デスクワークや体力業務に関わらず、社員の皆さんの健康づくりはどの会社でも喫緊の課題です。
貴重な社員の方が健康を害して職場を離脱すると、その代わりはききません。
その結果ほかの社員の方へのしわ寄せが増大し、ストレスが高まり悪循環を生み出します。また誰か一人が健康を害した場合は、他の方にも同様のリスクがある可能性が高いです。放置しておくと事業が継続できなくなる恐れがあります。
健康診断は健康維持や病気予防のひとつの施策となりますが、それだけでは十分とは言えません。
質の高い休養や睡眠、食事のコントロールに加えて、日頃からカラダを動かす機会を作ったり、休憩時間には十分なケアをしていただく取り組みが必要になります。
社員の方にとっても、仕事とは違うカラダの動かし方をしたり、リフレッシュすることで仕事の集中力や能率が向上するというメリットがあります。
そこでここでは、オフィスにぜひ用意されたほうがいいと思われるストレッチ系アイテムをご紹介します。当ブログ総監修者のアスレティックトレーナー石塚利光が自信をもってお勧めするものです。記事では使い方や職場に運動習慣を定着させるコツについてもご紹介します。「我が社にも何か」とお考えの方はぜひ参考になさってください。
目次
1.オフィス(職場)でぜひ用意したいオススメツール7選
「健康増進のために運動をやりましょう」といってもなかなか難しいのではないでしょうか。ツールがあることで運動をするきっかけづくりになります。一とおりのツールが揃うと社員の方も会社の真剣な気概を感じ、またモチベーションが上がります。
また、ツールなしで行うよりもツールを使ったほうが圧倒的に効果が上がります。
オフィスで揃えたいツールは以下のようなものです。
・前屈みなどの不良姿勢を改善する運動ツール
・腰痛予防等の効果がある体幹トレーニング用の運動ツール
・ストレッチの効果が増大する専用ツール
・オフィスのフロアをトレーニングスペースにするツール
これらに最適なものを以下にご紹介します。
1−1.ストレッチポール®
ストレッチポール®は当ブログを運営する㈱LPNが製造販売する運動用品です。
円柱上のこのツールの上に仰向けで寝るだけで、胸が広がり呼吸が深くなります。また、姿勢に関係する深層筋肉がゆるめられ正しい状態にリセットされるので、背筋がシャン!と伸びます。この点で、パソコン作業やデスクワークで頭部が前に来やすい方や、運転や座り仕事で腰に負担がかかる方におすすめです。
実際に当ブログ編集部でもスタッフ全員が休憩時はストレッチポール®に乗り疲労をリセットしようとしています。
また胸や脚などの凝った部分に当てて体重をかけると、効果的なマッサージが可能です。さらにはストレッチの補助ツールとして使うこともできます。
実際に島根大学医学部で行われた研究では以下のとおり発表されています。
療養病棟の看護・介護職員の腰痛対策として,ストレッチポールを使用したエクササイズを行った。その 結果,股関節可動域と指床間距離の拡大,および痛みの主観的評価の改善が認められ,ハムストリングスの柔軟性を高めて腰痛軽減の効果があることが示された。出典:ストレッチポールを使用した療養病棟職員の腰痛軽減効果 林正和ら 島根大学医学部紀要 36, 73-78, 2013-12-01
たった5〜10分でいろいろな使い方ができ、リフレッシュできますので大変お勧めのツールです。
ストレッチポール®は同様のツールの元祖ともいうべき製品。芯材や外生地の素材、縫製にこだわりがあり耐久面でも優位性があります。オフィス等で多数の方が長期間使用されるにはぜひ正規品のストレッチポール®をお勧め致します。
■ストレッチポール®の代表的なエクササイズ
床磨き運動は、肩甲骨に振動を与え周囲の筋肉をほぐす効果があります。
ストレッチポールに仰向けで横になります。ヒジと手の甲を床に着けた状態で手の甲で床に小さな円を描きます。
時計回りや反対回りに回しながら、自分の回しやすい方や回しにくい方を感じてみましょう。
ポイントはあまり大きな円を描くことではなく、肩甲骨周りへの小刻みな振動を加えることです。手で描く円は500円玉位をイメージすると良いでしょう。
自然な呼吸で自分のリズムで10~20回ほどを目安に行います。
