので、1回1回全力で筋肉・腱に急速な伸張と短縮を起こしていきましょう。

プライオを行う上での回数・頻度・インターバルの基本的な考え方は、初心者(プライオメトリクストレーニング始めたての人)は、1日にやる量は5〜15分程度と少なくして、その分頻度を増やし、週3〜4日ほど行います。1種目5〜8回ほどを目安に、1〜3セット。3〜5種目くらいで十分でしょう。

プライオトレーニングの経験を積んできた方や、普段からトレーニングを積んでいるアスリート、もしくは片脚・片腕のプライオを多く行う場合は、1週間で行う頻度は減らし(週2回程度)、その分1日に行う量を増やします(15〜20分程度)。1種目5回前後で2〜3セット。種目数は4〜6種目ほどまで増やして構いません。

ですが上記したように、プライオトレーニングは1回1回の質が最重要。回数を重ねることが目的ではありません。勢いをつけて全力で行うこと。正しい姿勢で減速・着地をすること。連続で投げる・跳ぶトレーニングを行う場合は、いかに「急速な伸張・収縮」を起こすことができるか、が大切です。疲れたら、予定していた量ができていなくてもやめて、次回にしましょう。無理して続けることで、怪我のリスクが高まってしまいます。

また、特にジャンプ系のトレーニングを行う際は、腕の使い方も重要になります。腕を下に素早く振り下ろすことで下方の力が生まれ、腕を使わないよりもより筋肉・腱の伸ばされるスピードが速くなるため、SSCが促進されます。

逆に、腕を使わずに行うことで、下半身によりフォーカスさせることができます。腕を使わずにより高く、もしくはより前に跳ぶためには、身体を安定させる体幹の力も必要になります。よって、あえて腕を使わずに行うというのも、トレーニングのバリエーションとして覚えておくと良いでしょう。

2−4.プライオできてる?できてない?の見分け方

着地の際に多少バランスを崩してしまうことは、別に大きな問題ではありません。毎回完璧なバランスで着地できる人はいません。重要なのは「いかに素早く良いポジションに戻れるか」です。スポーツでは、すぐに次の動作を始めなければなりません。たとえ多少バランスを崩したとしても、すぐに立て直し、次の動作の準備をすること。さらにそこからいかに素早くトップスピードに戻れるか、爆発的な力を発揮できるか、の方が重要なのです。

また、何度も言ってきていますが、プライオメトリクストレーニングで重要なのは「急速な筋肉・腱の伸張と収縮」です。より素早く動きを行うこと、できるだけ地面にいる時間を短くすること、もしくはできるだけボールを持っている時間を短くすること、これらをしっかりと意識しながらトレーニングを行いましょう。

3.スポーツ別プライオトレーニングの考え方

選手に「このトレーニングを行えばパフォーマンスが向上する」ということを納得してもらうためには、そのスポーツで実際に行う動きに近い動きでトレーニングをすることも大切な要素となります。いくつか紹介します。

3−1.野球

野球の動きとメディシンボールのプライオトレーニングをつなげてみましょう。

baseball

バットでボールを打つ一瞬に、下半身の力を上半身、腕、バットに伝えて、ボールをより強く、遠くに飛ばします。スタンスは自分がボールを打つ瞬間のスタンス幅にして、ボールを出来るだけ力強く投げる練習をしてみましょう。

3−2.テニス

テニスのプレー中の1コマを見てみましょう。

tennis

不安定な体勢でも、できるかぎり安定させ、テニスボールを打つ瞬間に最大の力を伝えて、強く速いボールを打つ。これも、日頃トレーニングの中で行うことで鍛えていくことができます。

3−3.走高跳

highjump

走高跳や走り幅跳び、もしくはハンドボールのジャンプシュートなど、「片脚で跳ぶ」必要があるスポーツは、片脚バウンドやホップのトレーニングがスポーツのパフォーマンスに繋がるでしょう。

3−4.バレーボール

ブロックでより高く跳ぶためには、両脚で真上に跳ぶ練習とともに、腕も最大限に振り上げましょう。

ドロップスクワットからのバーティカルジャンプはまさにブロック前の一連の動きですね。実際のスポーツでの動きをイメージしながら行うと、より身になりますね。

volleyball

4.まとめ

プライオメトリクストレーニングをご紹介しました。ジャンプ力向上や、ジャンプ動作があるスポーツ、また旋回などのカラダのキレが必要なスポーツには特に有効なトレーニングです。反射を利用して大きな力を得る分、衝撃を吸収できるカラダができていないと、トレーニングによってケガをするリスクが高まります。

まずはこの記事の前半に書いてある方法を十分に行うようにしてからトレーニングするようになさってください。

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