「ストレッチポールの使い方を知りたい!」「もっと違う使い方はないの?」とのお声を数多く頂きます。
そこで、ストレッチポールをこよなく愛しトレーニング指導の環境で積極的に活用しているストレッチポールマニアの先生に、いろいろな使い方をお伝えしてもらうことにいたしました。
解説は、当ブログ総監修者で米国公認アスレチックトレーナーの石塚利光さんです。全身の可動域向上や正しい姿勢と動きを獲得するためのオリジナルメソッドばかりですので、お持ちの方はぜひ試してみてください。
※ご注意 ストレッチポール®を製造販売する㈱LPNは、製品説明書に記載する基本的な使い方「ベーシックセブン」以外の使用法を公式にはご紹介しておりません。この記事でご紹介する使用法はスポーツ指導環境での活用法の一例です。ご自身の身体状況をよく検討して行ってください。また痛みのある時は行わず、痛みが発生した時は継続しないでください。ストレッチポールの基本的な使い方については、別記事「ストレッチポール®の効果と誰にでも効果が得られる使い方」にてご紹介していますので、まだお知りになられていない方はそちらからご覧ください。
1.上半身のエクササイズ
まずは上半身の運動からご紹介します。
・ストレッチ&セルフマッサージ
・体幹と上半身のエクササイズ
・動きを引き出す(可動性を向上させる)エクササイズ の3種類の運動です。
■1.広背筋のストレッチ
立ちヒザになり、ストレッチポールをヒジと手首の間に横に置いて伏せます。バンザイの態勢のまま10〜20センチ程度前方に転がします。親指は天井を向けておくとより効果的です。数回繰り返してください。
■2.肩甲骨を下げるエクササイズ
肩甲骨を下げる動きは普段の生活やスポーツでは意外と行われていないものです。先ほどの姿勢のまま肩甲骨を下に動かしてください。
ポイントは、ストレッチポールの当たっている位置から下げるのではなく、肩甲骨から先に動きだし、それにつられて腕も下がっていく感じで動かすことです。
■3.肩甲骨外側の筋肉のストレッチ
肩甲骨外側には、小円筋(しょうえんきん)、大円筋(だいえんきん)、棘下筋(きょくかきん)という肩甲骨の動きに関わる大事な筋肉があります。
ストレッチポールでこの部分を押さえてから腕を伸ばすことで、効果的に筋肉をストレッチすることができます。
まずはストレッチポールを肩甲骨外側に当たるように、腕を伸ばして横になります。ヒザは曲げておいてください。当たっている部分をツールを小刻みに動かすことでほぐします。(写真・上)
下になっている手を上になっている手の肩をつかむように巻きます。そのヒジを上になっている手でホールドし天井方向に引き上げます。
■4.大胸筋のセルフマッサージ
大胸筋の上部にある腕と胸の境界をマッサージする方法です。上図の緑丸の部分にストレッチポールを当てます。
うつ伏せになり、胸前上部で肩の付け根あたりにストレッチポールの端部を当てて、体重をかけながら小刻みにツールを動かします。
ツールに腕を沿わせまっすぐ伸ばすことで、当たる部分を変えることができます。このようにいろいろな当て方を試してください。
■5.広背筋ストレッチ&胸郭回旋エクササイズ
背中の大きな筋肉・広背筋(こうはいきん)を伸ばし、胸郭(きょうかく・肋骨まわり)のひねりの動きを引き出すエクササイズです。
体の左側にストレッチポールを起きます。四つんばいになり左ヒジを床に付けます。右ヒジは左のワキの下から通して、手首をストレッチポールに乗せます。そのまま右手の先の方へツールを転がしながら、カラダをひねっていきます。背中のストレッチ感とひねりを感じてください。
■6.ストレッチポールヒジはさみエクササイズ
ヒジと手のひらでストレッチポールをはさみ、エクササイズを行います。肩甲骨を上にあげるエクササイズです。
写真は1本で行う場合です。できれば「10.肩の運動2」でご紹介するように、もう一本ストレッチポールを用意していただき、縦乗りをしながら行うと効果が高いです。みぞおちの後ろが床から離れないように押し付けるイメージで行いましょう。
■7.ストレッチポール横持ちエクササイズ
上記のエクササイズを今度はストレッチポールを横持ちにして行います。持つことでYの字がキープされます。腰が反らないように注意してください。
写真のように両脚を上にあげることでレベルアップします。脚の重さをお腹で支えるには、お腹にしっかり力を入れないとできないからです。赤ちゃんが生後5〜6ヶ月程度によく行う運動を再学習するエクササイズです。
