【決定版】最強の肩を作る方法をアスレティックトレーナーが伝授!

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全ての球児の願望、「強い肩になりたい」。

体格も変わらないのに、なぜこんなにも投げる球の距離やスピードが変わるのか。肩の強さは持って生まれた才能と諦めていませんか?

この「強い肩」、トレーニングで獲得することができます。そのためには球数を多く投げたり、遠投練習ばかりするのではなく、投球動作を分析した全身のトレーニングが必要です。そこで今回は米国公認アスレティックトレーナーで自身も野球選手としての経験がある山口淳士さんにその方法を寄稿いただきました。この記事だけ読めば、強い肩を作る方法がお分りいただけます。相手チームが震え上がる強肩を手に入れたい方はぜひ参考になさってください。

この記事は山口淳士が執筆しました。
米国公認アスレティックトレーナー(BOC-ATC)/NASM-PES, CES
中京大学体育学部体育科学科卒業後、Bloomsburg University大学院でアスレティックトレーニングを学び、米国公認アスレティックトレーナーの資格を取得。2016年4月に6年間のアメリカ生活を終えて日本に帰国。現在は某大手企業内フィットネスセンターで運動指導などを行っている。また、アスレティックトレーニング系ブログ「CHAINON」と、熱中症ブログ「熱中症ドットコム」を運営している。


目次

1.強い肩とは?(そもそもの定義)

Baseball

肩が強い、といっても色々な要素が含まれます

「野球」というスポーツを考えてみたとき、「あいつ上手だよね」「あの子はうちのチームに欠かせないよね」などと言われる人は、どのような能力が高い人でしょうか?

「バッティングでヒットを打ちまくる人」「脚が速くて盗塁をガンガン決める人」「どんなボールも華麗にさばく人」などなど要素はたくさんあると思いますが、その要素の1つとして「肩が強い人」というのがあると思います。「あいつ肩強いよなー」と言うことがあると思いますが、一体「肩が強い」とはどういうことなのでしょうか?

私は小学校6年間、そして高校3年間野球をしていましたが、「肩が強い」と言うときは、例えば外野からボールをノーバウンドでホームまで投げることができたり、ピッチャーですごく速い球を投げることができたり、そんな人を私は「肩が強い」と表現していました。おそらく多くの人が同じような意味合いで「肩が強い」という表現をしているのではないでしょうか。

ピッチャーがより速い球を投げることができると、ボールが手を離れてからホームベースを通過するまでの時間が短くなるため、バッターはより打ちづらくなります。ピッチャーだけでなく内野手や外野手も、より速い球を正確に投げることができれば、ランナーをアウトにする確率は上がりますね。「強い肩を作る」ことで、野球というスポーツにおいては確実にパフォーマンスが上がり、チームにとってかかせない選手になることができるでしょう。

ですが、いくら速い球を投げることができたり、遠くにボールを投げることができたとしても、数球投げただけで肩が痛くなってしまっては意味がありません。やはり、怪我をせずに、常に速い・強い球を投げることができる、というのも「強い肩」の条件の1つになるのかなと思います。


2.「強い肩」を作り出す様々な要素

強い肩を作り出すためには、肩・肩周りを鍛えることはもちろん必要ですが、それだけで速いボールを投げることや、遠くにボールを投げることができるようにはなりません。肩自体のいわゆる強さだけではなく、様々な要素がうまくかみあうことで、ボールにしっかりと力が伝わります。

「肩の強さ」に関係する要素を1つずつ見ていきましょう。

2−1.肩だけではなく全身を総合的に鍛えることが重要

「強い肩」を作るための研究として、フィットネスジムにあるような筋トレマシンやセラバンド(チューブ)を使った上半身のトレーニングのみを行うことで、投げるボールの球速が上がるのか? もしくはテニスのサーブが速くなるのか? というものがあります。

また、「強い肩」を作るためには上半身と下半身のつながり(=キネティックチェーン)が大切であるという仮説をもとに、上半身・下半身両方のトレーニングを織り交ぜることで球速が上がるだろうか、という研究も数多くされています。

これらの研究を比較すると、野球ボールを投げる球速やテニスのサーブの球速が上がったと結論づける研究の多くは「上半身+下半身のトレーニング」をしたものであることがわかっています。

