「体を鍛えたいんだけど…」「最も効果的な筋力トレーニングは……」
そのような方に強くおすすめするのがジムにある「マシントレーニング」です。マシントレーニングは、安全性が高いトレーニングです。それは動く軌道が決まっているからです。また狙った筋肉をピンポイントで鍛えることができます。
ダンベルやバーベルが置いてある「フリーウエイトゾーン」に抵抗がある方も、マシンなら空いてさえいればどなたでも乗って行うことができます。
もう一つの大事なポイントが「姿勢」です。マシンは理想的な姿勢を取ることができます。自重トレでは、例えばスクワットやランジは効果的なトレーニングですが、姿勢が難しく「自分ではできてる」ように思っても、実際には狙ったところに効いていないことが多々あります。
マシンを使うことで、姿勢をそれほど意識しなくても鍛えることができます。ですから安全で効果的なのです。
でも、初心者の方は「何を」「どのように」「何回」「どんな順番で」行えばいいかもわからないと思います。そこで今回は標準的な60分という時間で効果的に全身を鍛えるマシントレーニングのメニューをお伝えします。
まずはこのメニューどおりに行ってみてください。それが継続できるようでしたら、工夫をしたり他のトレーニングを加えられると良いでしょう。ぜひ参考になさってください。
目次
1.ウォーミングアップ
ジムで着替えたら、まず行うのはウォーミングアップです。ウォーミングアップには以下の効果があります。
・心拍数を上げる
・血行を促進し、体温を上昇させる
・筋肉の可動範囲を広げる
・交感神経を優位にする
ウォーミングアップなしでは、故障の可能性も高くなります。いきなり高負荷のトレーニングを行わないようにしましょう。
1−1.インナーユニットを活性化するドローイン
インナーユニットは、筋力を発揮する時に外側の筋肉よりも先に動き出す特性があります。また安静時・筋力発揮時に関わらず適切な姿勢を作る役割もあります。インナーユニットをうまく使えていないと、せっかくの筋トレの効果が十分に生まれないほか、ケガを起こしやすくなります。
深い呼吸と腹圧のコントロールを生み出す「ドローイン」を行いましょう。
■ドローイン(強制呼気)
腹式呼吸を行い、その流れのまま、今度は逆に息を細く長く吐きながら、お腹を凹ませていきます。
お腹から空気が出きった!というところでお腹をキープします。息は浅い胸呼吸で繰り返します。最初は10秒キープから。徐々に時間を延ばし30秒を目指してください。
1−2.動的ストレッチ
動きを伴うストレッチです。「ラジオ体操」が代表的なエクササイズ集ですので、これでOKです。第一と第二を真剣にやると、額にじんわり汗をかくでしょう。
その他には以下のようなものがあります。
■肩甲骨の動的ストレッチ
プロ野球の前田健太投手が行っていたものです。肩甲骨の動きがパフォーマンスに大きく影響する競技の方はこちらのエクササイズをおすすめします。
上半身を伸ばした状態でカラダを前に倒します。腕は全体的に脱力し、肘を前に回すイメージで素早く回していきましょう。肩甲骨の動きを感じながら左右20回を目安に行いましょう。
■股関節の動的ストレッチ
股関節の動きを引き出すことで、下半身の動きがよくなります。
綺麗な姿勢で立った状態から片足を持ち上げます。膝の頭を中心に後方から回すようにして股関節を回していきましょう。上半身が正面を向いた状態で行うことがポイントです。左右10回を目安に行いましょう。
その他の動的ストレッチの方法は別記事「動的ストレッチは運動前がベスト!効果と特選ストレッチ7選」を参考になさってください。
2.体幹トレーニング
筋肉には役割があり、重い手足を支えるのが胴体の筋肉です。その深層部にあるインナーユニットは姿勢安定化や全身の機能適正化の役割があり、筋力トレーニングで鍛やすい筋肉と同様に重要な筋肉なのです。これを活性化するのが体幹トレーニングです。しかし目立たないし鍛えている効果がわかりにくいのでおろそかにされがちです。日頃から行っている人以外は、筋トレ前にしっかり行うようにしましょう。
■プランク 体幹トレーニングの代表格です。
1・うつぶせ寝になり、ヒジを肩の高さに揃えます。足は肩幅と同程度に開きます。
2・胸と頭部を少し引き上げてヒジを肩の真下に滑らせます。アゴを首に近づけます。
3・足指を床に接します。足裏、カカトが垂直を保持します(内側に倒れたり、外を向かないように)。
4・ヒジから先と、足指に力を入れて末端から浮かせていきます。つられて腰を浮かせ、浮いたカラダが一直線になるようにキープします。(先に腰からあげないように)
5・呼吸は止めずに、この姿勢をキープします。最初は20〜30秒を目安に行い、徐々に伸ばしていきます。2分間を目標にしてください。1分間休憩し、3〜5セット行います。
