ストレッチのやり方についてお調べですか?
そのお知りになりたいことはシーンや部位によって、「どんな」「いつ」「どのように」「どれだけ」やればいいのか、ということだと思います。
実際に、いろいろなメディアで出ている方法は無数にあると思いますが、皆さんが知っている方法は少ないと思います。
そこでこの記事では、ストレッチのプロである私たちが、これまでに記事でご紹介した方法のなかから、シーンや部位に応じてお勧めの方法をチョイスしたものをお伝えいたします。
この記事を読んでいただき、紹介している方法を行い、リンク先の記事にあるさまざまなストレッチを行うことで、皆さんの目的に応えることができるはずです。
記事の最後にはストレッチの簡単なイラストを掲載していますので、これだけでも全身のストレッチをおこなうことができるでしょう。ストレッチのやり方や方法をお探しの方はぜひ参考になさってください。
目次
1.必ず知っておきたいストレッチの五原則
まずはストレッチを行う前に覚えておきたい基礎知識をお伝えします。
1−1.運動前に向いているのは動的ストレッチ
運動前のストレッチはその後の運動のパフォーマンスをアップさせるために行うものです。つまり「ウォーミングアップ」の要素が高いものを行います。リズム系エクササイズなどがそれで、これを「動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)」と呼びます。
最も有名で分かりやすいものは「ラジオ体操」です。
特徴としては、動きながら行うことで、ストレッチしながら関節の動きや筋肉を温め、心拍数も上昇させていくものです。これによりその後の練習をこなすことができるカラダの状態を作り上げることができるのです。
このことから、起床直後にも適している運動といえるのです。
1−2.静的ストレッチはカラダが温まった状態で行うのがおすすめ
ポーズを止めて筋肉を伸ばすストレッチです。一般的にストレッチというとこちらのほうをイメージされる方が多いでしょう。
筋肉の柔軟性や関節の可動性を高める狙いがありますが、筋肉が温まっているときに行う方が効果が高く安全です。
運動後、手足の末端に滞りがちな血流を心臓に戻す効果や、同じ動きの連続で負荷がかかった筋肉を、逆方向にストレッチすることでバランスをとる効果があります。
血圧、心拍、呼吸を落ち着かせることもできるので、お風呂上がりや日中の休憩時、おやすみ前に行うことで効果を実感することができます。
- 「練習前は静的ストレッチは絶対に禁止!」ということではありません。カラダが温まっている状態で行うべき、と書きましたが練習のウォーミングアップの一つに静的ストレッチを組み込まれているチームも多いと思います。グラウンドや体育館を何周か走ったあとだったり、練習会場まで徒歩や自転車で来る場合には既に静的ストレッチのための準備は整っていると考えられるでしょう。
1−3.呼吸は止めない
頑張ったり痛みに耐えるために呼吸を止めてしまうことがあります。これは一生懸命伸ばすことで早く柔軟性が向上すると考えるからかもしれません。
呼吸を止めると、狙った部位以外に力が入り効果が得られません。また疲労を発生させる原因にもなります。自然な呼吸のままストレッチするようにしましょう。
1−4.痛みを感じるまではやらない。ケガをしているときはその部位は行わない
痛みを感じるまで伸ばしても効果はアップしません。それどころか伸ばしすぎた反作用で、筋肉はストレッチ直後に縮もうとする作用があります。
「心地よさ」を感じる程度が、筋肉にも脳にもベストなテンションです。
同様に、二人一組で行うペアストレッチでは、負荷をかける方が限界を超えて押したり伸ばしたりしてはいけません。ケガを起こす可能性が大きくなります。
また、ケガをしている場合、ストレッチを行っても、回復は早まりません。たとえばふくらはぎやハムストリングス(もも裏)の肉離れを起こした直後に、回復をはやめようとストレッチを行うことは逆効果です。