その他のストレッチポール®のエクササイズは別記事「ストレッチポール®の基本的な使い方」を参考になさってください。
※ストレッチポール®を使用した運動の効果は、個人差があり万人に同様の体感をもたらすものではありません。
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。
1−2.ヨガマット
オフィスの床をトレーニングスペースに変える魔法の1枚です。通常の床では、そのまま座ったり横になったりすることに抵抗がある方が多いと思います。ヨガマットを使用することで、それらが払拭されます。オフィスのフロアの場合は下記のような利点もあります。
・クッション性があるので床から身を守ることができる。冷たく不衛生な床に触れることを避ける
・グリップ力があるので、ストレッチなどの動きがとりやすい
・ストレッチやトレーニングをしようという気分が高まる
また、外部からストレッチやヨガの指導者の方を招く際も、ぜひ催行人数分を用意しておきたいものです。
1−3.ストレッチポール®ひめトレ
ストレッチポール®ひめトレ(以下ひめトレ)は椅子の上に置いて使用する“骨盤底筋”トレーニングツールです。骨盤底筋は呼吸や姿勢に大きく関わる大事な筋肉ですが、これを意識することが難しい深層筋肉。ひめトレを使用することで、正しい感覚を体得することができます。
ひめトレの上に座ることのメリットは下記のようなものです。
・正しく疲れにくい座り方がわかる
・腹式呼吸の方法がわかる
・内臓や背骨が正しい位置でキープされるようになる
ひめトレは足の下でコロコロすることでも、足部の血行促進が行え夕方の足のむくみ解消を促進することができます。手軽に使えてメリットが大きいツールです。
■ひめトレの代表的なエクササイズ
ひめトレに座り両手を引き上げます。
手のひらを外側に向けてヒジを曲げながら肩甲骨を寄せます。
この時、ひめトレが当たっている部分(骨盤底筋)を引き上げてキープしておくことがポイントです。ゆっくりと自分のペースで5回行いましょう。両手を動かしても骨盤底筋から力が抜けないように注意してください。
その他のひめトレエクササイズは別記事「ひめトレの基本的な使い方」を参考になさってください。
1−4.トレーニングチューブ
肩こりや腰痛の予防には、ストレッチだけでは不十分で、よい姿勢をキープできる体幹と筋力をつけることです。
トレーニングチューブ(以下チューブ)は、最もシンプルなトレーニングツールです。ゴム等の素材の反発力を利用し、自体重で行うよりも高い負荷をかけたり、ツールなしではできないトレーニングを行うことができます。
チューブにはいろいろなタイプがありますが、共通するメリットは以下になります。
・椅子で使用しやすい(どこかに結ばなくとも、両端を手や足にいれるだけで様々なトレーニングができます)
・簡単なトレーニングが多い(説明書のやり方をマネするだけで効果が上がります)
・高額な用品と同等のトレーニングができる(昔あったエキスパンダーは数千円しましたが、チューブなら1/10程度の価格です)
・安価なトレーニングツールなので本数や種類を多く揃えることができる(負荷の種類が多いので、様々な体力に合わせて選べる)
チューブにはひも状やハンドル付きのものなどさまざまな種類があります。オフィス用に揃える場合で、どれか一つを選ぶなら「表面が平らな幅の広い輪状のもの」をお勧めします。1パッケージで強度の違う複数種類が入っているものがあります。
■チューブトレーニングの例
(左)ヒザ下に通します。ゆっくり開きと閉じを繰り返します。開く時は脚の外側、閉じる時は内側の筋肉に効いていることを感じてください。ゆっくり10回を2〜3セット。
(中)足首に通します。片足を前に伸ばします。その後戻します。床に足をつけないまま繰り返します。10回行って、反対の足も行います。2〜3セット。
(右)足首に通したまま後ろに片足を引きます。ヒザは伸ばしたままです。ハムストリングのトレーニングになります。
腕での使い方やその他の方法は別記事「チューブトレーニング決定版50選!部位別引き締めメニュー」にて、詳細な使用方法をご紹介していますので、参考になさってください。
