歩いたり、立っているときに足の付け根が痛い…。
少し気になる程度ならまだしも、動いても痛い状態では日常生活に支障が出てしまいます。足の付け根の痛みの主な原因は股関節にあります。この痛みの原因を解決せずに放っておくと長期間に渡り痛みが続くことにもなりますので、なんとか解決したいものです。
解決のためには、現状と原因を知り、適切な対処をし、状況によっては専門家の治療を受けることです。しかし、痛み方によっては、どの病院に診てもらえばいいかわからないこともあります。
そこでここでは、足の付け根が痛い方のために、痛みの原因の解説とシーン別にできる対応策・専門医の選択の仕方をお伝えします。足の付け根の痛みに悩んでいる方はぜひご一読ください。
この記事は石塚利光が監修しました。 日本コアコンディショニング協会コアコンディショニングリサーチディレクター/東京大学女子バレーボール部トレーナー/米国公認アスレティックトレーナー (BOC-ATC) /日本トレーニング指導者協会・認定上級トレーニング指導者(JATI-AATI)/ペンシルベニア州立カルフォルニア大学卒業/前・福岡大学助教/訳書「アスレティックボディ・イン・バランス」(Gray Cook著) |
目次
1.痛みの原因として考えられる疾患
足の付け根の痛みの原因は、先天性の疾患に限らず、後発性の疾患や日常生活習慣によるものもあります。ここでは、特に多い疾患の特徴とその対処の方法についてお伝えします。
1−1.坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰部から足にかけて伸びる坐骨神経が不良姿勢などの原因によって圧迫・刺激されることで出る痛みやしびれなどの症状のことを指します。これらの多くは腰痛から発症したのち、次にお尻や太ももの後ろ・スネ・足先までに痛みやしびれがあらわれます。
症状が重い場合、麻痺や痛みによる歩行障害を伴うことがあります。不良姿勢や運動不足による肥満な方にも多い疾患です。坐骨神経痛について、さらに詳しく知りたい方は当ブログ 坐骨神経痛ストレッチ・しびれや痛みの原因と今できる対処法をご覧下さい。
対処方法として痛みが軽度の場合、以下のような方法が有効ですが、それでも改善されない場合は薬剤投与やリハビリテーションなどの解決方法がありますので、整形外科の受診をすることをおすすめします。
【坐骨神経痛の場合のセルフでできる対処方法】
1−2.変形性股関節症
変形性股関節症は股関節の痛みを発生する代表的な病気と言われています。関節軟骨という関節を滑らかに動かすための軟骨(クッション)が何らかの理由によりすり減り、正しく機能しないことによって発症します。
日本の場合、生まれつき股関節の作りにやや問題がある人が発症するケースが多いですが、異常のない人も運動不足や老化などにより変形性股関節症になることもあります。
特に、女性は男性に比べ関節が緩く、筋力が弱いこと。また出産などをする機能が備わっているため、骨盤が横に広いので負担がかかりやすいので男性に比べて起こりやすいとされています。
変形性股関節症の場合、症状の度合いによって対応が変化してくるので、MRIやCT・レントゲンなどを扱う整形外科の受診をおすすめします。
2.【シーン別】生活習慣から見る脚の付け根痛みの原因
上記で説明した疾患の他にも生活習慣からくる痛みが考えられます。ここではシーンごとに痛みの原因と対応策についてお伝えします。
2−1 .スポーツ習慣がある方の場合
スポーツを趣味として、また競技で行っている方も多いかと思います。しかし、プレイ中に足の付け根に痛みを感じる。スポーツ習慣がある方に起こる足の付け根の痛みにおける原因としてグロインペイン症候群やオーバーユースが考えられます。
グロインペインとは、恥骨に対する過度なストレス・負荷が原因で起こり、股関節に痛みを感じるスポーツ障害です。主にサッカーを行っている方に多く発症し、安静にしていれば痛みはなく、運動をするとまた痛み出すことが多い特徴であります。