痛みがなくなったあとに、医師や理学療法士などに相談したうえで行うようにしてください。
1−5.一動作10〜20秒、二〜三回が目安
どれくらいやったらいいのか、とは大抵の方が思うでしょう。実は「ストレッチに最適な回数、時間」というものについてエビデンスはありません。しかしやりすぎは何ごとも逆効果になることは考えられます。
「心地よいストレッチ感を感じられ、負担にならない程度の回数」として、特に指示がない場合は一動作10〜20秒、二〜三回繰り替えすようになさってください。
2.シーン別ストレッチのやり方
この章では日常によくあるシーンに応じたストレッチの方法を紹介していきます。
2−1.起床時や運動前、仕事前のストレッチ
お伝えした通りこれから活動するタイミングでは動的ストレッチが望ましいです。とはいえいきなり大きな動きをするのではなく、小さくカラダの負担の少ないものから行うようにしてください。
■肩回しの体操
足を腰幅から肩幅くらいまで開き、両手を肩に当てます。肘を大きく回すようにして腕を回していきましょう。この時に肩甲骨の動きを感じながら行うことがポイントです。左右10〜15回を目安に行いましょう。
■みんなの体操
ラジオ体操第一・第二に加えて平成十一年にできた体操です。テレビ体操でもほぼ毎日放送されています。
動的ストレッチの方法は別記事「ウォーミングアップは必ずやろう!その理由と効果的な7つの方法+α」にて詳しく紹介していますので参考になさってください。
2−2.お昼休みや休憩時のストレッチ
オフィスや家庭のダイニングで手軽にできるよう、椅子に座ったままのストレッチをご紹介します。
■胸のストレッチ
デスクワークや家事で前屈みの態勢が続くと胸の筋肉が緊張します。このことが肩こりの原因として考えられることもあります。背もたれを使って胸の筋肉を伸ばしましょう。
エクササイズ方法:
きれいな姿勢を意識して座り背もたれに手をかけます。背もたれがない場合は後ろで手を組みましょう。上半身を起こして胸を軽く反らすようなイメージで開き、ストレッチをかけていきます。
20~40秒を目安に行いましょう。
腰は反らさずに肩甲骨を少し寄せるようなイメージで行いましょう。
■ねじり呼吸
カラダをねじることで背中と胸の動きを改善します。このストレッチを行うことでカラダが軽く感じる方も多いかもしれません。
エクササイズ方法:
きれいな姿勢を意識して座ります。
右側に上半身をねじり、右手を背もたれにかけます。
目線は後ろ側を向き、20~40秒を目安に左右ゆっくり呼吸を行いましょう。
左右2~5回ずつ行い、カラダをほぐしましょう。
椅子に座ったままのストレッチは別記事「オフィスストレッチ5選!始業前や昼休みにスグできる肩こり解消法」にてさらにご紹介しています。
2−3.夕方、足のむくみが気になるときのストレッチ
立ち仕事による足の疲れやデスクワークで一日中同じ座り姿勢でいると、下肢の筋肉が縮こまり血行やリンパの流れが悪くなります。このことが足のむくみの原因となります。足のストレッチで改善しましょう。
■もも裏のストレッチ
ももの裏の筋肉を伸ばすストレッチです。背中が丸まってしまわないよう、骨盤を起こしたいい姿勢でストレッチを行いましょう。
①椅子に浅く座り、坐骨で座面を捉え、背筋を伸ばして胸を張ります。
②片方の脚を伸ばし、まっすぐな姿勢を保ったまま、体をつま先に向かって倒しましょう。
③背中が丸まらないように注意しながら、自然な呼吸で姿勢を保ちます。
④ももの裏から膝裏にかけての伸びを感じたら、そのまま30秒キープします。
⑤左右を変えて同様に行ってください。
・筋肉の伸びを感じられない方は、さらに手を遠くに伸ばし、つま先を掴んで体を前に倒しましょう。
■すねのストレッチ
すねの前の筋肉を伸ばすストレッチです。足首を同じ形で固めていたことで、筋肉が硬くなってしまっています。足の甲をできるかぎり床に近づけ、すねの筋肉全体が伸びるようにストレッチを行いましょう。