■8.胸のストレッチ
ここからストレッチポールに仰向けで縦乗りします。
ヒジを90度に曲げてゆっくり床に向けて開いていきましょう。30秒程度かけて下に落としゆっくり戻します。
呼吸は自然な呼吸で。息を止めないようにしてください。みぞおちの裏側、背中のポイントがツールから浮かないようにすることが大切です。5でやった呼吸を思いだしてください。
■9.肩の運動1
胸のストレッチで緩まっているので、肩の動きを引き出す運動を行います。
上記のポジションから指を床につけるようなイメージで頭上方向にあげていきます。ヒジは水平線から90度をキープ。10秒以上かけてゆっくりあげて戻していきます。
■10.肩の運動2
ワキを締め、お腹の前で前ならえをします。
赤ちゃんを「高いたかい」するようなイメージで頭の上にまであげ、おろします。
■11.うつぶせYWTAエクササイズ
これも肩甲骨の動きを引き出すエクササイズです。YWTAポジションは腕の形で人文字を作るイメージです。いつでもどこでもイラストの形を作り肩甲骨から腕を後ろに引き寄せる動作を10回するだけで肩甲骨の動きが良くなります。
腰が反ったり後ろに傾いて行わないようにすることがポイントですが、ストレッチポールを使うことで効果的に行うことができます。
ピークポイントでは親指をさらに後ろに傾けてめいっぱい引くようにしてください。
まずは、このエクササイズをストレッチポールの上に仰向けで縦乗りにて行ってみてください。
さらにYWTAエクササイズは、うつ伏せで行う場合がありますが腰が反りやすくなるデメリットがあります。腰が反ってしまうと、腰椎の安定がキープできずに、胸郭の伸展という狙った動きが効果的にできなくなります。また腰痛を発症する危険性があります。
ストレッチポールをろっ骨の下に横に敷くことで、腰の傾きがニュートラルになります。
ろっ骨下部がツールから離れないようにしてください。カラダは一直線のイメージです。
■12.うつぶせ肩甲骨寄せ下げエクササイズ
肩甲骨を寄せて下げる運動は、可動域向上のために大切なエクササイズです。
後頭部に両手をあてて、下図のような肩甲骨の引き寄せを行ってみましょう。
その上でストレッチポールをみぞおちの下に起き、このエクササイズを行います。
大事なのは、この「肩甲骨を寄せて下げる」ということです。決して背筋運動ではありません。床についたヒジを開きながら上げていきます。胸の反りで引き上げるのではなく、肩甲骨の寄せ下げを起こすようにします。
お腹にしっかりと力を入れ、腰が反らないようにして肩甲骨を動かします。
■13.胸椎のストレッチ
胸椎とは、胸の後ろにある背骨のことです。ストレッチポールを立ててもいろいろなエクササイズができます。
写真の体勢をとります。両腕は耳に沿わせてください。腰がそらないように上下にテンションをかけます。
■14.スタンディングYWTA
この状態でもYWTAエクササイズができます。頭をツールに付けることで、腰から頭まで一直線の感覚がわかります。YWTAエクササイズはこのようにいろいろな態勢でできます。一回のエクササイズ(ウォーミングアップなど)につきどれか一連の動きを行えばOKです。
■15.ストレッチポールwithチューブ
ストレッチポールに縦乗りしながらチューブトレーニングをすると、効果的に行うことができます。
ポジションを上げるにつれて難易度が上がります。いずれもお腹に圧力をいれて行ってください。
最初はおへそとみぞおちの間くらいの位置。ワキとヒジを締めます。次にアゴくらいの位置。最後に頭のてっぺんくらいの位置でやってみましょう。
2.下半身と体幹のエクササイズ
筋肉の活用と可動域向上の目的で行います。
■16.大殿筋の活用エクササイズ
あなたはお尻の筋肉をちゃんと使えていますか? 大きなお尻の筋肉ですから、当然使えていると思うかもしれませんが、意外とできている人は少ないものです。
それを確かめながらトレーニングする方法をお伝えします。まずは大殿筋というお尻の中央にある筋肉を狙います。
腰の前にある骨の出っ張りを上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)といいます。英語名を省略してここではASISとします。
この骨の出っ張りの位置にストレッチポールが来るように横に置き、うつ伏せに乗ります。