つまり、肩を強くしたいからと、肩ばかりもしくは肩周りばかりなどと上半身のみのトレーニングを行っていては、なかなか球速アップにはつながらないということ。Lintnerらによる研究では、投球動作において、手に伝えられる力の51〜55%のエネルギーは「脚・体幹部」から生まれており、肩が生み出すエネルギーは全体の13%ほどにしかならない、と示しています。また、Pogettiらの研究によれば、野球の投球動作において肩に伝えられてくるエネルギーの55%は体幹部から生まれるため、体幹部の筋力が足りないと、速くて強いボールを投げることができないだけではなく、肩にかかる負荷も増してしまう(=怪我のリスクが上がる)、と示しています。

よって、肩・上半身のトレーニングを行うことももちろん大切なのですが、「投げる=肩・上半身」とは考えずに、下半身や体幹も含めて総合的に鍛えることによって、ボールに力がより伝わるようになり、球速アップや遠投能力アップにつながっていきます。強い肩を作るために全身を総合的に鍛えるには「プライオメトリクストレーニング」がとても有効になります(具体的なトレーニングは3章で)。

2−2.「肩関節・肩甲帯の安定性」が肩の故障を防ぐポイント

Handsome young man feeling the pain in shoulder at the gym

故障がないことも「強い肩」の要素です

「怪我をしない肩」を作るためにまず重要となるのは、肩の筋力を鍛えることももちろんなのですが、それと同じくらい大切なのが「肩の安定性」を鍛えることです。

肩はぐるぐるとどんな方向にも回すことができるくらい可動域が大きいぶん、とても不安定な関節でもあります。関節が外れてしまう怪我のことを「脱臼」と言いますが、身体の関節の中でも肩関節は非常に脱臼をしやすい関節の1つです。

そして、この肩の安定性を生み出す筋肉「ローテーターカフ(回旋筋腱板)」と呼ばれる筋肉群や、肩甲骨に安定性を与えるインナーマッスル群(菱形筋・大円筋・前鋸筋など)です。とても小さい筋肉達で、大きい力を生み出すことができるわけではありませんが、投球動作において肩関節をしっかりと安定させる非常に重要な役割を果たしています。

いわゆる「力・パワー」を生み出すトレーニングを行うと同時に、ローテーターカフをはじめとした肩関節を安定させるためのトレーニングを並行して行っていく必要があります。球速アップや遠投の力を伸ばすことを考えるのはもちろん大切ですが、怪我をしてしまっては台無しです。肩関節・肩甲帯の筋力や安定性を鍛えるためには「チューブ」を使ったエクササイズや、こちらも「プライオメトリクストレーニング」が有効になります(詳しくは3章で)。

2−3.ボールにしっかりと力が伝わる投球動作

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投球動作を分解すると実に多くの要素が必要なことがわかります

投球動作を分解してみると、上図のようになります。こうやって見てみると、改めて「投げる」という動作は複雑だなと感じますね。この1つ1つのフェイズをしっかりと、そしてスムーズに行うことで、下半身で作り出したエネルギー(パワー)を上半身、腕、手、指、ボールと伝えることができ、力強く速いボールを投げることができます(このことを「キネティックチェーン」と呼びます)。

投球動作の見直し・改善は、下半身・体幹で生み出したパワーを効率よくボールに伝えることができるようになるため、結果として強く速いボールを投げることができるようになります。また、特に小・中・高校生の時点でのフォームの見直しは、リトルリーグ肩や野球肩、野球肘といった怪我の予防にもつながるでしょう。

それでは、怪我のリスクを最小限に抑えた上で球速をアップさせるための、もしくは遠投能力をアップさせるための投球フォームのポイントをお伝えします。特に、まだ成長過程の小・中学生、高校生を指導するコーチやトレーナーの方は、怪我の予防も含めて、基本のチェックポイントとして知っておくべきだと思います。 

骨盤がリードする体重移動

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Aのほうが力強いボールを投げることができます

アーリーコッキング期(Early Cocking Phase)において、Aのように投げる方向へ骨盤から向かっていき、骨盤が体重移動をリードすることで、球速を上げることにつながります。投球動作において体重移動は重要なポイントの1つ。筋力だけに頼らず、骨盤の重さを利用することで、余計な力を使わずにスムーズで効率的な体重移動を行うことができます。