①椅子に浅く座り、片側のお尻だけを乗せ、背筋を伸ばして胸を張ります。
②椅子の外側に出ている足のつま先を立て、そのつま先を後ろへ滑らせていきます。
③つま先が外側や内側に向かないように注意しながら、自然な呼吸で姿勢を保つのがポイント。
④すねの筋肉の伸びを感じたら、そのまま30秒キープしましょう。
⑤左右を変えて、同様に行ってください。
下記の記事では足のむくみのためのストレッチをご紹介しています。
プロトレーナー直伝!オフィスで今できるストレッチ:足のむくみ編1
プロトレーナー直伝!オフィスで今できるストレッチ:足のむくみ編2
2−4.運動後のストレッチ
運動後のストレッチをおろそかにされるケースがあります。「時間が足りない」「練習が終わったあとで面倒くさい」「若いから回復が早いので…」といったようなものです。
プロ選手やアマチュアでもトップレベルのチームは必ず行っています。疲れを翌日に残さないために、またケガ予防の観点から必須事項としているのです。ここでお伝えする方法を参考に、練習の一環として必ず取り組んでください。ポイントは「一ヶ所だけではなく全身をくまなく行うこと」です。
■広背筋のストレッチ
背中の筋肉です。四つんばいの態勢をとります。腕を伸ばしたままお尻を後ろに下げていきます。背中の筋肉(広背筋)にストレッチ感を感じてください。30秒までが目安です。3セットくらいまでを目安に。
■肩甲骨と上腕のストレッチ
その態勢のまま片腕を横に伸ばし、顔を反対方向に向けて床につけます。肩を内側にいれるイメージで肩甲骨にストレッチをかけてください。左右で行ってから今度は胸の前を通して反対方向に伸ばします。最後にヒジを床につけて、同じ側の肩甲骨に触れるようにストレッチをかけます。
■ヘッドオーバー〜下肢のストレッチ
仰向け寝になり腕を広げ、腰から足をオーバーヘッドして床に着くくらいまで持ち上げます。5カウントしたら、写真のように起き上がりそのままつま先をタッチします。再びオーバーヘッドし、こんどは足を開いて両足先をタッチ。さらに、オーバーヘッド+片足先ずつタッチを行います。慣れてきたら2〜3セット行えるようにします。
運動後に行いたい全身の静的ストレッチについては「クールダウンに最適な静的ストレッチで疲労軽減&筋発達促進」にて詳細にご紹介しています。
2−5.入浴後、おやすみ前のストレッチ
入浴後はカラダが温まっているため、筋肉を伸ばすのには非常に適しています。
また、入浴+ストレッチで血行を良くし、カラダを温めると、睡眠にも良い効果があります。
おやすみ前ストレッチを行う最適なタイミングは就寝1時間前までです。就寝までの残り1時間は安静に過ごすようになさってください。
■おしりのストレッチ
デスクワークなどで座っているシーンが多いと、おしりの筋肉はほとんど動かずに固まってしまいます。おしりの筋肉が固まったり使えなくなってしまうと、猫背やおしりのたるみにもつながりますのでしっかりストレッチしましょう。
膝を立てて座り、片足を太ももに引っかけるように横に開きます。足をカラダに近づけるようにすると、おしりがより伸びます。
背中が丸まらないように気を付けましょう。
■ももうらストレッチ
ももうらも座り姿勢が多いと固くなりやすい筋肉です。
膝を長時間曲げたままにしていると、膝の裏あたりから固まってしまい、前屈すると痛みが出るようになってしまいます。
両足を開き、片膝を曲げましょう。
伸ばしている方の脚のつま先をつかむように、カラダを倒します。
なるべくカラダをまっすぐにしながら行うと、ももうらが伸びます。(背中を丸めると、背中のストレッチになります。)
☆応用編☆
反対側の手でつま先を触ろうとすると、脇腹もストレッチできます。
寝る前ストレッチの方法や効果を上げるコツについては以下の記事で詳しくお伝えしています。
2−6.ストレッチでダイエット効果は?