額に両手を当てて、ヒザは90度に曲げ片足ずつ天井方向にあげます。上げたところで下腹部に圧力がググーーーッと感じてくれば成功です。そこでヒザを降ろし、もう片足でも行います。5〜10回行います。
腰が反ってしまうと失敗です。お腹にしっかりと圧力を入れて腰の状態をキープして行います。
ポイントはヒザの曲げをキープすることです。これを行ううちにヒザの曲げがキープできなくて伸びてくるようになる人はお尻の筋肉が使えていない人です。ハムストリングス優位といい、後ろモモの筋肉のほうを使いがちです。
【応用編】
両脚を床から浮かせて行います。より腰が反りやすくなるので注意してください。お腹に圧力をいれて腰をキープする練習を行っておくといいでしょう。
■17.ヒップリフト
体幹トレーニングの基礎「ヒップリフト」もストレッチポールと組み合わせて行うことで、難易度が高まりより体幹を強化することができます。
ストレッチポールを足の下に置き、お尻をあげます。ストレッチポールが逃げてしまわないように両足でしっかり押さえつけます。これもよく腹圧を高めてください。10〜30秒。
お尻が上がって肩からヒザまで一直線になっているかどうかをパートナーに見てもらうか、鏡や窓に映る姿で確認するといいでしょう。
ヒザとつま先の向きをまっすぐにします。ヒザのあいだにクッションなどをはさんでもOK。ガニまたの人にはこれだけで矯正エクササイズになります。
■18.ヒップリフト応用編
前記の運動ができた人は、片足あげに挑戦してみましょう。ヒザは90度のままです。
ハムストリングスとふくらはぎが緊張してキツくなる方は、お尻の筋肉が使えていません。両手でお尻をさわり、大臀筋がしっかり使えるようになるようトレーニングしてください。尾骨(尾てい骨)から引き上げる感覚で行うのが正解です。
■19.脚開きエクササイズ
シンプルな運動ですが、ストレッチポールを腰の下に置くことで、腰の動きを制限して中殿筋を効果的に活用させるエクササイズとなります。
まず左右の足を付けて行ってください。上の写真で石塚さんが押さえている位置が中殿筋の場所です。そこの筋肉が硬く締まるように効かせます。
お腹の下にストレッチポールをあてます。このことにより腰の動きに制限が出ます。一度試していただけるとわかりますが、ストレッチポールなしのほうが開きやすいです。これは腰の回旋運動による助けがあるからです。中殿筋だけに効かせるためるにはツールありの方が良いのです。
続いて足を伸ばして、斜め後ろに引き上げます。10〜20回を目安に行ってください.
■20.脚開きエクササイズ応用編
同じエクササイズを体幹を入れながら行います。方法はいたってシンプルです。
ストレッチポールからお腹を浮かせて行います。体幹がキープできないとお腹がツールに触ってしまいます。よく腹圧を高めて体幹をしっかりキープして脚を開いてください。
■21.股関節の正しい動きをマスターする運動1(股関節で曲がる)
上半身を前屈させる時に腰で曲がっていませんか? お尻を引いて股関節から折れ曲がることが必要です。
以下はこの動きをマスターする運動です。全身の筋肉をもっとも効率的に発揮させ、腰痛などの傷害を予防することができます。
ストレッチポールを写真のように背中に当て、頭、背中、腰の3点がしっかりツールに当たった状態をよく意識してください。そのまま上半身を前に倒していきます。
お尻が後ろに出て、股関節のV字ラインからカラダが折れ曲がっていくことを理解し、体得できるようにしてください。
■22.股関節の正しい動きをマスターする運動2(お尻を使ってカラダを持ち上げる)
21とよく似ていますが、お尻の筋肉を使うトレーニングです。
スクワットで前モモを使って上げる方がいます。お尻の大きな筋肉を使って筋力を発揮させないと、前モモばかり発達してしまいます。お尻の筋肉が使えるようになると、ジャンプ力の強化にもなり、ヒップラインも綺麗になります。
ヒザをついて行います。つま先は立ててお尻と付けておきます。その状態からヒザで立ってください。
この時に大事なことは、お尻の筋肉で上げるということです。先ほどの大殿筋、中殿筋のエクササイズを思い出してください。前モモが張って上がるようでは失敗です。
コツとしては、上がる時にお尻の穴を締めながら体を持ち上げるということです。その時に大殿筋が固く締まるようになって立てると成功です。
■23.股関節の正しい動きをマスターする運動3(シングルレッグベンド&ライズ)