この動きは「Delayed Pelvic Rotation(遅れた骨盤の回旋)」とも言われます。アーリーコッキング期において、できるだけ骨盤の回旋をさせずに体重移動を行い、投げる直前に回旋させることで、球速を上げることができるようになります。逆に言うと、早い段階で骨盤を回旋させてしまい、投げる方向にお腹が向いてしまうと、せっかく下半身で生み出したパワーが逃げてしまい、ボールにうまく伝わりません。

手の甲がボールをリード

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A「手の甲の位置」をマスターしましょう

こちらもアーリーコッキング期の動きです。球速アップや遠投能力の向上とともに、肩の故障を防ぐといった怪我の予防にとっても重要な投球フォームのポイントの1つ「手の甲がボールをリードすること」である、とDavisらの研究によって示されています(彼らの研究内では「Hand-on-topポジション」と明記されています)。

手の甲がボールをリードするというのは、上左の写真Aのようなことです。アーリーコッキング期においてボールを振り上げる際、できるだけ手の甲がずっと上にある状態(=ボールが手の下にある状態)をキープすることが大切です。逆に言うと、早い段階でボールが空の方を向き、手が下側にきてしまう投球フォーム(上右の写真B参照。Davisらの研究内では「hand-under-ballポジション」と明記されています)は、下半身から生まれた力がボールに伝わりづらくなってしまうとともに、肩の故障のリスクも上がってしまう可能性があります。

解剖学的に言うと、前方に踏み出す足が地面に着く直前まで、できるだけ肩の内旋を保ったままにしておくということ。早い段階で肩を外旋させてしまうことは、野球に限らず投球動作を行うスポーツ(バレーボール・バドミントン・テニスなど)においても怪我のリスクを向上させてしまう可能性があります。

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肘を高くキープしましょう

このポジションは「ハイエルボーポジション(High Elbow Position)」とも言われます。「手の甲でリードする」がわかりずらい、もしくは指導する選手に伝わらない場合は「地面に足を着くまでは肘を高く振り上げて保つ」と伝えてみても良いかもしれません。

クローズドポジション

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足が地面に着いた時の体の開きに注意します

こちらもアーリーコッキング期の動きです。Davisらの研究では、「手の甲でボールをリードする」こととともにこの「クローズドポジション」の2つの要素をマスターするだけで、投球動作はかなり向上し、ボールを速く投げること、遠くになげること、そして怪我のリスクを減らすことにつながるだろうと示されています。

クローズドポジションとは、グローブをつけている側の肩のポジション(=リードショルダー)の向きを指します。理想的なポジションは、リード足が地面についたときに、リードショルダーが投げる方向を向いていること(上左写真A)足が地面についたときに肩が開いた状態(上右写真B)になってしまうことで、ボールに100%の力が伝わらないとともに、ボールを投げる側の肩に過度な負荷がかかってしまいます。

つまりこれは「地面に着く足をしっかり投げる方向に向ける」ということも大切ということになります。いくらリードショルダーを開かないように注意していても、地面に着く足が投げる方向よりも開いて着いてしまったら、自然に肩も開いてしまいます。逆に地面に着く足が閉じすぎていても、投げる際に過度な上体の回旋が生まれたり、着いた足首に過度な回旋の負荷がかかってしまいます。リードショルダーをしっかりとクローズの状態に保ちつつ、しっかりと投げる方向に足を着くことを意識しましょう。

3.強い肩を作るトレーニング

肩自体を鍛えるために、またそれと同時に「肩以外の要素」も鍛えるために、具体的にどのようなトレーニングを行えば良いのかをここから解説していきます。

3−1.筋力トレーニング

まず大前提として、肩の故障を予防しながら球速アップ・遠投力アップを目指すためには、投球動作に特化した筋トレの前に、基礎的な全身の筋力が必要になります。上半身・下半身・体幹の筋力トレーニングについては、当ブログの以下のページを参考にしてください。 

背中を徹底的にトレーニングするためにおさえたい筋トレ10選 

ダンベル筋トレ30選!自宅で全身を徹底的に鍛えるトレーニング 

一週間筋トレメニュー|初心者〜上級者まで全身を鍛える111種目 

基礎的な全身の筋力を鍛えながら、同時に投球動作に特化したトレーニングも行っていきましょう。上記したように、肩を強くするためにまず大事になるのが「肩関節・肩甲帯の安定性」です。安定性を鍛えるためのトレーニングに重い負荷や強い負荷は必要ありません。チューブなどを使って小さな負荷を与えながら、正しいフォーム・やり方で行い、関節に安定性を与えるインナーマッスルを鍛えていきます。