ストレッチだけではなかなか減量することはできないだろう、と多くの方はお考えでしょう。実際に直接的な効果としては、考えにくいです。それでも普段使わない筋肉を使い血流を増加させることで、運動を行う準備にはなります。
何もやらないよりはやった方がいいのです。運動習慣のためのとっかかりとしてストレッチはおすすめです。
以下のようなストレッチから行ってみましょう。
■大の字ストレッチ
仰向けで脚を最大限に開いて横になります。上半身を倒す方の手を頭の上に伸ばし、反対側の手をまっすぐ前に出しながら上半身をひねります。
ひねった状態で息を吸ったときに、お腹を横に平べったくふくらますようなイメージでゆっくり呼吸をしましょう。同じように反対側もおこないましょう。左右30秒間ゆっくり呼吸をしてリラックスしましょう。
■簡単腕立て伏せ
これはストレッチではありませんが、運動を始めようとする方にお勧めのエクササイズです。
運動習慣のない方にとって、普通の腕立て伏せはかなり難しいものです。ヒザをついて行うことで難易度がかなり下がります。
手の幅が肩幅かそれより少し広めに開き床につけます。このとき両手は胸の高さにおきましょう。
カラダは一直線をキープ、胸の張りを意識し、肘を外側に曲げながらゆっくりカラダを下ろしていきましょう。この動作を繰り返しおこないます。
「とりあえず10回」という目標を立てるのも良いですが、回数よりも正しく行う方が効果的です。カラダを一直線のまま、しっかりヒジを曲げきるようにやると2〜3回でもキツいかもしれません。最初はそれで大丈夫です。
3.部位別ストレッチ集10選
気になる部分のストレッチを行いたい方のためにこの章では部位ごとのストレッチ方法記事をお伝えします。
■首のストレッチ
ガンコな首こり解消は「全方向伸ばし」!今すぐ実感7つのストレッチ
■肩のストレッチ
肩こり解消ストレッチ!簡単でスグによくなる7つの極上ほぐし方
【極上ストレッチ7選の概要】下図はこの記事でご説明しているストレッチの全貌です。一度やり方をおぼえていただければ、この図を見るだけでプログラムがおわかり頂けるかと思いますので、ご活用ください。
■肩甲骨のストレッチ
肩甲骨の動きを良くすることで、肩こり解消や五十肩予防になります。
■胸のストレッチ
前章でお伝えした通り、胸は日常動作やスポーツで縮こまりがちです。放置しておくと猫背の原因になります。
胸ストレッチで猫背・肩こりを改善!最大効果の3種目+ツール活用法
■背中のストレッチ
5分でカラダが楽になる!最も簡単で効果的な背中のストレッチ3選
■腰痛ストレッチ
腰痛時(原因のはっきりしない腰痛症)は、ストレッチに加え体幹トレーニングを行うようになさってください。
腰痛ストレッチ&体操・7つの筋肉活用で慢性腰痛にサヨナラする方法
■股関節ストレッチ
■ハムストリングスのストレッチ
■ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎストレッチ・むくみ解消に不可欠な二つの筋肉攻略法5選
■足のストレッチ
当ブログでは、この他にも100記事以上ストレッチの方法についてお伝えしています。
PCの方は各画面右上の検索窓より、スマートフォンやタブレットの方は右上のメニューバーから検索窓を開き、お知りになりたいキーワードを入力なさってください。
4.まとめ
ストレッチのやり方についてお伝えしました。ひとことで「ストレッチ」といってもシーンや部位、目的によって様々な方法があります。
実施する際は一つの部位、一つの動作だけやるのではなく、全身まんべんなく行うようになさってください。
この記事でご紹介した方法がお役に立てば幸いです。
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