【ポイント】キープ中は、お腹を中に引き込むように、息を細く長く吐きながらキープします。同時に、骨盤底筋群(骨盤底部の中にあるインナーユニット)も息を吐きながら引き上げ、吸うときは少し緩めるように意識します。
ウォーミングアップや日頃行いたい体幹トレーニングについては、以下の記事で一週間プログラムとしてまとめています。
体幹トレーニング50選!初心者即実感〜上級者満足の一週間メニュー
3.ヒップリフト(臀筋)
下半身からトレーニングしていきます。
お尻の筋肉(殿筋)をうまく使えないと、パワーの伝達、正しい姿勢、筋力バランスに悪影響が出ます。まずはお尻の筋肉に刺激を入れ、ご自身としても臀筋を使う意識を持つようにしてください。
膝を軽く曲げた状態で仰向けになります。膝の頭から鎖骨まで一直線になるように姿勢を意識してお尻を持ち上げましょう。お尻に負荷がかかっているのを感じながら、息を止めないように注意して姿勢を保ちましょう。
姿勢が安定してきたら、一直線をキープして片足を持ち上げ、膝を軽く曲げた状態でキープするとお尻への負荷が高まります。姿勢が崩れずに行える範囲で姿勢を維持しましょう。15回を目安におこないます。
中殿筋に刺激を入れるヒップアブダクションもおすすめです。
肩からくるぶしまでが一直線になるようにして横向きで寝ます。下側にくる方の膝を曲げて、写真のように脚を持ち上げましょう。この時、以下の点に注意しながらおこないましょう。
4.レッグプレス(もも前&殿筋)
いよいよマシンを使用して鍛えていきます。
- マシンの多くはケーブルの上下で重りを引く構造です。注意点としては、重りを下ろす動作は全てゆっくり行うということです。連続で行う種目は、重りが最後まで落ちる前に2回目の動きを行います。ケーブル部分が本体に隠れているものがありますが、いずれも同様です。
さて、レッグプレスはジムマシンでも代表的なものです。これは足の位置で鍛える場所を変えることができます。
足の位置を低めにすると大腿四頭筋(もも前)優位に、高めにすると臀筋優位になります。臀筋を鍛えるときは前章で実感した部分に効いているかどうか実感しながら最適な位置を見つけて行ってください。
使い方は、腹圧を高め、足全体でプレートをプッシュします。下半身が協調して働き、足を伸ばしながらプレートを押し上げるようにします。
- 余裕を持って10回一セットできるぐらいが望ましいです。
- インターバルを入れると、最初と同様には力が出ないかもしれません。しかしOKです。他のエクササイズに移りましょう。
- 男性の目安はこれぐらい、という説明書きがある場合があります。しかし「重すぎてできない!」でも大丈夫です。
- 上がらなくてもケガしにくいのがマシントレーニングです。いくつか試してみて適正ウエイトを見つけましょう。
- 回数、セット数、インターバルの時間等を気にするのは、トレーニングが苦にならずに継続できるようになる頃からでOKです。
- まずは週に1〜2度、継続して行える習慣を身につけましょう。
5.カーフレイズ オン レッグプレス(ふくらはぎ)
ふくらはぎには表面と内部に筋肉があります。表面にあるのが腓腹筋で、瞬発力系の筋肉です。内部にあるのがヒラメ筋で持久力系の筋肉です。
この2つを鍛えるには、軽負荷で高速〜重負荷で低速〜軽負荷で高速というセットで行います。
ふくらはぎをほっそりさせたい方はごく軽い負荷で高速のみを行います。
トレーニングにはさきほどのレッグプレスを使用します。(つまりレッグプレス一台で3つの部位を鍛えることができるのです)
レッグプレスの最初のポジションを取ります。前章とは違って足関節から先(足の平)だけでプレートをプッシュします。ふくらはぎのみに負荷がかかるように行います。
- マシンは自重やウエイトと比べて、最適な姿勢が取りやすいです。それでも間違った使い方をすると効果が得られないばかりか、ケガを起こす可能性があります。最初に使うときは、所属トレーナーに教えてもらうのが良いでしょう。公共の施設の場合は、使用者講習会を行っている場合があります。この講義を済ませないと使用できないという施設も少なくありません。
6.レッグカール(ハムストリングス)
全身のパワー発揮にはハムストリングスも大事です。もも前は鍛えられている人が多いですが、もも裏をおろそかにすると筋バランスが悪くなり姿勢の悪化やケガの発生につながります。見た目以上に重要な筋肉です。
うつ伏せになり(立って行うマシンもあります)、腹圧を高めてハムストリングスの力でバーを腰側に引きつけます。
膝を曲げたところから、ゆっくりと戻し、膝を伸ばしきる前に止め、再び曲げます。勢いよく伸ばすとケガのリスクがあるので注意してください。
7.トーソローテーション(腹斜筋)
腹直筋の中にある、腹部の斜めの筋肉を鍛えます。これによりウエストにくびれができてメリハリのあるカラダになります。
ひねるスピードは特に意識しなくても大丈夫です(速くひねる必要はありません)。戻す際はゆっくり行います。