グロインペイン症候群やオーバーユースは主に運動のしすぎが原因なので、安静にすることで痛みは軽減されます。しかし、運動を再開すると痛みが再発することがあります。この場合は根本的な解決をしなければ長い間痛みと付き合わなければなりません。
まずは症状の原因を明確にするために整形外科を受診しましょう。
できればスポーツ整形外科がのぞましく、特にグロインペイン症候群の場合、競技への理解があるドクターに相談することが大切です。一例として、以下に日本体育協会の認定資格を持つドクターの中でサッカー競技に詳しい医師をご紹介します。
【公益財団法人 日本体育協会 スポーツドクター検索結果一覧】
2−2.慢性的な腰痛を抱えている場合
慢性的な腰痛が足の付け根の痛みを引き起こしているケースも多くあります。この原因として考えられるのは、偏った歩き方やカラダの使い方をしていることにより、股関節の歪みが起こっていることです。この結果、腰痛や足の付け根の痛みを引き起こしています。
このケースで痛みが軽度の場合は、ストレッチやトレーニングでカラダの歪みを整えることで痛みが緩和することがあります。痛みを感じない方は、まず以下のストレッチを行い、変化を感じてみてください。
■股関節ストレッチ
エクササイズ方法:
まず、あぐらの状態で座ります。足の裏を合わせて手で持ち、膝を床につけるイメージで脚の力を抜いてストレッチ感を感じましょう。30秒を目安に行いましょう。
ストレッチが終わったら股関節を動かして脱力した状態で、膝を上下にパタパタさせましょう。15回を目安に行いましょう。
腰痛改善の効果をさらに高めたい方は当ブログ反り腰ストレッチ5選で腰痛、ぽっこりお腹、デカ尻解消!をごらんください。
2−3.妊娠している場合
女性、特に妊娠をしている方は足の付け根に痛みを感じやすい傾向にあります。これは男性に比べ筋力が劣っているというほかにリラキシンという子宮弛緩因子ホルモンの分泌によって骨盤周りの靭帯が緩むことがあげられます。
この場合、痛みの原因は骨盤周辺の靭帯などが緩み過ぎてしまったことなので、骨盤ベルトなどをすることによって骨盤周辺を安定させる対応を行うことが効果的です。
痛みが激しく辛い場合は、産婦人科の担当医に相談し、対応策を提案してもらうと良いでしょう。
2−4.喫煙習慣がある方の場合
血行不良から足の付け根が痛む場合があり、その他に足がしびれたり、足や手の血色が悪くなる事があります。これはバージャー病と言われ、特に喫煙している人に多い病気です。
タバコのニコチンが血管の炎症を起こす事によって血管内が詰まりやすくする特徴をもち、血行が悪くなると血液のポンプ役でもあるふくらはぎでしっかり血液を循環させる事ができなくなり、骨盤へも影響して足の付け根に痛みを生じるようになります。
痛みが左右交互でみられるなど、両足に痛みを感じる場合は内科や脳神経外科の受診をする事をおすすめします。痛みがほかの要因も考えられる場合は整形外科→内科の順番で受診すると対応の順番として最適と言えるでしょう。
3.再発予防に行っておきたいストレッチ3選
足の付け根の痛みを改善し、日常生活で痛みを感じる事がなくなったものの、またいつ痛みが再発するかわからない不安を抱く方も多いと思います。痛みの再発を防止するためには股関節周りのストレッチを行う事がとても大切です。
そこでここでは、編集部が自信を持っておすすめする最も効果的な股関節ストレッチを3つご紹介します。どれも初級編なので安全で簡単に行う事ができます。ぜひお試しください。
3−1.内転筋ストレッチ
エクササイズ方法:
立った状態から、大きく足を横に開いて、写真のように片脚に体重をかけていきます。伸ばした脚内側のストレッチ感を感じ、足のつま先は両方とも前を意識しましょう。30秒間を目安に行ったら、反対側も行います。
3−2.ハムストリングストレッチ
エクササイズ方法:
仰向けで横になり、片脚を上に伸ばして折り曲げます。ももの裏を両手で押さえながら、膝の曲げ伸ばしを30秒毎に3回繰り返します。これを左右の足で行うようにしましょう。自然な呼吸で行う事がポイントです。
