筋膜リリースはツールで!効果的な方法をわかりやすく紹介!

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肩こりや首こり、またスポーツ時の可動域制限の原因となっているのが筋膜の癒着。これを解消して筋肉の動きを良くすることが「筋膜リリース」です。

筋膜リリースを適切に行うと、筋肉の正しい位置にアプローチし大きな効果を発揮します。

ストレッチポール®を筋膜リリースに使用することはよく知られる方法ですが、使い方を誤ると強い痛みを生じたり、効果が得られないこともあります。

ここではストレッチポール®(含:ショート)を活用した効果的で安全な筋膜リリースの方法についてお伝えします。また、ボール等を使った方法やトリガーポイントの解消法についてもご紹介致します。

筋膜リリースについて、この記事さえ読めば十分にご満足いただきスグにご活用いただける内容となっていると思います。ぜひご覧ください。

※筋膜には、皮膚直下で筋肉を包む浅筋膜(せんきんまく)と、筋肉の内部で筋細胞を包む深筋膜(しんきんまく)の2つがありますが、ここでお伝えする筋膜は主に浅筋膜のことを指します。

この記事は石塚利光が監修しました。

日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著)


1.筋膜リリースとは

まず筋膜リリースの意味と目的について解説します。

1−1.筋膜の収縮や癒着について

筋膜は皮膚直下にある薄い膜です。頭のてっぺんから足のつま先まで1つの膜が筋肉を包んでいます。鶏肉を調理したことがある方ならイメージしやすいと思いますが、皮を肉からはがす時に薄い膜があります。あれが筋膜です。

筋膜

左:筋膜のイメージ/右:鶏もも肉の調理風景

筋膜の位置

外側にあるのが浅筋膜、個々の筋繊維を包んでいるのが深筋膜です

正常であれば、筋肉を保護するなどの役割があるのですが、収縮して硬くなったり、筋肉との癒着が生まれる場合があります。癒着は筋膜に含まれるコラーゲン繊維が結合して生じます。癒着の原因は以下のようなものです。

・長い時間同一姿勢のままでいる

・不良姿勢

・特定の筋肉のみを使っている

・運動不足

・スポーツや事故等による負荷やケガによるダメージの蓄積

・休息のとり方や栄養&水分補給に問題がある

・心理的ストレス

不良姿勢

1−2.筋膜リリースで癒着や収縮を解消する

収縮や癒着を解消して筋肉のスムーズな動きと血流を取り戻すのが「筋膜リリース」です。具体的には、手指やツール(ストレッチポール®やボール等)を使って、圧を加えます

やるべき場所は、皮の動きが悪くなっているところ、コリやハリがあるところ、圧をかけたときに鈍い痛みやコワバリ、シコリのようなものを感じるところです。一部位60秒〜数分かけてゆっくりほぐしていきます。マッサージに近い方法と言えますが、マッサージより一部位にかける時間は長くかかります。

古くはセラピストの施術で行うのが一般的な方法でした。近年はツールを使って一人で筋膜リリースを行う方法がたくさん開発されています。一人で行うと、自分のコリやハリの場所やその痛みの程度が感覚的にわかるという大きなメリットがあります。このように一人で行うやり方を「セルフ筋膜リリース」と呼びます。この記事ではセルフ筋膜リリースのやり方をお伝えします。

1−3.筋膜リリースを行うメリット

・コリの解消 →肩こりや首のこり、背中のはり足のダルさ、むくみ解消につながります。

・関節や筋肉の動きが良くなる →関節の可動域が向上し、筋肉がフルに動くことができるようになります。

特に練習や試合の前にはぜひ行ってください。運動パフォーマンスアップやケガ予防につながります。準備運動やウォーミングアップメニューより先に行うことをオススメします。

筋肉

1−4.トリガーポイントについて

筋膜の癒着が、離れた部分に痛みを引き起こす場合があります。癒着が起きたところはそれほど痛みを感じないのですが、筋肉や腱、神経の関係性で痛みに敏感なところに痛みを生じさせるのです。これをトリガーポイントと関連痛といいます。前者は癒着が起きている箇所で、後者は離れた部分の痛みのことです。