腹斜筋トレーニングはダンベルでも手軽に行えます。両手に持ってカラダを横に折り曲げるだけです(ダンベルサイドベント)。ダンベルゾーンに抵抗がある方も、少し試してみるきっかけになります。
8.アブドミナルクランチ(腹直筋)
六つに割れた腹筋に大きく関わるのが腹直筋です。自重トレーニングでは、反動を付けたり、他の筋肉で代償しがちですが、マシンを使うとピンポイントで鍛えることができます。
適正な負荷をセットしたら、写真の態勢を取りお腹の力だけでカラダを曲げます。肩や腕に力がはいっていると効果的に鍛えることができません。力を入れるのはあくまでもお腹だけ、という意識で行います。
9.ラットプルダウン(背中)
実は多くの筋力トレーニングは自重とダンベルがあれば自宅でも可能といえます。しかし、それだけでは鍛えることが難しいのが「背中の筋肉」です。どこのジムにでもある「ラットプルダウン」マシンで効果的に鍛えることができます。
このトレーニングはフォーム(姿勢)が重要です。胸をよく開き、肩甲骨を動かして重りを引くようにします。初心者の方はトレーナーに見てもらうといいでしょう。
10.チェストプレス(胸・腕)
胸や腕の筋肉は、バーベルを使用すると効果的に鍛えられるのですが、初心者の方はバーベルの重さを恐怖に感じることがあります。
「チェストプレス」マシンを使うと、この恐怖感がないので安心して追い込めることができます。強く握ると末端に力が加わってしまいます。押すだけ程度の意識で大丈夫です。良い姿勢で胸を張っておこまいましょう。
11.プリーチャーカールマシン(腕)
バーベルの恐怖以外にも、フリーウエイトゾーンへ初心者が行くのは勇気がいります。この機械があれば効果的に腕を鍛えることができます。
上げきったら、ゆっくり下ろすことです。これにより下ろす動作で裏側の筋肉も鍛えることができます。機にダメージを与えないためにもぜひ行ってください。
12.トレッドミル、エアロバイク(有酸素運動)
カラダにキレを出したい人、減量したい人は最後に有酸素運動を入れます。
筋トレ前に有酸素運動を行わないことには理由があります。
どのような運動でも、最初に瞬発力系の「糖分」がエネルギーとして消費されます。その後、持久力系の「脂肪」が燃焼されます。最初に有酸素運動を行ってしまうと、筋トレ時に活用したい糖分が枯渇してしまうのです。
筋トレで糖分を使い切った後に有酸素運動を行うと、最初から脂肪が燃焼されるので、ウエイトロスに繋がりやすいのです。
15〜20分を目安に行うといいでしょう。
13.クールダウン〜静的ストレッチ
トレーニング終了後はすぐに座り込まずに、クールダウンを行います。これによりめまいやふらつきを予防し、下肢の血液を心臓に戻して疲労を回復させる効果があります。心拍数を落ち着けるためには、ジムスペースをゆっくり歩き回るだけでも大丈夫です。
その後、全身をストレッチします。トレーニング終了後、プロテインと糖分を摂るようにすると、疲労回復と筋生産が促進されます。ストレッチの方法は以下のようなものです。
■ヘッドオーバー〜下肢のストレッチ
仰向け寝になり腕を広げ、腰から足をオーバーヘッドして床に着くくらいまで持ち上げます。5カウントしたら、写真のように起き上がりそのままつま先をタッチします。再びオーバーヘッドし、こんどは足を開いて両足先をタッチ。さらに、オーバーヘッド+片足先ずつタッチを行います。慣れてきたら2〜3セット行えるようにします。
静的ストレッチの方法は以下の記事を参考になさってください。
ジムにストレッチポール®がある場合は、基本的な使い方「ベーシックセブン」を行うことで、筋緊張をやわらげ、呼吸が深くなりリラックスモードに移行することができます。
筋トレの前後やおやすみ前に効果的な「ベーシックセブン」の方法については下記の記事を参考になさってください。
ストレッチポール®の効果とほとんどの方に効果が得られる使い方
14.まとめ
ジムで活用したいマシントレーニングを紹介しました。初心者の方は、正しい筋肉の使い方を知るためにもぜひ積極的に使っていただきたいものです。
ジムでのトレーニングは、毎日行う必要はありません。最初の頃は筋肉痛が回復したら行う程度、つまり一週間に一、二度で良いでしょう。
そして多くのトレーニングは、ご家庭でも自重を利用したり、ダンベルやチューブを購入すればさらに効果的に行うことができます。(背中の筋肉だけは懸垂バーや公園の鉄棒が必要ですが)
トレーニング時の姿勢を正しくつかむことができたら以下の記事を参考にぜひ自宅でも行うようにしてください。
自重トレーニング12選!最大効果を出すコツとメリット・デメリット
ダンベルトレーニング30選!自宅で全身を徹底的に鍛える最善方法
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