3−3.ももの外側ストレッチ
エクササイズ方法:
仰向け寝になり、片足を反対の太ももの上に乗せ、上に乗せている足と反対側の手で膝頭を押さえ、引きながらカラダが捻るように倒していきます。この時、カラダが一緒に倒れていかないように倒すのはほんの少しで大丈夫です。腰が浮かないようにももの外側がストレッチされる感覚を意識しましょう。左右30秒を目安に行います。
4.股関節周辺を整えるツールエクササイズ
当ブログ運営元の㈱LPNが製造発売するストレッチポール®を使用すると、ツールなしで行うよりもより効果的に股関節周辺の状態を整えるエクササイズが可能になります。(痛みのないときに行ってください)
ストレッチポールを用い骨盤や股関節の運動を行うことで、腰部周辺の筋肉がゆるめられ、骨の配列や関節が本来の位置にリセットすることができるからです。
ここではその方法を一つご紹介します。
基本姿勢(写真上)から、左右の足の裏を合わせるようにして、ヒザを開きます。足裏を体に近づけたり離したりして、ご自身の気持ちがよい位置を見つけてください。写真下の姿勢で40秒ほど自然な呼吸を行います。その後もとの基本姿勢に戻ってください。
ストレッチポール®のエクササイズはこのように簡単なものばかりです。
以下の記事では、ストレッチポールと腰部との関係について詳しく記述しているのでぜひご一読ください。
ストレッチポールを用いた運動が腰痛予防に及ぼす効果については、別記事「腰痛時はストレッチポールの使用をお控えください」をご参照ください。痛みがない時にできるエクササイズを豊富にご紹介しています。
ストレッチポールでの骨盤調整運動が、なぜ効果的なのかについては「ストレッチポールで簡単骨盤調整!2つのポイントとその方法」にて詳しくご紹介しています。
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。
5.生活習慣で解決!痛みの予防習慣
足の付け根の痛みが出ないための一番の近道が生活習慣に気を使い、カラダが歪まないように注意する事です。ここでは、足の付け根の痛みが出ないように継続した方がいい生活習慣と、意識的に改善した方が良い生活習慣についてお伝えします。
5−1.やはりベストは規則的な生活!痛み予防の良好習慣
痛みが出ないための生活習慣のチェックポイントは以下の項目です。継続は力なり、ですので、長期的に実践して健康的なカラダ作りをしましょう。
・毎日のストレッチ
・適度な運動
・浴槽に浸かる入浴スタイル
・十分な睡眠時間を確保する
5−2.できる事から改善しよう!痛みを呼び込む生活習慣
足の付け根の痛みが出やすい方の生活習慣を以下にまとめました。今痛みを感じていなくてもこれから出てくる恐れがあるので、当てはまる方は意識的に改善していく事をおすすめします。
・長時間同じ姿勢でいる(座りっぱなしや立ちっぱなし)
・足を組む癖がある
・バッグや荷物をいつも同じ方で持つ
・姿勢が悪い
・運動不足
6.痛み止めでは根本的な解決にはならない
痛みに耐え切れず痛み止めの薬を飲むなどして対処している方もいるのではないでしょうか。
最近では薬剤師の指導のもとドラッグストアなどでも痛み止めの薬を容易に購入できるようになったため、痛み止め薬の服用で一時的に対処する事もできるようになりました。しかし、痛み止め薬の鎮痛作用は一時的なもので、痛みを改善するための方法ではありません。
数日間程度なら、痛みを緩和するための処置として服用する分には有効ですが、恒常的に服用していると効果が低下してくるので、注意しましょう。
7.まとめ
足の付け根の痛みの原因は上記の通り様々です。痛みが改善しない場合は、整形外科などの専門機関を受診して現状自身のカラダの状態を正しく判断してもらい、対処方法についてアドバイスをもらう事がより効果的です。
痛みが強い場合は決して無理をせずに誰かに相談するなど自分一人で悩みを抱え込まないようにしましょう。
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