股関節の動きをマスターする運動の集大成です。骨盤をコントロールしながら、股関節の動きを引き出すことを目的とします。
あらゆるスポーツでは、股関節が適切にコントロールされないと、ヒザが内側に入ってケガをするケースが多いです。正しく筋肉を使えるようにするためにチャレンジしてみましょう。
写真のように、背中にストレッチポールを当てて、片足だけで立ち後ろ足を伸ばしたまま前に倒れていきます。
この時に腰が曲がったり、頭だけ離れて倒れないようにしてください。体がフラフラしないでできることを目指しましょう。
しっかり曲がったら、起き上がってきます。元の状態に戻ります。脚を入れ替えても行います。
特に曲げる時も戻る時も体が外に開くのはNGです。
■24.前モモ(腸腰筋)のストレッチ
ストレッチポールのしなりを利用して前モモ(腸腰筋)のストレッチを行います。
片ヒザは床につけて腰をおろします。ストレッチポールのてっぺんを両手で持ち、前に体重をかけていきます。
股関節の前および前モモがストレッチされることを感じてください。
■25.足首の可動性向上エクササイズ
足首の柔軟性はスポーツパフォーマンスアップ&ケガ予防のために重要です。上記の形から足首の柔軟性を向上させるエクササイズに繋げます。
後ろ足の甲を床に付けます。お尻を後ろに引いてカカトに当たるところまで下げてください。後ろモモのストレッチができます。
そこから前に荷重していきます。前足のカカトは床から離れないようにしてください。足首が限界まで曲がるようにストレッチポールを倒していきます。
3.全身の協調エクササイズ
体幹を安定させ、上肢&下肢の連動につなげるエクササイズです。
■26.下半身固定からの胸郭伸展エクササイズ1
下半身(骨盤)を正しい位置にキープして上半身(胸郭)の動きを引き出すエクササイズです。ご紹介する方法は、骨盤が正しい位置で固定される効果的な方法です。
25の態勢から後ろ足のつま先を再度立てます。ツールを横にもってバンザイし、上体を後ろに反らせます。腰が反らないように注意してください。
■27.下半身固定からの胸郭伸展エクササイズ2
横に倒します。
息を細く長く吐きながら、お腹を締めて横に倒します。腰から倒さないでください。みぞおちから下は垂直をキープしたまま、ろっ骨から上を倒します。
■28.下半身固定からの胸郭回旋エクササイズ
ひねりを行います。
要領は同じです。よくお腹が引き締まる感覚をつかむことと、肩甲骨とろっ骨のひねり動作を感じてください。
■29.ストレッチポール・ダイアゴナル
代表的な体幹トレーニングの一つ「ダイアゴナル」を行います。
まずはツールなしで行ってみましょう。四つんばいになりヒザを付けます。左足を後ろに伸ばし、右腕を上げます。よく腹圧を高めて、カラダの一直線をキープします。
上記ができたらストレッチポールの上でこれを行ってみます。【注意】転倒の危険性があります。周囲にマットなどを敷き、また安全性をよく配慮して行ってください。
右足先は床につけて行います。左手と右ヒザでストレッチポールを強く押してください。
これもできるようでしたら、足を床から離します。写真は手と足を入れ替えています。【注意】転倒の危険性があります。周囲にマットなどを敷き、また安全性をよく配慮して行ってください。
■30.ストレッチポール・ニートゥエルボー
最後のエクササイズです。29の状態で上げたヒザとヒジをくっつけます。【注意】転倒の危険性があります。周囲にマットなどを敷き、また安全性をよく配慮して行ってください。
4.まとめ
いかがでしたか? いずれもシンプルなエクササイズですが、スポーツ解剖学的見地から皆さんにぜひ行っていただきたいモノを紹介致しました。普段おこなっているトレーニングや練習の合間に、「正しいカラダの使い方」を体得するエクササイズを行うことで、よりパフォーマンスアップに繋がり、スポーツ傷害の予防にもなります。
当ブログでは今後もストレッチポールの使い方について、情報をお伝えしてまいりますのでどうぞよろしくお願いします。
なお、関連して以下の記事も併せてご一読いただければ幸いです。
ストレッチポール®は㈱LPNの登録商標(第4666450号)です。正規品は公式LPNショップにて、またAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでも正規品をお買い求め頂けます。