例えば、腰の痛みが椎間板ヘルニアだと診断された後に、実はトリガーポイントによる関連痛だったということもあります。

トリガーポイントによる痛みの場合、痛みのある場所にケアをしても解消されないことがあります。筋肉の流れなどを考慮して離れた場所にシコリがないか確認し、筋膜リリースを行います。

トリガーポイントへのアプローチの方法は後ほど詳しくお伝えします。

Triggerpoint

トリガーポイントの発生する位置

1−5.筋膜リリースにはストレッチポール®を用いるのが一般的

ストレッチポール®の元となったツールは、アメリカでは筋膜リリース用として開発されていました。ストレッチポール®は、仰向けで縦乗りすることを想定した設計になっていますが、筋膜リリース用ツールとしても最適です。

フォームローリング(ストレッチポール®様のツールを使うこと)は最もポピュラーな筋膜リリースの方法で、自分一人で行うことができ、施術者によって行うそれよりも、効果をあげることができるという点でも優れている。

ビトゥフ・ローリング ストレングス&コンディショニングリサーチ ドットコム 

このたびストレッチポール®を半分の長さにした「ストレッチポール®ショート ハードタイプ」が登場しました。筋膜リリースに特化したツールで、持ち運びもしやすくなっています。省スペースでおこなえるメリットもあります。価格は3,600円(税別)です。

従来のストレッチポール®EXも筋膜リリースにお使い頂けます。こちらの価格は8,500円(税別)からとなっています。

ストレッチポールストレッチポール®、ストレッチポール®ショートをお求めの方へ
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。ストレッチポール®とストレッチポール®ショートは公式LPNショップにて、Amazon楽天市場ではストレッチポール®をお買い求め頂けます。

2.筋膜リリースのポイントと注意点

筋膜リリースを行うコツ

ストレッチポール®を用い、ゆっくりロールしながら圧力をかけていってください。目安としては1秒に3センチ以内のスピードです。コリと痛みのある部分を見つけたら、3〜5秒間停止しじんわり圧をかけたまま、リラックスしてください。その後またロールを開始します。5〜30秒後に痛みが軽減するような感覚がベストです。

圧をかけた部位があまりに痛むようでしたら、そこは避けて周辺部位に圧をかけるようにしてください。筋肉の回復が目的であり、我慢比べではありません。

そしてできるだけ良い姿勢で行ってください。下の写真のように、カラダを上から見ても横から見てもまっすぐになっているようにします。息を吐きながらお腹をジンワリ引締めるような呼吸とセットで行いましょう

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写真はストレッチポール®ショート

行ってはいけない部位

・骨や関節 →筋肉の少ない部分に行うと骨や関節を痛める可能性があります。

・腰部 →ストレッチポール®を横使いし腰の下でローリングを行うと腰痛を発症または悪化させる可能性があります。

これらの部位には、ボールを使ってピンポイントで行うことをおすすめします。トラブルがある場合は首およびその周辺も避け、医師の指導を受けてください。

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筋膜リリースはいつ行うべきか 

練習前、例えばウォーミングアップメニューの最初に行うことをおすすめします。その他、時間を見つけて自由に行ってください。就寝前1時間までを目安にストレッチと併せて行うこともおすすめします。

筋膜リリースを行うと何が起きるか

翌日に“揉み返し”のような痛みを感じるかもしれません。しかしそれは筋肉が解放され動き出してきた証と捉えてください。いずれにせよ必要以上の痛みを感じるほどに筋膜リリースの圧をかけないようにしましょう。

筋肉に十分な栄養が行き渡るように、水分補給をし、バランスの良い食事と十分な睡眠をとってください。24〜48時間後を目安に再度同じ部位に筋膜リリースを行いましょう

3.ストレッチポール®を使った効果的な筋膜リリース

ストレッチポール®を使い、狙った部位に当てるやり方を写真でご紹介します。

左:ふくらはぎ下/右:ふくらはぎ上

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写真はストレッチポール®ショート

左:肩と胸の付け根周辺/ 右:脇と背中の境界の筋肉

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写真はストレッチポール®EX

左:太モモ前/ 右:お尻上部の筋肉

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左:腰骨の下周辺/ 右:太モモ〜ヒザ上内側の筋肉 

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左:ヒザ上外側/ 右:太モモ上外側 ※ヒザ下外側も行えますが、ヒザには行わないでください。関節を痛める可能性があります。