以下の動画をぜひ参考にしていただければと思います。

肩関節内旋・外旋エクササイズ① 肩関節外旋①

肩関節内旋①

「肩関節外旋①・内旋①」は、とても有名な肩のチューブエクササイズの1つです。野球をされている方は、一度はやったことがある方も多いのではないでしょうか? わきにタオルなどを挟んで肘を90度に曲げ、内側から外側に(=外旋)、もしくは外側から内側に(=内旋)チューブを引きます。

肩関節内旋・外旋エクササイズ② 肩関節外旋②

肩関節内旋②

動きとしては①と同じ肩関節の内旋・外旋のエクササイズですが、より投球動作に近い形で負荷をかけるチューブエクササイズです。肘を肩の高さまで挙げた状態で肘を90度に曲げ、肘の位置が変わらないようにしながら肩を回旋させていきます。

D2 ダイアゴナル・エクステンション(D2 Diagonal Extension)

写真のように片膝立ちで行うか、もしくは投球動作を行うように立位で行います。自分が投球動作を行う際の一番高い位置でチューブを持ちます。親指は天井〜後方を向き、手のひらが自分を向くようにしてチューブを掴みます(=肩外旋・肘回外位)。そこからボールを投げるような動作で対角線に引っ張り、自分の左股関節前(右投げの場合)に持ってきながら親指が下を向き、手のひらが右側を向くようにします(=肩内旋・肘回内位)。

D2 ダイアゴナル・フレクション(D2 Diagonal Flexion)

上記したダイアゴナル・エクステンションの逆バージョンですね。右投げの方の場合は、左股関節の前からスタート。対角線に引っ張って持ち上げます。

D1 ダイアゴナル・エクステンション(D1 Diagonal Extension)

上で解説したD2ダイアゴナル・エクステンションと似ていますが、引っ張る方向が変わります。腕をクロスした状態で、親指が後方に向き、手のひらが外側を向いた状態(=肩関節内旋・肘関節回内)からスタート。対角線に引っ張りながら、手のひらを逆側に向けていきます(=肩関節外旋・肘関節回外)。

D1 ダイアゴナル・フレクション(D1 Diagonal Flexion)

D1ダイアゴナル・フレクションは逆に、下から斜め上に引っ張り上げます。

ウォールウォーク

ミニバンドやセラバンドを両手首に通します。肩幅に広げ、前腕を平行にキープしながら、小さく3ステップずつ上下に動かしていきます。肩関節の安定性を鍛えるのにとても良いエクササイズです。チューブの強度が強すぎるとローテーターカフ以外の大きい筋肉が活動を始めてしまうので、強度は弱めで充分です。

ウォールスライド

前鋸筋を活性化させるのにとても良いエクササイズです。タオルを壁にあて、前腕で押さえます。しっかり手と肘で壁を押しながら、タオルを上下にスライドさせていきます。動画ではチューブを手首に通してやっていますが、チューブは使わなくても大丈夫です。

リズミックスタビライゼーション 仰向け

選手は仰向けになって、腕を天井に向かって上げます。トレーナーは選手の手首のあたりを360度色々な方向から少しだけ押します。選手はなるべく腕が動かないようにその位置に固定しようとします。肩関節が不安定なポジションにきたときにインナーマッスルが素早く反応するように鍛えるエクササイズです。

リズミックスタビライゼーション 90/90

より投球動作に近いポジションでもやってみましょう。仰向けのときと同じように、一度セットした位置からなるべく動かないように押された力に反応しましょう。

3−2.プライオメトリクストレーニング

しっかりと肩の安定性を鍛えたら、プライオメトリクストレーニングを行います。詳しくは私が以前に書いた「プライオメトリクストレーニング」の記事を読んでいただきたいのですが、腕をムチのようにしならせてボールを投げるためにも、ストレッチショートニングサイクルを体に覚えさせることは非常に重要です。肩周りをメインに鍛えるプライオはもちろん、下半身と連動させて全身を使って行うプライオも行っていきましょう。