チューブとひめトレの同時活用で、より効果的にトレーニングを行うことができます。これはひめトレを置くことで、体幹を引き締めながら正しい姿勢で運動できるからです。鍛えたいポイントに適切にアプローチできるようになります。
チューブの種類は違いますが、Youtubeにてひめトレとの組み合わせエクササイズをご紹介していますので、参考になさってください。Youtube動画 ひめトレ&チューブの組み合わせで本質的なエクササイズが可能になります
1−5.スイングストレッチ®
スイングストレッチ®もLPNが製造販売するトレーニングツールです。股関節周辺の状態を整えます。また肩甲骨まわりの動きの良さを実感する方もいます。
決して汗をかいたり呼吸が荒くなるトレーニングではなく、ストレッチポール®同様にリラックスして乗って左右にユラユラするだけです。
実際に筆者も股関節のツマリを感じた時に、1〜2分行っていますが改善を実感します。
本来はカラダのヒネリ動作が多いゴルファーの方に向けて開発されたものです。作業でも回旋運動の多い方(もしくは少ない方)にはぜひ試していただきたいものです。足や腕が上げやすくなるなどの効果も感じます。
お勧めの使用法は、ストレッチポール®でカラダをゆるめ、ひめトレで体幹を締め、スイングストレッチで動きを出すというものです。
スイングストレッチについて詳しくお知りになりたい方は別記事「スイングストレッチ紹介ページ」を参考になさってください。
1−6.ストレッチアウトストラップ
「柔軟性を向上させる」というストレッチ本来の目的を効果的に行えるツールです。一見ただのベルト状ですが多くの輪ができており、この輪を手に持ったり足に引っ掛けるなどしてストレッチを行います。
専門的にはPNF(固有受容性神経筋促通法)ストレッチという方法ができるツールです。実はPNFストレッチは一人でやることは難しいのですが、それを可能にしたのがこのストラップなのです。
細かい理論は省略しますが、解説書をもとに行っていただくと、筋肉の伸びや関節可動域の向上が体験いただけるはずです。英語版ですが詳細なエクササイズの解説書が同梱されているのですぐに行っていただけます。
記事執筆時点(2017年1月)では、パフォームベタージャパンのサイトでセールにて販売されていました。
1−7.バランスボール
オフィスの椅子をバランスボールにしている方もいらっしゃるでしょう。もしかするとオフィス全体で採用しているところもあるかもしれません。
背もたれがないので、自然とよい姿勢がとれる感じがしますが、注意も必要です。
それは「単に座っただけではよい姿勢にはならない」ということです。なぜなら腹圧を下げた不良姿勢のままでも座ることができるからです。それだと全く効果がないばかりか、不良姿勢を増進させることにもなります。単に座り姿勢をよくするだけなら“ひめトレ”が手軽にできておすすめです。
バランスボールは、やはりトレーニングスペースで運動を行うのがベストです。体幹トレーニングを効果的に行うことができます。
■バランスボールトレーニングの方法
骨盤の前傾と後傾を行う運動です。デスクワークや運転姿勢のままだとどちらかで固定されがちです。バランスボール上で両方の動きを行うことで骨盤の調整を行います。
そのまま左右にスライドします。また回しながら上記の動きを組み合わせることで、より効果的なエクササイズになりますので挑戦してみてください。
また、下記の動画ではバランスボール上でのPNFテクニックによるストレッチ方法を紹介していました。ぜひ参考になさってください。(動画制作者:岡山改善様)
また別記事「写真でわかる!バランスボール部位別トレーニング30選」にてさらにトレーニング方法をご紹介していますので参考になさってください。
2.運動習慣をオフィスに定着させるコツ
せっかく職場に導入しても使用してもらわなければ意味がありません。この章では社員の皆さんにツールを有効活用していただくコツをご紹介します。
2−1.導入を強くアピールする
「いつのまにか置いてあった」「どうやって何のために使うかわからないね」という状態を避けることが最も大事です。口頭や紙、メーリングリストなどをフル活用して、社員の皆さんにアピールしましょう。次のポイントに留意なさってください。
・どういった“願い”で運動習慣を定着させることにしたかを冒頭に伝える