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肩甲骨周辺 ※腰には行わないでください。腰痛を発症させる危険があります。

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4.その他のツールを使用した筋膜リリースの方法

ストレッチポール®で行うことが難しい部位や、ピンポイントで行いたい場合にはその他のツールを活用して筋膜リリースを行うこともできます。

4−1.ボール

ストレッチポール®より小さな点でアプローチするのが、ボールを使った方法です。適度な硬さのあるボールが筋膜リリースに向いています。例えば、硬式テニスボール、野球用ボール、ゴルフボールです。入手先が限られますが、ラクロス用のボールは適度な引っかかり感があって、使用している方からは好評のようです。

左:腰骨下外側/ 右:肩甲骨周辺 ※写真ではわかりやすいように大きめのボールを使用しています。お好みに応じてボールを選択してください。

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胸をテニスボール等でほぐす方法

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トリガーポイントをゴルフボール等で解消する方法

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上図は、アメリカのサイト GOLF BALL massageで紹介されていた方法です。トリガーポイントの部分をゴルフボールでマッサージ(筋膜リリース)することで緑帯の部分のコリや痛みが解消するそうです。ゴルフボールなどの小さな硬いボールをお持ちの方はぜひ試してみてください。

4−2.タイガーテール

タイガーテール1

アメリカで非常に有名な筋膜リリース用のスティックです。NFL、MLB、NBA、NHLの85%のトレーニングルームにおいて、採用されているとのこと。なんといってもその手軽さがメリット。気になる部分にコロコロするだけで、効果的に筋膜リリースが行えます。

ストレッチポール®で太もも外側を筋膜リリースする時は体重をかけなくてはなりませんが、タイガーテールの場合は力をかけなくていいのでラクにできるのです。細いので遠征用バッグにも入りやすいでしょう。

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スネ(左)と太もも(右)への使用例

肩への使用例

背中・肩への使用例

青竹踏みの要領で足裏マッサージもできます。以前はスタンダードな長さのものだけでしたが、近年ミニやロングが登場しました。 

タイガーテール4

ストレッチポール®ならいろいろな使い方ができますが、タイガーテールの場合はこの用途しか使えないという点がデメリットでしょうか。参考価格3,980円 Amazon紹介ページ

4−3.カッサ

細かい部位に効果的にアプローチするもう一つのツールが“カッサ”です。一般的にはブレード(刃)状のツールで癒着のある部分に圧をかけてゆっくりこすります。癒着がある部位は、ツールを通じてブツブツとした感触が得られます。そこを徐々に潰すような感じで滑らせていきます。ジェルを使うなどしてすべりをよくして行うのも良いでしょう。

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写真で使用しているのは、「コリネット」という国産のツボ押しツールです。Amazonでの商品紹介ページ

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写真はスネ外側の筋膜リリースですが、全身気になるところで使うことができます

5.まとめ

以上、ストレッチポール®などのツールを使った筋膜リリースの安全で効果的な方法をお伝えしました。筋膜リリースは、現在の不調を取り除き、ケガ予防につながるものです。ストレッチやマッサージと同等の必要性がある方法と言えます。

またストレッチポール®は、本来仰向けで縦乗りすることで他のツールでは不可能なリラクゼーションエクササイズが可能です。その点も大きなメリットです。

セルフ筋膜リリース以外に、ストレッチポール®が本領を発揮するリラクゼーション方法についてお知りになりたい方は、別記事:ストレッチポール®の効果と誰にでも効果が得られる使い方 をご覧ください。

筋膜リリースも、ストレッチポール®を使用したリラクゼーションも、スポーツマンに限らずあらゆる方が行った方がいいセルフコンディショニングの方法です。ぜひ生活習慣に取り入れてください。

筋膜リリースとストレッチ

ストレッチポール®は筋膜リリースとストレッチを複合して行うこともできます

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