オーバーヘッド・サッカースロー

メディシンボールを両手で持って、壁の近くに立ちます。そしてサッカーのスローイングのように壁に投げます。ボールが跳ね返ってくるので、それをしっかりキャッチして、また投げます。慣れてきたら動画のようにテンポを早くして行いましょう。

90/90 外旋スロー

より投球動作に近い動きでトレーニングを行い、その動きに必要な筋力を鍛えていきます。選手はボールを持ち、斜め後ろにいるトレーナーに向かってボールを投げます。慣れてきたら、斜め後ろからトレーナーにボールを投げてもらい、それをキャッチして、投げ返します。キャッチの際に一気に肩に負荷がかかって筋肉や腱が引き伸ばされるので、肩の安定性を鍛えることができます。

90/90 プライオドリブル

肩周りのストレッチショートニングサイクルを効果的に鍛えることができます。リズムよく行いましょう。

チェストパス・エクスプロージョン

下半身が生み出した力を上半身に伝えて行うエクササイズです。両足を前後に広げ、前方に勢いをつけて踏み出しながら、できるだけ強いボール、そしてできるだけ遠くにボールを飛ばすように投げます。

ヒッタースロー

メディシンボールを肩に担ぐように持ちます。右足で地面をしっかりと押して(右投げの場合)左足に体重移動しながら、できるだけ強く壁にボールを投げます。動画では壁から跳ね返ってきたボールをキャッチしていますが、直接キャッチする必要はありません。もう少し壁から離れ、より強いボールを壁に投げることを意識しましょう。

スクワット・バーティカルスロー

メディシンボールを胸の前で持ちます。スクワットをして、立ち上がると同時にしっかりと両足で地面を押して、ジャンプしながら真上にできるだけ高くボールを投げます。

オーバーヘッドスラム

腕の力だけに頼らず、全身を使って、できるだけ強くボールを叩きつけるように投げましょう。

ダイアゴナル・チョップ

片膝立ち(もしくは後ろ脚の膝を地面から浮かせてスプリットスタンス)になり、ボールを対角線に斜め上から地面に叩きつけるようにボールを投げます。腕の力だけに頼らず、上半身全体を使って強いボールを投げることを心がけます。

4.まとめ

肩を強くする方法を紹介しました。より速く遠くへボールが投げられるようになるには、投球練習だけでは不十分で、基本的な体づくりや、フォームの改善、下肢から上肢への動力の伝達などが必要です。即座には効果が感じられないかもしれませんが、継続して行うことで体得でき、同時に怪我を予防することができます。ぜひ焦らずじっくり取り組んでください。

【参考文献】

Myers NL, Sciascia AD, Westgate PM, Kibler WB, Uhl TL. Increasing Ball Velocity in the Overhead Athlete: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Journal of Strength and Conditioning Research. 2015;29(10):2964-2979. doi:10.1519/jsc.0000000000000931.

Escamilla RF, Ionno M, Demahy S, et al. Comparison of Three Baseball-Specific Six-Week Training Programs on Throwing Velocity in High School Baseball Players. Medicine & Science in Sports & Exercise. 2011;43(Suppl 1):836-837. doi:10.1249/01.mss.0000402330.94220.56.

Carter AB, Kaminski TW, Jr ATD, Knight CA, Richards JG. Effects Of High Volume Upper Extremity Plyometric Training On Throwing Velocity And Functional Strength Ratios Of The Shoulder Rotators In Collegiate Baseball Players. Journal of Strength and Conditioning Research. 2007;21(1):208-215. doi:10.1519/00124278-200702000-00038.

Davis J, Limpisvasti O, Fluhme D, et al. The Effect of Pitching Biomechanics on the Upper Extremity in Youth and Adolescent Baseball Pitchers. The American Journal of Sports Medicine. 2009;37(8):1484-1491. doi:10.1177/0363546509340226.

Pogetti LS, Nakagawa TH, Conteçote GP, Camargo PR. Core stability, shoulder peak torque and function in throwing athletes with and without shoulder pain. Physical Therapy in Sport. 2018;34:36-42. doi:10.1016/j.ptsp.2018.08.008.

Lintner D, Noonan TJ, Kibler WB. Injury Patterns and Biomechanics of the Athletes Shoulder. Clinics in Sports Medicine. 2008;27(4):527-551. doi:10.1016/j.csm.2008.07.007.

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