・なぜそのツールを導入したか、目的と効果を伝える
・分かりやすい使い方を記し、使用場所にポスターとして貼る
・定期的に活用を促す。効果を感じた社員の声を伝える
・役員や管理職が率先して使ってみせる。運動経験者や愛好者の協力もあおぐ
2−2.職場での目標を決め、達成の際は全員で喜ぶ
まずは「健康増進5カ年計画」のようなものを作成します。それは健康について5年間でどのような職場にするかを目標として打ち立てます。大企業や自治体が作成したものが参考になります。建設機械メーカーのコマツでは下記のように策定していました。
(1) 生活習慣病・がん対策:生活習慣病の予防および罹患者の低減、重症化予防
(2) タバコ病対策:喫煙率低減および受動喫煙の防止
(3) メンタルヘルス対策:メンタルヘルス不調者の低減、早期対応・適切な職場復帰支援、および 明るくいきいきと働ける職場づくり
(4) 健康障害リスク対策:作業環境および作業に基づく健康障害リスクの排除と低減
(5) 国内小規模事業所対応:小規模事業所(営業・サービス拠点等)における健康づくり支援
(6) グローバル対応:グローバルな安全衛生・健康管理施策の策定と推進
出典:コマツ 労働安全衛生
ここから逆算スケジュールと細分化、具体化をして中期目標を打ち立てていきます。数値化してイメージしやすいものがよく、例えば「来年の健康診断でメタボ診断率を45%→40%にする」「秋までに運動趣味愛好者を35%→45%にする」などです。
そこから社員の皆さんの目標作成&発表をしていただきます。「帰宅時は一駅前で降りて歩く」「週に二度は帰りにスポーツクラブで汗を流す」「秋までに10km走れるようにする」など、各個人の打ち立てやすい目標がいいでしょう。
これも定期的に各部署での状況を発信するなどし、P(計画)D(実行)C(精査)A(改善)の循環が必要です。達成の折には全員で喜び、ご褒美があるとより効果的でしょう。
当ブログでは運動習慣のない方のための記事をご用意していますので、そちらも参考になさってください。
2−3.指導者を招聘し、講習会を開く
専門の講師による指導(インストラクション)の指導は最も効果のある正しい使い方を伝え、社員の皆さんの健康意識を活性化させます。「外部からわざわざ指導者を呼んだ」という事実で、会社の熱意を伝えることができ、また内輪で行うよりも、真剣さをもって受講していただくことになります。
反対に、使い方やポイントがよくわからないままだと十分な効果を感じることが難しく、三日坊主の原因となります。
ストレッチポール®はさまざまな活用法ができます。もっとも効果を感じやすいのはベーシックセブンというシンプルな運動ですが、私たちでさえも指導者の方に導いていただくと、セルフでやるよりも効果を感じます。ストレッチポール®が単にマッサージをするだけのツールではないことがお分かり頂けるでしょう。ひめトレも適切な指導を受けるとその場で効果を感じることができるツールです。
このように外部講師を年に一度程度招聘することで、運動習慣の定着に繋がります。
ストレッチポール®やひめトレを使用したエクササイズ方法などの普及をする「日本コアコンディショニング協会(JCCA)」認定のトレーナーさんであれば、このような指導を行うことができます。
別サイト:コアコンファン トレーナーサーチでは、長い年月をかけて勉強や経験を積んで最上級資格を得た特に優秀な先生方(マスタートレーナー)をご紹介しています。指導を受けてみたい方は、ぜひご検討ください。コアコンファン トレーナーサーチ
もしくは、JCCAまで直接お問い合わせください。お問い合わせ先:https://jcca-net.com/contact/
3.まとめ
オフィスで揃えたいストレッチ&トレーニングツールをご紹介しました。どのようなツールを導入しても使ってもらわないと意味がありません。また次のようなポイントも重要です。
・正しい方法や姿勢で行う
・目的を設定して、習慣化して行う
・鍛えたりストレッチするポイントや効果を知った上で行う
ことが重要です。ぜひ当記事でご紹介した方法を参考になさってください。
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